FGかふぇ

読書やらカフェ巡りが趣味。読んだ本、行ったカフェの紹介がメインのブログです。ごゆるりとどうぞ。

『まほり』の感想をネタバレなしで語っていく【高田大介】


およそ言葉というものは、欠けるにしても足されるにしても、形が変わるのに必ず動機を必要とする。なぜなら、放っておいたら勝手には変わらないというのが言葉のかなり重要な機能の一つだからだ。世の人が一般に信じているほどに言葉というものは闊達に変化したりなどしない。

(引用:まほりP292-293/高田大介)




待ちに待った高田大介氏の新作『まほり』

ファンタジー作品の著者の前作『図書館の魔女』とは違い、現実世界を舞台にした民俗ミステリーの『まほり』だったが、どんどん物語の世界に引き込まれるのは相変わらずで、あっという間に読み切ってしまった。



今回は読了後の率直な感想を重要なネタバレは避けて書いていく。


ネタバレや細かく内容に触れた感想・疑問・などは、まだ一度読んだだけで消化しきれていないので、再読したあとにじっくりと書く予定だ。


目次

感想

『図書館の魔女 霆たける塔』の発売を待ち続けること幾年。不意に発表された高田大介氏の新作である民俗ミステリー『まほり』の刊行決定。それは高田大介=図書館の魔女のイメージだった考えに一石を投じるものだった。


冷静に考えれば、ファンタジーではなく、こちらの分野こそが著者の本領なのでは…?という考えがよぎったし、実際読んであとでは、その考えも間違ってはいないのかもしれないと思った。


知識量と情報量が『図書館の魔女』並みかそれ以上で、舞台が現実世界というのもあり、史実をベースを展開される物語はリアリティの塊だった。

──要所要所は難しいが…

白文がでてきたり、知識量と情報量の圧倒的物量で会話が進んで行くところがあったり、歴史について深く突っ込んだりと、要所要所は間違いなく難解である。


だがしかし、白文でいえば登場人物たちがうまい具合に解説をしてくれたりと、なるべくスムーズに読み進められるようになっていた。


著者のブログで『「図書館の魔女」の手紙』について触れた記事で下記のような記述がある。

全体を遠景で眺めてみてもいけているし、顕微鏡で観察すればさらにどの切片にも驚きが含まれている。そうした、山川草木、自然の巧まざる構成美、みたいなものを文章でも実現できればと精進しております。

(引用:『図書館の魔女』の手紙 | 図書館の魔女 de sortiaria bibliothecae)

文字通り『まほり』ではこの言葉通りのモノが表現されていると思った。要所要所の難解な箇所を理解しきれなくても、全体の流れを追えれば物語としてワクワクするしゾクゾクする。


さらに細い箇所に注視していけば、驚きが散りばめられているのだろう。私は歴史、民俗、漢文などには疎いので、著者のいう「顕微鏡で観察」できる状況にはいないのだが、いずれは手探りでも分析したいと思っている(できるとは言ってない)。


──史実と虚構

大衆の歴史の裏に隠れて、普段は表立っては出てこない史実をベースとして物語は展開されていくわけだが、とにかく事実と虚構(フィクション)の境目がわからなくなるくらいリアルだった(流石に行き過ぎた村の風習とかは分かるが)。


ホントに、もしかしたらどこかにこんな村が…こんな風習が残されているんじゃないか…?と思わせてくれるほどに史実を背景に虚構が違和感なく飾られている。


あとは、膨大な史料から答えを読み解いていき、少しづつ物語の全体像が浮かび上がってくる様子がたまらなく面白い。また史料を読み解くにしても、フィールドワークや実体験の昔話からのアプローチを駆使しているのも物語に引き込まれるポイントだったと思う。


──明かされていく真実

二重丸の意味
裕の母親について
そして、タイトルの『まほり』


隠れていた真実が明らかになる瞬間が、どれも鳥肌モノだった。とくに『まほり』の謎が明らかされたときはゾッとしてページを進める手が止まったほどだ。コレをタイトルにするのか、という驚きと恐怖感。


あと恐怖感といえば、裕が聞く昔話も負けず劣らずで、あんな体験をしたらなかなかのトラウマになるだろう。「実態はわからないけど、何か怖い。得体が知れなくて不気味」というのは具体的に形がハッキリしているモノの恐怖感より、よっぽどに質が悪いと思う。


