FGかふぇ

読書やらカフェ巡りが趣味。読んだ本、行ったカフェの紹介がメインのブログです。ごゆるりとどうぞ。

『図書館の魔女』の感想・考察・紹介などの記事まとめ


『図書館の魔女』関連の記事が増えてきたので一覧でまとめた。


目次

──1.紹介

『図書館の魔女』ならびに『図書館の魔女 烏の伝言』を知らない方向けの記事。あらすじやオススメポイントを紹介。
【図書館の魔女のあらすじ・紹介】

【図書館の魔女 烏の伝言のあらすじ・紹介】

  

──2.感想

ネタバレありの感想。『図書館の魔女』の感想は、巻ごとに分けて書くつもりが1巻しか書いてない…。好きだからこそ逆に書けない現象。いずれは書きたい。
【図書館の魔女 1巻の感想】

【図書館の感想 烏の伝言の感想】

【『小さな欠片を未来に届ける』】

  

──3.疑問・考察

登場人物や高い塔についての疑問や考察。
【高い塔についての考察】

【マツリカの両親についての疑問】

【キリヒトについての考察】

【ニザマ、ミツクビたちについての考察】

  

──4.まとめ

『図書館の魔女』の全登場人物たちまとめ。内容は特徴や簡単な考察など。またマツリカの名言集など。ネタバレありなので読後に読むことをオススメする。
【図書館の魔女の登場人物まとめ】

【図書館の魔女 烏の伝言の登場人物まとめ】

【マツリカの名言集】

【高田大介氏の小説一覧】


──5.二次創作

さよさん(Twitter)が主催の『図書館の魔女』のイラスト・感想・考察・二次創作をまとめた同人誌についての感想。『感想本2』はまだ販売されているので興味ある方は是非。
【購入はコチラから】


着地点を失っている二次創作。





【オススメ記事】






【20作品】2019年下期に読んだ小説を5段階で評価する&ベスト5紹介【一言感想】


今回は私が2019年下期(7〜12月)に読んだ小説20作品を5段階評価で好き勝手に感想を書いていく。


そして、後半は下期に読んだ小説の面白かった作品ベスト5をあらすじなどと共に紹介していく。2019年に発売した小説ではなく、あくまで私が7〜12月に読んだ小説なのでご注意を。



目次

1.読んだ小説・一言感想

十角館の殺人/綾辻行人
☆☆☆
周りの評判は良かったけど合わなかった、趣味の問題。ガッチガチのクローズドサークルものって苦手な事に気づいた。


精霊の守り人/上橋菜穂子
☆☆☆☆☆
言わずと知れた和製ファンタジーの王道。著者の他作品はすでに読んだことがあったのでハードル上がってたけど、やすやすとその期待に応えてくれるんだから流石。


闇の守り人/上橋菜穂子
☆☆☆☆☆
『守り人シリーズ』で1、2を争うくらい好き。バルサとジグロの過去の清算がめっちゃ心に響く。


夢の守り人/上橋菜穂子
☆☆☆☆
ヒリヒリするようなチャグムと帝のやり取りが面白い。あとはなんと言っても”二人”の再開シーンだよね。


虚空の旅人/上橋菜穂子
☆☆☆☆
皇太子であるチャグムを主人公にした物語。バルサがでて来ないことでアクションシーンは少なめなものの、チャグムの視点で語られる国同士の戦いや陰謀が今までにないシリーズの展開が熱い。


神の守り人/上橋菜穂子
☆☆☆☆
”あの子”は助かるのかな…。代償が伴うのは当然としても、このままは悲しすぎる。


蒼路の旅人/上橋菜穂子
☆☆☆☆☆
続きが気になりすぎて、速攻で続編買った。それくらい最高の終わり方。


天と地の守り人 ロタ王国編/上橋菜穂子
☆☆☆☆
ラストが…いい
更に続きが気になる。


天と地の守り人 カンバル王国編/上橋菜穂子
☆☆☆☆
名前をつけたら別れがつらくなる。だからコイツには名前をつけないんだってこれ十二国記の『図南の翼』でもあったなぁってふと思い出した。


天と地の守り人 新ヨゴ王国編/上橋菜穂子
☆☆☆☆☆
チャグムやバルサはもちろん、登場人物みんなカッコいいわ…。
長編物語のラストほど難しいものはないよなぁと思うけど、守り人は納得の結末。


まほり/高田大介
☆☆☆☆☆
私の大好きな『図書館の魔女』の高田大介氏による待望の新作。
著者の本領が見えた気がする。『まほり』の意味が明かされたときの鳥肌がハンパない。


天気の子/新海誠
☆☆☆☆
映画に魅せられてその勢いで本まで読んだ。
まぁ新海誠を楽しむなら映画が一番だね。


スミソニアンの王冠/ジェームズ・ロリンズ
☆☆☆
復活した古代の最強昆虫vs人類
設定は面白いし、内容も練られてるんだけど、途中で飽きてしまった。


白銀の墟 玄の月/小野不由美
☆☆☆☆☆
18年の歳月を経て復活した十二国記の新作。
『魔性の子』から始まった泰麒のストーリーがやっと一段落…なのかな?まだまだ彼らの今後が見たい。


図書館の魔女/高田大介
☆☆☆☆☆☆
(再読)
登場人物に注目してあっさり読むはずが、結局ガッツリ全部読んでしまった。
『図書館の魔女』の登場人物を全員まとめて紹介する【高田大介】 - FGかふぇ


図書館の魔女 烏の伝言/高田大介
☆☆☆☆☆
(再読)
同上。
『図書館の魔女 烏の伝言』の登場人物を全員まとめて紹介する【高田大介】 - FGかふぇ


狐笛のかなた/上橋菜穂子
☆☆☆☆
そっちかああぁぁ!
終わり方が最高に好き。二人は真っ直ぐだなぁ。


スロウハイツの神様/辻村深月
☆☆☆☆☆
コウちゃんが…ずるい。
上巻の物語の引き込みから怒涛のラストまで寝食を忘れて没頭できる一冊。


さよならドビュッシー/
☆☆☆☆☆
予想外の展開に大満足
ピアノの旋律が聴こえてきそうなほど丁寧な描写、ミステリーとしても間違いなく上質。あなたもきっと騙される。


4月になれば彼女は/川村元気
☆☆☆☆☆
裏表紙のあらすじには、異形の恋愛小説なんて紹介があったがまさにその通り。今まで自分が抱いていた恋愛や結婚に夢を見る気持ち、当たり前だと信じていた常識が崩れ落ちていく、そんな感覚を味わった。


2.2019年上期ベスト5

前回まではベスト3までの紹介だったが、今回は読んだ冊数こそ少なかったものの、惹き込まれた作品ばかりで絞りきれなかったので3作品から5作品に増やした。あなたが興味を惹かれるきっかけになれば幸いだ。では、早速どうぞ!


