FGかふぇ

読書やらカフェ巡りが趣味。読んだ本、行ったカフェの紹介がメインのブログです。ごゆるりとどうぞ。

【10作品】読書歴5年の私が勧める絶対読んで欲しいオススメ小説【随時更新】

f:id:furikake-gohan:20190530073928j:plain


『いい本』とはなんだろうか?
有名な賞を受賞した本だろうか?それとも著名な作者の本だろうか?


私は、『いい本』とは読了後に自分の中に残るモノがある本だと思っている。それは感動や恐怖といった感情でもいいし、興味や発見といった知的欲求でもいいだろう。


何年後かにその作品をふと思い出した時にでも、その作品が自分にくれたモノを思い出せたら素敵だと思うし、その積み重ねが読書の醍醐味でもあると思う。


さて、そこで今回は私が何十年後でも忘れることができないであろう、大好きな小説10作品を紹介していく。

注意事項

  • 2019年現在の私が実際に読んだ作品、ベスト10を紹介している。(随時更新予定)
  • 紹介はランキング形式ではなく、ランダムに紹介する。
  • あらすじは、基本裏表紙のものを引用している。
  • 物語の核心に触れるネタバレはしていない。
  • 一人の作家に対して、一つの作品を採用している。

  

1.図書館の魔女/高田大介

──あらすじ

鍛冶の里に生まれ育った少年キリヒトは、王宮の命により、史上最古の図書館に暮らす「高い塔の魔女(ソルシエール)」マツリカに仕えることになる。古今の書物を繙き、数多の言語を操って策を巡らせるがゆえ、「魔女」と恐れられる彼女は、自分の声を持たないうら若き少女だった。超弩級異世界ファンタジー全四巻、ここに始まる!

──剣でも魔法でもない。少女は言葉で世界を拓く。

【ボーイミーツガール】であり、【知的エンタメ】であり、【国家謀略戦争】であり、【大冒険】でもある。しかし何より大きいのは、『図書館の魔女』は"言葉"がテーマのファンタジー作品だという点だ。


タイトルは『図書館の"魔女"』だが、魔術で物を浮かせたりだとか、大釜で怪しげな薬を作っていたりだとかそんなことはない。ファンタジーに出てくるような竜だとか、伝説の剣だとか魔法もでてくるわけではない。


むしろファンタジーなのに非現実的要素を全否定するような場面すらある。


そんな世界観の中、図書館の魔女・マツリカは魔法を使わずに言葉を使う。いくつもの言語を扱い、難解な書物を繙き、言葉一つで世界を動かす。それにも関わらずマツリカ本人はしゃべることができないのだ。このギャップに惹かれないことがあるだろうか、いやない。


手話を用いた意思伝達を主としているマツリカのもとにある日、少年・キリヒトが手話通訳として図書館に遣わされる。特別な境遇に生まれ、特別な能力をもった二人の出会いで物語は始まる。お互いの能力で欠点を補いながら、そして、なくてはならない存在へと変わっていく。その過程が、やりとりがたまらなく愛おしい。


文庫本では第1巻~第4巻で構成されており、合計のページは1800ページを越える長編作品だが、ページ数もさることながら内容が非常に濃密である。


ランキング形式で紹介していないのは、「どれも好きな作品で順番がつけられない」のが大きな理由なのだが、この『図書館の魔女』だけは例外だ。私にとっては、そう思えるほど圧倒的1位の作品。


「いつまでもこの物語の世界に浸っていたい。読み終えてしまいたくない。」と思ったこの『図書館の魔女』だけかもしれない。
すべての読書好きに届け!!


【関連記事】
『図書館の魔女』を紹介する。口のきけない魔女の物語はすべての読書家に捧げたい1冊だった【高田大介】 - FGかふぇ


2.獣の奏者/上橋菜穂子

──あらすじ

リョザ神王国。闘蛇村に暮らす少女エリンの幸せな日々は、闘蛇を死なせた罪に問われた母との別れを境に一転する。母の不思議な指笛によって死地を逃れ、蜂飼いのジョウンに救われて九死に一生を得たエリンは、母と同じ獣ノ医術師を目指すが──。苦難に立ち向かう少女の物語が、今ここに幕を開ける!

──少女の執念は世界を変える

『獣の奏者』は、外伝も含めると5冊からなるファンタジー作品だ。


獣の奏者〈Ⅰ 闘蛇編〉
獣の奏者〈Ⅱ 王獣編〉
この2冊で一区切りつくので、興味がある方はまずこの2冊を読んでみてはいかがだろうか。(この2冊を読んでしまったら、さらに続きが読みたくなると思うが)


『獣の奏者』は、国と国の争いの物語でもあり、政治的な駆け引きの物語でもあり、決して人に懐かない王獣と少女が心を通わせていく物語でもある。


王獣闘蛇と呼ばれる二つの特殊な生き物が登場するのだが、どちらの生き物も人間では太刀打ちできないくらい強い。


闘蛇は、なんとか人が制御できるため国を守護する兵器として使われている。対する王獣は闘蛇以上に強いが決して人に懐かない。特殊な笛の音で硬直させてからでないと近づくことさえできない。


しかし、主人公・エリンは決して人に懐かないはずの王獣と心を通わせてしまう


エリンと王獣が仲良くなればなるほど、政治的な波に飲み込まれてしまう。心を通わせたい、しかしそれは王獣を兵器として使用させられてしまう事を意味する。そのときエリンが選んだ道は……。


一気読み必死のファンタジー。自信をもってオススメできる作品だ。


3.十二国記/小野不由美

──あらすじ

「お捜し申し上げました」──
女子高生の陽子の許に、ケイキと名乗る男が現れ、跪く。そして海を潜り抜け、地図にない異界へと連れ去った。男とはぐれ一人彷徨う陽子は、出会うものに裏切られ、異形の獣には襲われる。なぜ異邦に来たのか。戦わねばならないのか。怒涛のごとく押し寄せる苦難に、故国へ帰還を誓う少女の「生」への執着が迸る。シリーズ本編となる衝撃の第一作。

──圧倒的世界観が待ち受ける大人気ファンタジー

あなたは、ファンタジーに何を求めるだろうか?応援したくなる主人公?魅力あふれる登場人物?ハラハラドキドキの冒険?スカッとするようなどんでん返し?それとも作り込まれた世界観?


