FGかふぇ

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【東野圭吾】心に刺さる”重い”考えさせられる小説9選!【2022年版】



本格派ミステリーはもちろん、社会派から思わず涙を誘う感動作品、SFチックなものまで、もちろん東野圭吾といえば物理学をテーマとした″ガリレオ″シリーズも外せないだろう。

 

そんな様々な引き出しをもつ東野圭吾は、2022年現在短編集も含めればを100冊を越える作品を世に放っている。

 

今回は、そんな数多くの作品の中から、読者に訴えかけるもの、常識がひっくり返りそうにもなるもの、思わず涙があふれてしまうそうになるもの、などおもわず心に突き刺さるような″重い″テーマの作品を9作品紹介する。


注意事項

  • 2022年の段階で読んだことある作品を紹介する。(随時更新)
  • 紹介はランキング形式ではなく、ランダムに紹介する。
  • 現在個別ページがない作品もいずれ個別ページを作成予定。作品の詳細は個別ページにて確認してもらいたい。
  • あらすじは、裏表紙のものを引用している。(そうでない場合は引用先を明記している)
  • 選考基準はFGの独断と偏見です。ご容赦ください。




──1.『手紙』

──あらすじ

強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く......。しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる。人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。犯罪加害者の家族を真正面に描き、感動を呼んだ不朽の名作。


社長の言葉はいちいち心に突き刺さる。

もし自分が加害者側の立場だったら?被害者側の立場だったら?また周りの人物の立場だったら?と思わずページをめくる手を止めて考えてしまうことだろう。

今までの価値観や常識がひっくり返るかもしれない。ラストは涙なしには読んでいられない。


個別ページ:″重い″話こそ読むべきだと思うから『手紙』を紹介する【東野圭吾】 - FGかふぇ





──2.『赤い指』

──あらすじ

 少女の遺体が住宅街で発見された。捜査上に浮かんだ平凡な家庭。一体どんな悪夢が彼等を狂わせたのか。「この家には、隠された真実がある。それはこの家の中で、彼等自身によって明かされなければならない。」刑事・加賀恭一郎の謎めいた言葉の意味は?家族のあり方を問う直木賞受賞後第一作。

 
加賀恭一郎シリーズの第7作。もちろんシリーズを順に読んでいくのが一番だが、この作品からでも問題なく楽しめる。


家族とはなんなのか?どんな形であるべきなのか?高齢化社会が進む現代の問題を、どこにでもありそうな家族の視線から切り込んだ社会派の一冊。




──3.『さまよう刃』

──あらすじ

長峰の一人娘・絵摩の死体が荒川から発見された。花火大会の帰りに、未成年の少年グループによって蹂躪された末の遺棄だった。謎の密告電話によって犯人を知った長峰は、突き動かされるように娘の復讐に乗り出した。犯人の一人を殺害し、さらに逃走する父親を、警察とマスコミが追う。正義とは何か。誰が犯人を裁くのか。世論を巻き込み、事件は予想外の結末を迎える―。重く哀しいテーマに挑んだ、心を揺さぶる傑作長編。

東野圭吾の″重い″作品はなんだろう?と考えたときに一番最初に浮かんだのがこの作品『さまよう刃』だった。


どんな理由があっても暴力は許されない、たとえそれが復讐であっても。

誰だって理解はしている″常識″だ。だが、いざ我が身に主人公のような出来事が振りかかったときに、果たしてその″常識″を突き通せるのだろうか?


少年法は本当に必要なのだろうか?正義とは何だ?悪とは何だ?