この昔話の箇所を読んでいると、形而下のものではなく、得体がしれないものが怖いと言っていた某魔女の気持ちがよくわかる。


──癒し

かといってこれまで挙げたように重い、難しい話ばかりではなく、裕と香織のフィールドワークの場面は読んでいて癒やされる。二人のやり取りも見所の一つだった。


何より「関係各所……」のくだりとか香織の勝鬨とか、思わずニヤける場面も多かった。あとおにぎりとかね。


──やっぱり”言葉”

『図書館の魔女』では”言葉”に秘められた強さをまざまざと見せつけられたので、『まほり』でも”言葉”そして”言語”についてどのように触れていくのか強く期待していた…が、これはね、やられましたよ。


ネタバレになるので詳しくは書かないが、物語最大のインパクトがあったとだけ言っておく。



最後に

『図書館の魔女』のマツリカといい、続編『烏の伝言』のエゴンといい、更には『まほり』のイチといい、著者は言葉を話す事ができない人物をキーにするのに何か拘りとかがあるのかな…?


それにしても『まほり』、大満足の一冊だった。丸一日かけて読破するつもりだったのにそれでも読みきれないほどの濃密さ、更に再読してもまだまだ発見があるだろうな、と思えるくらい作り込まれた物語。『図書館の魔女』でも分かっていたことだが、『まほり』を読んで著者に永遠に着いて行くことが確信に変わった。


あと余談だが、『まほり』本文にでてきた「雷霆」の言葉で、霆ける塔…!と連想してしまった読者は残念ながら私と同類です。諦めてください。



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【オススメ記事】






【59作品】オススメの小説をひたすらに紹介していく【随時更新】


次に何の小説読もうか迷っていませんか?
詳細はいいから、とにかく面白い小説を教えてくれ!!って方のために私が今まで読んだ中で面白かった小説(評価をつけるとしたら10点満点のうち9or10点の作品)をひたすらに挙げていく。テンポ重視であらすじとかは全カット。


また作品名の後には大まかな【ジャンル】も添えたので参考にどうぞ。


私の趣味的にファンタジーとミステリーの作品が多いのはご容赦ください。面白い作品と出会え次第、随時更新予定なのでまた時間をあけて覗いてもらえると嬉しい。
さっそくどうぞ!

作品紹介

──アガサ・クリスティ

1.そして誰もいなくなった 【ミステリー】

──有川浩

2.空の中 【SF・ミリタリー】

──乾石智子

3.夜の写本師 【ファンタジー】

──上橋菜穂子

精霊の守り人シリーズ 【ファンタジー】
4.精霊の守り人
5.闇の守り人
6.夢の守り人
7.虚空の旅人
8.神の守り人
9.蒼路の旅人
10.天と地の守り人

11.獣の奏者 【ファンタジー】
12.鹿の王 【ファンタジー】
13.鹿の王 水底の橋 【ファンタジー】

──小川一水

14.第六大陸 【SF】
15.天冥の標 【SF】
16.天冥の標 【SF】
17.天冥の標 【SF】

──小野不由美

十二国記シリーズ 【ファンタジー】
18.魔性の子
19.月の影 影の海
20.風の海 迷宮の岸
21.東の海神 西の滄海
22.風の万里 黎明の空
23.丕緒の鳥
24.図南の翼
25.黄昏の岸 暁の天
26.華胥の幽夢
27.白銀の墟 玄の月

──川村元気

28.四月になれば彼女は 【恋愛】

──沢村凜

29.黄金の王 白銀の王 【ファンタジー】

──ジェイムズ・P・ホーガン

30.星を継ぐもの 【SF】
31.ガニメデの優しい巨人 【SF】
32.巨人たちの星 【SF】
33.内なる宇宙 【SF】

── 高田大介

34.図書館の魔女 【ファンタジー】
35.図書館の魔女 烏の伝言 【ファンタジー】
36.まほり 【ミステリー】

──ダン・ブラウン

37.天使と悪魔 【ミステリー】
38.ダ・ヴィンチ・コード 【ミステリー】
39.インフェルノ 【ミステリー】
40.オリジン 【ミステリー】
41.デセプション・ポイント 【ミステリー】

──辻村深月

42.スロウハイツの神様【ミステリー】

──七月隆文

43.ぼくは明日、昨日の君とデートする 【恋愛】

──中山七里

44.さよならドビュッシー 【ミステリー】

──支倉凍砂

45.狼と香辛料シリーズ 【ファンタジー】
(現在22巻まででている)