十二国記の世界にはそのすべてがつまっている。


『十二国記』の世界は古代中国がベースになっているが、まったく別の異世界。文明は現世よりだいぶ遅れており、電気などは通ってなく旅は徒歩か馬を使うのが主である。


世界は文字通り12の国でできている(世界の中心に『黄海』という島があるが、この島は12の国に含まれない特別な場所)。

f:id:furikake-gohan:20190529002731j:plain

さらにこの世界とは別に十二国記には、『現世(日本)』が登場する。我々の住む現世と十二国記の世界は虚海という広大に海に隔てられている。


本来は『現世』と『十二国』とは行き来ができないのだが、蝕(しょく)と呼ばれる天災が起こると『現世』と『十二国』の世界が混じり、『現世』から『十二国』へと、また逆に『十二国』から『現世』へと人が流れ着いてしまうことがある。


上記のあらすじは『月の影 影の海』の上巻から引用したもので、現世に生きるごくごく普通の女子高生が十二国の世界に迷い込んでしまうお話だ。


『十二国記は現在短編も含めて9作品ある。以下作品一覧。


【十二国記・作品一覧】
1.『魔性の子』
2.『月の影 影の海』
3.『風の海 迷宮の岸』
4.『東の海神 西の滄海』
5.『風の万里 黎明の空』
6.『丕緒の鳥』〈短編集〉
7.『図南の翼』
8.『黄昏の岸 暁の天』
9.『華胥の幽夢』〈短編集〉


『月の影 影の海』では現世に生きていた女子高生・陽子が主人公の物語だが、タイトル事に主人公が変わる(同じ作品もあるが)ため、様々な主人公の目線・立場から異世界ファンタジーを堪能することができる。


ちなみに今年(2019年)、待望の新作の1、2巻が10月12日(土)、3、4巻が11月9日(土)に発売されると予告されたたので今から読めばノンストップで新刊を読める絶好のタイミングだ。


【関連記事】
『十二国記』の全9作品をまとめて紹介する【小野不由美】 - FGかふぇ


4.黄金の王 白銀の王/沢村凜

──あらすじ

二人は仇同士であった。二人は義兄弟であった。そして、二人は囚われの王と統べる王であった──。翠の国は百数十年、鳳穐と旺厦という二つの氏族が覇権を争い、現在は鳳穐の頭領・穭が治めていた。ある日、穭は幽閉してきた旺厦の頭領・薫衣と対面する。生まれた時から「敵を殺したい」という欲求を植えつけられた二人の王。彼らが選んだのは最も困難な道、「共闘」だった。日本ファンタジーの最高峰作品。

──仇敵同士の二人の王が歩む軌跡

物語のテーマは、覇権を争う二人の王の「和解」そして「共闘」。ファンタジーといば魔法がでてきたりだとか、派手なアクションをイメージする方も多いだろうが、そのような要素はなく物語は静かに淡々と進む。だが熱い。それは魅力的な二人の王が歩む軌跡を堂々と、時に残酷に、そして現実世界のように鮮明に描かれているからだろう。



大きな目標のために敵同士だった者が手を組む。これだけ聞けば、盛り上がるよくある展開だ。本書もこの展開に違いはないが、『黄金の王 白銀の王』で語られるのは「共闘」を決め、達成を目指す果てない道のりだ。


派手さのある作品ではない。しかし『黄金の王 白銀の王』は、私にとってじわじわと心に残り続ける作品だ。激しい熱量で燃焼するような炎ではなく、じわじわと燻り続ける、一見弱々しいが確かに暖かい、そして決して消えることない。そんな炎のような作品だ。



5.すべてがFになる/森博嗣

──あらすじ

孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウェディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大教授・犀川創平と学生・西之園萌絵が、この不可思議な密室殺人に挑む。ミステリィの世界を変えた記念碑的作品。

──衝撃のデビュー作!伝説の始まり

だれが犯人なのか?どんなトリックを使っているのか?これらの要素はミステリーで欠かせない要素だが『すべてがFになる』は、これらに対する解答が素晴らしいと思う。


天才工学博士・真賀田四季の部屋にあるコンピューターのカレンダーには、たった一行のメッセージが残されていた。そのメッセージが『すべてがFになる』


謎めいたタイトルに秘められた意味が分かったときの衝撃といったら他にない。印象的すぎるタイトルにして意味不明なタイトルであるが、読んでから考えるとこれ以上のタイトルはないだろうと思える。


『すべてがFになる』は主人公・犀川創平と西野園萌絵の頭文字をとって『S&Mシリーズ』と呼ばれており、10冊から構成されている。以下、シリーズ一覧だ。

【S&Mシリーズ作品一覧】
1.『すべてがFになる』 The Perfect Insider
2.『冷たい密室と博士たち』 Doctors in Isolated Room
3.『笑わない数学者』  Mathematical Goodbye
4.『詩的私的ジャック』 Jack the Poetical Private
5.『封印再度』 Who Inside
6.『幻惑の死と使途』 Illusion Acts Like Magic
7.『夏のレプリカ』 Replaceable Summer
8.『今はもうない』 Switch Back
9.『数奇にして模型』 Numerical Models
10.『有限と微小のパン』 The Perfect Outsider

個人的に大好きなのは『すべてがFになる』と『有限と微小のパン』である。是非とも制覇してみてほしい。

【関連記事】
原点にして頂点!?森博嗣の傑作小説『すべてがFになる』あらすじ・紹介 - FGかふぇ


6.ナミヤ雑貨店の奇蹟/東野圭吾

──あらすじ

悪事を働いた3人が逃げ込んだ古い家。そこはかつて悩み相談を請け負っていた雑貨店だった。廃業しているはずの店内に、突然シャッターの郵便口から悩み相談の手紙が落ちてきた。時空を超えて過去から投函されたのか?
3人は戸惑いながらも当時の店主・波矢雄治に代わって返事を書くが・・・。次第に明らかになる雑貨店の秘密と、ある児童養護施設との関係。悩める人々を救ってきた雑貨店は、最後に再び奇蹟を起こせるか!?

──現在と過去を繋ぐ奇蹟の手紙

『東野圭吾史上、最も泣ける作品』との触れ込みもあるが、それに恥じない感動と、心暖まるストーリーである。


『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の特徴は、ヒューマンドラマとファンタジーの性質を合わせ持っている点。ファンタジー要素というのが、青年たちが忍び込んだ廃墟に突如、30年前の過去から手紙が届くのだ


現在と未来が繋がる、また『ナミヤ雑貨店の奇蹟』のように現在と過去が繋がる。小説の設定としては、ありきたりのものだ。しかし、この物語の本質はヒューマンドラマである。過去と現在でやり取りされる手紙は、過去軸の人間の”悩み相談”を現在軸の人間が答える形式となっている。


この手紙のやり取りを通して、3人の青年は相手の事を考え、自分自身を見つめ直し成長する過程が、描かれている。


また、物語は5章構成になっていて各章ごとに新しい相談者の話になるのだが完全に独立した話という訳ではなく、端々で繋がっていることで全体像があきらかになってくる。


個人的に第二章の『夜明けにハーモニカを』の話がたまらなく好きだ。
音楽の道に進むか、家業の魚屋を継ぐか。そんな人生の二択に迫られた青年がナミヤ雑貨屋に相談の手紙を出して……。

【関連記事】
【2019年版】東野圭吾初心者に捧げるオススメ7選!迷ったらコレを読め!!【随時更新】 - FGかふぇ


7.ダ・ヴィンチ・コード/ダン・ブラウン

ルーヴル美術館館長のソニエールが館内で死体となって発見された。殺害当夜、館長と会う約束をしていたハーヴァード大教授ラングドンは、フランス警察より捜査協力を求められる。ソニエールの死体は、グランド・ギャラリーでダ・ヴィンチの最も有名な素描〈ウィトルウィウス的人体図〉を模した形で横たわっており、さらに、死体の周りには、複雑怪奇なダイイングメッセージが残されていた。館長の孫娘でもあり、現場に駆けつけてきた暗号解読官ソフィーは、一目で祖父が自分だけに分かる暗号を残したことに気付く...。
〈モナ・リザ〉〈岩窟の聖母〉〈ウィトルウィウス的人体図〉──。
数々のダ・ヴィンチ絵画の謎が導く、歴史の真実とは!?

