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『精霊の守り人』の感想を好き勝手に語る【上橋菜穂子】


言わずと知れた和製ファンタジー作品の代表作、上橋菜穂子の『精霊の守り人』の感想を語っていく。ネタバレには触れていくので未読の方はご注意を。


感想

著者の他作品である『鹿の王』『獣の奏者』はすでに読み終えており、上橋菜穂子氏の作品ならば間違いない!とハードルを上げて『精霊の守り人』に挑んだ。


いざ、読み始めてみるとそんな上げ過ぎたであろうハードルもやすやすと飛び越えて、『精霊の守り人』の世界の虜になった。あと何がいいってまだまだ続きの物語『闇の守り人』などの続編があるって点だよね。


『精霊の守り人』では後々活躍する登場人物たちが沢山いるが、特筆すべきなのは、やはりチャグムとバルサの二人。


身分、育った環境などまったく違う二人だが何故か重なる部分がある。それを一番に感じたのが、バルサがチャグムを守る事に幸せを感じると打ち明けたシーン。すべてを捨てることになったチャグムと、昔のバルサの姿が読んでいて被って見えた。


過去にジグロに守られて育ったバルサが、チャグムを用心棒としての仕事で守る訳ではなく、慈愛の心を持って守っている姿(厳密に言えばニノ妃から宝をもらってはいるが)も過去のジグロと今のバルサがシンクロしているように思えた。


ジグロから見たバルサと、バルサから見たチャグム、境遇こそ異なれどいざ『守る』立場になったときに、バルサが自分の気持ち、そして過去に語ったジグロの想いに気付いたシーンは……大好きだなぁ。ジグロのセリフもこころにぶっ刺さる。

「 十六の時にジグロに、別れようっていったんだ。わたしはもう、自分の身は自分で守れる。追っ手に負けて死んだら死んだで、それがわたしの人生だって。もうジグロには充分たすけてもらった。もういいから、他人にもどって、どうか自分の一生を生きてくれって、ね」
チャグムは口の中でつぶやいた。
「ジグロは、なんて?」
「いいかげんに、人生を勘定するのは、やめようぜ、っていわれたよ不幸がいくら、幸福がいくらあった。あのとき、どえらい借金をおれにしちまった。……そんなふうに考えるのはやめようぜ。金勘定するように、過ぎてきた日々を勘定したらむなしいだけだ。おれは、おまえとこうして暮らしているのが、きらいじゃない。それだけなんだ、ってね」
バルサは、短刀を布でふいてチャグムに返した。
「そういわれたのに、わたしも馬鹿だよね。これまでずっと人の命を金に換算して、用心棒をやってきちまった。だから、いくど命を救っても、ちっとも、すっきりしなかったんだろうよ」

(引用:精霊の守り人 P246-247/上橋菜穂子)


ジグロの想いをバルサが受け継ぎ、さらにそれをチャグムに伝えている。このようなバルサたちの想いをチャグムが胸に抱えて生きていったから、心優しい人物に育ってくれたのかなぁと感じた(それがわかるのは先の話だが)。

最後に

チャグムの母親である二ノ妃。彼女もなかなかの肝っ玉と判断力のある人物だったなぁと今になって思う。状況上バルサしか頼れる人物がいなかったのでしかながなかったとはいえ、金で動く用心棒であり、ただの短槍使いの彼女に息子を託すなんて、まぁできることではない。


シリーズ4作目にあたるチャグム視点の物語『虚空の旅人』の解説で『精霊の守り人』について触れていたのだが、その解説で小谷真里さんも同じく、ニノ妃について私と同じ感想を持っていたのだが、そのときの表現が忘れられない。

新ヨゴ皇国の帝は、国民にとってはいわば神の生き物。たいへんな信仰の対象になっているのに、バルサはそれに見習うわけでもない。たとえ、身分の高い妃に会うときも、きっとまっすぐな瞳で彼女を見つめただろうな、と推察される。
それを無礼と断定しなかったニノ妃の判断は、なにかとても無謀なだけれど、じつはあまりに正しかった。

(引用:虚空の旅人 P385/上橋菜穂子)



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