──東野圭吾

46.マスカレード・ホテル 【ミステリー】
47.マスカレード・ナイト 【ミステリー】
48.ナミヤ雑貨店の奇蹟 【ミステリー】
49.容疑者Xの献身 【ミステリー】
50.真夏の方程式 【ミステリー】
51.白夜行 【ミステリー】
52.夢幻花 【ミステリー】

──三浦しをん

53.船を編む 【青春】

──宮下奈都

54.羊と鋼の森 【青春・文学】

──森博嗣

55.すべてがFになる 【ミステリー】
56.有限と微小のパン 【ミステリー】

──柚月裕子

57.盤上の向日葵 【ミステリー】

──劉慈欣(りゅう・じきん)

58.三体 【SF】
59.三体2 黒暗森林 【SF】

最後に

詳しくあらすじやポイントも知りたい!って方は、コチラでオススメの14作品を紹介しているのでよろしければどうぞ。



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【オススメ記事】






普通の恋愛小説が飽きたあなたへ『四月になれば彼女は』のあらすじ・紹介【川村元気】

「 でも僕、思うんです。人は誰のことも愛せないと気付いたときに、孤独になるんだと思う。それって自分を愛していないってことだから」

(引用:四月になれば彼女は P250/川村元気)


ありきたりな恋愛小説に飽きたあなたへ。
心躍る恋心から人間らしい欲望を孕む生々しさまで、振り幅のある表現で描かれる『四月になれば彼女は』。人間の真理が見えてしまうような恋愛模様に、思わず息をのむ瞬間があるはずだ。


裏表紙のあらすじには、異形の恋愛小説なんて紹介があったがまさにその通り。今まで自分が持っていた価値観や常識が、手ですくった砂のようにサラサラとこぼれ落ちていく、私はそんな感覚を味わった。


そんな川村元気の『四月になれば彼女は』を重要なネタバレは避けて紹介していく。


目次

【書籍情報】

タイトル:四月になれば彼女は
著者:川村元気
出版社:文春文庫
ジャンル・要素:恋愛
ページ数:274ページ
刊行年:2019年7月10日
映像化:なし(2019年9月現在)
読後感:すっきり、考えさせられる


あらすじ

4月、精神科医の藤代のもとに、初めての恋人・ハルから手紙が届いた。だか藤代は1年後に結婚を決めていた。愛しているのかわからない恋人・弥生と。失った恋に翻弄される12ヶ月がはじまる──なぜ、恋も愛も、やがては過ぎ去ってしまうのか。川村元気が挑む、恋愛なき時代における異形の恋愛小説。

(引用:四月になれば彼女は 裏表紙/川村元気)

章題も『月』で統一されていてとっても印象的

四月になれば彼女は
五月の横顔
六月のいもうと
七月のプラハ
八月の嘘
九月の幽霊
十月の青空
十一月の猿
十二月の子供
一月のカケラ
二月の海 
三月の終わりに彼は


 

──「いまわたしは、ボリビアのウユニにいます。」

物語は、主人公の藤代の元に届いた一通の手紙で、幕を開ける。それは大学時代の恋人であったハルからの9年越しに便りだった。


手紙は、日本から見たら地球の果て、ボリビアのウユニから送られてきていた。そこには、ハルの現状と9年前に秘めた思いが綴られていた。


どうして彼女は1人で旅に出たのだろう?
どうして彼女はかつての恋人に手紙を送ったのだろう?
そして……この二人はどうして別れてしまったのだろう?

たった4ページに書かれた手紙は、読者を物語に没頭させるだけの魔力を持っている。


──大学時代、写真部での出会い

藤代とハルは大学の写真部で出会う。先輩である藤代が新入部員であるハルに指導をする所から、二人の関係が始まっていくわけだが……二人が恋に落ちていく様子がキュンキュンしてたまらない。


自分が他人を好きになる瞬間、または自分はこの人の事が好きなんだな……って気づく瞬間。ハッキリとはわからなくても、なんとなくの経験はあるかと思う。


その恋に気づいた瞬間のシチュエーションがもうずるい。ハルが撮った写真に写っていた藤代自身の笑顔が、自分でも見たことないくらい輝いていたものだった……そこで自身の恋心に気づくって、最高だと思いません?


