FGかふぇ

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『人魚の眠る家』の感想を好き勝手に語る【東野圭吾】

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「今、我が家に......うちの家にいる娘は、患者でしょうか。それとも死体なのでしょうか」

(引用:人魚の眠る家 P293/東野圭吾)



2018年11月に映画公開が決定した東野圭吾の『人魚の眠る家』は作家デビュー30周年を記念して書かれた作品でもあります。


気になってはいましたが読めていなかったこの作品。映画化というとこで、この機会に読んでみることに。


感想

簡単に感想をまとめれば

  • 予想以上に重かった
  • 女性は怖い
  • ハッピーエンド?

でしょうか。


掘り下げていきましょう。以下ネタバレ考慮せずに書いていくのでご注意ください。


予想以上に重かった

単行本の購入ということで背表紙にあらすじがないこと、またネットの評判等もまったく見ずに読み始めたので、こんなに重い話とは思いもしませんでした。


人の死とその周りの人間関係を描いている以上そうなりますよね。


所謂、植物人間状態は死ぬ事よりも親族からしてみれば辛いことなのかもしれません。


また脳死判定や臓器移植法についてなど知らなかった事のオンパレード。少し調べてみると、臓器移植法の改正は実際に2009年に行われていて、現代の日本における問題を投げかけている作品でもありました。


この作品を読んで一番考えされられるのは、自分が両親の立場だったらどのような決断をするのかでしょう。


私としては、延命はさせないと思います。そして臓器移植は...やはり抵抗がありますね。物語の中でも言っていましたが、理性的には良いと分かってても、いざ我が子を...となると難しいです。



自分自身、無関係のままとは言い切れないですからね、勉強になりました。


女性は怖い

女性...というより、ここでは薫子ピンポイントですが、とにかく怖かった。


ラストの狂気に走った部分もなかなかの衝撃でしたが、それよりもそこまでにいく、過程が見てられなかった。


始めのうちは私も薫子と同じで、奇跡が起きて目覚めてほしいという気持ちだったのですが、特別支援学校の入学や腕を星野の協力で動かすなど、薫子の行動がエスカレートしていくうちに「もうやめてくれ...痛々しくて見てられない」という感情が大きくなっていく。


娘の奇跡を信じての行動というのは分かっています。本人も自己満足であるというのは承知の上。だがしかし、私は見ていられなかった。


ハッピーエンド?

多少ベタな気もするし、予想もつきやすいラストですが私は好きな終わりかたでした。


全体的に暗いムードな『人魚の眠る家』もしこれで報われないラストだったら3日間は引きずったかもしれません。(基本ハッピーエンドが好きなので)


一つ気づいたことがあって、この『人魚の眠る家』の単行本、表紙とカバーが若干違いがあります。


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【左:表紙 右:カバー】


カバーの方には門の中に薔薇が、そして薔薇の葉も描かれていますが、表紙のほうは、門しか描かれていません。


想像ですが、薔薇は瑞穂の魂を指しているように思いました。カバーのほうは瑞穂がまだ家で眠っている時の様子。そして表紙は息を引き取った後の様子。


播磨家には、もう瑞穂の魂はありませんが、薔薇の香りと共に彼女の魂の一部は彼に宿っているのだろうな、と。


最後に

東野圭吾の作品には″脳″を取り扱うものがいつくもあるが、そのなかでも特にリアルな作品だった。


次は映画館で楽しもうと思います。


関連記事

『図書館の魔女 合同感想本』は原作ファンには堪らない愛が詰まった一冊だった

『十人十色』とはよく言ったもので、物語の感想一つとっただけでも、視点・表現・考え方など「こんなに違いがあるのか」と思わずにはいられない。


『図書館の魔女』の世界に魅せられた10名によって綴られたこの感想本は、あなたをもっと『図書館の魔女』のことを好きにさせるはずだ。


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『図書館の魔女 合同感想本』とは?