生々しく目を覆いたくなるような場面も多かったが、目を反らさずに読んでよかったと思える一冊だ。




──4.『夜明けの街で』

──あらすじ

不倫する奴なんて馬鹿だと思っていた。
ところが僕はその台詞を自分に対して発しなければならなくなる―。建設会社に勤める渡部は、派遣社員の仲西秋葉と不倫の恋に墜ちた。2人の仲は急速に深まり、渡部は彼女が抱える複雑な事情を知ることになる。15年前、父親の愛人が殺される事件が起こり、秋葉はその容疑者とされているのだ。彼女は真犯人なのか?渡部の心は揺れ動く。まもなく事件は時効を迎えようとしていた…...。

ミステリ色より不倫を中心とした人間関係に主軸を置いた作品。
「不倫なんてするやつはバカ」と思っていた主人公が、思わぬ巡り会わせで不倫の泥沼にはまってしまう心理描写が丁寧に書かれている。


「不倫なんてするやつはバカ」という主人公の意見が世の男性意見の大半だろうと思う。だからこそ、そんな考えを持っていた主人公が泥沼にはまっていく様をどこか自分と重ね合わせて、自分ならどうするか?と考えながら読んでしまうはずだ。


男性なら一度は読んでみるべきだ、自分は絶対に不倫なんてしないと思っている人は特に。

 
個別ページ:不倫とは甘い地獄である『夜明けの街で』のあらすじ・紹介。【東野圭吾】 - FGかふぇ




──5.『天空の蜂』

 

──あらすじ

奪取された超大型特殊ヘリコプターには爆薬が満載されていた。無人操縦でホバリングしているのは、稼働中の原子力発電所の真上。日本国民すべてを人質にしたテロリストの脅迫に対し、政府が下した非情の決断とは。そしてヘリの燃料が尽きるとき...。驚愕のクライシス、圧倒的な緊張感で魅了する結束サスペンス。

原子力発電所をテーマにしたサスペンスミステリー。

タイタニック号事件の『事実は小説よりも奇なり』という言葉はあまりにも有名だが、この作品にも『事実は小説よりも奇なり』の言葉がふさわしいだろう。


原発問題ということで嫌でも2011年3月11日の東日本大震災を思い出してしまう。そして『天空の蜂』が刊行されたのが1995年である。


物語の中での犯人と政府のやり取りを読んでいると、どうしても福島第一原発の事故を彷彿とさせる。そしてそのあと日本中の原発がどうなったか考えると...


『事実は小説よりも奇なり』とはよく言ったものだと思う。





──6.『人魚の眠る家』

──あらすじ

娘の小学校受験が終わったら離婚する。そう約束した仮面夫婦の二人。彼等に悲報が届いたのは、面接試験の予行演習の直前だった。娘がプールで溺れた―。病院に駆けつけた二人を待っていたのは残酷な現実。そして医師からは、思いもよらない選択を迫られる。過酷な運命に苦悩する母親。その愛と狂気は成就するのか―。

(引用:人魚の眠る家 - 東野圭吾 - Google ブックス)

「今、我が家に......うちの家にいる娘は、患者でしょうか。それとも死体なのでしょうか」

(引用:人魚の眠る家 P293/東野圭吾)


″死″とはなんなのか、何をもって″死″とするのか。果たして母親の歪んだともとれる愛に救いはあるのか...。


娘に訪れた悲劇を前に両親はどのような決断をくだすのか。もし自分が両親の立場だったら...と思わず考えてしまう。


脳死、そして臓器移植。現代日本における問題も投げかけた作品。


個別ページ:【小説】2分でわかる『人魚の眠る家』あらすじ・紹介【東野圭吾】 - FGかふぇ



──7.『虚ろな十字架』

──あらすじ

中原道正・小夜子夫妻は一人娘を殺害した犯人に死刑判決が出た後、離婚した。数年後、今度は小夜子が刺殺されるが、すぐに犯人・町村が出頭する。中原は死刑を望む小夜子の両親の相談に乗るうち、彼女が犯罪被害者遺族の立場から死刑廃止反対を訴えていたことを知る。一方、町村の娘婿である仁科史也は、離婚して町村たちと縁を切るように母親から迫られていた──。

幼い娘とかつての妻を殺人によって奪われた中原道正。中原は妻の遺品から見つかった一枚の紙から、偶然とは思えない事件の裏側を覗くこととなり──。


──殺人に対して釣り合いのとれる″償い″とは

『罪を償う』とはどういうことだろうか。真摯に謝罪すること?慰謝料を払うこと?刑務所に入ること?それとも...死刑をもって死で償うこと?