そんな幸せに浸っていく二人だったが……。


──付き受けられる現実

2章目である『五月の横顔』では、幸せな大学時代の雰囲気とは一変して、物語は大学時代から9年経った時系列で始まる。


そこで読者が突き付けらる現実が藤代がハルとは付き合っておらず、ハルとは違う婚約者・弥生と付き合っているという点だ。


三年間の同棲を経て、すでに結婚を決めていた藤代と弥生。だがしかし、幸せを迎えるはずの結婚式の打ち合わせでもどこか影が伺える二人の関係。


そんなタイミングで藤代の元に、ボリビアからハルの手紙が届くのだ。ただでさえ先の読めない展開に焦燥感が加速され、後戻りできなくなる。


はたして、あんなに仲睦まじかった藤代とハルに何があったのだろう?
何故、ハルは手紙を書いたのだろう?
藤代と弥生の関係はどこへ向かっていくのか?


──幸せな時間は永遠には続かない

思わず心惹かれるような、淀みのない、澄んだ表現も登場するなか、それ以上に心に刺さってくるのは、人間が奥底に抱えるリアルな感情、そして現実だ。


そんなハッとしてしまうモノの一部を引用しておく。

「愛情といえば何もかもが許されるのが嫌なんですよ。愛し合うふたりは無条件で美しくて素晴らしいものだという感じが」

(引用:四月になれば彼女は P99/川村元気)

「誰かのことを心から愛している、と思えるのは一瞬だしね」
〈中略〉
「その一瞬が永遠に続くはずだ、というのは幻想ですよ。それなのに、男と女が運命的に出会って恋に落ち、一生の伴侶として愛し合うということが前提になっているのがおかしい。誰と恋愛しても行き着くところは一緒なんです。だから結婚の先のセックスレスだって当然のことだと思いますけど」

(引用:四月になれば彼女は P100/川村元気)

愛を終わらせない方法はひとつしかない。それは手に入れないことだ。決して自分のものにならないものしか、永遠に愛することはできない。

(引用:四月になれば彼女は P198/川村元気)



まだまだ引用して紹介したいところだがこのくらいにしておく。
『四月になれば彼女は』では、ページをめくる手を止めて、一言一言を噛み砕くように消化しなければならなくなる瞬間がいくつもあるはずだ。是非とも物語を堪能しながら、自分の価値観と摺り合わせながら読み進めてみてほしい。


最後に

この物語の解説をあさのさつこさんが書いてくれているのだがその一部を引用しておく。

軽やかに生きていきたいと望む人は、すてきな恋をしたいと願う人は、すてきな恋をしていると公言できる人は、誰かが愛しくて、幸せにしてくれると信じている人は、読書は楽しくてためになると口にする人は、この本を読まないほうがいいと思う。残酷なシーンなど一つも出てこない最上等の残酷な物語、わたしの、あなたの、人間の正体に肉薄する物語。 うん、やっぱり怖い、怖すぎる。

(引用:四月になれば彼女は P281)


「残酷なシーンなど一つも出てこない最上等の残酷な物語」そう、この解説に私が言いたかったことが詰まっている。恋愛というキレイな幻想の裏側、人々が見ようとしない部分をさらけ出している残酷な物語。だがしかし、そんな幻想と知ってなお、葛藤する主人公の姿が胸をうつのだろう。



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『四月になれば彼女は』の感想を好き勝手に語る。常識が崩れ落ちる異形の恋愛小説【川村元気】

愛を終わらせない方法はひとつしかない。それは手に入れないことだ。決して自分のものにならないものしか、永遠に愛することはできない。

(引用:四月になれば彼女は P198/川村元気)


とんでもない物語を手にとってしまった。なんの気なしに読み始めた恋愛小説に、こんなに息が詰まるほど心揺さぶられるとは思いもしなかった。


今回は川村元気『四月になれば彼女は』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はコチラの紹介をどうぞ。

『四月になれば彼女は』のあらすじ・紹介


目次

あらすじ

4月、精神科医の藤代のもとに、初めての恋人・ハルから手紙が届いた。だか藤代は1年後に結婚を決めていた。愛しているのかわからない恋人・弥生と。失った恋に翻弄される12ヶ月がはじまる──なぜ、恋も愛も、やがては過ぎ去ってしまうのか。川村元気が挑む、恋愛なき時代における異形の恋愛小説。

(引用:四月になれば彼女は 裏表紙/川村元気)


感想

物語の始まりを告げる一通の手紙で、私はもう『四月になれば彼女は』から後戻りができなくなってしまった。


かつての恋人に宛てた9年ぶりの手紙。それは日本から遥か彼方、ボリビアのウユニから送られてきた。

どうして彼女は1人で旅に出たのだろう?
どうして彼女はかつての恋人に手紙を送ったのだろう?
この二人はどうして別れてしまったのだろう?