著者・高田大介による長編ファンタジー『図書館の魔女』及び『図書館の魔女 烏の伝言』の感想をまとめた本である。


サークル・紫向屋のさよさんと寄稿者9名、合計10名の『図書館の魔女』に関するイラスト・感想・考察が綴られている。


2018年1月21日文学フリマ京都にて出店・発売され、現在でも通販で購入することができる。


私は是非現地で直接買いとは思っていたものの、残念ながら京都まで赴くことはできず...埼玉からは流石に遠すぎました...。だがしかし個人でも通販ができる時代なんですものね、いい時代になったものです。おかげさまで一足遅くなりましたが購入することができました。


表紙

鮮やかな色に『図書館の魔女』文庫本を思わせる緻密な幾何学模様。ひらく前からもうわくわくが止まりません。並べてもいい感じ。
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並べて気づいたのですが、書体も字の並びも同じなんですね。


在庫のほうも少なくなってきている、とのことなので興味が湧いた方はお早めにどうぞ!『図書館の魔女』ファンならたまらない一冊だと思います。


『図書館の魔女 合同感想本』販売ページ
紫向屋*MurasakiMukouya* - BOOTH(同人誌通販・ダウンロード)



感想

感想の″感想″になってしまうが、僭越ながらみなさんの感想・イラストについて一人ひとり私なりの感想を述べていく。

さよさん

共感、とにかく共感しました。私が思ってたこと、感じていたことを余すことなく...私もこんな感想が書きたかった...。


「高い塔」の謎
私もとても気になります。螺旋の回廊のはずなのに行きと帰りが同じ向き...一方通行にして不可逆...どうなっているのか想像もできません。


第三作は『霆ける″塔″』ですからね、烏の伝言では登場しなかったキリヒト、ミツクビの動向など気になる事ばかりですが、今まであまりスポットのあたっていない「高い塔」についても注目したいです。


そして...漫画の中のマツリカとキリヒトがいとおしくてたまらない!!文章で何度も読んでいたので、次の展開も分かっている。セリフもほぼほぼ分かる。なのにとても新鮮でした。


漫画の中の二人のやり取りを見ていて『図書館の魔女』という物語が好きなのと同じくらい、マツリカとキリヒトの二人が好きなのだな、と気づかされました。もっと漫画の『図書館の魔女』が見たいです!よろしくお願いします(失礼)


明(みん)さん

迫力があってカッコいい...今にもマツリカの指を鳴らす音が聞こえてきそうです。キリンとハルカゼだけではなく、それぞれが好きな蝶と鉱物まで描かれていて、見ていて飽きません。


私のキリヒトのイメージは、イラストよりもう少し幼いイメージで、何年か後にはイラストのようなイケメンな青年になるかなぁと、思わず妄想が膨らみました。


図書館メンバー4人が勢揃いな素敵なイラストありがとうございます!

鼓十音さん

詩のような形式が美しい...


「この物語が終わってほしくない」からの一節がまさに4巻のラストを読んでるときの私でした。


そしてマツリカとキリヒト、二人の関係を書いた文章が自分でもわからないくらい胸に刺さりました。


特に最後の部分ですかね。私も二人がひとときでも背負わされた定めを忘れ、平穏な時を送れることを願っています。


ふじさん

まず20ページのイラストに目を奪われました。孤独そうなマツリカに始まり、キリヒトと手を重ねるようになり、最後には皆で食卓を囲んでいる...。イラストだけで物語の流れを感じました。


食卓を囲んでるイラストがそれぞれの個性が現れていて特にお気に入りです。


2巻のラストシーン...いいですよね。この長い物語の中でマツリカが唯一、涙を...そして弱さを打ち明けるシーンのように思います。印象に残らないはずがありません。



アトリさん

思わず「なるほど」と唸ってしまいました。恥ずかしながらアトリさんの感想を読んで初めてキリンの軍師としての凄さを理解することができました。


今までに様々な軍師を見てきたアトリさんだからこそ見えた、気づいたキリンの素晴らしさと覚悟。その考えに触れることができ、私も衝撃を受けました。


確かに彼女は『最高の軍師』ですね。この感想のおかげでキリンのことがもっと好きになりました。烏の伝言では残念ながら出番はありませんでしたが、第三作、私も心待ちにしています。

よいこさん

イラストだけで、「あぁ、この絵はあのシーンだな、この絵はあそこかな?」と頭に浮かびました。


特に好きになったのは、マツリカが魚の大きさを「これくらい!」と言ってる笑顔の絵とニザマから帰って来てイラムのスープをしみじみと飲んでいる絵です(違っていたらごめんなさい)


