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原点にして頂点!?森博嗣の傑作小説『すべてがFになる』あらすじ・紹介


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「先生......、現実ってなんでしょう?」萌絵は小さな顔を少し傾げて言った。
「現実とは何か、と考える瞬間にだけ、人間の思考にあらわれる幻想だ」犀川はすぐ答えた。「普段はそんなものは存在しない」

(引用:すべてがFになる P357/森博嗣)



今回は森博嗣のデビュー作であり大人気の理系ミステリー『すべてがFになる』のあらすじ・紹介をしていく。


感想はコチラ。
『すべてがFになる』感想


目次

1. あらすじ

孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウェディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大教授・犀川創平と学生・西之園萌絵が、この不可思議な密室殺人に挑む。ミステリィの世界を変えた記念碑的作品

(引用:すべてがFになる 裏表紙/森博嗣)


目の前に現れたのは純白の死体

N大教授・犀川創平と学生・西之園萌絵は研究室のゼミ旅行で、ある孤島に訪れていた。その孤島に唯一の建物は最先端の研究所。


犀川と萌絵は、天才工学博士の真賀田四季に会うために研究所を訪れる。萌絵は以前に研究所を訪れた事があり、彼女と会うとは二度目だった。


しかし、そこで犀川と萌絵の前に現れたのは、純白のウエディングドレスを身にまとい、両手両足を切断された彼女の死体だったのだ。


すべてがFになる

真賀田四季の部屋にあるコンピューターのカレンダーには、たった一行のメッセージが残されていた。そのメッセージが『すべてがFになる』

「すべてがFになる?」犀川が口にしたので、山根が画面を覗き込んできた。
「Fってなんのことだ?」と後ろに立っていた弓永医師が言った。
「フィニッシュ......?」萌絵が言った。

(引用:すべてがFになる P176/森博嗣)



真意が掴めない犀川たち。彼女が残したメッセージの真意とはなんなのか。すべてとは?なにが『F』になる?


一度聞いたら忘れられない印象的なタイトル『すべてがFになる』。


読む前では意味不明なタイトルだが、読み終わった後では、これ以上のタイトルはない!と思えるはず。
 

2.魅力

キャラクター

主人公であり大学教授の犀川創平。現実的であり、かつ哲学チックでもある彼のセリフは印象的なものが多かった。冒頭に引用した「現実」についての会話も、犀川のセリフである。


その犀川の思考を引き出す、もう一人の主人公・西之園萌絵大学生である彼女は優れた洞察力と観察力、記憶力を持ち、驚異的な計算能力を有している。冷静沈着な犀川とは対照的に好奇心旺盛で突飛な思考の持ち主。


お互いの足りないところを埋め合わすような、いいコンビ。


そしてこの物語を語る上ではずせないのは天才・真賀田四季博士。14歳の時に両親を殺害した異例の経歴を持つ。事件以後15年間、研究所のある孤島に閉じこもって表に姿を現していない。


その実、天才プログラマーであり情報工学、特に仮想現実、人工知能の領域で卓逸した才能を発揮している。


物語冒頭での萌絵との会話からだけでも、その他を超越したような頭脳の一部を見ることができる。

 

不可能犯罪

外界から隔離された孤島
出入り口が一つしかない研究所
監視カメラがあり出入りが制限された部屋


いわば、三重密室で起きた殺人事件。外部からの人の出入りはなく、監視カメラの映像もそれを裏付ける。


はたして犯人の正体は?その目的は?そして驚愕の真実とは?読めば読むほど深まる謎に夢中になれるはずだ。


3.理系ミステリー

作者の森博嗣は某国立大学の工学部助教授の傍ら1996年に『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビューをはたした。


その知識を生かして書かれた『すべてがFになる』は工学系、コンピュータ系に尖った作品になっている。


刊行されたのは1996年なのだが、事件の舞台になる研究所の設備が、IOTやAI、更にはVRなど、現在の技術となんら変わらないのである。とても20年前に書かれた作品とは思えない。


メフィスト賞とは?

メフィスト賞ってなんぞや?って方へ。
講談社BOOK倶楽部のHPにはこんな説明が載っていました。

メフィスト賞とは?

  1. 編集者が直接選びます。下読みはありません。
  2. 読んで面白いこと。内容制限はそれだけです。
  3. 賞金はありません。読者の感動が賞金です。
  4. 面白かったら、絶対本になります。
  5. 日本で一番尖った賞です。

(引用:メフィスト賞とは?|webメフィスト|講談社ノベルス|講談社BOOK倶楽部)


「内容制限は読んで面白いこと」とは、わかりやすい事この上ないですね。
2018年現在で58作品がこの賞に輝いている。



4.S&Mシリーズ

森博嗣さんの代表的作品であるS&Mシリーズ。


以下、全10作品

1.『すべてがFになる』 The Perfect Insider
2.『冷たい密室と博士たち』 Doctors in Isolated Room
3.『笑わない数学者』  Mathematical Goodbye
4.『詩的私的ジャック』 Jack the Poetical Private
5.『封印再度』 Who Inside
6.『幻惑の死と使途』 Illusion Acts Like Magic
7.『夏のレプリカ』 Replaceable Summer
8.『今はもうない』 Switch Back
9.『数奇にして模型』 Numerical Models
10.『有限と微小のパン』 The Perfect Outsider

5.最後に

小説やドラマ、映画など物語全般に言えることだが、初めて読んだときの感動・衝撃は何事にも変え難い。


紹介を書くにあたって、一年越しくらいに『すべてがFになる』を読み返した。もちろん面白いことは面白いのだが、展開、トリック、犯人、ほとんど覚えてしまっているので、やはり物足りない感はあった。


再読する楽しみは、初見と違った目線で物語を堪能できることだ。隠された伏線に気付くことができたり、犯人がわかっているので犯人の行動に注視して読んだりと。


だけどやっぱり、初めて読む快感を超えることはないと思う。


出来ることなら記憶をなくして『すべてがFになる』を読み返したい!!思えるってくらい初見の衝撃は凄まじい。


逆に読んで無い方には、「この物語を楽しめるチャンスが残っている」と思うと羨ましい限りだ。ちょっと大袈裟かもしれませんが、それくらい推せるオススメの一冊だ。