『虚ろな十字架』では、″死刑″について、また″償い″について一石を投じている。


物語の最後、事件の真相とともに語られる殺人に対する償いについては、抜くことのできないトゲのように深く心に突き刺さった。


──8.『祈りの幕が下りる時』

──あらすじ

明治座に幼馴染みの演出家を訪ねた女性が遺体で発見された。捜査を担当する松宮は近くで発見された焼死体との関連を疑い、その遺品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることに加賀恭一郎は激しく動揺する。それは孤独死した彼の母に繋がっていた。シリーズ最大の謎が決着する。

──加賀恭一郎シリーズ最高傑作

『祈りの幕が下りる時』は、主人公の名前をとって”加賀恭一郎シリーズ”と呼ばれるシリーズの作品である。先程紹介した『赤い指』と同シリーズ。

以下シリーズ一覧


①卒業
②眠りの森
③どちらかが彼女を殺した
④悪意
⑤私が彼を殺した
⑥嘘をもうひとつだけ
⑦赤い指
⑧新参者
⑨麒麟の翼
⑩祈りの幕が下りる時


ちなみに『祈りの幕が下りる時』は、シリーズの最後の作品である。『祈りの幕が下りる時』だけでも話はわかるように作られいるのだが……ここで紹介しておいてなんだが、『祈りの幕が下りる時』はシリーズを通して最後に読んでほしい……。


しかし、東野圭吾をあまり読んだことがない方に「1から全部読め!」というのは酷だし、まずはこれを読んでみて、興味が湧いたら他のシリーズをさかのぼってみる、というのもアリかもしれない。


こんな邪道をしてでも読んでほしいと思うくらい、物語に引き込まれ、涙してしまう感動の作品だ。



──9.『白鳥とコウモリ』

──あらすじ

幸せな日々は、もう手放さなければならない。
遺体で発見された善良な弁護士。一人の男が殺害を自供し事件は解決──のはずだった。「すべて、私がやりました。すべての事件の犯人は私です」2017年東京、1984年愛知を繋ぐ、ある男の"告白"、その絶望──そして希望。「罪と罰の問題はとても難しくて、簡単に答えを出せるものじゃない」私たちは未知なる迷宮に引き込まれる──。
作家生活35周年記念作品
『白夜行』『手紙』……新たなる最高傑作、東野圭吾版『罪と罰』。

──東野圭吾版『罪と罰』

あらすじにもあったが、『罪と罰』がテーマの作品。


悪人のせいで善人の人生が狂わされていくのは、見ていてやるせない気持ちになるけど、見えないだけで大なり小なり現実世界でも同じようなことが起きてるんだなぁと思わされる。


テーマは重いが、最後には希望の光も覗かせたりと、個人的にはスッキリした気持ちで読み終えることができる一冊である。



まとめ

気がつけば映像化されている作品ばかりの紹介になってしまっていた。
『赤い指』がドラマで、6作は映画化されている。




映像化されているということは、原作の評価あってこそのものだと思う。その点を考えれば、どれを読んでも心に響くものがあるはずだ。


あなたの小説選びの助けになればと思う。良き読書ライフを。


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【オススメ記事】






【東野圭吾】『マスカレード・ナイト』の感想を好き勝手に語る【ネタバレあり】

「またこんな日が来るとは夢にも思いませんでした」ロビーを見渡し、新田はしみじみとした口調でいった。「この制服を着て、あなたと一緒にいるとはね」

(引用:マスカレード・ナイト P48/東野圭吾)


今回は、「マスカレード」シリーズの第3作目である『マスカレード・ナイト』の感想を語っていく。ネタバレありなので、未読の方はこちらをどうぞ。


【マスカレード・ナイト あらすじ・紹介】

また映画を見た方向けの記事も書いたのでよろしければコチラもどうぞ

『マスカレード・ナイト』映画を見た方への補足解説+映画と原作の違い

目次

感想

最後まで目が離せない展開と新田の活躍に大満足だった。


──新田と山岸

『マスカレード・ホテル』からは数年後の物語ということで、新田と山岸の二人は進展があったのかなぁと思いきや、そんなことはなかった。


山岸に至っては久しぶりに再会して、最初は新田の名前が出てこない始末。『マスカレード・ホテル』では、ラストにあんなにいい感じで終わってたのに、その後はなんの展開もなかったよう...。まぁその辺の事は、また次回に期待ということで。