私が一番を心魅かれた部分も、よいこさんと同じでマツリカとキリヒトの関係だったので、何度も頷きながら読ませていただきました。



yoanさん

キャッチコピーに一目惚れしました。是非ともパk...参考にしたいなぁと。


『図書館の魔女』を知らない方が見ても興味をひかれる内容で、『図書館の魔女』を読んだことがある方が見れば、二人の成長を感じられるような素敵なキャッチだと思います。

駒々真子さん

ハルカゼの考察がもう納得の一言。一人の登場人物に対してこれほど深く掘り下げた考察・想いを読めてとても嬉しく思います。


「魔女の想像を越えていく大胆さを持っている」
「色んなものを拾い上げる」
そして、「ハルカゼの役割」
確かに...なるほど、と思わずにはいられませんでした。


ハルカゼはマツリカ以上にマツリカの事を分かっているように、駒々真子さんはハルカゼ以上にハルカゼを分かっているのでは...とさえ思ってしまいました。


ともさん

凛々しいマツリカ様がカッコいい!!また場所が書斎というのもツボでした。


本編にはあまり登場しない書斎。図書館の広大な感じも好きですが、書斎のこの秘密基地チックな感じがとても好きです。まさに″本で出来た巣″。


無造作に重なってる本
螺鈿の机
何かを探しているようなキリヒト


思わずじっくりと眺めてしまいます!


(この場を借りまして、Twitterで拝見したのですが、ぐるぐるとしょまじょのようなデフォルメ絵もとても可愛かったです!)

ふにょふぇさん

細かい所まで読み込んでいるなぁ、と思いました。キリヒトと牛目については私もとても気になっていました。今後のポイントになってきそうですよね。ただ、セトさんですか、まっかく気が付かなかったです。


イラストのほうからも文章のほうからも衛兵愛が伝わってきます。薄々気付いていましたが...ヴァーシャ大好きですよね!?


とくに36ページのイラストが好きです。仮面の下の笑顔、誰がその紐を結んでいるのだろう?いつ頃の彼なのだろう?と考えずにはいられませんでした。

最後に

素晴らしい本をありがとうございました。『図書館の魔女』という物語と出会えたこと、またそれを通じてこのような感想本に出会えたことを本当に嬉しく思います。


登場人物たちの新しい一面を知ることができ、また改めて物語の緻密さ、″言葉″の深さを確認することができました。十名の方には感謝の限りです。


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『眼球堂の殺人』の感想を好き勝手に語る【周木律】

神でさえも、ただ下記写すことしかできなかったものが、ザ・ブックなのさ。だから君も、神の実在はともかく、ザ・ブックの実在だけは信じたほうが良い。いや、信じろ

(引用:眼球堂の殺人 P19/周木律)



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第47回メフィスト賞を受賞した『眼球堂の殺人』の感想を語っていく。本格推理物であり理系ミステリーかつ異形建造物...とかなり詰め込まれた作品。内容にはがっつり触れていくので未読の方はご注意ください。


また、森博嗣の『笑わない数学者』
アガサ・クリスティーの『アクロイド殺し』のネタバレにも多少触れていますので、ご注意ください。


感想

最初に驚いたのは眼球堂のスケールの大きさ。表紙を見たイメージだと眼球をモチーフにした丸い建物かと思っていたかが、想像を上回っていた。


上から見るとまさに眼球そっくりな奇怪なデザインに、見取り図を見ただけでこれからこの眼球堂でどんな事件が巻き起こるのだろう、と好奇心が押さえられません。


また要所要所に図が挟んであり、事件の現場となる眼球堂、また殺人現場も鮮明にその場面をイメージすることができるのも良い。


結論から言えば、違和感を覚えるところもあったが、非常に面白かった。十和田の数学を応用した″証明″はテンポよく、なによりラストのどんでん返しはまるで予想していなく、度肝を抜かれた。


何故、眼球堂なのか?
不規則な柱の意味は?
二重扉の訳は?
どのように殺人が行われたのかのか?


