FGかふぇ

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『図書館の魔女 烏の伝言』を紹介する【高田大介】

「普通に喋れないのがなにほどのことか。私の知り合いのなかにも喋れない人が一人おられるが...私の知る限りその人こそ......同盟市全域で最も賢い人ですよ」

(引用:図書館の魔女 烏の伝言〈上〉P408-409/高田大介)


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はじめに
『図書館の魔女 烏の伝言』は『図書館の魔女』シリーズ第2段となります。

まずは烏の伝言を読む前に『図書館の魔女』から読むことを強くオススメします。

感想はコチラ

あらすじ

道案内の剛力たちに守られながら山の尾根を往く逃避行の果てに、目指す港町にたどり着いた地方官僚の姫君と近衛兵の一行。しかし、休息の地と頼った町では、渦巻く陰謀によって、姫は囚われ、兵士たちの多くは命を失う。姫の救出を目指すものの敵方に情報が筒抜けとなり、生き残った近衛兵と剛力たちは隻腕の同志へと疑いの目を向ける。一方、剛力集団の中には言葉をうまく使えない鳥飼の男がいた。山中で姫と心の交流を深めていた男は、生き残った他の者たちから離れ、一羽の烏とともに行動し始める。
姫君は救出されるのか? そして、裏切りの売国奴はいったい誰なのか─?

(引用:http://kodansha-novels.jp/1501/takadadaisuke/)


紹介

さて、シリーズ第二作目の『烏の伝言』
一ノ谷、ニザマ、アルデシュの三国円卓会議から約一年後
舞台は東大陸の一ノ谷とはうってかわって西大陸のニザマ方面へと舞台を移しての物語。


最初に断っておくと、この物語は前作の図書館メンバーがメインの話ではありません。


あくまでストーリーの主軸は、ニザマ高級官僚の姫君と近衛兵、そして山の案内をする剛力たち。一ノ谷、ニザマ、アルデシュの和睦会議の結果、実際に影響を受けた者の逃避行を描いた物語。ということで前作の敵国の人々が中心となっている。


続編...というよりは、むしろスピンオフといったほうが近しいかもしれません。


とは言ってもマツリカや他の図書館メンバーももちろん登場する(キリヒトはでてきませんが。)



姫と近衛

三国の和睦が成立し、ニザマ帝勢力とミツクビ勢力が真っ二つになった現在ニザマ国。そしてニザマ帝により、逆賊として追われるミツクビ率いる宦官連中。


その宦官派に属する高級官僚の姫君と近衛兵は追っ手から逃れるために山を越えての逃避行を図る事となる。


剛力

姫君と近衛兵が山越えをするにあたり、山中のガイドとして雇われたのが、剛力衆である。


本来の剛力としての仕事とは異なるものの、彼らも三国和睦の影響により仕事がなく、道案内という危険な依頼を引き受けることになる。


烏と馬鹿

タイトルにもなっている烏。剛力の一人が烏を伝書鳩のように操り仲間との連絡を手伝ってもらう。


烏を操る剛力″エゴン″は特徴的な人物で過去の怪我により、顔半分が醜くつぶれており、怪我のせいでうまく喋ることができないうえに言語障害にもなってしまった。


人と話すことができない代わりに烏と話せるのだ。と仲間に揶揄されているが...。


鼠と言っても齧歯類(げっしるい)のほうではなく、港町の地下で生きる孤児の少年たちの名称。


地下でひっそりと生きる彼らの力を借りて、近衛兵と剛力たちは迫り来る追っ手から逃げ回る。


理不尽な仕打ちを受けてきた少年たちの言葉
「裏切らなければ裏切らない」
という言葉はあまりに重い。


掟・結束

近衛兵・剛力・鼠、本来は住む世界が異なる三方の結束が深まっていく様子が今作のポイントの一つだと思う。


最初は己の目的のため、利用し利用されの関係だったが、お互いの美徳に気付き感化・共闘する様は心揺さぶられるものがある。




最後に

誰が誰を追い、誰が誰を騙し、誰が誰を裏切っているのか。


そして今回も窮地を救うのは彼女の″言葉″


前作のように歴史的な大局を動かす政治的場面とは一転し、そこで煽りを受けた者たちによる、泥臭いような物語。


しかし、繊細な表現と″言葉″の深さが味わえるのは同様なので、シリーズ第一作が好きな方なら間違いなく楽しめる一冊だと思います。




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