5位:精霊の守り人シリーズ

──あらすじ

 老練な女用心棒のバルサは新ヨゴ皇国の二ノ妃から皇子チャグムを託される。精霊の卵を宿した息子を疎み、父帝が差し向けてくる刺客や異界の魔物から幼いチャグムを守るため、バルサは身体を張って戦い続ける。建国神話の秘密、先住民の伝承など文化人類学者らしい緻密な世界構築が評判を呼び、数多くの受賞歴を誇るロングセラーがついに文庫化。痛快で新しい冒険シリーズは今始まる

(引用:精霊の守り人 裏表紙/上橋菜穂子)


──言わずと知られた和製ファンタジーの代表作
小さいときから読書家だった方なら必ずと言っていいほど通るであろう上橋菜穂子作品。そしてその中でもとくに有名なのがこの『精霊の守り人』シリーズ


児童書という枠組みでもあるので、子供向けの作品なんじゃないの?と思われる方もいると思うが、ところがどっこいこのシリーズ、大人が読んでも面白い


純粋な気持ちでストーリーを楽しめる子供時代に出会ったとしても間違いなく面白いだろうし、大人になってから読んで思ったのは、世界観の緻密さ、登場人物たちの関係性や気持ち、著者の民族学者ならではの知識を生かしての物語…ホント、シンプルに面白い点が多すぎて物語の世界に没頭してしまった。


それでありながらキャラクターたちがそれぞれ魅力的で、彼らの会話のやり取りも読みやすい。そしてストーリーも小気味よく進むのでサクサクと読み進めることができることから子供向けというのも納得だ。


大人になった今だからこそ、年齢の近い主人公の気持ちがよくわかって、もしかしたら子供時代に読むときより、楽しむことができる一冊かもしれない。




4位:4月になれば彼女は

──あらすじ

4月、精神科医の藤代のもとに、初めての恋人・ハルから手紙が届いた。だか藤代は1年後に結婚を決めていた。愛しているのかわからない恋人・弥生と。失った恋に翻弄される12ヶ月がはじまる──なぜ、恋も愛も、やがては過ぎ去ってしまうのか。川村元気が挑む、恋愛なき時代における異形の恋愛小説。

(引用:四月になれば彼女は 裏表紙/川村元気)


──ありきたりな恋愛小説に飽きたあなたへ
心躍る恋心から人間らしい欲望を孕む生々しさまで、振り幅のある表現で描かれる『四月になれば彼女は』。人間の真理が見えてしまう恋愛模様に、思わず息をのむ瞬間があるはずだ。


裏表紙のあらすじには、異形の恋愛小説なんて紹介があったがまさにその通り。今まで自分が持っていた価値観や常識が、手ですくった砂のようにサラサラとこぼれ落ちていく、私はそんな感覚を味わった。


物語は、主人公の藤代の元に届いた一通の手紙で幕を開ける。それは大学時代の恋人であったハルからの9年越しに便りだった。


手紙は、日本の真反対のボリビアのウユニから送られてきていて、「いまわたしは、ボリビアのウユニにいます。」から始まる手紙にはハルの現状と9年前に秘めた思いが綴られていた。


どうして彼女は1人で旅に出たのだろう?
どうして彼女はかつての恋人に手紙を送ったのだろう?
そして……この二人はどうして別れてしまったのだろう?

たった4ページに書かれた手紙は、読者を物語に没頭させるだけの魔力を持っている。


この物語の解説をあさのさつこさんが書いてくれているのだがその一部を引用しておく。

軽やかに生きていきたいと望む人は、すてきな恋をしたいと願う人は、すてきな恋をしていると公言できる人は、誰かが愛しくて、幸せにしてくれると信じている人は、読書は楽しくてためになると口にする人は、この本を読まないほうがいいと思う。残酷なシーンなど一つも出てこない最上等の残酷な物語、わたしの、あなたの、人間の正体に肉薄する物語。 うん、やっぱり怖い、怖すぎる。

(引用:四月になれば彼女は P281)


「残酷なシーンなど一つも出てこない最上等の残酷な物語」そう、この解説に私が言いたかったことが詰まっている。恋愛というキレイな幻想の裏側、人々が見ようとしない部分をさらけ出している残酷な物語。だがしかし、そんな幻想と知ってなお、葛藤する主人公の姿が胸をうつのが、この物語『四月になれば彼女は』であった。



3位:スロウハイツの神様/辻村深月

──あらすじ

人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだ──あの事件から十年。アパート「スロウハイツ」ではオーナーである脚本家の赤羽環とコーキ、そして友人たちが共同生活を送っていた。夢を語り、物語を作る。好きなことに没頭し、刺激しあってた6人。空室だった201号室に、新たな住人がやってくるまでは。

(引用:スロウハイツの神様〈上〉/辻村深月)


──物語は衝撃で幕をあける
物語は小説家であるチヨダ・コーキの大ファンが廃屋で殺人事件を起こす場面から始まる。そしてこの殺人事件が普通の事件ではない。

「チヨダ・コーキの小説のせいで人が死んだ」その日の天気は、快晴だった。
《略》
二十一歳、大学生の園宮章吾の発案による自殺ゲーム。下は十五歳から、上は三八歳までの、参加者十五名は全員死亡。(発案者、園宮含む)

(引用:スロウハイツの神様〈上〉P9/辻村深月)


こんなインパクトのある始まりなわけだが、本筋は夢を追いかける創作家たちの青春物語が描かれている。


『スロウハイツの神様』を簡単に説明すると、現代版『トキワ荘』を舞台とした物語である。トキワ荘とは、手塚治虫、藤子不二雄、石ノ森章太郎など、今なお語り継がれる漫画家たちが住んでいた実在のアパートだ。


『スロウハイツの神様』は登場人物こそ漫画家ではないが、脚本家、作家、漫画家etc…創作に情熱を注ぐ人たち共同生活をするアパートで、そのため現代版トキワ荘という訳である。


なぜ彼らは共同生活をしているのか?登場人物たちの関係は?そして殺人事件については?など、初めに多くの気になる情報を与えられて、後々なぜそうなったのかじっくり明かされていく形なので、気づかないうちに物語の世界に一気に惹き込まれることになるだろう。


読み終わる頃にはきっと、とある登場人物がとても好きになるはずだ。


2位:まほり/高田大介

──あらすじ

蛇の目紋に秘められた忌まわしき因習
膨大な史料から浮かび上がる恐るべき真実
大学院で社会学研究科を目指して研究を続けている大学四年生の勝山裕。卒研グループの飲み会に誘われた彼は、その際に出た都市伝説に興味をひかれる。上州の村では、二重丸が書かれた紙がいたるところに貼られているというのだ。この蛇の目紋は何を意味するのか? ちょうどその村に出身地が近かった裕は、夏休みの帰郷のついでに調査を始めた。偶然、図書館で司書のバイトをしていた昔なじみの飯山香織とともにフィールドワークを始めるが、調査の過程で出会った少年から不穏な噂を聞く。その村では少女が監禁されているというのだ……。代々伝わる、恐るべき因習とは? そして「まほり」の意味とは?
『図書館の魔女』の著者が放つ、初の長篇民俗学ミステリ!   

(引用:「まほり」 高田 大介[文芸書] - KADOKAWA)



──膨大な史料から浮かび上がる驚愕の真実
ファンタジー作品の著者の前作『図書館の魔女』とは違い、現実世界を舞台にした民俗学ミステリーの『まほり』。知識量と情報量が圧倒的(『図書館の魔女』を読んだ方ならよくわかると思う)で、史実をベースを展開される物語はリアリティの塊である。


大衆の歴史の裏に隠れて普段は表立っては出てこない史実をベースとして物語は展開されていくわけだが、とにかく事実と虚構(フィクション)の境目がわからなくなるくらいリアル。もしかしたら物語に登場する村はどこかあるのでは…?こんな風習が残されているんじゃないか…?と思ってしまうほど。


白文がでてきたり、知識量と情報量の圧倒的物量で会話が進んで行くところがあったり、歴史について深く突っ込んだりと、要所要所は間違いなく難解である。


だがしかし、白文でいえば登場人物たちがうまい具合に解説をしてくれたりと、なるべくスムーズに読み進められるようになっているので安心してほしい。


そして、そんな膨大な史料から答えを読み解いていき、少しづつ物語の全体像が浮かび上がってくる様子が、パズルのピースを一つ一つはめていき全体像を作っていくようでたまらなく面白い。史料を読み解くにしても、机にかじりついているだけではなくフィールドワークや実体験の昔話からのアプローチを駆使しているのも物語に引き込まれる。


あとは難しい話だからこそ、登場人物たちのやりとりがまた映えるし癒やされる…。


とはいえ、なんといっても一番のポイントはタイトルの『まほり』の意味、そして表紙にも散りばめられた◎の意味。すべての答えが明かされる時に…!



1位:白銀の墟 玄の月/小野不由美

──あらすじ

戴国に麒麟が還る。王は何処へ──
乍驍宗が登極から半年で消息を断ち、泰麒も姿を消した。王は不在から六年の歳月、人々は極寒と貧しさを凌ぎ生きた。案じる将軍李斎は慶国景王、雁くに延王の助力を得て、泰麒を連れ戻すことが叶う。今、故国に戻った麒麟は無垢に願う、「王はご無事」と。──白雉は落ちていない。一縷の望みを携えよ、無窮の旅が始まる!