──全世界7000万部突破の衝撃作

『ダ・ヴィンチ・コード』は、ハーヴァード大学の象徴学者ロバート・ラングドンを主人公としたシリーズ作品であり『ダ・ヴィンチ・コード』はそのシリーズ第2作目の作品である。シリーズ作品の2作目ではあるが、この作品から読んでも問題ないようになっている。


とはいえ、第一作目である『天使と悪魔』も負けず劣らず面白いので、興味と時間がある方はそちらからトライしてみてもいいだろう。以下、2019年時点での『ダ・ヴィンチ・コード』シリーズ一覧

シリーズ5作品と刊行年
1.天使と悪魔〈2000年〉
2.ダ・ヴィンチ・コード〈2003年〉
3.ロスト・シンボル〈2009年〉
4.インフェルノ〈2013年〉
5.オリジン〈2017年〉


『ダ・ヴィンチ・コード』は、史実にまつわるストーリー、実在する舞台、芸術作品、名だたる偉人、宗教が登場するので、フィクションなのだがノンフィクションのようなリアルさがある。実在するものゆえに知的好奇心が刺激されてやまない。


歴史や宗教に対して予備知識があったほうが楽しみやすいし理解もしやすいだろうが、予備知識がなかったとしても十分に楽しめるはずだ(私は予備知識をもってはなかった)。逆に『ダ・ヴィンチ・コード』が新しい興味を発掘させてくらるきっかけになるかもしれない。


【関連記事】
『ダ・ヴィンチ・コード』シリーズ全5作品をまとめて紹介する【ダン・ブラウン】 - FGかふぇ
【2019年版】ダン・ブラウン 全作品を発売順に紹介 おすすめ・感想 【新作随時更新】 - FGかふぇ


8.船を編む/三浦しをん

──あらすじ

出版社の営業部員・馬締光也は、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれた。新しい辞書『大渡海』の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まる。定年間際の下手な編集者。日本語研究に人生を過ぎる老学者。辞書作りに情熱を持ち始める同僚達。そして馬締がついに出会った運命の女性。不器用な人々の想いが胸を打つ本屋大賞受賞作!

──『言葉は海であり、辞書とは海を渡っていく舟 』

『船を編む』は、"辞書作り"がメインテーマの物語だ。誰もが一度はひいたことがあるであろう辞書。しかし、その辞書を『誰が』『どうやって』『何を思って』作ったか……考えたことはあるだろうか?


『船を編む』では、そんな辞書作りについて焦点をあてつつ、携わる人たちの成長や思い、そして辞書作りに人生をかける人たちの情熱がつまった作品である。


固いイメージが湧くかもしれないが、仕事や人間模様を静謐に、時にコミカルに描いているので軽快に読み進めることができるはずだ。主人公の不器用な恋愛も歯がゆさがあるが素直に応援したくなる。


学生のころは何気なく使っていた辞書だけど、多くの人の執念と情熱が詰まっていたのだな、と思い知らされた。『船を編む』を読んだら、電子辞書でなくてGoogleでもなくて、紙の辞書で言葉を調べてみたくなるだろう。きっとそこから彼らの情熱が感じられるはずだ。



9.羊と鋼の森/宮下奈都

──あらすじ

高校生の時、偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来、調律に魅せられた外村は、念願の調律師として働き始める。ひたすら音と向き合い、人と向き合う外村。個性豊かな先輩たちや双子の姉妹に囲まれながら、調律の森へと深く分け入っていく─。一人の青年が成長する姿を温かく静謐な筆致で描いた感動作。

──静かな情熱に勇気をもらえる一冊

『羊と鋼の森』は、ピアノの調律師を目指す青年が職場の先輩や、お客さんとの関わりを経て成長していく過程を描いた物語である。劇的な展開や大きな事件が起こる訳ではないが、繊細な心情描写と、主人公の確かに成長の様子は、ジワジワと熱を帯びてくるような面白さがある。


読みやすくスッキリした読了感。そして単行本で243ページと文量も多過ぎず少なすぎず、普段あまり本に触れない方も読みやすい作品だと思う。


『羊と鋼の森』は、一つひとつの表現が、心理描写が、情景が繊細だと思う。とくにピアノ…つまり"音"を表現する描写が必然的に多い。もちろん本で音を聴けるはずがないのだが…「こんな音なんだろうなぁ」と自然とピアノの音が頭に浮かぶような、そんな繊細な表現が魅力の一つだ。


ピアノの音と向き合って、ピアノを通してお客さんや職場の先輩と向き合って成長していく。ひた向きに調律の道を進む主人公の静かな情熱が私は少し羨ましかった。


10.星を継ぐもの/ジェイムズ・P・ホーガン

──あらすじ

月面で発見された真紅の宇宙服をまとった死体。だが綿密の調査の結果、驚くべき事実が判明する。死体はどの月面基地の所属でもないだけでなく、この世界の住人でさえなかった。彼は5万年前に死亡していたのだ!一方、木星の衛星ガニメデで、地球のものではない宇宙船の残骸が発見される。関連は?J・P・ホーガンがこの一作を持って現代ハードSFの巨星となった傑作長編!

──月面探査で見つかったのは5万年前の人間の死体だった!?

10作中で唯一のSFモノ。『星を継ぐもの』がきっかけでSFが好きになり色々読み漁っているが、未だにコレを超える作品には出会えていない。


名作は色褪せない。『星を継ぐもの』は1977年に発売され、2018年には驚異の100刷を達成した、数字にも裏付けられた名作である。


物語は月面で宇宙服を身につけた死体が発見されて幕をあける。月面で死体が発見されることでも驚きなのに、調査の結果その人物は5万年前に死んでいたことが分かったのだ!!


『星を継ぐもの』の面白い点は、宇宙、そして宇宙人という壮大なテーマの物語であるにも関わらず、ストーリーは一貫して月面の死体は何者なのか?どこから来たのか?に特化している点だ。


物理学、言語学、天文学、数学、化学、地理...ありとあらゆる専門家が様々な視点から謎に迫っていくのだが、その様子がたまらなく面白い。


例えるとすれば難解なパズルだろう。偽物も混じるたくさんのピースの中から専門家たちが、正しいピースを見つけ出す。そしてその正しいピースを主人公のヴィクター・ハントがあるべき所に並べ変える。


こんなにワクワクする小説は、そうないだろう。緻密な構成と宇宙の壮大なスケールが織りなす極上のハード系SF小説だ。

【関連記事】
月面探査で見つかったのは5万年前の死体──『星を継ぐもの』【ジェイムズ・P・ホーガン】 - FGかふぇ

泥棒と警察官 二人の恋の行方は──『ルパンの娘』のあらすじ・紹介【横関大】

f:id:furikake-gohan:20190513232549j:plain

「今すぐ別れなさい」
わたしは泥棒の娘。
結婚を考えていた彼は、警察一家の長男だった。


2019年7月からドラマ化が決定した横関大の原作小説『ルパンの娘』のあらすじ・見どころを紹介していく。


500ページ弱と文量はそこそこあるが、文体は読みやすく軽快で、ストーリーや設定も面白いので、さくさくと読み進められる一冊となっている。ちょっと強引では?と思うところもあるが、それを含めてもまぁ面白い。普段読書をしない方でも読みやすいのではないだろうか。