たった4ページに書かれた手紙は、私を物語に引き込むだけの魔力を持っていた。




──読みながら思ったこと

物語序盤で衝撃だったのが、学生時代の藤代とハルが互いに惹かれ合い結ばれたにも関わらず、次の場面では月日が流れ数年後、藤代とハルはすでに別れていて、藤代は弥生との結婚を控えている事がわかる。


あんなに仲睦まじかった藤代とハルに何があったのだろう?
何故、ハルは手紙を書いたのだろう?
そして、幸せを迎えるはずの結婚式の打ち合わせもどこか影が伺える藤代と弥生。ただでさえ先の読めない展開に焦燥感が加速され、後戻りできなくなった。


あともう一つ、物語序盤で惹かれた箇所があって、それが藤代がハルの事を好きだと自覚するシーン。


ハルがいつの間にかに撮った藤代の横顔。自分でも見たことがない笑顔を見て、藤代はハルが好きだと気づく……え?なにその展開、最高か?


その後の展開で告白シーンがすっごい唐突なんだけど、それもそれで勢いがあって、本当に惹かれ合った二人なんだなぁと思わされる。


だからこそ読者目線で見ると、二人はすでに別れることが分かっている訳で、幸せな場面を見ているはずなのに、ひどく残酷な気持ちになってしまった。


物語に読み進めるうちに自分が一番気になっていたのが、『藤代とハルはどんな再開を果たすのか』という点。


愛し合いながらも別れてしまった二人が、9年の月日を経て、何を想い再び対面することになるのか。それが気になっていたので、ハルがすでに死んでしまったという事実を突き付けられたときには、ハンマーで思いっきりぶっ叩かれたような衝撃だった。

惹かれた表現・台詞など

とにかく心を揺さぶられる台詞が多いこと多いこと…。いくつかピックアップしていく。

「 写真に惹かれるということは、それを撮っているカメラマンの心に惹かれるということだ」

(引用:四月になれば彼女は P51/川村元気)
ハルと大島の会話より。

わたしは時計ではなく”時間”を撮りたかったのだと。

(引用:四月になれば彼女は P82/川村元気)
ハルの手紙より。

「 でも皮肉じゃない?自分のためだけに何十人、何百人も集まってくれるのって、結婚式とお葬式だけで。だけどその人生の一大イベントが、流れ作業で回っているわけだから」

(引用:四月になれば彼女は P103/川村元気)
藤代と弥生の会話より。
気づきたくなかった事実。

「昔は恋愛なんていつでもできると思ってたんだけどな。いまとなれば、それが物語のなかにしかなかったということに気づいたわけで」

(引用:四月になれば彼女は P125/川村元気)
藤代とタスクの会話より。

この国の天気雨は、いつでも虹を連れてくるのです。

(引用:四月になれば彼女は P160/川村元気)

ハルの手紙より。
ハルの言葉の選び方、感性がとっても好き。


「動物から見て、僕たち人間はどう見えますか?」
藤代は、檻から長い首だけを出してこちらを見ているキリンを見やる。
「僕ら以上に君達は退屈そうだ」
弥生は目の前で草を食むキリンの口の動きに合わせて、ふざけた口調で言う。
「そうですかね?」
「ああそうさ。檻の外にいるのに、まるで自由に見えない」

(引用:四月になれば彼女は P190/川村元気)

藤代と弥生の動物園デートより。

「神経衰弱みたいなものだと思うんです。一緒に時間を過ごしながら、伏せられているカードを一枚一枚めくって、自分と同じ部分を見つけていく。美しいところも、弱いところも。そうやって、少しずつ誰かを好きになっていくのかなと」
「でも女からすると、男のカードの少なさにいつもがっかりするの。男の見えない部分なんてわずかだし、とにかく手札が少ない。カードが全部めくれてしまったときに、次にするべきゲームは残されているのか、不安になる」

(引用:四月になれば彼女は P195/川村元気)

藤代と弥生の会話より。

愛を終わらせない方法はひとつしかない。それは手に入れないことだ。決して自分のものにならないものしか、永遠に愛することはできない。

(引用:四月になれば彼女は P198/川村元気)