(引用:白銀の墟 玄の月〈一〉裏表紙/小野不由美)

──シリーズ最新作!絶望の先に…!
『白銀の墟 玄の月』はファンタジー好きの方はもちろん、そうでない方にも是非とも読んで頂きたい一冊だが、シリーズ作品なので『十二国記シリーズ』が気になる方はエピソード0の『魔性の子』か1作目の『月の影 影の海』から読んでみてほしい。


シリーズは現在で10作品で下記がその一覧。

1.『魔性の子』
2.『月の影 影の海』
3.『風の海 迷宮の岸』
4.『東の海神 西の滄海』
5.『風の万里 黎明の空』
6.『丕緒の鳥』〈短編集〉
7.『図南の翼』
8.『黄昏の岸 暁の天』
9.『華胥の幽夢』〈短編集〉
10.『白銀の墟 玄の月』


『白銀の墟 玄の月』が『魔性の子』から始まった泰麒の物語の一つの終着点だと私は思っているので(もちろん続きはまだ読みたいが)、十二国記に興味がある方!今が読み始めのチャンス!!


十二国記シリーズは下のページで詳しく紹介しているのでよろしければどうぞ。

3.最後に

2019年に読んだ小説は約50作品ほどだった。数としては例年より少なめではあったものの、印象に残った小説・好きになった小説と出会えたのはこれまでで一番多かったと思う。


これまでは本屋に立ち寄って、自分の直感で気になった本を読むのが多かったのだが、最近は読書趣味の会う友人やTwitterのフォロワーさんの紹介から読む本を探すようになってから、アタリの作品と出会うのが多くなった。


そんな私のオススメ作品は下のページで紹介しているので、今回挙げた小説で好みがかぶっていそうだったら是非覗いていただけると嬉しい。

『スロウハイツの神様』の感想を好き勝手に語る【辻村深月】


「愛は、イコール執着だよ。その相手にきちんと執着することだ」

(引用:スロウハイツの神様〈上〉P58/辻村深月)


辻村深月の『スロウハイツの神様』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。



目次

感想

著者の作品を読むのは『冷たい校舎の時は止まる』を読んでからの2冊目だったが、印象が180度変わった。正直な所、『冷たい校舎の時は止まる』は私好みの作品ではなかったが今回読んだ『スロウハイツの神様』はどストライクだった。


ホラー寄りの作品が好きな方は『冷たい校舎の時は止まる』もきっと楽しめると思う。

──上巻の始まりと終わり

まず『スロウハイツの神様』で印象的だったのは上巻の始まりと終わり方。始まりの引き込みの強さと、上巻ラストの下巻へ続く橋渡しがとにかく強烈で忘れられない。


始まりではチヨダ・コーキの小説の大ファンが廃屋で殺人事件を起こす場面から物語が始まる。もうこのインパクトが凄い。でもこの時点だと事件がいつの時系列で起きているか分からないので、過去に起きたのか、これから起きるのかハラハラしながら読むことになった。

「チヨダ・コーキの小説のせいで人が死んだ」その日の天気は、快晴だった。
《略》
二十一歳、大学生の園宮章吾の発案による自殺ゲーム。下は十五歳から、上は三八歳までの、参加者十五名は全員死亡。(発案者、園宮含む)

(引用:スロウハイツの神様〈上〉P9/辻村深月)

改めて見ても始まりのインパクト強烈だなぁ…。このように最初に与えられる情報が多くて(なぜ共同生活をしているのか、彼らの関係性とは、事件の真相は、など)後々なぜそうなったのかじっくり明かされていく形なので、気づかないうちに物語の世界に一気に惹き込まれることになっていた。


そして上巻の終わり方がズルい…環のあの反応、道化の理由…。上巻から下巻への流れが完璧なんだよなぁ。スロウハイツではナンバー2だったはずが、環のプライドをへし折るように明らかになる真実、これが続き気にならないはずがない。


──伏線回収の感動と主役の二人

最終章の『二十代の千代田公輝は死にたかった』の伏線回収は圧巻だった。アレも!コレも!!…と今までのストーリーがひっくり返る驚きと、これまではあまり触れていなかったコウちゃんの気持ちを知っていくうちに、悲しさ・嬉しさ・切なさなど様々な感情が混ざっていく不思議な気持ちになった。


コウちゃん視点から見ても、環の視点から見ても、あの初対面は舞台裏を知ってからだとこみ上げてくるものがある。全部分かったあとの、コウちゃんの環に対する第一声の『お久しぶりです』がもう色々込められすぎてズルい。よく、お久しぶりですの一言で抑えられたなぁとも思う。お互いをお互いに支えにしてたとかね…。


あとはコウちゃんの『影の立役者』が素晴らしいね。オズのケーキが偶然手に入るのは出来すぎだろって思ってたらそういうことか納得。テレビの一件はまったく気付かなかったなぁ。駅のテレビがコウちゃんのプラズマテレビだったとはなぁ。


コウちゃんのキャラが好きすぎてつらい。コレを読んで彼のことを嫌いになれる人いるのかな?環も環で、意地っ張りでプライドの高さも過去を知ると愛おしいと思えてくる。

──好きな表現とか

多分、環の周りで彼が1番弱かったのだ。磁石の対極が対極を求めるような素早さで、彼女の中の強さが、彼を求めた。

(引用:スロウハイツの神様〈上〉P27-28/辻村深月)

「愛は、イコール執着だよ。その相手にきちんと執着することだ」

(引用:スロウハイツの神様〈上〉P58/辻村深月)

 人間は自分が計算していればしているだけ、相手の計算やごまかしを敏感に読むようになる。

(引用:スロウハイツの神様〈上〉P329/辻村深月)

十月の秋雨は夏の夕立とは明らかに様子が違っていて、それは季節の移り変わりを否応なしにこちらに思い知らせる。

(引用:スロウハイツの神様〈上〉P/辻村深月)

「いいことも悪いことも、ずっとは続かないんです。いつか、終わりが来て、それが来ない場合には、きっと形が変容していく。悪いことがそうな分、その見返りとしていいことの方もそうでなければ摂理に反するし、何より続き続けることは、必ずしもいいことばかりではない。望むと望まざるとにかかわらず、絶対にそうなるんです。僕、結構知ってます」

(引用:スロウハイツの神様〈下〉P82/辻村深月)

不幸に依存する人間は、誰かにその状態を見せるところまで含めてが、一つの儀式なのよ。

(引用:スロウハイツの神様〈した〉P121/辻村深月)


最後に

『スロウハイツの神様』は、2019年に読んだ本の中で上位5番には入ってくる面白さだった。辻村深月の作品は他にも気になっている作品があるので(カガミの狐城とか)そちらのほうも攻めてみようと思う。





【オススメ記事】






『白銀の墟 玄の月〈3.4〉』の感想を好き勝手に語る【小野不由美】



──過去が現在を作る。
ならば、いまが未来を作るのだ──たとえ繋がりは見えなくても。

(引用:白銀の墟 玄の月 P417/小野不由美)

十二国記の最新刊、『白銀の墟 玄の月〈3.4〉』の感想を語っていく。
〈1.2〉の感想はコチラからどうぞ。



目次

感想

『魔性の子』から始まった泰麒の物語がやっと一段落したな…と。
1991年に『魔性の子』が発売されて泰麒の冒険が始まり、2019年『白銀の墟 玄の月』で一つの区切りを迎えた。28年かかってやっとここまできたか…。


私が十二国記シリーズと出会ったのは、ほんの一年前なので、ほぼシリーズを駆け抜けて読むことができた。それでさえ、『白銀の墟 玄の月』の発売が発表されてから刊行されるまで待ちきれない思いだった。


