FGかふぇ

読書やらカフェ巡りが趣味。読んだ本、行ったカフェの紹介がメインのブログです。ごゆるりとどうぞ。

【東野圭吾】『マスカレード・ナイト』の感想を好き勝手に語る【ネタバレあり】


今回は、「マスカレード」シリーズの第三作目である『マスカレード・ナイト』の感想を語っていく。ネタバレありなので、未読の方はこちらをどうぞ。


感想

最後まで目が離せない展開と新田の活躍に大満足でした。

新田と山岸

『マスカレード・ホテル』からは数年後の物語ということで、新田と山岸の二人は進展があったのかなぁと思いきや、そんなことはなかったですね。


山岸に至っては久しぶりに再会して、最初は新田の名前が出てこない始末。まぁその辺の事は、また次回に期待ということで。


二人の何気ない会話から山岸は仕事のヒントを得たり、新田は事件の真相に近づいたり、相変わらずこの二人は息の合ったコンビだなぁと思いました。

ホテルという特殊な場所

これは第一作『マスカレード・ホテル』にもいえることなのですが、ホテルという特殊な場所、特殊な仕事の裏側を見ることができてそれだけでも面白い。


今回はコンシェルジュになった山岸の活躍が光ってました。絶対に「無理」という言葉を使わずに、いかにしてお客様の要望に答えるのか?


個人的にはプロポーズの場面が一番印象に残っています。


「相手に恥をかかせず、気まずくなることもなく、プロポーズにノーと答える方法」を考えてくれって...


いや、無理やん
ってなります、私なら確実に。
考える前に言葉に出てしまうでしょう


だがしかしそんな困難を覆す山岸の手腕は流石の一言でした。


一流といえば氏原の対応、観察力なども一流のそれ。


新田と初対面のときは憎たらしいキャラだなぁと思ってましたが、新田が至らない点があるのは事実だったし経験と実績に裏付けられた一流の仕事でした。実は氏原が犯人なのでは!?と疑っていた自分が恥ずかしい。


時計

腕時計が今回の物語では重要な役割をしてました。

二人が愛用している物はそれぞれ、新田はオメガで山岸は形見の時計。二人の性格をうまく反映していると感じた。


「ここ数十年で、時計は飛躍的に正確に時を刻むようになりました。少々の安物でも一日に一秒も狂いません。でもその結果、約束の時間に遅れる人が増えた、という説があるのを御存じですか」
「いや、知らないな。そうなんですか」
「下手に正確な時間がわかるものだから、ぎりぎりまで時間を自分のために使おうとしてしまうんです。結果、遅刻をする。そういう人には、あまり信用の置けない時計を持たせるといいそうです。遅れているかもしれないと思うから、常に余裕を持って行動しなければなりません。」


(引用:マスカレード・ナイト P223/東野圭吾)

うむ、なかなか興味深い。この説にはとても納得する。



犯人と結末

犯人は完全に予想外でした。『夫と来てるふりをしていた』という秘密を明らかにして、パーティ前にホテルから去っていたので、考えから外れていました。


まんまと犯人の術中にはまってしまいました。(今思えば『マスカレード・ホテル』でもそんな感じだった)


″女″という仮面をはずし、誰にも気づかれないであろう素顔にまたコスプレで仮面を被って...


今回の犯人、やり手すぎますね。ミイラ男たちを使って警察の注意をそらしたり、偽名や偽の住所を使ってわざと怪しい人物をしたてあげたり...数えきれません。


警察は完全に後手にまわってたし、山岸の時計が狂ってなかったら死んでしまっていたわけだし...


新田の活躍は素晴らしかったけど、″運が良かった″という印象が強かった。



さいごに

山岸がロサンゼルスに行ってしまうということで、次回作の舞台はロサンゼルスになるんですかね?

『マスカレード・ホテル』が2011年
『マスカレード・イブ』が2014年
『マスカレード・ナイト』が2017年


ということで、次は2020年ですかね?

次回作も楽しみにしています!