感想はコチラ


目次

【書籍情報】

タイトル:ルパンの娘
著者:横関 大
出版社:講談社文庫
ジャンル・要素:ミステリー・恋愛
ページ数:473ページ
刊行年:2017年8月(文庫本)
映像化:2019年7月にドラマ放送(予定)
読後感:スッキリ・ハッピーエンド

あらすじ

泥棒一家の娘・三雲華は警察一家の長男・桜庭和馬と素性を隠して交際していた。ある日、華の祖父・巌が顔を潰された遺体で見つかり、華は独自に犯人を捜す。和馬は華に結婚指輪を贈るが、殺人事件を捜査する中で華が伝説のスリ師・巌の孫だと知り悩む。事件の真相と二人の恋の行方は?著者会心の長編ミステリ!

(引用:ルパンの娘 裏表紙/横関大)



見どころ

──泥棒と警察官、恋の行方は……!?

あらすじにある通り、泥棒一家の娘と警察一家の息子、二人の恋模様が大きな見どころの一つだろう。


主人公・三雲 華だけは図書館に勤めていて普通なのだが(しかしスリの腕前は一級品)、華の家族は泥棒で生計を立てている泥棒一家なのである。


父は美術品専門の泥棒、母は宝飾品専門、祖母は鍵師、祖父は伝説のスリ師、兄はハッカー。普通の生きたい!と思っている華には悩みの種にもなっている。


そんな泥棒一家・三雲家に対して華が恋してしまう桜庭和馬は、警察一家の長男。和馬は警視庁捜査一課の刑事、母は鑑識課、妹は交通課、祖母は警察犬の訓練士、そして飼っている犬まで元警察犬。


和馬との交際を悩む華だが、そんな折に祖父で伝説のスリ師・三雲巌と思われる顔の潰された他殺体が発見される。


捜査を担当することになった和馬は、捜査の過程で、華が伝説のスリ師の孫娘であること、更には華の一家の秘密に辿り着いてしまう。華と和馬の未来を阻む絶対的な壁。2人の恋の結末は……?

──巌を殺した犯人とその動機は?そして……

二人の恋の最中に起きてしまう不穏な事件。誰が、どうして巌を殺したのか?そして何故、無惨にも顔が潰されていたのか。


事件の真相に迫るなかで巌の過去や三雲家と桜庭家の間に意外な接点が浮かび上がってくる。泥棒一家と警察一家の間に隠された謎とは……?


最後に

『ルパンの娘』を読んでいて頭に浮かんだ作品が、東野圭吾の『流星の絆』だった。禁じられた恋と殺人事件の組み合わせが同じってだけなんだけどね。


『ルパンの娘』は、泥棒一家の娘と警察官一家の息子の設定

『流星の絆』は、両親を殺害された娘と両親の仇の息子の設定


設定自体は異なるものの、両作品にいえるのは、恋愛要素がミステリーのスパイスに、ミステリー要素が恋愛のスパイスになっている点だ。両方の要素がうまく融合していて、二つの行方を追ううちに気づけば作品にのめり込んでいる。


『流星の絆』が恋愛:ミステリー=2:8
とするなら
『ルパンの娘』は恋愛:ミステリー=4:6
といった所だろうか。


また『流星の絆』の方が重めの作品になっているが、『ルパンの娘』は軽快で明るめの作品となっている。


また、どちらの作品も読み進めやすいはず。恋愛×ミステリーがお好きな方は是非、どちらもおすすめの作品だ。




関連記事

【2019年版】ダン・ブラウン 全作品を発売順に紹介 おすすめ・感想 【新作随時更新】


f:id:furikake-gohan:20190430203826j:plain


ダン・ブラウンといえば、『ダ・ヴィンチ・コード』で一躍脚光を浴びた人気作家だ。そのシリーズ作品では第5作目になる『オリジン』が2019年に文庫版で発売されるなど、勢いは留まる所を知らない。



今回は、そんなダン・ブラウンの作品を一覧で紹介する(随時更新中)。
またダ・ヴィンチ・コードシリーズについてはコチラで詳しく紹介している。
【ダ・ヴィンチ・コードシリーズのあらすじ・紹介】


──1.パズル・パレス〈1998年〉

評価4/10

ダン・ブラウンのデビュー作。
暗号解読や秘密結社など、ダ・ヴィンチ・コードシリーズの原型が見て取れる。しかし他作品と比べると、どうしても物足りない感が否めない。ダン・ブラウンを初めて読む方には正直オススメしない。ダン・ブラウン作品を読破したい!という方は是非。




──2.天使と悪魔〈2000年〉

評価9/10
ダ・ヴィンチ・コードシリーズの第一弾
ヴァチカンをメインの舞台とした謎解きあり、アクションありの衝撃ストーリー。一時間ごとに一人が殺されていくという極限状態下でのラングドンの推理は見事の一言。


物語に登場する暗号は知識が専門的すぎて「考える」までいかず、ラングドンが解く過程をなぞるだけだったが、それでもテンポの良さと、時間制限のあるドキドキ感と、新たに触れる知識に読みごたえは抜群。




──3.デセプション・ポイント〈2001年〉

評価7/10
大統領選挙の攻防と、NASAの衝撃の発見…。予想もできない一転二転の展開にハラハラドキドキで大満足の一冊だ。『ダ・ヴィンチ・コード』シリーズとは一味違う、ダン・ブラウンの新たな一面が見える作品。


──4.ダ・ヴィンチ・コード〈2003年〉

評価10/10
史実や美術品をからめた暗号、謎解き満載のシリーズ第2作目にしてダン・ブラウンの名を世界に轟かせた出世作。44言語に翻訳され7000万部を越えた実績は伊達ではない。


内容は決して簡単ではなく、日本人からしたら解釈が追いつかない箇所もあるがそれを差し引いても面白い。映画化もされているが、内容が濃密すぎてゆえにドンドン進んでいくので映画だけでは理解しりれないのでは?と思ってしまった。是非、原作から読むことをオススメする。


──5.ロスト・シンボル〈2009年〉

評価6/10
秘密結社フリーメイソンを主題とした『ダ・ヴィンチ・コード』シリーズ第3作目。『ロスト・シンボル』で印象的だったのが作中にでてくる暗号。一つの暗号が、見る角度を、着眼点を、解釈を変えることによって何重もの答えを持っている。



──6.インフェルノ〈2013年〉

評価8/10
『ダ・ヴィンチ・コード』シリーズの第4作目。映画と原作でラストがまったく違う。映画だけ、原作だけしか知らない方は是非、両方制覇してみてはいかがだろうか。ちなみに私は原作派だ。


現代の問題である人口問題も取りあつかったラストまで目の離せない作品。


──7.オリジン〈2017年〉

評価9/10
2019年2月に文庫化されお求めやすくなった。表紙は情熱の国・スペインのサグラダ・ファミリアだ。AIの相棒・ウィンストンが大活躍する。ラングドンとAIのコンビが新鮮で二人(?)のナイスコンビネーションが読んでいて楽しい。


「我々はどこから来て、どこへ行くのか」
人類最大の謎に対してダン・ブラウンの出した結論は…?