『魔性の子』を発売当初から読んで十二国記シリーズを追い続けてる方は、28年越しのこの展開に胸が熱くならないなんてことがあるだろうか、いやない。

──『白銀の墟 玄の月』を読み切って

過去に積み上げた小さな石が、知らぬ間に集まって大きな結果をもたらしてくれた。
李斎はこのところ、そんなふうに感じることが多い。
──過去が現在を作る。
ならば、いまが未来を作るのだ──たとえ繋がりは見えなくても。

(引用:白銀の墟 玄の月 P417/小野不由美)

この一文にすべてが詰まっているなぁと感じた。
『黄昏の岸 暁の空』の各国の協力による泰麒の救出から始まり、『白銀の墟 玄の月』では、数えきれない人物が驍宗の無事を…そして復活を祈り、信じていた結果の賜物が今回のラストに繋がっていた。


驍宗と泰麒がメインである物語には違いないが、今作で思ったのは戴国に生きる"民"たちの行動が胸を打つ点。

その供物は、正しく送りてから受け手へと辿り着いた。深い思いによって流されるささやかなそれが、まさしく王を支えている。
──送ったほうも、受け取ったほうも、それを知らない。

(引用:白銀の墟 玄の月〈3〉 P336/小野不由美)


もうこの部分読んで、うわぁ!!って声がでた。
川に食べ物を流し続けた親子…最初は驍宗が受け取ることがわかっていて流しているのかと思ってたけど、そうではなくてただ純粋な感謝の想いからやっていた行為だとわかったときの衝撃たるや…。自らの貧しい食い扶持を削ってのことだしね。


すべては過去の驍宗が積み上げた実績と、彼の人徳だと思うとこみ上げてくるものがある。


その他にも無償で兵を養い匿っていたり、ギリギリの生活の中でもしぶとく生きる戴国の民の強さと執念を感じた。

──泰麒

先程も少し触れたが、やっと…やっと泰麒に安息が訪れたようで嬉しい。


泰麒に関しては、もう語り尽くせない…。大胆不敵に阿選の元へ乗り込んだり、幽閉されていた正頼と対面したときは、今まで心に押し留めていた感情が爆発してしまった様子に涙しそうになったり…。あとは何より泰麒の「先生…」の呟き…!ここで『魔性の子』からの繫がりがくるのかよ!最高かよ!


物語の中では蓬莱から戻ってきてから、そこまで時間がたってなかったなぁと思い出して、ここでも過去作と繋がっているんだなぁと感慨深い思いになった。


再読するのは勇気がいるけど『魔性の子』を読みたくなった。今読んだら、また違う感情が湧いてきそう。


蓬莱での日々があったからこそ、他の麒麟には備わり得ない強さや覚悟があるけど、結果的にそのきっかけになったのが阿選が泰麒を襲ったからってのも何だが皮肉な気がする。阿選からしたら、まさに自分で撒いた種なのかな。

──驍宗

生きててよかった…驍宗様…!


部下たちや轍囲の民をはじめとして、どれだけ慕われているんだよ驍宗様…!2巻の終わりで絶望しかけたけど、ホント生きててよかった…。


登場してからの安心感が凄まじい。李斎をはじめとする捜索組も手探りで大変だっただろうけど、何年間も地中でたった一人って……!あげくの果てには自力で脱出しちゃう化物王。


泰麒も相当化物のだけど、驍宗はそれを超える化物だよなぁ…。これからの戴国は安泰だろ。過去に例を見ない経歴の泰麒と、カリスマ性マックスの驍宗。この二人なら瀕死の戴国をしっかりとした国に立て直してくれると思う。


──阿選

『白銀の墟 玄の月』の感想を語る上で阿選は外せない。1.2読んだ段階では謎でしかなかった阿選の考えや目的だったけど、3.4で語られた彼の考えが明かされると……複雑な気持ちになる。


かつては驍宗と肩を並べていたはずの阿選の変わりようが、読んでて苦しかった。泰麒たちからしたら敵で、過去にした事も許せないんだけど、知れば知るほど何故か憎めなくなっていった。


それが何故かというと、驍宗と比べるとあまりに人間らしさ…というか人間くささがある人物だからなのかな。驍宗は天才型の完璧人間で、阿選は努力型の普通の人間ってイメージ。


阿選の変わりよう…堕ちていく姿は見ていて辛いものがあるけど、最初は些細な事から、坂道を転がるように悪い方へ悪い方へといってしまう様子は、一度道を外れたら戻るのは難しいって教訓だよな…。


──最後に

1.2巻を読んでから3.4巻が発売されるまでの1ヶ月がホント辛かった…。

『白銀の墟 玄の月』の次には誰の物語がくるのかな?戴国の立直し編も読みたいけど、個人的にはの陽子が好きだから慶国の物語が読みたいところ…!


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【オススメ記事】






『図書館の魔女 烏の伝言』の登場人物を全員まとめて紹介する【高田大介】


『図書館の魔女 烏の伝言〈上.下〉』に登場人物する、名前が明らかになっている全登場人物についてまとめた。


これから刊行が期待される『霆ける塔』の復習にでもどうぞ。またこんな人物いたっけ?とシリーズを思い出しながら楽しんでもらえれば幸いである。


『図書館の魔女』の感想・考察・まとめなどはコチラから
【『図書館の魔女』の記事まとめ】



目次

注意事項

  • この記事にはネタバレを含んでいる。
  • 前作『図書館の魔女』にも登場する人物は、追加の情報のみ記載している。
  • 一部のキャラには考察を添えている。


『図書館の魔女〈1〜4〉』の登場人物紹介はコチラからどうぞ。

──剛力衆

──エゴン
・剛力の一人、鳥飼。カラスやカササギを従える(上.P18、上.P66)
・長身痩躯、線の細いが肩幅の広い青年で短く刈った髪は、はげあがったように広い額をさらし、落ち窪んだ目は大きく盛り上がる眉の陰に暗く隠されている。(上.P17)
・左の顔面が傷痍に覆われており、醜く気味の悪い面構え。(上.P18)
・自分自身で仕込んだカラスだけでなく、出先で会ったカラスも手先に遣えることができる。(上.P24)
・言葉を話すことができず、発言能力は2.3歳児と同程度(上.P25)
・南方系の顔立ち、南の方の生まれ(上.P38、379)
・焼けた庄に斥候にいった3人うちの1人
・障害で言葉を理解する事はできるが、言葉を正しく配列することができない(下.P305)
・子供の頃に港の事故が原因で障害を負う。またその障害が原因で生まれの部族を離れ、スタネアという島の寺院に身を置くことになる。(上.P387、下.P303)


──ゴイ
・剛力衆の頭、罠師の老人
・獣の残す僅かな手がかりを見抜く眼力をもつ。(上.P31)
・呼ばわり方に訛りがある(エゴン→エーゴン、ワカン→ワーカンなど)


──ワカン
・剛力の一人、若衆のまとめ役
・小男であるが胸板が厚く、手足の根本が太い、屈強な体格で、総髪を後ろで結っている。都風の顔立ち(上.P29、上.P34)
・焼けた庄に斥候にいった3人うちの1人
・頭がキレる(下.P149)
・人徳があり、仁義に厚く、慕われている人物(下.329)
・マツリカとのやり取りが個人的にすき


──エノク
・剛力の一人、寡黙な偉丈夫
・ずんぐりした全身鋼のような男で、えらのはった顎、猪首で無口(上.P34)
・剛力一のちから持ち


──カラン
・剛力の一人、エノクの弟
・エノクに次ぐちから持ち


──ナオー
・剛力の一人、島嶼系の系統
・剛力には北方系が多いが、ナオーは南方系の混血もつ。その特徴をいかして港に潜伏していた。(上.P38)
・元船乗りで、港の生まれ(上.P46、下.152)
・剛力としては新米(上.P66)
・焼けた庄に斥候にいった3人うちの1人


──テジン
・剛力の一人、港に潜伏していた連絡員
・残切り頭の小柄な若者(上.P177)
・ニザマ(ミツクビ)からの間者。廓の動きを探るように手配された(下.158.)
・猿に殺される(下.41)