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『マスカレード・ナイト』を紹介する。「仮面の奥に隠された″真実″を見破れるか」【東野圭吾】

『敵も化けている。決して騙されるな』

(引用:マスカレード・ナイト 表紙/東野圭吾)

どうも、FGです。
今回は2017年9月15日に発売した、東野圭吾「マスカレード」シリーズ最新作の『マスカレード・ナイト』を紹介します。


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感想はこちら


マスカレードシリーズについて

2011年に刊行された『マスカレード・ホテル』を始めに、2014年には『マスカレード・イブ』が刊行され、先日ついにシリーズ3作目となる『マスカレード・ナイト』が発売されました。


第一作『マスカレード・ホテル』では一流ホテル・コルテシア東京を舞台に、刑事・新田とホテルウーマン・山岸のコンビが事件に挑み、第二作『マスカレード・イブ』では二人が出会う前の物語を綴っている。


そして第三作『マスカレード・ナイト』は第一作から数年後の物語となっている。



本書『マスカレード・ナイト』からでも読めるようになっていますが、第一作の『マスカレード・ホテル』から読んだほうが数倍楽しく読めると思うので、まだ読んだことがない方はそちらを先に読むことをオススメします。


【『マスカレード・ホテル』紹介】

【『マスカレード・ホテル』感想】


あらすじ

若い女性が殺害された不可解な事件。捜査を進める警察の元に一通の密告状が届く。密告状によると、犯人はホテル・コルテシア東京のカウントダウンパーティに姿を現すという。
数年前の事件でホテルに潜入捜査をした経験がある刑事・新田浩介は再び、フロントクラークとして潜入することになった。犯人の決定的な目星がつかないなか、ついに数百人がひしめき合うカウントダウンパーティ『マスカレード・ナイト』が開催される。


見所

新田と山岸

前作同様、二人のコンビネーションは健在。ホテルの仕事、そして事件も二人は些細なヒントから真実へと近づいていく!?

無理難題

コンシェルジュとなった山岸の元には、客から様々な無理難題が依頼される。
「外の広告看板を見えないようにしてほしい」
「プロポーズで相手が傷つかないように断りたい」
「一目惚れした相手と話す機会をつくってほしい」
など、多種多様な問題を解決する手腕にも目が離せない。

ホテルという特殊な場所

「お仕事小説」というジャンルがある。ある特殊な仕事を中心とする小説だ。その仕事ならばのディティールと、そこに取り組む人間の苦労と喜び、そういうことを中心にした小説だ。

(引用:ギンカムロ P325/解説:北川次郎)

『マスカレード・ナイト』を読んで、以前読んだ小説で目にした言葉を思い出した。ミステリーというジャンルの作品だが、ホテルという舞台、そしてそこで働く人たちの喜びや苦労が楽しめるのもこの作品の大きな魅力の一つであろう。

【『ギンカムロ』を紹介する】

マスカレード・ナイト

「ホテル・コルテシア東京年越しカウントダウン・マスカレード・パーティ・ナイト」、通称『マスカレード・ナイト』
警察、ホテル従業員、犯人、様々な人間の思惑が交差する。


読み終えて

犯人やトリック、謎を推理しながら読むのがミステリーの醍醐味だ。
私も本書を読みながら、あれこれ考えを巡らせながら読ませてもらった。


まぁ結果だけ言えば予想した犯人とは大外れもいいところだったわけだが。


途中で犯人の検討をつけるのは、なかなかに難しいだろう。ズバリ当てられた方は自信をもっていいと思う。


それほど、事件は複雑に絡み合っていて読みごたえは十分だった。


また、『マスカレード』シリーズの特設サイトがあるのだが(「マスカレード」シリーズ特設サイト|東野圭吾)
とてもオシャレで、作品、登場人物、お客様の声などがホテルの紹介に似せて作られている。


是非一度見てもらいたい。『マスカレード』シリーズをすでに読んだ方のほうが楽しめるかもしれない。


そしてその中に、実際にロイヤルパークホテル(作品の舞台コルテシアのモデルになったホテル)で働いている方からの作品の感想が載っている。


そこには『山岸尚美が理想のホテリエ像だった』という感想が多くあった。


実際のホテル関係者にこれほどの事を言わせることができるのは余程の事だろう。それほど理解があるということだ。東野圭吾の綿密な取材とホテルへの理解があって初めて成されているのだろう。

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″重い″話こそ読むべきだと思うから『手紙』を紹介する【東野圭吾】

身内から犯罪者が出るというのは、どういうものなのだろう。


いきなり″重い″投げかけで始めてしまったが、今回は東野圭吾の『手紙』を紹介する。


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身内から犯罪者が出ないと100%は言えない。今回の物語『手紙』でも、主人公の兄は強盗殺人などという重い罪を犯すつもりはなかった。


そして、主人公は『強盗殺人犯の弟』として生きることとなる。


誰もがそのような運命を背負う可能性は0ではないのだ。


なかなかに重いテーマだが、だからこそ一読の価値がある。主人公の目線で見ても、周りの登場人物の目線で見ても、ドキッとさせられることが多いはずだ。


あらすじ

強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く......。しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる。人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。犯罪加害者の家族を真正面に描き、感動を呼んだ不朽の名作。

(引用:手紙 裏表紙/東野圭吾)



見所

加害者の家族

主人公の立ち位置は加害者の家族なのだが、そのようは小説はあまり多くはないだろうと思う。

苦悩があるのは分かる。しかし、そんな事まで...と驚かされる事も多かった。

差別について

学校の授業では教えない。むしろ逆の考え方。

しかし本書で触れている考え方が、綺麗事で隠さない真理なのではないかと思った。



ハッピーエンド?