関連記事





『幻惑の死と使徒』の感想を好き勝手に語る【森博嗣】


f:id:furikake-gohan:20190411203721j:plain

記号覚え、数式を組み立てることによって、僕らは大好きだった不思議を排除する。何故だろう?

(引用:幻惑の死と使徒/森博嗣)


奇怪で奇妙で奇数な物語『幻惑の死と使徒』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。


目次

感想

──目次からワクワクが止まらない

私が森博嗣作品で好きなのは、緻密に組み立てられたストーリーや個性的なキャラなど、あげればきりがないが、その好きな理由の一つが目を引く「章題」だ。


「章題」を意識するようになったのは、森博嗣の代表作『すべてがFになる』がきっかけ。
【『すべてがFになる』の目次】
f:id:furikake-gohan:20190411204733j:plain
色で統一された章題は、見た目もさることながら、もちろん内容とリンクしていて見事としか言えない。「無色の週末」とかセンスが溢れてる。


さて、そして今回の『幻惑の死と使徒』の目次が以下である。
【『幻惑の死と使徒』の目次】
f:id:furikake-gohan:20190411202308j:plain


章題が「奇」統一なのと、奇数章しかない!!インパクトはばっちりだし、発想もセンスも飛び抜けてる…。


気になる偶数章は?というと次作の『夏のレプリカ』で偶数章は構成されている。
【『夏のレプリカ』の目次】
f:id:furikake-gohan:20190411212712j:plain


同じ時系列で進行している事件なのでこのような形態になっているわけだが……思い切った構成だ。『幻惑の死と使徒』の中で『夏のレプリカ』の話題に触れたり、逆もあったりと時系列をしっかり整理し直してもう一度じっくり読みたいものだ。



──トリックと真実

霊柩車のトリックは、すぐに気付いてドヤ顔で「これしかないだろ!!」って思って、事実当ってたわけだが……「これくらいは、わかって当然」くらいに萌絵や他のマジシャンに流されて喜び半分、悲しみ半分。


霊柩車の運転手が死体のフリをしているしかありえないと思ってからトリック自体は感づいたものの、何故運転手がそんなマネをしなければなかなかったのか?有里匠幻との関係は?とわからない事ばっかりだったが、犀川の考えを聞いて納得。


最初の事件が起きた時点では、有里匠幻の名前を華々しく飾るための自殺では?と思ったが死体が消えてしまう霊柩車のトリックで考え方改めさせられ、まさかこんなどんでん返しだったとは……。

──印象に残った言葉・名言

「妄想と幻想の違いは何ですか?」萌絵は突然思いついた質問をした。
〈中略〉
「同じだね」犀川は答える。「前者は現実より悪い空想、後者は良い空想に使われる場合が多い。また、妄想は他人に見せられないが、幻想はマジックみたいに他人に見せることができる。しかし、成立する条件も、結果も、特に違いはない。つまりは、同じものだね」

(引用:幻惑の死と使徒 P236/森博嗣)

「精神の復元力みたいなものじゃないかな。僕もよくわからないよ、そんなこと。専門じゃないからね。でも……、西之園君。物理の難しい法則を理解したとき、森の中を散歩したくなる。そうすると、もう、いつもの森とは違うんだよ。それが、学問の本当の目的なんだ。人間だけに、それができる。ニュートラルネットだからね」

(引用:幻惑の死と使徒 P283/森博嗣)

 誰もが、日常生活でマジックを体験し、マジックの中で生きている。いちいち「不思議だ」などと驚いている暇はない。本来、人類の特徴ともいえる、最も敏感だった感覚、不思議なことを発見し、それが不思議だと感知するセンサは、現代では無用となった。そればかりか、現代社会は、その感覚を完全に麻痺させようとしている。
 身の回りは不思議なことに満ち溢れ、それらを鵜呑みにしないかぎり生きていけない。生まれたときから、そんな環境の中にいるのである。たとえ、不思議に思ったとしても、すべての仕組みを分解するには小さすぎ、理解するには複雑すぎる。

(引用:幻惑の死と使徒 P437-438/森博嗣)

「ものには名前がある、という意味は?」
「人間のすべての思考、行動……、創造も破壊も、みんな名前によって始まる」犀川は、答える。「ヘレン・ケラーを知っているだろう?三重苦の。もの心がつく以前から盲目で耳も聞こえなかった人が、何を最初に理解したと思う?そういう人に言葉を教えるには、何が必要だろう?」
「実物に触れさせて、言葉を教えたのでしょう?」
「それ以前に、重要なことがあるんだ。それは、ものには名前がある、という概念なんだよ。すべてのものに名前がある、ということにさえ気づけば、あとは簡単なんだ。ものに名前があることを知っている、あるいは、ものに名前をつけて認識するのは、地球上では人類だけだ」

(引用:幻惑の死と使徒 P509/森博嗣)



──Vへの伏線

「なんだ、眠っていたんじゃないのかい?」犀川はトーマに言った。犬を相手に話しかけるなんて、何年ぶりのことだろう、と思った。

(引用:幻惑の死と使徒 P514-515/森博嗣)


犀川の何気ない一言だけど、これはVシリーズの伏線っぽい。こういう地味な伏線が張り巡らされているのがたまらない。


【関連記事】




『四季 秋』の感想を好き勝手に語る【森博嗣】


f:id:furikake-gohan:20190407184104j:plain

「Fになる、というメッセージを残したり、プログラ厶上にでも、形跡をわざと消さなかった。自分よりも、どれだけ人類が遅れているか、そのタイムラグを観測しようとした、といっても良いね」

(引用:四季 秋P102/森博嗣)

『すべてがFになる』に隠されていた謎が明かされる『四季 秋』の感想を語っていく。


目次

感想

『すべてがFになる』のさらなる真実に夢中になりすぎて1日で読了。P117のレゴブロックがでてくるあたりからもう止まらない。


というのも、あなたは『すべてがFになる』の最後の一文がどのようなものだったか覚えているだろうか?以下に引用しておく。

ポケットの中の右手が、何か固い小さなものに触れた。犀川はそれを摘み出す。
「あら、それ……」萌絵がコーヒーカップを両手で持ちながら言った。「記念品ですね……」
テーブルの上に置かれた記念品は、四角いプラスチックの黄色いブロック……、それは、立派なおもちゃの兵隊になることを夢見た小さな孤独だった。

(引用:すべてがFになる P507-508/森博嗣)


上記がラストシーンなのだが、どうしてブロックの話を最後の最後にもってきたのか正直私はずっと理解できてなかった。だからこそ『四季 秋』でブロックの話が出てきたときは「そこに繋がるのか!!」と鳥肌が立った。


あと『すべてがFになる』に残されていた謎といえば、切断された遺体の両手足がどこにいったのか?この謎に関しても『すべてがFになる』の中では明らかにされていなかったはずだ。明かされてはいなかったが、トリックの真相などのインパクトが大き過ぎてこの謎については、すっかり意識の外にもってかれていた。