──ハァウ
・エゴンが仕込んだカラス
・ハシボソガラス(上.P25)
・ハシボソガラスにしては、やや額が張っていて、嘴の線にも丸みがある。そして好奇心がありながら安全と危険を正確無比に測れる(上.P142)
・物怖じしない性格と危機意識の高さを持つ(上.P142)

──ニザマ

──ゲンマ
・近衛隊の衛士長。
・酒に盛られた毒で体の自由が奪われるが、ツォユとタイシチの助けで刺客から逃れる。


──ツォユ
・近衛隊の一人
・体格が大きく、逆立った赤い髪をもつ。そのため剛力たちからは『赤髪』と呼ばれる(上.P21)
・タイシチからは大哥〈あにき〉と慕われている。(上.P33)
・義侠心に富み部下への配慮が篤い(上.P255)
・ゲンマの甥(上.P256)


──タイシチ
・近衛隊の一人、古くからのツォユの部下
・ツォユからは、人目のないところでは小チ〈シャオ〉と呼ばれていたが、いつしか鼠も剛力もまねして小チと呼ぶようになる。小〈シャオ〉は弟分に呼びかける物言いである。(上.P119)


──ルゥスゥ
・近衛隊の一人
・細面で吊りあがった細い目から、剛力からは陰で「狐」と呼ばれていた(上.P123)
・下戸(上.P251)
・蔵に監禁されたが、カロイの進言で救出される。


──ガゥイ
・近衛の一人
・初登場は、残念ながら猿〈マシラ〉に首を切られた後。南無(上.P264)


──マォリゥ
・近衛の一人
・番頭に頼まれた見回りでガゥイと組んでいた人物。ガゥイと同じく初登場時には猿〈マシラ〉にやられていた。



──ユシャッバ
・ニザマ中原南部の地方官吏、巡撫兼都御史の弟姫(上.P34)
・黒髪を左右に玉に結い、淡い翡翠の正絹〈しょうねん〉の襦に裙〈もすそ〉は交領と腰帯が共布で、薄縁の地に金糸銀糸の刺繍が散っている。(上.P121)
・鼻も口も顎も小作りで引き締まり、伏せた目元は涼やかで切れ長に濃いまつ毛が伏せている。(上.P121)
・ロッロアから託された大粒の真珠の耳飾りをつけている(上.P146、下.346)
・温室育ちのお姫さまではなく、危機を察する目耳をもっている。(上.P343)
・ユシャッバとは南方の言葉で『翡翠』の意(下.346)


──ロッロア
・ユシャッバの姉(下.77)
・薄く浅葱がかった真珠の簪をしていた(下.79)
・廓にいたが、廓の陰謀に巻き込まれ売り飛ばされてしまう(下.79)
・ロッロアとは、南方の言葉で『真珠』の意(下.346)


──カロイ
・ヴァーシャ
・やや薄い髪の色に、少しやつれた彫りの深い面立ち(上.P178)
・隻腕で義手をつけられる。義手の先は三嘴の鉤爪がついている(上.P184、下.P25、下.P38)

──杣の里

──黒〈はく〉
・漆黒の肌の少年で、瀟洒な出で立ち(上.P95、上.P105)
・黒〈はく〉とは、鼠たちが勝手に名付けたのは名前で、本名は『アブダライム』(上.P319、下.434)
・薬師(上.P360)
・一ノ谷から黒の郷里の南大陸へ帰る(予定)(下.432)
・廓が本当に追っていた人物(焼けた庄の生き残りだから)(下.408.)


──白い少年
・毛深い白い肌で、黒〈はく〉と共に埋められていた少年(上.P95)
・息を吹き返すことはなく死んでしまう(上.P103)
・黒〈はく〉の友達(?)と推測されているが本当の事は定かではない(上.P362)


──犬
・焼かれた庄で出会った黒い犬
・ワカンは犬〈せった〉と呼んでいた(上.P94)
・白い尾を持つ(上.P320)

──廓

──遣手
・廓を取り仕切る御上
・隻腕の売国奴
・深紅の絹地に花々の刺繍、ぎらぎらと金糸が散った帯で派手な恰好(上.P154)
・太り肉で首まで白塗りの顔、分厚い唇に紅をさした丸顔。(上.P154)
・ニザマ宦官中常侍尚書令閣下、隻腕の左僕射メテ(下.360、下.P373)


──大番頭
・ニザマから派遣されてきた上役(下.81)
・メテの腹心の部下で愛人(下.P386-387)


──飯盛り女
・廓の奉公人、若い娘
・ユシャッバの監視。文字通り主にユシャッバの飯の世話をしている(上.P418)


──床廻し
・廓の奉公人、閨房周りの世話


──掛廻り
・廓の奉公人、渉外と雑用


──猿〈ましら〉
・廓の鏢客
・上背のある丈夫で六尺半(約195cm)ほどの長身、面長の陰鬱な顔で、総髪を無造作に後ろに結って垂らしている。(上.P186、421)
・腕が長い(上.P419)
・服装は闇に紛れる黒装束(下.123)
・細い弦〈糸〉を使って首をはねていた(下.332)

──鼠

──トゥアン
・鼠の頭
・少女のような声をした体の小さい少年、小柄で童顔だが眉毛が濃く意志の強そうな眼差し(上.P212-213)
・焼き討ちで母親を失った。そのときに背中と肩に大きな火傷を負う(上.P323-324)


──チャク
・鼠の一人、鼠のなかでは一番大柄な年長組の鼠(上.P291)
・親に虐待されていて、兄貴と片耳を失う。(上.P326)


──ヒュイ
・鼠の一人
・『どぅだっかねぇ』が口癖
・天邪鬼(上.P311)
・猿の正体を追っていたが捕まり蔵に監禁される(下.P33)


──ファン
・鼠の一人、年少組
・女物とみえる両側に垂れのついた毛編み帽子をかぶっている(上.P207)
・体が小さくすばしっこい
・剛力に憧れがあり、弟子入りする気持ちを抱く(上.P308、下.394)


──オーリン
・鼠の一人、長髪の少年(上.P231)


──ダオ
・鼠の一人、年少組、最年少(上.P317)
・木の枝をしゃぶっている少年(上.P236)


──ジェン
・鼠の一人、年少組(上.P317)
・元住んでいた村は焼かれてしまった(上.P323)
・黒〈はく〉の言いたい事を一番正しく捉えている(下.P394)


──一ノ谷

──マツリカ
・六角堂の地下に隠されていた経文を保護するために訪れていた(下.P279)
・犬が苦手(下.P289)


──オルハン
・図書館付きの衛兵


──アダン
・図書館付きの衛兵


──アキーム
・図書館付きの衛兵


──ハルカゼ
・司書

【一ノ谷陣営はコチラで詳しく紹介している】
『図書館の魔女』の登場人物を全員まとめて紹介する【高田大介】 - FGかふぇ

──その他

──牛目〈ぐもく〉
・浅黒い顔で面長の頬には皺が縦に深く刻まれ、黒髪を後ろに結って長く垂らしている。上背はアダンたち衛兵よりも高い。(下.P377)
・鈍い灰色の長作務衣、これはニザマの扮装。裾を絞った裸足の足先に粗末な草履。(下.P377)
・藍緑〈らんりょく〉の瞳で白眼が見えない。眼球が著しく大きいのか開いた瞼から眼球がせり出しているように見える。(下.380)
・キリヒトの立ち姿と同じ。(下.P377-378)
・扉に音を忍ばせて近づいたアダンめがけて正確に刀を振ってきている様子から、微かな物音から周りの状況を察知しているとわかる。(下.P376)
・カロイのほうを視認していることから、目は悪そうだが見えないわけではなさそう(下.P380)
・先天緑内障という病気があるが、別名を牛眼〈ぎゅうがん〉という。角膜や強膜が伸展し眼球全体が大きくなり牛の眼のようであるところから,牛眼と呼ばれる。(下.P380)の描写から、牛目〈ぐもく〉がこの病気であり、その見た目からこのような名前がついたと考えられる。
・ニザマの生え抜き、ミツクビの子飼い(下.P382)