二人の何気ない会話から山岸は仕事のヒントを得たり、新田は事件の真相に近づいたり、相変わらずこの二人は息の合ったコンビだなぁと思った。

──ホテルという特殊な場所

これは第一作『マスカレード・ホテル』にもいえることなのだが、ホテルという特殊な場所、特殊な仕事の裏側を見ることができてそれだけでも面白い。


今回はコンシェルジュになった山岸の活躍が光っていた。絶対に「無理」という言葉を使わずに、いかにしてお客様の要望に答えるのか?


個人的にはプロポーズの場面が一番印象に残っている。


「相手に恥をかかせず、気まずくなることもなく、プロポーズにノーと答える方法」を考えてくれって無茶苦茶な...。


「いや、無理です」
ってなるでしょうね、私なら確実に。
考える前に言葉に出てしまいそう。


だがしかしそんな困難を覆す山岸の手腕は流石の一言でした。


一流といえば氏原の対応、観察力なども一流のそれ。


新田と初対面のときは憎たらしいキャラだなぁと思っていたが、新田が至らない点があるのは事実だったし経験と実績に裏付けられた一流の仕事だった。実は氏原が犯人なのでは!?と疑っていた自分が恥ずかしい。


──時計

腕時計が今回の物語では重要な役割をしていた。二人が愛用している物はそれぞれ、新田はオメガで山岸は形見の時計。二人の性格をうまく反映していると感じた。


「ここ数十年で、時計は飛躍的に正確に時を刻むようになりました。少々の安物でも一日に一秒も狂いません。でもその結果、約束の時間に遅れる人が増えた、という説があるのを御存じですか」
「いや、知らないな。そうなんですか」
「下手に正確な時間がわかるものだから、ぎりぎりまで時間を自分のために使おうとしてしまうんです。結果、遅刻をする。そういう人には、あまり信用の置けない時計を持たせるといいそうです。遅れているかもしれないと思うから、常に余裕を持って行動しなければなりません。」

(引用:マスカレード・ナイト P223/東野圭吾)

うむ、なかなか興味深い。この説にはとても納得する。



──犯人と結末

犯人は完全に予想外だった。『夫と来てるふりをしていた』という秘密を明らかにして、パーティ前にホテルから去っていたので、考えから外れていて、まんまと犯人の術中にはまってしまっていた。(今思えば『マスカレード・ホテル』でもそんな感じだった)


″女″という仮面をはずし、誰にも気づかれないであろう素顔にまたコスプレで仮面を被って...


今回の犯人、やり手すぎますね。ミイラ男たちを使って警察の注意をそらしたり、偽名や偽の住所を使ってわざと怪しい人物をしたてあげたり...数えきれない。


警察は完全に後手にまわってたし、山岸の時計が狂ってなかったら死んでしまっていたわけだし...


新田の活躍は素晴らしかったけど、″運が良かった″という印象が強かった。

──残念

終盤に犯行の関係者たちの供述があり、それによって事件の裏が見えてくる訳だが...この供述部分が個人的にはちょっと残念だった。


「そう繋がってくるのか!」と思う所もあったが、全体を通してみるとどうしても後付の設定に思えてしまう。


事件が複雑すぎる故に、どうしても後付けの説明を書かなければ、まとまらなかったのだろうか...。


まぁそれを差し引いてもこの物語が面白かったことには変わりない。

最後に

物語の終わり方は、余韻の残る好きな終わり方だった。仕事を通して相棒のような山岸と新田の二人もいいけれど、恋人になった二人を見てみたい気もする。


山岸がロサンゼルスに行ってしまうということで、次回作の舞台はロサンゼルスになるんでしょうか?新田が昔ロサンゼルスにいたということもあるし、十分ありえる展開だとは思う。


『マスカレード・ホテル』が2011年
『マスカレード・イブ』が2014年
『マスカレード・ナイト』が2017年


ということで、次は2020年でしょうか?

次回作も待ちきれない!!