四季が島を抜け出した理由、道流の死の真実、腕が切断された理由…これですべてが繋がった。道流が感電死(四季曰く自殺)したという話も、『すべてがFになる』と合わせて読むとその理由も納得できる。

「子供は、15より大きな数字を教えてもらわなかったの。人間は15年しか生きられないと教えられていたのよ。分かるかしら?この意味……。15年目に、14歳になったら両親を殺す。母親が14歳のときにそうしたように……。生まれたときから、子供はそう教えられた……。
もの心ついたときから、あの日は決まっていました。四季が決めていた日だったの。その日が来たら、四季を殺して、部屋の外に出て、そして父親を殺す。何度も、そう教えられていた。それが、良いことなのか、悪いことなのかなんて、考えもしなかった。教えられていなかったのです。すべて決まっていたこと。それが人間の生き方だと教えられて教えられたのです」

(引用:すべてがFになる P444/森博嗣)


天才の娘も天才なわけではない。天才の親が天才でなかったように。こんな教育を受けていたなら、普通の神経だったら自殺を選ぶ理由も分かる。


でもそういう生き方しかないと教育されていたにも関わらず、関わりのあった唯一の人間である四季の教えに背いて自殺ができるのも、並の人間ではないなぁとは思う。



犀川は、「四季博士は、世界は自分が中心に回っていると考えている」と言っていた。それと同じように森博嗣ワールドの物語のすべては、真加田四季を中心として回っていると考えていいだろう。




最後に

私は、S&MシリーズとVシリーズを読破する前にこの四季シリーズに手を出してしまった不届き者ゆえに、人間関係や過去の事件の繫がりなど完璧に理解することはできなかった。(各務と保呂草、エンジェルマヌーヴァなど)


順番通りに読んだほうが絶対いいってわかってはいたんだが…真賀田四季の魅力に勝てなかった。


この四季シリーズは『すべてがFになる』そして真賀田四季が大好きな方にはたまらない一冊だ。



【関連記事】




『四季 夏』の感想を好き勝手に語る【森博嗣】


f:id:furikake-gohan:20190324220650j:plain



春、夏、秋、冬の四部作からなる『四季』。その中の『夏 Red Summer』を読んだので感想を語っていく。名作『すべてがFになる』の舞台を整える、前作ファンにはたまらない至高の一冊だ。


目次

感想

Vシリーズの瀬在丸紅子やら他のシリーズも読んでいる人にはたまらない一冊だった。加えて『すべてがFになる』の前日譚的な要素もあり、さらに四季の生い立ちも追える欲張りセット。


ちゃんと『すべてがFになる』に繋がるがすごいよなぁ…。作者の頭の中どうなってるんだろ。


『四季 夏』で起きることは、『すべてがFになる』で了解している。つまりそこへ至る展開と、天才の思考、天才と凡人の会話が本作の面白い所だった。

──『すべてがFになる』の謎が明かされる

『すべてがFになる』で新藤は四季に殺される。そして新藤は四季をかばって真実をつげないまま死んでしまうわけだが、なぜ新藤は四季のためにそこまでできるのか正直わからなかった。また、四季が両親を殺した動機もあかされていなかった。


今までモヤがかかっていた"真実"が四季の思考を通して明らかになる様子は、これから起こる事実が分かっていてもわくわくする。


確かに"真実"は明らかになるものの、それと受け入れられるかは別問題。四季の考える理屈は分かる。しかし受け入れることはできない。そこが天才と凡人の差なんだよなぁ。


『すべてがFになる』では、四季のパソコンにメッセージが残されていた。P176-177のあたりだ。真賀田四季、栗本其志雄、佐々木栖麻の四季の別人格を合わせた三人の名前が記されている。


『春』では栗本其志雄が登場し、『夏』では新たな人格の森川須磨が登場した。何故、森川須磨から佐々木栖麻へ名前が変わってしまったのか?それ自体は謎だ。


しかし、 森川須磨の人格がなぜ作られたのか?その答えは何となく想像できる。森川須磨が現れたタイミングは、四季が性交渉を行う直前だった。つまりそれは四季にとっては珍しい"わからないこと"だったわけだ。知識だけではどうしようもない事を解決するために森川須磨の人格が形成されたのではないだろうか。


今まで身の回りの世話をしていて四季との距離が近かった、そしてなにより新藤のことをよく知っている。そのため彼女の人格が形成するのが一番の近道だったのだろう。

──真賀田 四季について

森博嗣の作品において、四季ほど魅力に溢れる登場人物はいない。天才の思考を追うだけでもこの作品を読む価値がある。一つ、私に突き刺さった四季の思考を引用しておく。

なにもインプットしない。
なにもアウトプットしない。
単なる燃焼だけの生命がほとんどだ。
抵抗もせず、
攻撃もしない。
流れるままに生きる生命がほとんどだ。
自分たちの創り上げたものにも無関心。
それどころか、自分は歴史には無関係だと信じている。
戦争を嫌い、
犯罪を嫌い、
自分には何もできない、
自分はこんな人間です、と諦める。
食べることだけの喜びを見出しているようにさえ見える生命。
酸化するだけのプログラム。
針のない時計、アイドリング中の車、スイッチを消し忘れた機械、水車、風車、風見鶏、すなわち、最初はなにかしようとしたはずなのに、なにもしなくても生きていけることを知ってしまった生命たち。
エネルギィを浪費するだけの仕組み。
そんな膨大な無駄を抱えてる、この社会。

(引用:四季 夏 P235-236/森博嗣)

自分がこの言葉通りなんだよなぁ…。


受け入れなくたくない、物事の真理を突きつけられる。私も多くの登場人物と同じで、四季が怖いんだ。すべてが見透かされそうで、自分の生きる意味をすべて否定されそうで。しかし四季の思考に触れたい。それは怖いとわかっていてもついホラー映画に手を出してしまうような心理と似たものなのかな。



四季は何にもしばられない。この人間社会に洗脳されていないから。人間が長年作り上げたルール、エゴにしばられない。それが本当はおかしいと分かっているから。

最後に

S&MシリーズやVシリーズを読んだうえでの構成とは分かっていたが、読破しないまま読んでしまったことにちょっとの後悔はあるが、後悔を上回る面白さであった。


まさかここでS&MシリーズとVシリーズの繋がりが見えるとは思わなかった。紅子が出てきた時点で四季を通じて、シリーズ同士が繋がってるかと思いきや紅子と犀川がなぁ……。完全に意表をつかれた。


【関連記事】



『十二国記』の全9作品をまとめて紹介する【小野不由美】

f:id:furikake-gohan:20190131080539j:plain
あなたは、ファンタジーに何を求めるだろうか?応援したくなる主人公?魅力あふれる登場人物?ハラハラドキドキの冒険?スカッとするようなどんでん返し?それとも作り込まれた世界観?


十二国記の世界にはそのすべてがつまっている。
 

これから十二国記デビューを考えている方、十二国記とはなんぞや?って方、どれから読んだらいいかわからない!って方へ、私がどハマリしたこの異世界ファンタジーの魅力、そして各作品のあらすじ・紹介を行っていく。



目次

十二国記シリーズはどれから読めばいい?