多くの謎が提示されるが最後はキレイにまとめられていた。


やはり印象に残っているのは事件の舞台となる眼球堂。前述したようにスケールの大きさにもワクワクさせられたし、なにより目の性質まで共通点を持たせて表現されているのには驚愕もの。


目が回る

目が泳ぐ
盲点


正直「やられた!」と思った。




残念だった点をあげると、主人公である十和田の他に集められた人物が各界の天才たちと言われる割には印象に残らなかった。


それぞれが議論を重ねる場面があったが、なんだか表面上だけの薄っぺらい印象をうける。




『笑わない数学者』

森博嗣といえば、『すべてがFになる』のS&Mシリーズが有名だ。S&Mシリーズ第3作目が『笑わない数学者』という作品なのだが、『眼球堂の殺人』を読んでいて頭に浮かんだのがこの『笑わない数学者』だった。


不思議な館、回転、どんでん返しの真犯人...と、イメージとして重なる部分が多かったです。あとで調べたところ著者の周木律さんは講談社のHPで影響を受けた作家は?という質問に森博嗣さんを挙げていました。なるほど、納得です。


そして、一番衝撃だったのがやはり最後に明かされた陸奥愛子の正体。″堂シリーズ″として続編が出ているのは知っていたので、物語にちょくちょくと名前が出てきていた善知鳥神は、今後でてくるのかと思いきや...まさかの展開。


あれですね、アガサ・クリスティーの『アクロイド殺し』で有名な論争となった叙述トリックを思い出しました。


最後に

すべてを知った上でもう一度読み返したくなる、と思える作品でした。


また、続編として
双孔堂の殺人
五覚堂の殺人
伽藍堂の殺人

とすでに発売されているので、そちらのほうも読んでみたいと思ってます。

関連記事
メフィスト賞受賞作

『図書館の魔女 烏の伝言』の感想を好き勝手に語る【高田大介】

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図書館の魔女シリーズ第二段『図書館の魔女 烏の伝言』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はコチラをどうぞ。






感想

マツリカ

さて、読み初めて最初に思ったのはマツリカたちがでてこない!!
これに尽きる。


講談社HPにある著者コメントでは、きちんとマツリカたちがメインではないと言及されていましたが、私が図書館の魔女を初めて読んだときには、もうこの烏の伝言も発売されていて、勢いのまま続編を読み始めたのでそこまで把握していなかったんです。


そしてやっとマツリカの話題が出てきたと思ったら、剛力たちから完全に化け物扱い。まさに魔女。

「酒場には気をつけろよ。その魔女って奴、こっちをさんざん荒らして回ってる間もずっと行く先々で酒盛りしてたって話だぜ。とっとと酒を持っていかねぇとさ、給仕が鯰にされちまうんだ」
「そいつは滅法だな」
「そういう話だ。そして女中は蛙にされちまう」

(引用:図書館の魔女 烏の伝言〈上〉 P57/高田大介)

こんなん笑うに決まってる。
行く先々で酒を飲んでいたってのは間違ってないけど。


ニザマ帝とミツクビをぶつけたのも、三国円卓会議の事なども、魔女の呪いとしてねじ曲げられていて、ニヤニヤしながら読んじゃいました。


地道な努力と策略があって初めて和睦という結果に至った訳だけれども、過程を知らずに結果だけ知らされれば確かに呪いでも使ったのかと疑いたくなる気持ちはわかる。



カロイがちょこちょこと
「あの人ならばわかるだろうか...」
とか、マツリカが出てくるか!と思わせつつ...
だがしかし出てこない。


もうね、どれだけ焦らされるのかと。

そしていよいよ登場したと思ったら相変わらずの態度


うん、逆に安心した。


登場してからは、やっぱり安定の思考と考察力。一を聞いて十を知る頭脳。いいところを持っていくなぁと。


だけど少しもの足りないのはやっぱりキリヒトがいないからでしょうか?二人の掛け合いは第三作に期待ですね。




剛力・近衛・鼠ときどきカロイ

今回のメインであるこの三方と一人

初めは利用し、利用してやろうという思惑しかなかったであろうこの三方がお互いの美徳に気付き、誇りに感化され共闘する場面は心揺さぶられるものがあった。


廓の外道に相対しているからこそ、この三方の人情・誇り・弁えが際立って感じられた。



そして今回のキーパーソン″カロイ″


前作から読んでいる方なら、″隻腕″と見た瞬間から察するものがあったはず。


高い塔から一人離れてしまって
「あぁ、ヴァーシャの軽口を見れることも、もうないのかなぁ...」
と思いきや、まさかの登場に...なんかもう嬉しかったです(語彙力)