──最後に

烏の伝言の登場人物は、ほぼ巻頭の人物紹介で書かれていた。書かれていなかったのは『牛目』と『ロッロア』くらいだろうか。


やはり気になるのは、キリヒトと牛目の関係について。身体的特徴や立ち振る舞いが似てる点、なにより音での判断能力を見ると牛目も"キリヒト"となにかしら関係があると考えるのが普通だろう。


"キリヒト"が出る家系があると前作で書かれていたので、牛目がその出身で実はキリヒトの親なのか?とも考えられるが、それくらいは誰でも考えつく事だろうし安直すぎるかな…とは思う。何はともあれ『霆ける塔』に期待である。


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『図書館の魔女』の感想・考察・まとめなどはコチラから
【『図書館の魔女』の記事まとめ】

注意事項

  • この記事にはネタバレを含んでいる。
  • 『図書館の魔女 烏の伝言』の情報は含んでいない。
  • 一部のキャラには考察を添えている。
  • 主に登場した順番に紹介している。


『烏の伝言』の登場人物紹介はコチラから

それでは早速どうぞ。

──キリヒト

・マツリカの手話通訳兼護衛。
・人より鋭い耳と目を持つ、また状況把握の素早さ、勘のよさを兼ね備えている。
・1巻でロワン曰く12〜13歳の少年という描写がある。
・"キリヒト"の名前は先代から受け継いだもの。一子相伝で名が譲られる。
・キリヒト=切人?、アカリ=灯?
・"キリヒト"になれるものが出る家系がある。


──先代

・キリヒトの師であり、先代の”キリヒト”。本名は不明。
・キリヒトの父とされているが、キリヒトとは歳が離れすぎていることからマツリカたちは疑いの目を持っている。謎多き人物の一人。

──黒石〈くろいし〉

・キリヒトが住む鍛冶の里で、鍛冶場の二番槌を務める青年。
・キリヒトに餞別で包丁を渡した人物。
・1巻P17から登場。

──犬尾〈いぬお〉

・鍛冶の里の鍛冶場で働く青年(少年?)。
・名前だけの登場。
・1巻P20で登場。

──親方

・本名不明の鍛冶の里の親方。
・親方と書いて、ルビは「むらげ」
・むらげとは

たたら集団の長を意味した言葉とされている。

(引用:村下とは - コトバンク)
・1巻P21で登場。

・「キリヒトはすぐには戻ってこない。戻ってきた例はない。」

(引用:図書館の魔女 P22/高田大介)
と、意味深な台詞を残している。何か事情を知っているのか?

──ロワン

・王宮の高官、以前は図書館付きだった。
・目元や鼻筋に鋭角の線のある白い肌に髭の濃い、一ノ谷の典型的な顔立ちの四十歳くらいの男。
・1巻P27から登場
・先代"キリヒト"をタイキに紹介した。
・ヴァーシャールヘイは「参事官殿」と呼んでいた。

──タイキ

・先代の「高い塔の魔法使い」
・マツリカの祖父にあたる。
・1巻P29から登場
・重要人物ではあるが直接物語に登場したことはまだない。

──マツリカ

・当代の図書館の番人で「図書館の魔女」と呼ばれる少女。
・口をきくことができない。いつから話せないのか、何故話せないかは明らかになってない。
・肩まである黒い巻毛をもち「お嬢様」だとか「姫様」と呼ばれるのを嫌う。
・甘党。
・酒好き。
・朝が弱く、一晩の睡眠時間が長いにも関わらず疲れやすくひとたび眠ればなかなか起きない。本編では「持病にも近い習癖」と書かれており、この事実はマツリカの弱点になるため外部には隠されている。
・マツリカ=茉莉花(マツリカ)=素馨(ソケイ)=ジャスミン
・ジャスミンの花言葉は色によって変わるが、ジャスミン全般の花言葉は、「愛想のよい」「優美」「愛らしさ」「官能的」である。
・特殊な生まれで、厳密にいって貴族ではないし、議会筋にも王宮にも血縁はない。
 

──ハルカゼ

・「高い塔」の図書館司書。
・背が高くほっそりとした体付き、真っ白な肌に真っ白な髪、声は低めのアルト。
・身体が弱く陽の光の元にでられない。この体質は母の血統。
・笑い上戸
・キリヒト曰く歳はおそらく20代の半ば
・鉱物好き。
・元は図書館に議会筋が送り込んだ間者であったが、図書館側についた。

──キリン

・「高い塔」の図書館司書。
・濃い褐色の肌、南方の血統、黒い瞳に黒い髪。
・キリヒト曰く歳は20代半ばより下
・軍事や政争にたける。
・蝶々好き。
・カリーム・レコンクィシストルの養女
・『キリン』の名は二つ名で、「東方の想像上の獣類、若くして才あるものを意味する"キリン"」。
・本名は、ソフォニスバ(?)。
・ソフォニスバとはイタリアの女性画家の名前である。

ソフォニスバ・アングイッソラ (Sofonisba Anguissola、Anguisciolaの綴りもある。姓はアンギッソラと表記することもあり。 1532年 - 1625年11月16日)は、イタリアのルネサンス期の女性画家。

(引用:ソフォニスバ・アングイッソラ - Wikipedia)

──セト

・高い塔出入りの復元・装丁職人
・1巻P125で名前だけ登場
・名前だけの登場にも関わらずに巻頭の『主要登場人物』欄に名前がある。今後の登場に期待。


──ヒヨコ

・本名は、マールキー・トゥッリイー(キリヒトは、マールクスと呼んでいた)
・文人政治家、後に執政官総監。
・歳は40ほどで髪も髭も赤。
・精悍な顔立ちに瞳は薄い茶色の演説巧者。
・マツリカ主催の輪読会に参加している。
・マツリカに「あれが一番手強い」とまで言わせる曲者。
・1巻P147で初登場。

──ミツクビ

・ニザマの宦官中常侍。
・外交万事にわたる鋭い判断力と交渉能力を持つ。
・何十年たってもいっこうに衰えを見せない容貌で、高齢だが頭髪は豊かで色は黒。
・その名の通り三つの首を持つ。
・重度の薬物中毒者。自らで薬の調合も行う
・かつては類い稀なる知識と感受性を兼ね備えた天才として地位を築く。歳と共にそれらは衰えていったが、それを薬物によって補っている。


──薬師〈パルマキー〉

・小柄で背丈はマツリカと変わらないくらい。
・薬使いであり、毒使いでもある。
・意味深な伏線もあり今後の出番が気になる人物

薬師の名前にも一人の人間を指すには不自然な部分がある──彼らの呼び名はいずれも複数形の語尾を持っている。

(引用:図書館の魔女〈1〉P174/高田大介)
・1巻P172で登場

ミツクビ・薬師については別のページで考察を書いているのでよろしければければどうぞ
『図書館の魔女』ニザマについて&ミツクビ・薬師〈パルマキー〉の疑問・考察【高田大介】 - FGかふぇ

──コクシネル

・ミツクビを王宮に招いた一ノ谷の議員
・元元老院の富裕層の1人。
・コクシネルとはフランス語で「テントウムシ」の意。
・1巻P172で登場
・キリンやハルカゼに「目前の実利に敏いばかりの小人物」と評される。

──コリブリ

・引退した議員
・「知りたらましかば」の1件でマツリカたちが命を救った人物。
・コクシネルの周りに監視をつけていたため、事件に巻き込まれる。
・コリブリ=Colibrí はスペイン語で、日本語では「ハチドリ」の意。ちなみにハチドリは世界最小の鳥である。

──カリーム・レコンクィシストル

・背の高い黒髪・黒髭の男。
・一ノ谷の王族で磊落な気質。
・西方の防衛戦を受け持つ属領総督格の武官。
・失地回復者〈レコンクィシストル〉の二つ名を持つが、この名は古代の名将に肖ったものであり、彼は失地を許したことさえない。
・1巻P191で初登場。
・「西方の守護者」とも呼ばれる。