どれから読めばいいのか?私は刊行順に読んでいくのが一番いいだろうと思う。具体的に言えば下記の順番だ。

1.『魔性の子』
2.『月の影 影の海』
3.『風の海 迷宮の岸』
4.『東の海神 西の滄海』
5.『風の万里 黎明の空』
6.『丕緒の鳥』〈短編集〉
7.『図南の翼』
8.『黄昏の岸 暁の天』
9.『華胥の幽夢』〈短編集〉


さて、十二国記は簡単に言えば『異世界ファンタジー』という枠組みにおさまる物語だ。


しかし、1であげた『魔性の子』は日本が舞台で異世界は一切でてこない、ホラー寄りの作品だ。では何故、この『魔性の子』から読むのをオススメするか?それはこの『魔性の子』が『十二国記』の世界に飛び立つ前の助走の役割を果たしてくれるからだ。所謂エピソード0といったところだ。


もちろん『月の影 影の海』からでも物語を楽しむことはできるだろう。しかし『魔性の子』から読めば、後々の作品をよりいっそう面白くしてくれるはずだ。


十二国記はどんな世界?

──世界観

古代中国がベースだが、まったく別の世界。文明は現世よりだいぶ遅れており、電気などは通ってなく旅は徒歩か馬を使うのが主である。世界は文字通り12の国でできた世界の物語である。(世界の中心に『黄海』という島があるが、この島は十二国に含まれない。)

【十二の国】

慶(けい)
雁(えん)
戴(たい)
恭(きょう)
漣(れん)
才(さい)
奏(そう)
柳(りゅう)
範(はん)
芳(ほう)
巧(こう)
舜(しゅん)

【十二国記の世界地図】
f:id:furikake-gohan:20190205064205j:plain


十二国記は、『現世』と『十二国(ファンタジーの世界)』の二つの世界が登場する。設定としては我々の住む現世(十二国の世界の住人は蓬莱と呼ぶ)と十二国記の世界は虚海という広大に海に隔てられている。


本来は『現世』と『十二国』とは行き来ができないのだが、蝕(しょく)と呼ばれる天災が起こると『現世』と『十二国』の世界が混じり、『現世』から『十二国』へと、また逆に『十二国』から『現世』へと人が流れ着いてしまうことがある。


『十二国』に流れついてしまった人々は、海客と呼ばれるのだが、物語の主人公たちはこの海客が多い。


様々な主人公の目線から異世界の世界を堪能できるのも十二国記の魅力の一つだ。世界観がしっかり構築されていて登場人物も魅力的。私は『月の影 影の海』を読んでから十二国記の世界にのめり込んでしまった。


──十二の"王"と"麒麟"

十二国では各国に一人の王と麒麟が存在する。麒麟の大きな役割は、王を選ぶことである。麒麟は天意によって王を選び、王は麒麟に選ばれることによってのみ、国を統べることを許さる。


十二国記の物語の根っこは国同士の争いはなく、王と麒麟がいかに国を治めることができるのか?にある。


王に選ばれれば、その人物は人によって人にあらず…仙人の力(不老の力)を得られ国の統治が上手くいってる限りは王も麒麟も何百年と生きることができる。逆に、悪政を続けて国が傾いていくと……。


王の治世は、数年で終わる場合もあれば、数百年にも及ぶこともある。当然、長く続く国は安定しているので国は栄えるし、何度も王が代わっている国は悪政の連続で貧しく国になっていく。


十二国記のあらすじ・紹介

ここからは、すべての作品のあらすじと簡単な紹介をしていく。

──1.『魔性の子』

あらすじ

どこにも、僕のいる場所はない──
教育実習のため母校に戻った広瀬は、高里という生徒が気に掛かる。周囲に馴染まぬ姿が過ぎし日の自分に重なった。彼を虐めた者が不慮の事故に遭うため、「高里は祟る」と恐れられていたが、彼を取り巻く謎は、"神隠し"を体験したことに関わっているのか。広瀬が庇おうとするなか、更なる悲劇が……。心に潜む暗部が繙かれる「十二国記」戦慄の序章

(引用:魔性の子/小野不由美)


戦慄の序章
十二国記のエピソード0。この物語だけはファンタジーではなく、ジャンルはホラーに近い。『魔性の子』は十二国記の世界を余すことなく楽しむための助走の物語といった印象だ。


私自身も『魔性の子』から十二国記の物語に入ったわけだが、『魔性の子』で登場した伏線がその後に続く作品の中で徐々に繋がっていくので理解できたときは「そうだったのか!!」と唸ってしまった。特に『黄昏の岸 暁の天』を読み終わった後には、なおさら『魔性の子』が読み返したくなるはずだ。


神隠しの謎、祟りの謎、『魔性の子』なくして十二国記は語れない。

「自分の居場所はここではない。あちらの世界へ帰りたい」

──2.『月の影 影の海』

あらすじ

「お捜し申し上げました」──
女子高生の陽子の許にケイキと名乗る男が現れ、跪く。そして海を潜り抜け、地図にない異界へと連れ去った。男とはぐれ一人彷徨う陽子は、出会うものに裏切られ異形の獣には襲われる。なぜ異邦へ来たのか、戦わねばならないのか。怒涛のごとく押し寄せる苦難を前に、故国へ帰還を誓う少女の「生」への執着が迸る。シリーズ本編となる衝撃の第一作。

(引用:月の影 影の海/小野不由美)


少女は一人、異世界へ渡る
現世で生きる少女が突如、異世界に放り込まれる。あまりに苛酷で味方は誰一人…いない。エピソード0の『魔性の子』とはうってかわって、『月の影 影の膿』は異世界ファンタジーの世界に本格的に突入する。


目を引くのは、困難に立ち向かう主人公・陽子の”強さ”と"成長"だ。放り込まれた異世界で懸命に生きる姿がとにかく印象的。というのも、陽子が来てしまった十二国記の世界は、現世に比べてあまりに苛酷なのである。騙され、裏切られ、挫折して、の連続。段々と追い込まれていく彼女を見ているのが正直辛かった。


しかし、人に暗い影の部分があれば、明るい光の部分があるように、とある出会いが陽子の運命を大きく変える。


──3.『風の海 迷宮の岸』

あらすじ

天啓にしたがい王を選び仕える神獣・麒麟。蓬莱国で人間として育った幼い麒麟・泰麒には王を選ぶ自信も本性を顕わす天変の術もなく、葛藤の日々を過ごしていた。やがて十二国の中央、蓬山をのぼる人々の中から戴国の王を選ばなくてはならない日が近づいてきたが──。壮大なる構想で描くファンタジー巨編!!