お得意の軽口はシリアスなシーンが多い今回はありませんでしたけどね。


ヒュイを助け出すシーン、そして

「そうだ。お前たちのように......決して裏切らない者を......一人助ければ、それが一人分の罪滅ぼし。まだまだ先は長いよ。だからトゥアン、この子も必ず助けるぞ」

(引用:図書館の魔女 烏の伝言〈下〉P228/高田大介)

このセリフは忘れらない。
ひどいめにあわされてきた鼠たちだけれども、剛力・近衛そしてカロイのような大人たちの存在もいるってことはだいぶ救われるだろうな。


何故、山中の村は焼かれたのか?

何故、毒は料理ではなく、酒に盛られたのか?

何故、鈴の音とともに首が狩られるのか?


など各所に散りばめられた謎にも目が離せなかった。中でも一番心に残っているのがエゴンが皆を集めた″烏の伝言″の謎。


言葉が話せないはずのエゴンがどうして皆を集めることができたのか?それを『図書館の魔女』らしい言葉の見解で説明しきっているのには納得の一言。



ふと思ったことある。

たとえば「魚」という本字があり、これが「さかな」という意味、「さかな」という観念に結びつけられる......これ自体はとても単純なことじゃないかな?一方で「さ」と「か」と「な」という仮名がある、これはどんな意味にも観念にも結びつけられていない勝れて抽象的なものだ。それぞれ「さ」と「か」と「な」......何の意味もまだ持っていない抽象的な音にしか紐付けられていない。ここから正しく配列して組み立て、意味を成す言葉、中身のある語に織り上げていかねばならない......(略)

(引用:図書館の魔女 烏の伝言〈下〉P306-307/高田大介)

エゴンが仮名はわからないけど本字(漢字)はわかる。という物語の核になるマツリカによる解説シーン。


これがもし英語など他の言語に訳されるとしたらどうなるのかな...と。


ひらがなと漢字を両方扱う、日本人だからこそ成り立つ...というかスムーズに読むことができるオチだと思うんですよね。


それを思うと日本人でよかったとしみじみ感じます。


最後に

物語のラスト、タイトル通り″烏の伝言″で...また、マツリカらしい内容で...


余韻の残る素晴らしい〆でした。


どうにも登場する人物すべてが魅力的すぎて、またの活躍を期待してしまいます。剛力・近衛・姫・鼠...またチラっとでもいいから登場することを願っています。


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『図書館の魔女 烏の伝言』を紹介する【高田大介】

「普通に喋れないのがなにほどのことか。私の知り合いのなかにも喋れない人が一人おられるが...私の知る限りその人こそ......同盟市全域で最も賢い人ですよ」

(引用:図書館の魔女 烏の伝言〈上〉P408-409/高田大介)


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はじめに
『図書館の魔女 烏の伝言』は『図書館の魔女』シリーズ第2段となります。

まずは烏の伝言を読む前に『図書館の魔女』から読むことを強くオススメします。

感想はコチラ

あらすじ

道案内の剛力たちに守られながら山の尾根を往く逃避行の果てに、目指す港町にたどり着いた地方官僚の姫君と近衛兵の一行。しかし、休息の地と頼った町では、渦巻く陰謀によって、姫は囚われ、兵士たちの多くは命を失う。姫の救出を目指すものの敵方に情報が筒抜けとなり、生き残った近衛兵と剛力たちは隻腕の同志へと疑いの目を向ける。一方、剛力集団の中には言葉をうまく使えない鳥飼の男がいた。山中で姫と心の交流を深めていた男は、生き残った他の者たちから離れ、一羽の烏とともに行動し始める。
姫君は救出されるのか? そして、裏切りの売国奴はいったい誰なのか─?

