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『盤上の向日葵』の感想を好き勝手に語る【柚月裕子】




最近で将棋といえば、若き天才″藤井聡太″の活躍が話題となり将棋ブームが到来している昨今である。


そんな将棋をテーマにしたミステリー『盤上の向日葵』550ページを越えるボリュームのある一冊だが、一気読みしてしまうくらいに面白く、引き込まれた作品だった。



また『盤上の向日葵』は『2018年本屋大賞』第2位に選ばれた柚月 裕子の作品である。


ネタバレありで書いていくので未読の方はコチラをどうぞ。

《『盤面の向日葵』あらすじ・紹介》


目次

感想

1.タイトルと表紙

タイトル『盤上の向日葵』


向日葵といえば夏における代表的な花で、青空と太陽の似合う明るいイメージを連想させる。それにも関わらず、表紙は『王将』とそして『雪』。


表紙をめくれば『向日葵』が出てくるものの、モノクロのそれは明るさを感じさせない、それ以上に寂しさを感じるものとなっている。






物語の中盤でやっと『向日葵』については触れられて、そしてタイトルの意味が分かったときには、なんだか寂しい感じがした。


2.鬼殺しのジュウケイ

著者の柚月裕子さんの作品はこの『盤上の向日葵』で初めて読んだのだが、登場人物がとにかく魅力的だと思った。


思いやりと優しさのある唐沢夫妻、身勝手ながらも確かな捜査力のある石破刑事、つらい少年時代にも関わらず卓越した頭脳で這い上がった上条。


そして一番印象に残っているのは、真剣師であり物語のキーマンである『鬼殺しのジュウケイ』の二つ名をもつ東名重慶


彼の魅力は最後まで己の生き方を貫いていることだと私は強く感じた。


最初は酒を飲んでいるばかりで、行きつけの店にはツケを溜め込める、まさに″ダメ人間″を絵に描いたような人物だったが、あの元治との対局(一局100万をかけた勝負)は痺れた。


一本目の対局で東名が負けて、菊水月の駒を売ることになったのは、予想できた展開だったが、その負けを含めて計画の内だったのは衝撃だった。


読んでる時は、菊水月を買い戻さずに金を持ち逃げした東名に対して失望の気持ちもあったが、これでしっかり返していたら東名らしくはないよな、と今は思う。


まさに『策士』である東名。最初に上条に出会ったときに10万を賭けたのも今後のための布石だったのではないかと思う。


賭けに勝てばもちろん10万手にはいるし、負けたとしても上条にかりをつくれる。(実際は、賭けは東名が勝手にやりはじめた事だから、かりとは言えないかもしれないが負い目を作ったのは事実)


結果としてその10万を犠牲に900万を手にしてるのだから流石としかいいようがない。

金にがめついろくでなし、超一流の真剣師──東名の生き方をどう見るかは人それぞれだろう。ただはっきりしているのは、東名は自分の人生を生ききったということだ。

(引用:盤上の向日葵 P556/柚月裕子)

まさにこの一文が東名という人間を表している。

将棋に生き、将棋で生かされ、将棋で死ぬ。まさに将棋に身を捧げた人物だった。


3.物語全体について

「佐野と石破の刑事視点」と「上条の過去」について交互に描かれているのも引き込まれる要因の一つである。


佐野・石破の刑事視点では、発見された死体は誰なのか?何故、高価な駒を一緒に埋めたのか?という今回の事件のポイントに徐々に迫っていく様子もいい。



上条の過去視点では、子供のときの苦悩から唐沢に救われて育っていき、どんな人生を歩んでいくのか、そして何故、奨励会を介さずに異例のプロ棋士になったのか?


この二視点で交互に進み、気になるところで視点が切り替わるので、焦らされてるようで余計にページをめくる手が止まらなくなってしまった。


個人的には上条視点ほうが気になり、グイグイ読み進めることになった。



とにもかくにも相互の視点で物語が進むにつれ事件の全容が明らかになっていく様子がたまらなく夢中にさせる。



もう一つ印象に残っているのが″対局″についてで、先程も少し触れたが東名と元治の真剣勝負の場面。


二人の勝負、命を削っての戦い。死闘と呼ぶにふさわしいこの戦いには痺れさせられた。


「棋士は命を削って将棋を指す」という言葉を耳にしたことがあったが、まさにそれを表現していて、こちらにも、とてつもない緊張感が伝わった。



4.ラスト

何故、東名が菊水月と埋められていたのか?


それが明らかになった場面は...くるものがあった...。

地獄でも、この駒さえあれば、何とかするだろう。
この男なら。

(引用:盤上の向日葵 p556/柚月裕子)


恨み、憎まれ、騙されもした。師弟のような関係の時もあったが、間違いなく歪んだ関係。


そして、定めだったかもしれないが東名の「お前はプロになれ」という言葉通り...いや、遺言通りに異例のプロ棋士となった上条。


この二人の関係はどう言い表していいのか、私にはわからない。



だが、間違いなく私の心には刺さった一冊だった。



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