東京を発つ頃に降り出した雨は、次第に春の雪へと変わっていった。

(引用:四月になれば彼女は P226/川村元気)

「 でも僕、思うんです。人は誰のことも愛せないと気付いたときに、孤独になるんだと思う。それって自分を愛していないってことだから」

(引用:四月になれば彼女は P250/川村元気)
藤代とタスクの会話より。

わたしは、わたしに会いたかった。
あなたのことが好きだった頃のわたしに。

(引用:四月になれば彼女は P263/川村元気)
ハルの手紙より。
どうして好きなのか説明はできないけど、この一文が一番好きかもしれない。

読み終えて

川村元気の作品は今回の『四月になれば彼女は』で初めて体験した。なんともとんでもない作家に出会ってしまったと思う。


彼の描く世界観を知ってしまった今、著者の他の作品に手を出したいと思う期待と、今まで知らなかった…知らないほうがよかったと思える後悔とが、自分の中でせめぎ合っている。


裏表紙のあらすじには、異形の恋愛小説なんて紹介があったがまさにその通り。今まで自分が抱いていた恋愛や結婚に夢を見る気持ち、当たり前だと信じていた常識が、手ですくった砂のようにサラサラとこぼれ落ちていく、そんな感覚を味わった。



「恋愛は美しく、正しいもの」そんな幻想を否定していく登場人物たち。そんな彼らが巡り巡って辿りついた答えだからこそ心に響くものがあったのだと思う。




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『神の守り人』の感想を好き勝手に語る【上橋菜穂子】

「悪人を裁いてくれるような神がいるなら、この世に、これほど不幸があるはずがない。……そう思わないかい?」

(引用:神の守り人〈下〉P136-137/上橋菜穂子)


守り人シリーズの『神の守り人』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。


目次

感想

──伝説・伝承を追って

上橋菜穂子の特徴といったら、ファンタジーの世界というのを忘れてしまうほどの隙がない綿密な世界観、そしてその世界に生きる多様な民族、更にはその民族たちが生きてきた歴史や伝説・伝承がリアルに描かれていることだ。


守り人シリーズに共通している事だが、特に今回の『神の守り人』では伝説・伝承をめぐる物語といっていいのではないだろうか。


一つの真実の歴史をいくつもの部族からの視点で語られているが、自分たちの都合のいいように解釈、歪曲されて伝承されている様は現実の歴史とも共通する点だ。


スファルたちカシャル〈猟犬〉は、タルハマヤが降臨した結果を悪夢の歴史と語り、チキサの母は、タルハマヤが降臨したことで戦のない世界を作り上げたと語る。誰の話が正しく語り継がれてきた歴史なのか、真実なのか。


──ラストシーン

「この子は、どちらかというと、臆病で、こわがりだったよね。
それなのに、畏ろしい神の力を使えるようになって、憎しみを思う存分たたきつける快感を知っても、人を殺すまいと思った。それよりは、神をわが身に封じようとした。……そんなこと、わたしには、とてもできないよ」

(引用:神の守り人〈下〉P315/上橋菜穂子)

上の引用は、物語の終盤でバルサがチキサたちに語っているシーン。


『そんなこと、わたしには、とてもできないよ』
この言葉は、チキサたちを励ますための言葉でもあっただろうが、バルサの本心でもあったと思う。


回想シーンであったようにバルサは幼い頃、怒りに任せて人を痛めつけてしまった経験があった。そのときの憎しみによる快楽の経験を知っていたからこそ、それ以上に追い込まれたアスラが、憎しみに流されずに己にタルハマヤを封じ込めることができたことを素直に驚いていたのだろう。


眠り続けるアスラを抱いて、彼女とチキサに語りかけるこのラストは印象深い。バットエンドではないが、心のどこかでは「結局、すべてが丸く収まるのだろう」とたかをくくっていたせいで、アスラが目覚めないまま終幕するなんて虚をつかれた思いだった。

彼女が目覚める日はくるのかな……。

──名言

「たしかにね。──でも、他人をあっさり見捨てるやつは、自分も他人からあっさり見捨てられるからね」

(引用:神の守り人〈下〉P106/上橋菜穂子)

「悪人を裁いてくれるような神がいるなら、この世に、これほど不幸があるはずがない。……そう思わないかい?」

(引用:神の守り人〈下〉P136-137/上橋菜穂子)