(引用:http://kodansha-novels.jp/1501/takadadaisuke/)


紹介

さて、シリーズ第二作目の『烏の伝言』
一ノ谷、ニザマ、アルデシュの三国円卓会議から約一年後
舞台は東大陸の一ノ谷とはうってかわって西大陸のニザマ方面へと舞台を移しての物語。


最初に断っておくと、この物語は前作の図書館メンバーがメインの話ではありません。


あくまでストーリーの主軸は、ニザマ高級官僚の姫君と近衛兵、そして山の案内をする剛力たち。一ノ谷、ニザマ、アルデシュの和睦会議の結果、実際に影響を受けた者の逃避行を描いた物語。ということで前作の敵国の人々が中心となっている。


続編...というよりは、むしろスピンオフといったほうが近しいかもしれません。


とは言ってもマツリカや他の図書館メンバーももちろん登場する(キリヒトはでてきませんが。)



姫と近衛

三国の和睦が成立し、ニザマ帝勢力とミツクビ勢力が真っ二つになった現在ニザマ国。そしてニザマ帝により、逆賊として追われるミツクビ率いる宦官連中。


その宦官派に属する高級官僚の姫君と近衛兵は追っ手から逃れるために山を越えての逃避行を図る事となる。


剛力

姫君と近衛兵が山越えをするにあたり、山中のガイドとして雇われたのが、剛力衆である。


本来の剛力としての仕事とは異なるものの、彼らも三国和睦の影響により仕事がなく、道案内という危険な依頼を引き受けることになる。


烏と馬鹿

タイトルにもなっている烏。剛力の一人が烏を伝書鳩のように操り仲間との連絡を手伝ってもらう。


烏を操る剛力″エゴン″は特徴的な人物で過去の怪我により、顔半分が醜くつぶれており、怪我のせいでうまく喋ることができないうえに言語障害にもなってしまった。


人と話すことができない代わりに烏と話せるのだ。と仲間に揶揄されているが...。


鼠と言っても齧歯類(げっしるい)のほうではなく、港町の地下で生きる孤児の少年たちの名称。


地下でひっそりと生きる彼らの力を借りて、近衛兵と剛力たちは迫り来る追っ手から逃げ回る。


理不尽な仕打ちを受けてきた少年たちの言葉
「裏切らなければ裏切らない」
という言葉はあまりに重い。


掟・結束

近衛兵・剛力・鼠、本来は住む世界が異なる三方の結束が深まっていく様子が今作のポイントの一つだと思う。


最初は己の目的のため、利用し利用されの関係だったが、お互いの美徳に気付き感化・共闘する様は心揺さぶられるものがある。




最後に

誰が誰を追い、誰が誰を騙し、誰が誰を裏切っているのか。


そして今回も窮地を救うのは彼女の″言葉″


前作のように歴史的な大局を動かす政治的場面とは一転し、そこで煽りを受けた者たちによる、泥臭いような物語。


しかし、繊細な表現と″言葉″の深さが味わえるのは同様なので、シリーズ第一作が好きな方なら間違いなく楽しめる一冊だと思います。




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猫好き必見『世界で一番美しい猫の図鑑』が想像以上に素晴らしかった

優雅な容姿
ミステリアスさ
自由気ままであり
つんとすましながらも
また愛くるしい



そんな猫をこよなく愛する方へピッタリの一冊を見つけてしまったので是非紹介させてほしい。


それがコチラ



50を越える猫種、それぞれの歴史をフルカラーの美しい写真と共に紹介されており、全ての写真が息をのむほどに美しい。


そして大きいのがまたよい。
文庫本と比較してこの違い。
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このサイズいっぱいに可愛らしい猫の写真があり、たまりません。


正直な話、可愛い猫の姿が見たいだけならTwitterやInstagramを漁れば、今のご時世いくらでも好みの画像が見つかることでしょう。


では、この『世界で一番美しい猫の図鑑』の何がいいか?


それは文字通りになってしまうのですがこの本が『写真集』ではなく『図鑑』だ。という点です。


少しだけ中身をご紹介


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(参照:世界で一番美しい猫の図鑑 P174-175/タムシン・ピッケラル エクスナレッジ)


ラグドール
私が一番好きな猫種です。


大きな身体に、長くもふもふな毛
堂々とした佇まいで優雅な容姿
それでいて性格は、おっとりとしていて人間好きとか
もうたまらなく好きです。


さて、見ていただければ分かるのですが情報量が半端ない!