テーマがテーマなだけに、完全なハッピーエンドを迎えることが難しいのは想像するに容易い。


しかし個人的には、余韻を残したいいラストのだと思う。バットエンドでもやもやして終わるのが嫌いな方でも読めるはずだ。



読み終えて

もし自分が加害者側の立場だったら?被害者側の立場だったら?また周りの人物の立場だったら?と考えさせられる。


とくにドキッとさせられるのは、もし周りの人物の立場だったら?と考えたとき、当たり前のように今まで思っていたたことが実は差別的な考えだったということ。


ほとんどの人は、自分は差別とは無縁だと考えているだろう。しかしその現実を覆されることになると思う。


タイトルでもある『手紙』だが、兄からの手紙が要所要所で重要な役割を果たしていた。


そして辛いだけの話ではなく、兄弟愛のようなものも感じられるし、つらい境遇であっても人と人の繋がりで救われることがあるんだなと思わせてくれた。

ラストは感動して涙が溢れた。

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【ネタバレあり】『龍は眠る』の感想を好き勝手に語る【宮部みゆき】

宮部みゆきの『龍は眠る』の感想を語っていく。

ネタバレを含めた感想ですのでご注意を。

未読の方はこちらをどうぞ。


感想


『龍は眠る』を読んで、まず考えさせられるのは「人の心が読める(読めてしまう)のはどういうことか?」だろう。

これによってサイキック(超能力)である稲村慎司と織田直也は苦悩を重ねることになる。

絶え間なく聞こえてくる、本音、本音、本音の洪水。そこから身を守るには、能力をコントロールすると同時に、自分の感情をも制御しなければならない。俗に「聞けば聞きっ腹で腹が立つ」というが、普通の人間は、他人が言葉に出したり態度に表したりしないかぎり、周囲に満ちている本当の本音を聞くことはない。それだから、多少はぎくしゃくすることがあっても生きていくことができるのだ。
それが全部聞こえるとしたら?聞く能力を持っているとしたら?聞かないほうが心の平和を保つことができると、理屈ではわかっていても、果たして好奇心を抑えきれるだろうか。
そして、本音を知ってしまってからも、何ひとつ変わったことなどないような態度で暮らし続けることができるだろうか。
誰かを信じるということができるだろうか。

(引用:龍は眠る P150/宮部みゆき)


まさに「知らぬが仏」とはこの事だと思った。

想い人がいたとき、誰しも「彼女は何を思っているのだろうか?」とか「自分の事をどう思っているのだろうか?」など考えるだろう。


もし、その考えが読めたとして、自分の想いとは裏腹に自分の事を良く思ってなかったら...そしてその本音を知ってしまったら...


豆腐メンタルの私ではとても耐えられないだろう。


また本書でもあったが、相手が好意を持ってくれているとしても、ついつい相手の考えを読んで先回り、先回りに要望を叶えてしまったために、気味悪がられて振られてしまう場面があった。


なんて生き苦しいんだ。


では、コントロールして読まなければいいというが、本文にあるように好奇心を抑えるのは難しいだろう。


好きな子の日記が目の前にあったとして、読んでも絶対にバレないとしたら手を伸ばさないでいられる人がどれだけいるだろう。


たまたま目覚めてしまったサイキックの能力に苦悩する二人を見ていると、背負わされた運命の重さに心苦しくなった。




また、語り手である高坂昭吾目線では現実と非現実、合理と非合理に揺れる様を眺めることができる。

現実と非現実、合理と非合理は、それとよく似た形で共存している。永遠に交わることのない二本のレールだ。我々はその両方に車輪を乗せて走っている。(略)合理のレールに傾きすぎれば冷血漢になり、非合理のレールだけで走ろうとすれば狂信者と呼ばれる。そして、どのみちどこかで脱線するだけだ。

(引用:龍は眠る P92/宮部みゆき)


個人的に一番印象に残った一文です。

高坂は物語の中で合理と非合理に振り回される。
稲村に超能力を見せつけられ非合理に振れたと思ったら、今度は織田の登場により合理に振れる。そしてまた非合理にふれ...と。


