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『コーヒーが冷めないうちに』感想:過去は変わらない、だけど…【川口俊和】

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川口俊和の『コーヒーが冷めないうちに』を読んだ。コーヒーを淹れて冷めるまでのわずかな時間だけ過去にいける不思議な喫茶店は、これからを生きる活力を与えてくれる素敵な物語だった。以下ネタバレありなので未読の方はご注意を。

感想

──未来はこれからの自分次第

登場人物たちの「前向きになって生きよう」という気持ちに心打たれるとともに、自分もこれからの未来をがんばって生きようと思える一冊だった。


タイムリープ系の物語って『過去に戻って何かをすることで、現在の状況を打破する』というのが一般的……というか、よくあるパターンだけど、『コーヒーが冷めないうちに』の面白い点は「過去に戻ってどんな努力をしても現実は変わらない」と何度も強調されていることだ。


しかも過去に戻ったら、席から動けなかったり、制限時間が短かったり、その喫茶店に訪れたことがある人にしか会えなかったり……と制約が多い。そんなんじゃあ過去に戻っても意味ないのでは?と思ってしまうが、ところがどっこいそれでも色鮮やかに物語は展開していた。


『過去はどうしたって変わらないけど、未来は自分次第で変えられる』
至極当たり前だけれども見過ごしがちなこの事実。『コーヒーの冷めないうちに』はこの事実を読者に語りかけてくれている。


登場人物たちは、変えることのできない過去(アメリカに行ってしまう恋人や、死んでしまう妹)に触れることで、これからの未来を良い方向に生きようとしようとする。


物語の中では『過去は変わらない』と主張されているが、正確には大きな流れは変えられないけど、手の届く範囲の小さい流れなら変えられるだと思う。恋人がアメリカにいってしまう事実は変わらないけど、喫茶店内で話す内容だけなら自分の対応しだいで少し変えられる。


妹がこのあと交通事故で死んでしまうことは変えられないけど、過去に行くことで逃げてばかりではなく、妹ときちんと向き合うことができる。


「あのときあぁすればよかったなぁ」という小さな流れを修正するだけで、人のこれからの生き方はこんなにもいい方向に変わるんだなぁと思えた。


人は、何かのきっかけで変われる生き物だ。ほんの少しだけれども過去に行ってやり直しができるなら、それはこれ以上ないきっかけになると思う。


私は過去に行くことはできないけれども、『コーヒーが冷めないうちに』を読めたことで、登場人物たちと同じように前を向いて生きようとする、未来を生きる活力をもらえた気がする。

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