──イラム

・離れの家刀自。
・顎が細く、眉が濃い目鼻立ちはくっきりしている。
・聾唖者だがおしゃべり。
・いつから、どういった経緯で離れの家刀自をしているかは明かされていない。
・抜けているようで物事の本質をつく鋭さがある。

──カシム

・離れの門衛、愛想はないが実直な老人。
・関節炎のため片足を引きずるように歩く。
・キリヒトの正体を最初から知っていた人物。

──アリワルヒム

・泉の広場の古書店主

──ウルハイ

・コクシネル暗殺の絵図を描いたと思われる。
・ウルハイの元ネタはトルコの町であると思われる。

シャンルウルファ(トルコ語:Şanlıurfa)、通称ウルファ(Urfa)はトルコ南東部の都市でシャンルウルファ県の県都。《中略》
アルメニア語ではウルハイ(Urhai)またはルハ(Ruha)、クルド語ではリハ(Riha)と呼ばれ、古代から中世にかけての西洋ではエデッサ(Edessa、en)の名でも知られた。

(引用:シャンルウルファ - Wikipedia)
・ハルカゼの生家と繋りの深い立法府きっての名家である。
・ニザマ陣営と利害(一ノ谷の弱体化)が一致しており協力関係にある。

──アラシェヒル伯

・コクシネル暗殺に携わっている。ウルハイからの指示。
・2巻P145で名前だけ登場。
・アラシェヒルの元ネタもトルコにある町だと思われる。

アラシェヒル(Alaşehir、Alasehir)はトルコ西部マニサ県にある古代から続く町。かつてはギリシャ語で「フィラデルフィア(Philadelphia)」と呼ばれていた

(引用:アラシェヒル - Wikipedia)

──ギュミュシュハーネ伯

・コクシネル暗殺に携わっている。ウルハイからの指示。
・2巻P145で名前だけ登場。
・コリブリ暗殺にも関与。
・ギュミュシュハーネの元ネタもトルコの町だと考えられる。

ギュミュシュハーネ(Gümüşhane)は、トルコ黒海地方ギュミュシュハーネ県の都市で同県の県都。
名前の意味は「銀の家」で、トルコ語の"gümüş (銀)"と、ペルシア語の"خانه (hane=khane) (家)"の合成語である。

(引用:ギュミュシュハーネ - Wikipedia)

──ディディム伯

・カリームの腹心の部下。
・2巻P163で名前だけ登場。
・他国から協定の打診を受ける(一ノ谷を裏切るように打診される)
・ディディムの元ネタもまたトルコの町である。

ディディムは小さな町だが、人気の海辺のリゾート地であり、トルコ西部のエーゲ海沿岸にあるアイドゥンの地区にある。

(参考:Didim - Wikipedia)

──アッラシド

・近衛大尉
・「知りたらましかば」の1件でマツリカたちに協力した人物。
・2巻P215で登場。

──カマール

・ヒヨコの執事
・2巻P227で名が明かされる。

──ユースフ

・近衛兵
・獅子鼻、やや厳つ顔の顎の張った顔立ち
・マツリカの川遊びに付き添ったときの分隊長。
・彼だけ図書館の近衛兵にならなかった。(怪我が重傷だったからか?)

──アキーム

・近衛兵、後に図書館付き。
・玉蜀黍の穂のような金色の巻げ毛。
・准尉
・鬼の襲撃によって顔に大きな傷痍を負う。
・山育ち
・洒落者
・イラムに恋をする。

──ヴァーシャールヘイ

・近衛兵、後に図書館付き。
・瞳に憂いのある優男。
・准尉
・手先が器用で木工の心得がある
・排簫を吹く。排簫は中国古代の管楽器である。
・古アルデシュの生まれ
・双子座の片割れ
・マツリカから「ヴァシリー・ヴァザレリ」の名を授かる。
・ヴァーシャールヘイの元ネタはハンガリーの都市だと思われる。

ホードメゼーヴァーシャールヘイ (マジャル語:Hódmezővásárhely、ドイツ語:Neumarkt an der Theiß、ルーマニア語:Ioneşti)は、ハンガリー、チョングラード県の都市。

(引用:ホードメゼーヴァーシャールヘイ - Wikipedia)

──オルハン

・近衛兵、後に図書館付き
・長い黒髪を後ろに縛っている。
・衛兵の中でも若手。

──アダン

・近衛兵、後に図書館付き
・上背がありがっしりしているのに、まるで少年のように目がくりくりしている。
・衛兵の中でも若手。


──イズミル

・近衛兵、後に図書館付き
・細身
・一族郎党が軍務に就く生粋の軍人だが、書籍や東西の文物に詳しい。
・イズミルの元ネタもトルコの都市だと思われる。

イズミル(İzmir)は、エーゲ海に面するトルコ西部の都市。イズミールとも表記される。古くはスミュルナ(Smyrna, スミルナとも。ギリシア語でΣμύρνη)と呼ばれた。

(引用:イズミル - Wikipedia)

──鬼〈オルクス〉

・川遊びに来ていたマツリカに向けられた刺客。
・身の丈は一丈程(一丈=約3メートル)
・マツリカが「なぜこんな辺境の奴らが…」と言っていたので、鬼が生息する地域がある?
・オルクスの元ネタはローマ神話の死神だと思われる。

オルクス(Orcus)は、ローマ神話に登場する死の神。
本来はエトルリアの神で、墳墓の壁画では髭を生やした恐ろしげな巨人の姿で描かれる

(引用:オルクス - Wikipedia)

──ソトゥレル

・司書、宮廷図書館から出向して図書館へ。
・3巻P15で登場

──ヘパティオス博士

・老年の農学博士
・止めなければいつまでも話し続けるような特徴的な喋り方。
・3巻P145で初登場

──ラーオコオーン博士

・壮年の地質学者
・ラーオコオーンの元ネタはギリシャ神話だと思われる。

ラーオコオーン(古代ギリシャ語: Λαοκόων, Lāokoōn、 ラテン語: Laocoon)は、ギリシア神話に登場する、イーリオス(トロイア)の神官である。

(引用:ラーオコオーン - Wikipedia)

──双子座〈ミトゥナ〉

・二手に分かれる二本管の笛〈アウロス〉を扱う。
・マツリカの左手を縛ったときに演奏していたのは、古アルデシュの武勲誌
・歳はおそらく30手前くらい。
・傀儡使いの名は明らかになっていないし、その後も物語には登場していない。
・薬で正気を失わせ、催眠術と暗示で動きを拘束する。それで条件づきで動きを叩き込み人を操る(鬼や蚩尤を操っていた)

──コランダン伯

・西方最前線に立つ伯領を任されている。
・キリンの乳兄弟の一人
・本名は、アドヘルバル・マッサエシュリイー・コランダン。
・4巻P362で鋼玉に〈コランダン〉のルビがついていた。これが名前の元ネタか?

──ニザマ帝

・心臓に病を抱えている。
・美食家、健啖家。
・短く結った髪、額は玉のように張り出して広い。
・タイキのことを恩人と言っていた(太子と関係あり?)。

──カダ師

・ニザマ帝室典医長

──サルキシャン

・ニザマへの使節団の大使
・東方の文物に通じ、素朴で篤実な人柄

──メテ

・ミツクビの腹心の部下
・尚書省の次官
・「隻腕の左僕射メテ」
・4巻P32で登場

──コダーイ・ヤーノシュ

・アルデシュ軍大佐、東部監軍部長
・4巻P53で登場
・コシュートとは義兄弟
・冷静沈着
・アルデシュの参謀の中で間諜の手綱を一手に握る、用間の首領。
・「ヤーノシュ」はハンガリーの男性名である。
・「コダーイ」の元ネタは、実在した人物からだと思われる。

コダーイ・ゾルターン(Kodály Zoltán, 1882年12月16日 - 1967年3月6日)は、ハンガリーの作曲家、民俗音楽学者、教育家、言語学者、哲学者。

(引用:コダーイ・ゾルターン - Wikipedia)