高坂と一緒に、二人の少年に振り回された読者も多いのでないだろうか?少なくとも私は振り回されたうちの一人だ。



全体を通して

前回の記事でも触れたが、超能力という非現実的な要素が出てくるのに現実離れした感がなく読めるのは、少年の超能力を持ってしまったがゆえの苦悩がリアルに描かれているからだろう。


現実離れしているが決して万能ではないこの力が普通のミステリーとは一味も二味も違うスパイスを与えている。


超能力の存在、謎の白紙の手紙、脅迫めいたラクガキに電話
やがてこれらがすべて繋がっていき大きな事件と結び付くわけだが、全体が見えたときには『そういうことだったのか!』と思わず唸った。


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ブログを始めてもう少しで3ヶ月になる

どうもFGです。

なんとなくで始めたこのブログ『FGかふぇ』ですが、もう少しで開設して3ヶ月になろうとしています。

いやはや読んでくださっている方には感謝の気持ちでいっぱいです。

素直な感想としては、あっという間でしたね。

今回は
・3ヶ月続けてみてどうだったか
・今後の目標

について書いていこうと思います。

その前に

6月10日に初めて記事を投稿しましたので、9月10日で3ヶ月となります。(これを書いているのは9月7日)

では、なぜ3ヶ月ぴったりのタイミングでないのかといいますと、こちら


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本日で累計PVが1000を越えました!!

本当はこのような記事を書くつもりはなかったのですが、いざ実際こうなると嬉しくなってしまい、帰りの電車の中で衝動的に記事を書き始めてしまいました。

ブログ初心者はPVなんて気にする必要はない!!
といった意見はよく見かけますが、そうはいっても気になってしまいますよね。


3ヶ月続けてみて

始めにも書きましたが、あっという間の3ヶ月でした。
あとはよく続けられたなぁと。

1ヶ月以内でブログを辞めてしまう割合は9割なんて言われてますからね。

たしかに私と同時期にブログを始めた方で、5人ほど私がよく読んでいたブロガーさんがいたのですが、今では5人全員更新が止まってしまっています。

うん、悲しい。




記事数は、この記事で32
だいたい3日に1記事のペースです。

個人的にはこれで満足。

1日1つ以上のペースで更新されている方は本当に尊敬します。そのうえ更新ペースは早いのに、内容は全然薄くない方ばっかりで、もう頭があがりません。


まぁ今のところ小説の紹介・感想がメインなっている都合上このペースが限界なんですよね。

私の場合だいたい1冊読むのに3~4日なので。


今後の目標

ひとまずは更新ペースはあまり気にせず、ブログの更新を完全に止めてしまうことだけを注意して続けていこうと思ってます。


あとは、カフェの記事を投稿したいですね。
最近は休日に予定が詰まってしまっていて、ゆっくりとカフェに行く機会がないんです。


8月は新規開拓は1件だけでしたが、できれば月に2件は新しいカフェの紹介をしたいです。(個人的にカフェ巡りがしたいって願望でもある)


8月に紹介した「cafe sorte」さん



本関係の記事は月に8記事を目標にして、カフェとあわせて月合計10記事をしばらくの目標にします。


これからもそっと覗いてもらえれば嬉しいです。

最後までありがとうございました。

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サイキックミステリーでも読んでみませんか?『龍は眠る』を紹介する【宮部みゆき】

 

宮部みゆきの『龍は眠る』を紹介する。

 

感想は別でこちらに書いています。

宮部みゆきの作品が読みたくなり古本屋でたまたま手に取った作品だったのだが、1992年に第45回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞している作品だった。どうりで面白い訳だ。

 
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 もし自分が不思議な力を使えて、透視ができたり、相手の考えを知ることができたら...

なんて妄想を誰しも1度はしたことがあるのではないだろうか?

 

便利だろうなぁと漠然なイメージしかなかった私だが、本書を読んで考えを改めることになった。

 

「世の中そんな甘くはないな」

また便利以上の苦悩が待ってるだろう。

そうリアルに思わせてくれる、作りこまれ考え抜かれた作品だった。

 

あらすじ

嵐の晩だった。雑誌記者の高坂昭吾は、車で東京に向かう道すがら、道端で自転車をパンクさせ、立ち往生していた少年を拾った。何となく不思議なところがある少年、稲村慎司は言った。「僕は超常能力者なんだ」。その言葉を証明するかのように、二人が走行中に遭遇した死亡事故の真相を語り始めた。それが全ての始まりだったのだ......。