「わたしには、タルの信仰はわからない。タルハマヤが、どんな神なのかも、しらない。
だけどね、命あるのもを、好き勝手に殺せる神になることが、幸せだとは、わたしには思えないよ。……そんな神が、この世を幸せにするとも、思えない」

(引用:神の守り人〈下〉P139/上橋菜穂子)



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【オススメ記事】






『精霊の守り人』の感想を好き勝手に語る【上橋菜穂子】


言わずと知れた和製ファンタジー作品の代表作、上橋菜穂子の『精霊の守り人』の感想を語っていく。ネタバレには触れていくので未読の方はご注意を。


感想

著者の他作品である『鹿の王』『獣の奏者』はすでに読み終えており、上橋菜穂子氏の作品ならば間違いない!とハードルを上げて『精霊の守り人』に挑んだ。


いざ、読み始めてみるとそんな上げ過ぎたであろうハードルもやすやすと飛び越えて、『精霊の守り人』の世界の虜になった。あと何がいいってまだまだ続きの物語『闇の守り人』などの続編があるって点だよね。


『精霊の守り人』では後々活躍する登場人物たちが沢山いるが、特筆すべきなのは、やはりチャグムとバルサの二人。


身分、育った環境などまったく違う二人だが何故か重なる部分がある。それを一番に感じたのが、バルサがチャグムを守る事に幸せを感じると打ち明けたシーン。すべてを捨てることになったチャグムと、昔のバルサの姿が読んでいて被って見えた。


過去にジグロに守られて育ったバルサが、チャグムを用心棒としての仕事で守る訳ではなく、慈愛の心を持って守っている姿(厳密に言えばニノ妃から宝をもらってはいるが)も過去のジグロと今のバルサがシンクロしているように思えた。


ジグロから見たバルサと、バルサから見たチャグム、境遇こそ異なれどいざ『守る』立場になったときに、バルサが自分の気持ち、そして過去に語ったジグロの想いに気付いたシーンは……大好きだなぁ。ジグロのセリフもこころにぶっ刺さる。

「 十六の時にジグロに、別れようっていったんだ。わたしはもう、自分の身は自分で守れる。追っ手に負けて死んだら死んだで、それがわたしの人生だって。もうジグロには充分たすけてもらった。もういいから、他人にもどって、どうか自分の一生を生きてくれって、ね」
チャグムは口の中でつぶやいた。
「ジグロは、なんて?」
「いいかげんに、人生を勘定するのは、やめようぜ、っていわれたよ不幸がいくら、幸福がいくらあった。あのとき、どえらい借金をおれにしちまった。……そんなふうに考えるのはやめようぜ。金勘定するように、過ぎてきた日々を勘定したらむなしいだけだ。おれは、おまえとこうして暮らしているのが、きらいじゃない。それだけなんだ、ってね」
バルサは、短刀を布でふいてチャグムに返した。
「そういわれたのに、わたしも馬鹿だよね。これまでずっと人の命を金に換算して、用心棒をやってきちまった。だから、いくど命を救っても、ちっとも、すっきりしなかったんだろうよ」

(引用:精霊の守り人 P246-247/上橋菜穂子)


ジグロの想いをバルサが受け継ぎ、さらにそれをチャグムに伝えている。このようなバルサたちの想いをチャグムが胸に抱えて生きていったから、心優しい人物に育ってくれたのかなぁと感じた(それがわかるのは先の話だが)。

最後に

チャグムの母親である二ノ妃。彼女もなかなかの肝っ玉と判断力のある人物だったなぁと今になって思う。状況上バルサしか頼れる人物がいなかったのでしかながなかったとはいえ、金で動く用心棒であり、ただの短槍使いの彼女に息子を託すなんて、まぁできることではない。


シリーズ4作目にあたるチャグム視点の物語『虚空の旅人』の解説で『精霊の守り人』について触れていたのだが、その解説で小谷真里さんも同じく、ニノ妃について私と同じ感想を持っていたのだが、そのときの表現が忘れられない。

新ヨゴ皇国の帝は、国民にとってはいわば神の生き物。たいへんな信仰の対象になっているのに、バルサはそれに見習うわけでもない。たとえ、身分の高い妃に会うときも、きっとまっすぐな瞳で彼女を見つめただろうな、と推察される。
それを無礼と断定しなかったニノ妃の判断は、なにかとても無謀なだけれど、じつはあまりに正しかった。

(引用:虚空の旅人 P385/上橋菜穂子)