Appearance:外見
Size:大きさ
Coat:被毛
Personality:性格
から始まり

その猫の名前の由来から、生まれた歴史まで詳細に語られています。


あなたの好きな猫も、また新たに一目惚れするような出会いがあること間違いなしです。

『図書館の魔女』マツリカの両親についての疑問・考察【高田大介】

『図書館の魔女』の主人公であるキリヒトとマツリカ

キリヒトに関しては以前記事を書いたがマツリカについてはまだ書いていなかったので、私が感じたマツリカに対しての疑問の提示とそれに対する考察を行っていきたいと思う。


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第二部である『図書館の魔女 烏の伝言』も発売されているが、まだまだマツリカに関する謎が多い。

マツリカの家族について

マツリカの祖父であるとされる図書館の番人の先代″タイキ″こそ登場するものの、その他にマツリカの家族については一切触れられていない。


作中ではキリヒトの家族(父親)についてハルカゼが秘密裏に調査を進めているようだが、個人的にはここまでまったく明かされていないマツリカの家族のほうが気になる問題である。


そもそもの疑問と言えば、「図書館の番人を引き継いだのが何故マツリカだっかのか?」という点である。


順当に行けば、タイキ➡️マツリカの両親➡️マツリカ、と引き継がれていきそうなものだ。そうなっていないのは何故なのか?


可能性として、大雑把に考えれば

  1. マツリカの両親は図書館の番人としての器がなかった。
  2. マツリカの両親は亡くなっている。
  3. マツリカ自身が養子縁組である。

となるだろうか。



1.マツリカの両親は図書館の番人としての器がなかった

一つ目の可能性としては、マツリカの両親はマツリカほどの能力を持ち合わせてはいなかったために、図書館の番人にはなれなかった、という説。

マツリカの推理力や言葉に対する理解は常識を逸している。例え血縁であったとしてもすべての人がその能力があるわけではないだろう。

まぁタイキを父に持ち、マツリカを子にした両親がただ者であるはずがないだろうから、図書館とは関係ない所で重要な職務についている可能性は高いように思われる。


2.マツリカの両親は亡くなっている
二つ目の可能性としては、マツリカの両親はすでに亡くなってしまっているために、マツリカが図書館の番人になったという説。


3.マツリカ自身が養子縁組である。

上記の1.2とはまったく違う目線からの説で、マツリカ自身が養女であるため両親は図書館の番人を引き継ぐ事とは関係ないと考えた説。

マツリカは特殊な生まれで、厳密に言って貴族ではないし、議会筋にも王宮にも血縁は全くない。一ノ谷に古い血筋と言われながらも、養子縁組が多かった血統でもあり、王城の奥にそそり立つ高い塔の威容と同様に、一家としてまったく独立していた。それで姓名の詳細を知るものはほとんどいなかった。近しい者はただマツリカという名を知るばかりで、世間では「図書館の魔女」と言えば誰のことかははっきりしている。

(引用:図書館の魔女2 P344/高田大介)

『マツリカは特殊な″生まれ″で』の″生まれ″がマツリカ自身を指すのか、家系全体を指すのかはっきりしていないのでこの文章からだけではなんとも言えない。

この子は私と一緒だ。私が望んで図書館の番人の家に生まれてきたのではないように、望んで特殊な教育を受けてきたのではないように、この子だってキリヒトの出る家系とやらに望んで生まれついたわけではないだろう。

(引用:図書館の魔女2 P437/高田大介)

2巻のラストシーン、マツリカが自身の境遇とキリヒトの境遇を重ね合わせる印象的な場面。この時にマツリカは『私が望んで図書館の番人の家に″生まれてきた″のではないように』と言っている。この場面からだと、マツリカが養女というのは考えずらい。



以上の3点が、マツリカの両親が図書館の番人になっていない理由だと思われる。


いずれにしろ、今考えた推測に合っていたものがあったとしても、それがマツリカの両親について、あえて語られない理由にはならない。


最後に

今回はマツリカの両親について自分なりの推論を立てて見ました。粗の多い仮説ではあると思います。こんな考えがあるのでは?という『図書館の魔女』ファンの皆様の意見があれば是非とも聞かせていただきたいと思っております。


シリーズ3作目の『図書館の魔女 霆ける塔』では両親について触れられるのでしょうか?


そのあたりも楽しみにしつつ、霆ける塔の刊行を待ちたいと思います。


当初は2016年刊行予定でしたが、気づけば2018年ですからね...


高田大介先生!そろそろお願いします!


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