(追記)
マスカレードシリーズの新作作は2022年発売でした。
感想はコチラ
【『マスカレード・ゲーム』感想】



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【オススメ記事】






『マスカレード・ナイト』のあらすじ・紹介「仮面の奥に隠された″真実″を見破れるか」【東野圭吾】

『敵も化けている。決して騙されるな』

(引用:マスカレード・ナイト 表紙/東野圭吾)


今回は2017年9月15日に発売した、東野圭吾「マスカレード」シリーズの第3作目の『マスカレード・ナイト』を紹介する。


一体誰が犯人なのか?最後の最後まで犯人が予想できない展開に注目のオススメの一冊!!


感想はこちら
【マスカレード・ナイト 感想】


目次

マスカレードシリーズについて

2011年に刊行された『マスカレード・ホテル』を始めに、2014年には『マスカレード・イブ』が刊行され、2017年ついにシリーズ3作目となる『マスカレード・ナイト』が発売された。
 

そして、2019年1月18日には『マスカレード・ホテル』の映画公開が決定しているなど、現在注目の東野圭吾作品のシリーズである。


第1作『マスカレード・ホテル』では一流ホテル・コルテシア東京を舞台に、刑事・新田とホテルウーマン・山岸のコンビが事件に挑み、第1作『マスカレード・イブ』では二人が出会う前の物語を綴っている。


そして第3作『マスカレード・ナイト』は第1作から数年後の物語。



『マスカレード・ナイト』からでも読めるようになっていますが、第1作の『マスカレード・ホテル』から読んだほうが数倍楽しく読めると思うので、まだ読んだことがない方はそちらを先に読むことをオススメする。


【マスカレード・ホテル 紹介】

【マスカレード・ホテル 感想】


あらすじ

若い女性が殺害された不可解な事件。捜査を進める警察の元に一通の密告状が届く。密告状によると、犯人はホテル・コルテシア東京のカウントダウンパーティに姿を現すという。数年前の事件でホテルに潜入捜査をした経験がある刑事・新田浩介は再び、フロントクラークとして潜入することになった。犯人の決定的な目星がつかないなか、ついに数百人がひしめき合うカウントダウンパーティ『マスカレード・ナイト』が開催される。

見所

──新田と山岸

『マスカレード・ホテル』の時のように二人のコンビネーションは健在。ホテルの仕事、そして事件も二人は些細なヒントから真実へと近づいていく!?




──無理難題

コンシェルジュとなった山岸の元には、以前にもまして客から様々な無理難題が依頼される。
「外の広告看板を見えないようにしてほしい」
「プロポーズで相手が傷つかないように断りたい」
「一目惚れした相手と話す機会をつくってほしい」
など、多種多様な問題を解決する手腕にも目が離せない。

──ホテルという特殊な場所

「お仕事小説」というジャンルがある。ある特殊な仕事を中心とする小説だ。その仕事ならばのディティールと、そこに取り組む人間の苦労と喜び、そういうことを中心にした小説だ。

(引用:ギンカムロ P325/解説:北川次郎)

『マスカレード・ナイト』を読んで、以前読んだ小説で目にした言葉を思い出した。ミステリーというジャンルの作品だが、ホテルという舞台、そしてそこで働く人たちの喜びや苦労が楽しめるのもこの作品の大きな魅力の一つであろう。


──マスカレード・ナイト

タイトルになっている『マスカレード・ナイト』の意味はホテル・コルテシアで行われているイベントで正式名称は「ホテル・コルテシア東京年越しカウントダウン・マスカレード・パーティ・ナイト」と呼ばれる。


パーティー参加者もホテルの従業員も全員仮装(コスプレ)を行っているのが最大の特徴で、まさにマスカレード(仮面舞踏会)の名に相応しい。


数百人がいるそのパーティー会場で、警察、ホテル従業員、犯人、様々な人間の思惑が交差する。

読み終えて

犯人やトリック、謎を推理しながら読むのがミステリーの醍醐味だ。
私も本書を読みながら、あれこれ考えを巡らせながら読ませてもらった。


まぁ結果だけ言えば予想した犯人とは大外れもいいところだったわけだが。


途中で犯人の検討をつけるのは、なかなかに難しいだろう。ズバリ当てられた方は自信をもっていいと思う。


それほど、事件は複雑に絡み合っていて読みごたえは十分だった。


また、『マスカレード』シリーズの特設サイトがあるのだが(「マスカレード」シリーズ公式サイトー集英社)
とてもオシャレで、作品、登場人物、お客様の声などがホテルの紹介に似せて作られている。