(引用:龍が眠る 裏表紙/宮部みゆき)

 

 

語り手である高坂昭吾は、自称超能力の稲村慎司との出会いをきっかけに、呼応するように次々と自身の回りでトラブルが起き始める。

 

取り外されたマンホール、白紙の脅迫状、縁を切ったはずの元彼女、そして二人の少年。

最後までワクワクが止まりません。

 

 

魅力

 少年は少年

たとえ超能力を持っているとしても、子供であることには変わらない。逆に言えば超能力を持っているだけで、他は普通の子供と変わらないのだ。

 

悩みもするし、わからないこともあるし、間違いもする。

 

そんな少年にスポットを当てた作品

超能力という非現実的な要素が出てくるのに現実離れした感がなく読めるのは、少年の超能力を持ってしまったがゆえの苦悩がリアルに描かれているからだろう。

 

  

高坂と生駒

全体的にシリアスな雰囲気が多く、どうしても物語が重たく感じてしまうかもしれない。

しかし、そんな雰囲気を和らげてくれるのが語り手である高坂と会社仲間の生駒である。二人のコミカルかつ諧謔的なやり取りは張りつめがちな緊張の糸を、フッと緩めてくれる。

 

 

事件の真相

複雑に絡み合った事件。特にラストの加速度的に真相に近づいていくのでページをめくる手が止まらなかった。

 

 

『赤い指』感想:平凡なんて見せかけかもしれない【東野圭吾】

 

東野圭吾の『赤い指』を読んだ。

 

加賀恭一郎シリーズの第7作であり、累計部数は135万部を越えた人気作品である。

 


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私はまだ加賀恭一郎シリーズは第1作の『卒業』しか読んでいないのだが、何故か第7作である『赤い指』に手を出してしまった。

 

問題なく読み進めることはできたのでよかったが、あたりまえだが順番に読んでいったほうが楽しめるだろうなと思った。反省。

 

あらすじ

 少女の遺体が住宅街で発見された。捜査上に浮かんだ平凡な家庭。一体どんな悪夢が彼等を狂わせたのか。「この家には、隠された真実がある。それはこの家の中で、彼等自身によって明かされなければならない。」刑事・加賀恭一郎の謎めいた言葉の意味は?家族のあり方を問う直木賞受賞後第一作。

 (引用:赤い指 裏表紙/東野圭吾)

 

トリックや誰が犯人なのか?を追及するのではなく、ひたすらに人間関係、家族関係についてスポットをあてた作品。

 

しかし最後にはミステリーらしく、どんでん返しのような予想外の展開もまっている。読んでいて心苦しくなること間違いなしだ。

 

 

 

感想

率直に言うと、終始なかなかに暗く重い作品だった。ゆえに考えさせらることも多かったが。

 

2、3日前までは『四畳半神話大系』なんてこの物語と真逆、180°どころか540°くらい違う物語を読んでいたもんだから、この作品との落差が激しかった。

 

さて

両親の介護問題、学校でうまくいっていない息子に、過保護な母、孤立気味な父となんだか現在社会の問題を詰め込んだような家庭だな、と思ってしまった。

 

この家庭にスポットを当てているんだから明るい話にはなりようがないですよね。

 

 その時ふと、ある考えが彼の脳裏を横切った。それは彼の心をひきつけるものだった。(中略)同時に、たった今生じたアイデアを振り払おうとした。それについては今後一切考えまいとした。考えること自体がおぞましく、思いついた自分自身を嫌悪しなければならないほど、ほのアイデアは邪悪なものだったからだ。

(引用:赤い指 P77/東野圭吾)

 

事件を起こした一家の父親、前原昭夫の考えが書かれた一文。

 

これを読んだ時点ではまだ、それがどんな邪悪なアイデアなのか?は予想できなかった。

 

しかし、物語が進むうちに「もしかして...」という疑惑が湧き、また進むうちに「いや、まさか...」と目を背けたくなる。

 

そして昭夫のアイデアが実際にあきらかになったときは、やるせなさが溢れた。

 

それだけでも十分やるせないのに、どんでん返しで知る衝撃の事実。そこを踏まえた上で母親の気持ちを思うと、なんだかもう挫けそうになった。

 

 加賀が言った。「平凡な家庭など、この世にひとつもない。外からでも平穏な一家に見えても、みんないろいろと抱えているもんだ」

 (引用:赤い指 P145/東野圭吾)

 

心に残った一言。

平凡なんて、他人から見たらそう見えるってだけで、どこの家庭でも何かしらありますよね。なんだかとっても納得してしまいました。