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仇敵同士の二人の王が歩む軌跡『黄金の王 白銀の王』あらすじ・紹介【沢村凜】


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「薫衣様。私はお教えしたことのなかで、いちばん大切なことは何でしたでしょうか」
「この血に恥じぬよう生きること。事切れる間際まで」

(引用:黄金の王 白銀の王 P27/沢村凜)



仇敵同士の二人の王が歩む軌跡、沢村凜のファンタジー作品『黄金の王 白銀の王』を紹介していく。


感想はコチラ
【『黄金の王 白銀の王』感想】

目次

【書籍情報】
タイトル:黄金の王 白銀の王
著者:沢村凜
出版社:角川文庫
ジャンル・要素:ファンタジー・歴史ファンタジー
ページ数:481ページ
刊行年:2007年
映像化:なし
読後感:泣ける・すっきり


あらすじ

二人は仇同士であった。二人は義兄弟であった。そして、二人は囚われの王と統べる王であった──。翠の国は百数十年、鳳穐と旺厦という二つの氏族が覇権を争い、現在は鳳穐の頭領・穭が治めていた。ある日、穭は幽閉してきた旺厦の頭領・薫衣と対面する。生まれた時から「敵を殺したい」という欲求を植えつけられた二人の王。彼らが選んだのは最も困難な道、「共闘」だった。日本ファンタジーの最高峰作品。

(引用:黄金の王 白銀の王/沢村凜)


物語のテーマは、覇権を争う二人の王の「和解」そして「共闘」。ファンタジーといば魔法がでてきたりだとか、派手なアクションをイメージする方も多いだろうが、そのような要素はなく物語は静かに淡々と進む。だが熱い。世界に引き込まれる。それは魅力的な二人の王が歩む軌跡を堂々と、時に残酷に、そして現実世界のように鮮明に描かれているからだろう。


二つの氏族と二人の王

物語の舞台となるのは翠国。翠国は、鳳穐(ほうしゅう)旺厦(おうか)の二つの氏族が常に覇権を争っていた。タイトルの『黄金の王 白銀の王』は、この二つの氏族の王であり名前は、鳳穐は穭(ひづち)、旺厦は薫衣(くのえ)という。
そして現在は、鳳穐が覇権を握っている。というあたりから物語が始まる。
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(出典:黄金の王 白銀の王/沢村凜)


鳳穐と旺厦は100年以上前から争いを続けており、穭も薫衣も、それぞれの敵氏族を駆逐するよう教えられ、世の中もそれが当然の摂理であると考えていた。


そんな中、穭は世の中の流れに逆らい大きな決断を下す。それは鳳穐と旺厦が「共闘」すること。鳳穐と旺厦が長年争いを続けているために翠国は衰退の一途をたどっていた。ひとつの国の中で潰し合っている場合ではないのだ。さらには翠の国外から、海を渡って他の民族が侵略してくる可能性も高い。


「なすべきことをなす」ため穭と薫衣は、共に100年の歴史を覆す「共闘」をはじめる。


……が、物事はそううまくまとまるものではない。あらすじにあるように、二人の王は生まれた時から「敵を殺したい」という欲求を植えつけられたもの同士。様々な葛藤を胸に二人は新しい翠国を目指していく。

「共闘」

大きな目標のために敵同士だった者が手を組む。これだけ聞けば、盛り上がるよくある展開だ。本書もこの展開に違いはないが、『黄金の王 白銀の王』で語られるのは「共闘」を決め、達成を目指す果てない道のりだ


同じ王でも、穭と薫衣の人間性はまったく異なるし、周りから見る二人の立場もまるで違う。努力家肌で広い視野を持ち、細かな根回しができる穭。天才肌でカリスマ性と我慢強さをあわせ持つ薫衣。


鳳穐が実権を握るこの時代で旺厦の王・薫衣は非常に厳しい立場に立たされる。そして先程も述べたが、二人の王は生まれた時から「敵を殺したい」という欲求を植えつけられたもの同士。そんな二人が20年以上の時をかけて人心と政情を少しずつ少しずつ動かしてゆく。


最後に

派手さのある作品ではない。しかし『黄金の王 白銀の王』は、私にとってじわじわと心に残り続ける作品だ。激しい熱量で燃焼するような炎ではなく、じわじわと燻り続ける、一見弱々しいが確かに暖かい、そして決して消えることない。そんな炎のような作品だ。