是非一度見てもらいたい。『マスカレード』シリーズをすでに読んだ方のほうが楽しめるかもしれない。


そしてその中に、実際にロイヤルパークホテル(作品の舞台コルテシアのモデルになったホテル)で働いている方からの作品の感想が載っている。


そこには『山岸尚美が理想のホテリエ像だった』という感想が多くあった。


実際のホテル関係者にこれほどの事を言わせることができるのは余程の事だろう。それほど理解があるということだ。東野圭吾の綿密な取材とホテルへの理解があって初めて成されているのだろう。

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″重い″話こそ読むべきだと思うから『手紙』を紹介する【東野圭吾】

身内から犯罪者が出るというのは、どういうものなのだろう。


いきなり″重い″投げかけで始めてしまったが、今回は東野圭吾の『手紙』を紹介する。



身内から犯罪者が出ないと100%は言えない。今回の物語『手紙』でも、主人公の兄は強盗殺人などという重い罪を犯すつもりはなかった。


そして、主人公は『強盗殺人犯の弟』として生きることとなる。


誰もがそのような運命を背負う可能性は0ではないのだ。


なかなかに重いテーマだが、だからこそ一読の価値がある。主人公の目線で見ても、周りの登場人物の目線で見ても、ドキッとさせられることが多いはずだ。


あらすじ

強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く......。しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる。人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。犯罪加害者の家族を真正面に描き、感動を呼んだ不朽の名作。

(引用:手紙 裏表紙/東野圭吾)



見所

加害者の家族

主人公の立ち位置は加害者の家族なのだが、そのようは小説はあまり多くはないだろうと思う。

苦悩があるのは分かる。しかし、そんな事まで...と驚かされる事も多かった。

差別について

学校の授業では教えない。むしろ逆の考え方。

しかし本書で触れている考え方が、綺麗事で隠さない真理なのではないかと思った。



ハッピーエンド?

テーマがテーマなだけに、完全なハッピーエンドを迎えることが難しいのは想像するに容易い。


しかし個人的には、余韻を残したいいラストのだと思う。バットエンドでもやもやして終わるのが嫌いな方でも読めるはずだ。



読み終えて

もし自分が加害者側の立場だったら?被害者側の立場だったら?また周りの人物の立場だったら?と考えさせられる。


とくにドキッとさせられるのは、もし周りの人物の立場だったら?と考えたとき、当たり前のように今まで思っていたたことが実は差別的な考えだったということ。


ほとんどの人は、自分は差別とは無縁だと考えているだろう。しかしその現実を覆されることになると思う。


タイトルでもある『手紙』だが、兄からの手紙が要所要所で重要な役割を果たしていた。


そして辛いだけの話ではなく、兄弟愛のようなものも感じられるし、つらい境遇であっても人と人の繋がりで救われることがあるんだなと思わせてくれた。

ラストは感動して涙が溢れた。



関連記事



【ネタバレあり】『龍は眠る』の感想を好き勝手に語る【宮部みゆき】

宮部みゆきの『龍は眠る』の感想を語っていく。

ネタバレを含めた感想ですのでご注意を。

未読の方はこちらをどうぞ。


感想


『龍は眠る』を読んで、まず考えさせられるのは「人の心が読める(読めてしまう)のはどういうことか?」だろう。

これによってサイキック(超能力)である稲村慎司と織田直也は苦悩を重ねることになる。

絶え間なく聞こえてくる、本音、本音、本音の洪水。そこから身を守るには、能力をコントロールすると同時に、自分の感情をも制御しなければならない。俗に「聞けば聞きっ腹で腹が立つ」というが、普通の人間は、他人が言葉に出したり態度に表したりしないかぎり、周囲に満ちている本当の本音を聞くことはない。それだから、多少はぎくしゃくすることがあっても生きていくことができるのだ。
それが全部聞こえるとしたら?聞く能力を持っているとしたら?聞かないほうが心の平和を保つことができると、理屈ではわかっていても、果たして好奇心を抑えきれるだろうか。
そして、本音を知ってしまってからも、何ひとつ変わったことなどないような態度で暮らし続けることができるだろうか。
誰かを信じるということができるだろうか。