──コシュート・ゾルターン

・アルデシュ軍中佐、山麓鎮台司令
・4巻P53で登場
・コダーイとは義兄弟
・「ゾルターン」の元ネタはコダーイの欄で引用した通りである。

──ニザマ太子

・ニザマ帝の第二側室の実子
・先代キリヒトとタイキが探している人物。
・幼い頃から天性の才を讃えられていた。
・ニザマ帝が彼の人格と英才を見込んで世から隠した。

──ヒエンプサル

・コランダン伯(アドヘルバル)の弟
・キリンの乳兄弟

──ウルバン

・アルデシュの水利工学技官
・「ウルバン」の元ネタと思われるのは以下の通りである。

ウルバンまたはオルバン、オルバーン (トルコ語: Urban ハンガリー語: Orbán 1453年没)は、ハンガリー王国トランシルヴァニアのブラッショー(現ルーマニア、ブラショヴ)出身の技術者。1453年のコンスタンティノープル包囲戦において、オスマン帝国軍にバシリカ砲と呼ばれる巨大な射石砲を提供したことで知られる。

(引用:ウルバン (技術者) - Wikipedia)
技官と技術者で近いものがあること、他の登場人物もハンガリーに由来するものが多いため、この人物が由来だと思われる。


──エトヴェシュ

・古アルデシュに潜伏する間諜
・40がらみの子男、やや浅黒い肌で目つきが鋭い。
・4巻P228から登場
・「エトヴェシュ」の名前の由来と思われるのは以下の通りである。

エトヴェシュ・ペーテル(Eötvös Péter, or Peter Eötvös, ペーテル・エトヴェシュ、ペーター・エトヴェシュ、1944年1月2日 - )は、ハンガリーの作曲者、指揮者。

(引用:エトヴェシュ・ペーテル - Wikipedia)

──ペーテル

・古アルデシュに登場する間諜
・4巻P231で登場
・「ペーテル」の由来はエトヴェシュと同様、上記の引用の通りである。登場が少ないにも関わらずにわざわざ名前が与えられているのは、エトヴェシュとセットにしたためか?

──ミクローシュ

・古アルデシュに登場する間諜(?)
・4巻P248で名前だけ登場
・「ミクローシュ」とはハンガリー語圏の男性名である。

──蚩尤〈シユウ〉

・双子座に操られてマツリカたちに襲いかかった化物
・山に住む民でニザマからもアルデシュからも独立して独自の文化風俗を保っている。
・牛頭の仮面(兜)を付けている。
・偶蹄目の足に近づけるための義足を付けている。
・蚩尤とは中国神話に登場する神である。

蚩尤(しゆう、拼音: Chīyóu)は中国神話に登場する神である。『路史』では姓は姜で炎帝神農氏の子孫であるとされる。獣身で銅の頭に鉄の額を持つという。また四目六臂で人の身体に牛の頭と鳥の蹄を持つとか、頭に角があるなどといわれる。

(引用:蚩尤 - Wikipedia)

──イシュトバーン

・イズミルとキリヒトが助けたアルデシュ兵「しっかりつかめよ!かみのごかごを」の人。
・コダーイの配下
・「イシュトバーン」の元ネタは下記の通りだと思われる。

イシュトヴァーン1世(I. István、969年または975年 - 1038年8月15日 エステルゴム、大首長・ハンガリー国王として997年 - 1038年)は、ハンガリー王国の初代国王。幼名はヴァイク(Vajk)。

(引用:イシュトヴァーン1世 (ハンガリー王) - Wikipedia)

──ドホナーニ

・アルデシュ重騎兵団の旅団長
・4巻P576で登場

最後に

高い塔の主要登場たちなどは各々好きなものについてなど詳細も語られているわけだが(マツリカは叙事詩やお酒、ハルカゼは鉱物、キリンは蝶など)、キリヒトだけは恐らく語られていなかった(強いて言うなら食べる事とか?)。こういった部分でも彼はずっと自分の運命に縛られて生きてきたんだろうなと思えて切なくなった。


勢いで書ききったので、抜けている登場人物がいたら申し訳ない。もしコイツが入ってないぞ!!ってのがあれば教えて頂けると非常にありがたいです。


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十二国記『白銀の墟 玄の月〈一、ニ〉』の感想を好き勝手に語る【小野不由美】


待ちに待った十二国記の新作『白銀の墟 玄の月〈一、ニ〉』を読んだ。続きの〈三、四〉は来月11月発売なので、ひとまず〈一、ニ〉を読んだ時点での感想・疑問などを書いていく。内容にはがっつり触れていくので未読の方はご注文を。


目次

感想

『白銀の墟 玄の月』を読む前にシリーズを読み返そうと思ったが時間が取れずに久しぶりに十二国記の世界に飛び込んだわけだが、相変わらず貧困や低迷していく国の現実がリアルすぎて初めて『月の影 影の海』を読んだときの絶望感を思い出した。 


〈ニ〉まで読み終わってもう来月の発売が待ちきれなくなってしまった。すでに読み終わった方がTwitterで「続きがでる11月まで待っていっきに読んだほうがいい!!」とのことを仰っていたが、まさかにその通りで今後の展開が気になりすぎる。


というのも、〈四〉まであるので〈ニ〉まで読んだとしてもまだ前半戦終了にすぎず、ここまでは戴の現状や不穏な王宮の様子の説明などが多い。


良く言えば今後の展開が気になる。悪く言えばあまり派手な展開がない〈一、ニ〉だったという印象。そのなかでも泰麒の突然の行動などビックリした点もあったけど。


──不穏な王宮

王宮内の現状が今までにない不気味さ。玉座を奪ったのに引きこもっている阿選、傀儡のようになっていく官吏たち、自分たちの国の内情が把握できていなく混沌する王宮内。


本当の黒幕は泰麒を襲った阿選なのか?それとも阿選をさらに操る人物がいるのか?


天の条理に詳しく、阿選との関係も詳細が明かされていない琅燦の存在も気にかかる。今回の鍵を握ってそうだし何を狙っているのかもよくわからない。


あとは、強調して登場してくる鳩の存在。


──もう幼かった頃の泰麒ではない

泰麒の成長が感慨深い…以上に怖く感じた。どうしても利斎が泰麒に向けるのと似た感情を抱いてしまう。


幼い頃の純粋無垢な泰麒を知っているだけに成長は嬉しいけど、順調な成長というより無理矢理に大人にならざるを得なかったみたいな感じが心苦しくはある。


麒麟が慈悲の生き物とはいえ、泰麒の本心がどこにあるのか?
角を失い、蓬莱で人々の悪意に触れ、普通の麒麟とはかけ離れた存在のはずなので、これまでの従来の麒麟の習性とは異なっていてもおかしくはないと思う。


琅燦や張運たちが推測しているように、「泰麒が民のために動いている」に間違いはないだろうが、泰麒の思考の裏にはどんな考えがあるのか?泰麒の言葉がどこまで真実なのか?泰麒が感じた天の意図とは本当なのか?泰麒の今後の動向も気になるところだが、それ以上に気になるのが驍宗について。


──驍宗は生きている

いや、生きていてほしい(願望)
泰麒と驍宗の再開を希望に読み勧めていたのに、気づけば泰麒は敵陣に乗り込んでるし、極めつけは〈ニ〉の最後がとんでもない終わり方だったけど、驍宗は生きてるのではないかと思ってる。白雉が落ちてないってのが証明ではあるし。


明らかに驍宗が死んだように書かれているけど、実際に確認したのは遺品だけで、驍宗の遺体を確認したわけではない。驍宗の特徴を述べて、遺品を確認させることで(実際に遺品は驍宗の持ち物だった?)死んだようにカモフラージュしているんだと思いたい。または驍宗に似た人物だったかだが…人違いはさすがにないか…。


とはいえ十二国記だもんなぁ……死んでてもおかしくはないと思えるのが怖いところ…。

──天の条理

先程も少し触れたが琅燦が今回の鍵を握ってそう。阿選との関係、そして何を狙っているのか?また彼女が話していた天の条理についての考えがまた面白い。


これまでの作中でもまだまだ不明な点が多い「天」。彼女らの考察の真偽はわからないが、「天」についても明かされていくことを期待したい。


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