(引用:風の海 迷宮の岸 /小野不由美)


蓬莱生まれの幼い麒麟が歩む軌跡
『風の海 迷宮の岸』は、戴国の麒麟・泰麒が王を選ぶまでを描いた物語だ。泰麒は蓬莱…つまり現世で、人間として育った。そのため幼い頃に身につけるはずの本来の姿に戻る"天変の術"や、妖魔と契約を交わすことなど、麒麟ができるはずの能力を使うことができず葛藤の日々を過ごしていた。


やがて蓬山に登る人たちの中から王を選ばなければならない時期がくるのだが…。


時系列でいえば、『月の影 影の海』より過去の物語となっている。


──4.『東の海神 西の滄海』

あらすじ

廃墟と化した雁国の復興に励む延王・尚隆と延麒。幼い頃に出会った更夜の来訪に懐かしさで一杯の延麒は、実は仕組まれた罠であることを疑いもしなかった。争いごとや殺傷を忌み嫌う麒麟を人質にとられ、雁国は怒濤の騒乱にまきこまれてゆくが──。華麗なる筆致で運命の力をうたい謳いあげる大スペクタクル。

(引用:東の海神 西の滄海/小野不由美)


500年の歴史を作った雁国の序章
今まで紹介した3作品『魔性の子』『月の影 影の海』『風の海 迷宮の岸』のすべてにちょこっと登場している延王・尚隆延麒・六太


十二国記の世界では現時点で2番目に長い500年という果てしない年月を治めている二人。『東の海神 西の滄海』は尚隆と六太、二人の始まりの物語である。つまり時系列でいうと『月の影 影の海』などの話より500年ほど前の話となる。


尚隆と六太は共に胎果であり、蓬莱(日本)で生まれ育った。胎果を簡単に説明すると、本来は十二国の世界に生まれるはずだったが、蝕などによって蓬莱(日本)に流されてしまった人である。


──5.『風の万里 黎明の空』

あらすじ

天命により慶の国の、景王となった陽子は民の実情を知るために街へ出た。目前で両親を殺され芳国公主の座を奪われた祥瓊は、父国の非道を知り自らを恥じていた。蓬莱から才国に流されてきた鈴は華軒に轢き殺された友・清秀の仇討ちを誓った。それぞれの苦難を抱いて三少女はやがて運命の邂逅の時を迎える──。

(引用:風の万里 黎明の空〈上〉/小野不由美)


良い国とは?良い王がとは?
『風の万里 黎明の空』は、『月の影 影の海』の主人公・陽子が再び登場する。慶国の王となった陽子。


王になったとはいえ、ほんの少し前まで普通の女子高生だった彼女は「良い国」を作ろうと悩み、葛藤するわけだが、もいろん簡単に答えは見つからない。


真っ向から向き合い、悩み、現実を見つめながら答えを出している。だからこそ、最後に陽子が出した答えにはきっとあなたも痺れるだろう。


なぜ陽子は王に選ばれたのか?
その疑問も『風の万里 黎明の空』を読んでいて、朧気ながら分かった気がする


──6.『丕緒の鳥』

あらすじ

「希望」を信じて、男は覚悟する。
慶国に新王が登極した。即位の礼で行われる「大射」とは、鳥に見立てた陶製の的を射る儀式。陶工である丕緒は、国の理想を表す任の重さに苦慮していた。希望を託した「鳥」は、果たして大空に羽ばたくのだろうか──表題作「丕緒の鳥」ほか、己の役割を全うすべく煩悶し、一途に走る名も無き男たちの清廉なる生き様を描く全4編収録。

・丕緒の鳥
・落照の獄
・青条の蘭
・風信

『丕緒の鳥』は以上の4つからなる短編集だ。表題にもなっている丕緒の鳥の話が個人的に一番すき。陽子の話がすきな方は是非読んでもらいたい一冊。


どの話も派手さはないが、私たちにとっても共感できる点が多く、胸に深く刺ささる短編集となっている。


これまでは「王にとって」「王になるとは」という点に焦点をあてた物語だったが、『丕緒の鳥』では官吏や民にとって、「王とは」「国とは」という話で、物語本筋ではあまり語られていなかったサイドストーリーとなっている。


──7.『図南の翼』

あらすじ

何不自由なく豪商の娘として育った少女珠晶は先王の歿後、荒廃した恭国を憂い自ら王になるため蓬山を目指す。侍女の衣を失敬し家を抜け出したものの騎獣をだましとられ、苦難の末に辿り着いた蓬山には自らを恃む人が溢れていた。だが最後に麒麟が跪いたのは……。十二国供王誕生への遠大なる旅の物語!!

(引用:図南の翼/小野不由美)


国を統べるのは、あたししかいない!!
『図南の翼』は、「あたしがこの国の王になる!」とわずか12歳の少女・珠晶(しゅしょう)が荒廃を辿る一方の恭国を救うため玉座を目指す物語だ。


勝ち気な性格と少女とは思えない聡明さを持ち合わせた珠晶。そんな彼女のハラハラドキドキの冒険に目が離せない。子供ゆえの未熟さはあるものの、物事の本質から目を背けない強さと、真っ直ぐな気持ちを持ち合わせた彼女は魅力的でついつい応援したくなってしまう。


他の作品で昇山について触れられてはいたが、昇山をメインに扱ったのは『図南の翼』が初めてであった。旅の過程はいままで描かれてなかったけど、こんなに大変なことだったんだなぁと改めて思い知らされる。


そして、予想外の出会いも…。


──8.『黄昏の岸 暁の天』

あらすじ

登極から半年、戴国再興に燃える泰王驍宗。反乱鎮圧のため自ら文州に赴いた王の悲報に、留守を預かる幼い泰麒は衝撃をうけ、大鳴動とともに忽然と姿を消した。王と麒麟を突然失い、偽王の圧政が始まった戴──。その行く末を案じ将軍李斎は命をかけて景王陽子に会うため空を翔けるが……。

(引用:黄昏の岸 暁の天/小野不由美)


十二国記の短編集を除いたなかでは一番新しい作品。これまでに撒かれた伏線が一気に回収されはじめる。『魔性の子』から順々に読んできた方には待ちわびた展開だ。


十二国記における"天"という絶対的な存在を読者に突き付けるなど様々な面で衝撃的な一冊といっていいだろう。


登場人物はこれまでに出てきたオールスター、王も麒麟たちも勢揃いする熱い展開…外交はあっても協調することはなかったこの世界。そんな十二国の国々が泰麒捜索のために力を合わせる。
泰麒、そして戴国の行く末やいかに…。


──9.『華胥の幽夢』

あらすじ

戴国王驍宗の命で漣国へ赴いた泰麒を待っていたのは。芳国王仲韃への大逆の張本人月渓に慶国王陽子から届けられた親書とは。才国の宝重華胥華朶に託された理想の王国への憧憬の行方は。そして、陽子、楽俊、十二国はいま──。あなたの心をふるわせ胸を熱くする十二国記珠玉の短編集。

(引用:華胥の幽夢/小野不由美)


・冬栄〈とうえい〉
・乗月〈じょうげつ〉
・書簡〈しょかん〉
・華胥〈かしょ〉
・帰山〈きざん〉


『華胥の幽夢』は、5つの物語からなる、十二国記のストーリーの隙間を埋めてくれる短編集だ。


冬栄では泰麒がひたすらに愛らしいし、乗月ではタイトルの意味に感銘をうけ、書簡では陽子と楽俊のやりとりに安心し、華胥では失道の過程にやるせなさを感じ、帰山では今後の物語の展開がさらに楽しみなる。


様々な感情が胸を巡る、シリーズを順当に読んできた方にはたまらない短編集となっている。




【関連記事】