(引用:龍は眠る P150/宮部みゆき)


まさに「知らぬが仏」とはこの事だと思った。

想い人がいたとき、誰しも「彼女は何を思っているのだろうか?」とか「自分の事をどう思っているのだろうか?」など考えるだろう。


もし、その考えが読めたとして、自分の想いとは裏腹に自分の事を良く思ってなかったら...そしてその本音を知ってしまったら...


豆腐メンタルの私ではとても耐えられないだろう。


また本書でもあったが、相手が好意を持ってくれているとしても、ついつい相手の考えを読んで先回り、先回りに要望を叶えてしまったために、気味悪がられて振られてしまう場面があった。


なんて生き苦しいんだ。


では、コントロールして読まなければいいというが、本文にあるように好奇心を抑えるのは難しいだろう。


好きな子の日記が目の前にあったとして、読んでも絶対にバレないとしたら手を伸ばさないでいられる人がどれだけいるだろう。


たまたま目覚めてしまったサイキックの能力に苦悩する二人を見ていると、背負わされた運命の重さに心苦しくなった。




また、語り手である高坂昭吾目線では現実と非現実、合理と非合理に揺れる様を眺めることができる。

現実と非現実、合理と非合理は、それとよく似た形で共存している。永遠に交わることのない二本のレールだ。我々はその両方に車輪を乗せて走っている。(略)合理のレールに傾きすぎれば冷血漢になり、非合理のレールだけで走ろうとすれば狂信者と呼ばれる。そして、どのみちどこかで脱線するだけだ。

(引用:龍は眠る P92/宮部みゆき)


個人的に一番印象に残った一文です。

高坂は物語の中で合理と非合理に振り回される。
稲村に超能力を見せつけられ非合理に振れたと思ったら、今度は織田の登場により合理に振れる。そしてまた非合理にふれ...と。


高坂と一緒に、二人の少年に振り回された読者も多いのでないだろうか?少なくとも私は振り回されたうちの一人だ。



全体を通して

前回の記事でも触れたが、超能力という非現実的な要素が出てくるのに現実離れした感がなく読めるのは、少年の超能力を持ってしまったがゆえの苦悩がリアルに描かれているからだろう。


現実離れしているが決して万能ではないこの力が普通のミステリーとは一味も二味も違うスパイスを与えている。


超能力の存在、謎の白紙の手紙、脅迫めいたラクガキに電話
やがてこれらがすべて繋がっていき大きな事件と結び付くわけだが、全体が見えたときには『そういうことだったのか!』と思わず唸った。


【オススメ】



ブログを始めてもう少しで3ヶ月になる

どうもFGです。

なんとなくで始めたこのブログ『FGかふぇ』ですが、もう少しで開設して3ヶ月になろうとしています。

いやはや読んでくださっている方には感謝の気持ちでいっぱいです。

素直な感想としては、あっという間でしたね。

今回は
・3ヶ月続けてみてどうだったか
・今後の目標

について書いていこうと思います。

その前に

6月10日に初めて記事を投稿しましたので、9月10日で3ヶ月となります。(これを書いているのは9月7日)

では、なぜ3ヶ月ぴったりのタイミングでないのかといいますと、こちら


f:id:furikake-gohan:20170907200957j:plain

本日で累計PVが1000を越えました!!