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『虚空の旅人』の感想を好き勝手に語る【上橋菜穂子】


「……そなたの才能を、政だけにすり減らすな。驚きをもって異界を見るまなざしを決ししてくもらせないでくれ」

(引用:虚空の旅人 P380/上橋菜穂子)

上橋菜穂子氏による大人気シリーズ、『守り人』シリーズの外伝『虚空の旅人』の感想を語っていく。


ネタバレありなので未読の方はご注意を。

感想

『妖精の守り人』、『闇の守り人』、『夢の守り人』と順番に読み進めてきてからの今回の『虚空の旅人』。初のチャグム視点の物語だったが、相変わらず期待を裏切らない面白さに大満足だった。


バルサ、タンダ、トロガイは登場せず(名前だけなら出てくるが)、皇太子であるチャグムを主人公にした物語なこともあって、アクションシーンは少なめなものの、チャグムの視点で語られる国同士の駆け引きや陰謀が今までにないシリーズの展開で面白い。


初登場では11歳で弱々しかった少年が14歳となり、今までの王と同じではなく、自分の道を歩み始めたチャグムが、一本太い芯の通った皇太子に成長していたのが印象的。登場人物たちの成長が垣間見えるのがシリーズ作品を追っている醍醐味でもあるよね。


自らの立場をわきまえつつ、助けの手を差し伸べられたら全力で答えようとするチャグムの姿が、なんだかバルサの姿と重なるようで、バルサの影響をうけつつ成長してくれたのだなと思うと胸が熱くなる。バルサから教わった護身術を続けてる所とか、いつかそれを披露したいと思っている所とか健気……。またバルサとチャグムのやり取りを見たい……きっとあるよね。


このシリーズにだいたい共通するのだが、タイトルの意味が明かされるシーンがたまらなく好き。タイトルに秘められた想いなど、知ってしまったらこれ以上のタイトルはないと感じさせてくれる。

「わたしは、あえて、この危うさをもち続けていく。天と海の狭間にひろがる虚空を飛ぶハヤブサのように、どちらとも関わりながら、どちらにもひきずられずに、ひたすらに飛んでいきたいと思う。
そして、いつか新ヨゴ皇国を、兵士が駒のように死なない国に……わたしが、薄布など被らずに、民とむきあえる国にしたいと思う。〈略〉」

(引用:虚空の旅人 p379-380/上橋菜穂子)



ちなみに虚空の意味は

(出典:「虚空(キョクウ)」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書

今作は『虚空〈こくう〉の旅人』だが、虚空〈きょくう〉の意味に「むなしいこと。」とある。


先程の引用にチャグムの決意が明かされているわけだが、頼もしいと思うと共になんだが、とても寂しいように……むなしいように感じてしまった。


「どちらとも関わりながら、どちらにもひきずられずに、ひたすらに飛んでいきたいと思う。」
王族の人間とも民とも、深い関係を築くことなく孤独に生きていくと宣言しているようで、この一文がとくに突き刺さった。


こう宣言できるのは、心の支えとしてバルサやタンダたちがいるからなのかな…と。はやく『夢の守り人』のときのように少しでもいいから再開してほしい。


あと、「そして、いつか新ヨゴ皇国を、兵士が駒のように死なない国に……」とあったが、このセリフで一番に浮かんだのが、守り人シリーズとはまったく関係ないけど、某図書館の軍師様なんだよなぁ……。

(ファンタジー大好きなみなさま、『図書館の魔女』オススメです。)


最後に

あとがきを読んでいてハッとさせられたのが、チャグムが救われたって点。

『精霊の守り人』を書いていたとき、私はすっかりバルサの気分になっていたもので、たったひとり冷たい宮へ戻っていかねばならないチャグムがかわいそうでなりませんでした。物語を書き終わる頃には、すっかり、このやんちゃで真直ぐなチビスケが好きになっていたからです。

(引用:虚空の旅人 P381/上橋菜穂子)

このあとがきを読んでシリーズ化されてよかったなぁと心から思った。『精霊の守り人』では確か、ラストシーンでチャグムが自ら決意を固めて、バルサたちから離れて宮へ戻っていったと思うのだけど、私も著者と同じ気持ちで、王族として生まれたことで縛られるチャグムがかわいそうで仕方がなかった。


だからこそ『虚空の旅人』では成長した、そして一時とはいえ宮を離れて生き生きとしたチャグムをみれて本当によかった。



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