本当はこのような記事を書くつもりはなかったのですが、いざ実際こうなると嬉しくなってしまい、帰りの電車の中で衝動的に記事を書き始めてしまいました。

ブログ初心者はPVなんて気にする必要はない!!
といった意見はよく見かけますが、そうはいっても気になってしまいますよね。


3ヶ月続けてみて

始めにも書きましたが、あっという間の3ヶ月でした。
あとはよく続けられたなぁと。

1ヶ月以内でブログを辞めてしまう割合は9割なんて言われてますからね。

たしかに私と同時期にブログを始めた方で、5人ほど私がよく読んでいたブロガーさんがいたのですが、今では5人全員更新が止まってしまっています。

うん、悲しい。




記事数は、この記事で32
だいたい3日に1記事のペースです。

個人的にはこれで満足。

1日1つ以上のペースで更新されている方は本当に尊敬します。そのうえ更新ペースは早いのに、内容は全然薄くない方ばっかりで、もう頭があがりません。


まぁ今のところ小説の紹介・感想がメインなっている都合上このペースが限界なんですよね。

私の場合だいたい1冊読むのに3~4日なので。


今後の目標

ひとまずは更新ペースはあまり気にせず、ブログの更新を完全に止めてしまうことだけを注意して続けていこうと思ってます。


あとは、カフェの記事を投稿したいですね。
最近は休日に予定が詰まってしまっていて、ゆっくりとカフェに行く機会がないんです。


8月は新規開拓は1件だけでしたが、できれば月に2件は新しいカフェの紹介をしたいです。(個人的にカフェ巡りがしたいって願望でもある)


8月に紹介した「cafe sorte」さん



本関係の記事は月に8記事を目標にして、カフェとあわせて月合計10記事をしばらくの目標にします。


これからもそっと覗いてもらえれば嬉しいです。

最後までありがとうございました。

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サイキックミステリーでも読んでみませんか?『龍は眠る』を紹介する【宮部みゆき】

 

宮部みゆきの『龍は眠る』を紹介する。

 

感想は別でこちらに書いています。

宮部みゆきの作品が読みたくなり古本屋でたまたま手に取った作品だったのだが、1992年に第45回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞している作品だった。どうりで面白い訳だ。

 
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 もし自分が不思議な力を使えて、透視ができたり、相手の考えを知ることができたら...

なんて妄想を誰しも1度はしたことがあるのではないだろうか?

 

便利だろうなぁと漠然なイメージしかなかった私だが、本書を読んで考えを改めることになった。

 

「世の中そんな甘くはないな」

また便利以上の苦悩が待ってるだろう。

そうリアルに思わせてくれる、作りこまれ考え抜かれた作品だった。

 

あらすじ

嵐の晩だった。雑誌記者の高坂昭吾は、車で東京に向かう道すがら、道端で自転車をパンクさせ、立ち往生していた少年を拾った。何となく不思議なところがある少年、稲村慎司は言った。「僕は超常能力者なんだ」。その言葉を証明するかのように、二人が走行中に遭遇した死亡事故の真相を語り始めた。それが全ての始まりだったのだ......。

(引用:龍が眠る 裏表紙/宮部みゆき)

 

 

語り手である高坂昭吾は、自称超能力の稲村慎司との出会いをきっかけに、呼応するように次々と自身の回りでトラブルが起き始める。

 

取り外されたマンホール、白紙の脅迫状、縁を切ったはずの元彼女、そして二人の少年。

最後までワクワクが止まりません。

 

 

魅力

 少年は少年

たとえ超能力を持っているとしても、子供であることには変わらない。逆に言えば超能力を持っているだけで、他は普通の子供と変わらないのだ。

 

悩みもするし、わからないこともあるし、間違いもする。

 

そんな少年にスポットを当てた作品

超能力という非現実的な要素が出てくるのに現実離れした感がなく読めるのは、少年の超能力を持ってしまったがゆえの苦悩がリアルに描かれているからだろう。

 

  

高坂と生駒

全体的にシリアスな雰囲気が多く、どうしても物語が重たく感じてしまうかもしれない。

しかし、そんな雰囲気を和らげてくれるのが語り手である高坂と会社仲間の生駒である。二人のコミカルかつ諧謔的なやり取りは張りつめがちな緊張の糸を、フッと緩めてくれる。

 

 

事件の真相

複雑に絡み合った事件。特にラストの加速度的に真相に近づいていくのでページをめくる手が止まらなかった。