森博嗣
人間というのは、自分という存在を過去や先祖に立脚してイメージするものだ。生命というものの価値も、少なからずそういった思想に基づいているだろう。 (引用:私たちは生きているのか? P100)Wシリーズの5作目、森博嗣の『私たちは生きているのか?』の感想…
誰が自分を作ったのかはわからないと言っていたが、あれは隠しているのかもしれない。機械が嘘をつかないなんてことはない。機械がつく嘘は、辻褄を完璧に合わせる計算が行き届いているから、始末が悪い (引用:デボラ、眠っているのか? P133) Wシリーズの4…
あらゆるものを手に入れようとして、結局のところ、あらゆるものを失っているのではないか、という気がしてならない。 (引用:風は青海を渡るのか? P64) Wシリーズの3作目、森博嗣の『風は青海を渡るのか?』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方…
今回は森博嗣『Gシリーズ』の作品一覧、またあらすじ・紹介とネタバレなしの感想を述べていく。 個人的には、『Gシリーズ』より先に『S&Mシリーズ』、『Vシリーズ』を読むことをオススメする。以下、各シリーズの紹介。 【S&Mシリーズの一覧・紹介】 【Vシ…
「それじゃあ、話をしましょうか」島田は言った。「鈴木さん、覚悟はよろしい?」 「何の覚悟ですか?」 「貴方が何者か、という話です」 (引用ψの悲劇 P195/森博嗣) 森博嗣のGシリーズ第11弾、後期三部作の二作目『ψの悲劇』の感想を語っていく。ネタバレ…
天才とは儚いものだ、と皆が語った。そうして、自分たちの社会を守ろうとした。 天才は寂しいものだ、と皆が感じた。そうすることで自分たちを慰めたのだ。 (引用:χの悲劇 P175) 森博嗣のGシリーズ第10弾『χの悲劇』の感想を語っていく。ネタバレありなので…
「僕の考えを聞いても、意味はない。真実は、推論の中から生まれるんじゃない。現実の観察から明かされるものだ」 (引用:キウイγは時計仕掛け P302-303)森博嗣のGシリーズ第9弾『キウイγは時計仕掛け』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注…
「ですから、それはわかりません。もっと未来に、ああ、これがそうだったのか、とわかるような問題なんですよ」 (引用:目薬αで殺菌します P216/森博嗣)森博嗣のGシリーズ第7弾『目薬αで殺菌します』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注…
自殺をすれば、一時でも周囲を自分の存在に目を向けるだろう、という予測だ。生きていても影響を与えることができない、あるいは、これ以上に、強い影響を与えられない。起死回生の最後の手段として、自殺がある」 (引用:λに歯がない P132-133) 森博嗣のGシ…
「思考というのは、既に知っていることによって限定され、不自由になる」犀川が煙草を消しながら言った。「まっさらで素直に考えることは、けっこう難しい。重要なことは、立ち入らないことだ。 (引用:τになるまで待って P305) 森博嗣Gシリーズの第3弾『τに…
「神様が必要となる理由は基本的に責任転嫁のメカニズムなんだ。誰か他人のせいにする。そうすることで、自分の立ち位置を保持する、というだけのこと」 (引用:θは遊んでくれたよ P237-238/森博嗣)森博嗣Gシリーズ第2弾『θは遊んでくれたよ』の感想を語って…
『すべてがFになる』を始めとしたS&Mシリーズの次なる物語、森博嗣のVシリーズの作品について紹介、また読む順番のオススメをしていく。 セオリーとしては『Vシリーズ』より『S&Mシリーズ』を先に読むことをオススメする。 【S&Mシリーズの紹介・あらすじ】 …
「端的にいえば、それは問題解決です。その邪魔ものが科学的な謎であれば、解決した者は科学者として成功し、その邪魔ものが技術的困難であれば、解決した者は一流のエンジニアになる。その邪魔ものが、たまたま生きた人間だったときは、解決した者が、殺人…
偶然と認識されるものは、つまり必然であり、世界のどこを切り取っても、特別に偏った部分は見受けられない。神はいつも平等に振る舞われ、そして何事についても冷酷に判断されるようだ。 (引用:朽ちる散る落ちる P12)森博嗣のVシリーズ第9弾『朽ちる散る落…
未来は過去を映す鏡だ。 心配する者はいつか後悔するだろう。 自分が生まれ変わるなんて信じている奴にかぎって、ちっとも死なない。 (引用:六人の超音波科学者 P27/森博嗣)森博嗣のVシリーズ第7弾『6人の超音波科学者』の感想を語っていく。ネタバレあり…
森博嗣のVシリーズ第5段『魔剣天翔』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。前回の感想はコチラ。 『夢・出逢い・出逢い』の感想 目次 感想 ──脅迫状 ──練無の過去 ──印象に残ったセリフなど 最後に 感想 前作の『夢・出逢い・魔性』と…
『すべてがFになる』をはじめとする森博嗣の人気シリーズ『S&Mシリーズ』を物語の核心に触れるネタバレはしないで、簡単な感想と紹介をしていく。『S&Mシリーズ』の次、『Vシリーズ』のあらすじ等はコチラ。 目次 1.【S&Mシリーズ作品一覧】 2.S&Mシリーズ…
「偶然のうちの半分は、人の努力の結晶です」 (引用:月は幽咽のデバイス P59/森博嗣) 森博嗣のVシリーズ第3作目『月は幽咽のデバイス』の感想を語っていく。ネタバレありなので、未読の方はご注意を。 目次 感想 ──プレジョン商会 ──新しい登場人物 感想 予…
ガリレィ、ニュートン、アインシュタイン、そしてマガタなのだよ」 「ええ、よく、わかります。我々研究者ならば、彼女は宗教的な存在です」 (引用:魔法の色を知っているか? P156)森博嗣のWシリーズ第2作『魔法の色を知っているか?』の感想を語っていく…
自分は、どこまで一つだろう? 生きていれば一つなのか? 生きているうちは、どうにか一つなのか? S&Mシリーズ第9段!森博嗣の『数奇にして模型』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。S&Mシリーズの紹介はコチラ あらすじ 密室の中…
記号覚え、数式を組み立てることによって、僕らは大好きだった不思議を排除する。何故だろう? (引用:幻惑の死と使徒/森博嗣) 奇怪で奇妙で奇数な物語『幻惑の死と使徒』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。S&Mシリーズの紹介はコ…
「Fになる、というメッセージを残したり、プログラ厶上にでも、形跡をわざと消さなかった。自分よりも、どれだけ人類が遅れているか、そのタイムラグを観測しようとした、といっても良いね」 (引用:四季 秋P102/森博嗣)『すべてがFになる』に隠されていた…
春、夏、秋、冬の四部作からなる『四季』。その中の『夏 Red Summer』を読んだので感想を語っていく。名作『すべてがFになる』の舞台を整える、前作ファンにはたまらない至高の一冊だ。 目次 あらすじ 感想 ──『すべてがFになる』の謎が明かされる ──『Vシ…
たとえるなら、それは天体の運行に類似している。たまたま、彼女の軌道と、僕の起動が、最も接近する位置に、そのときの二人が存在しただけのこと。 つまり、偶然。 (引用:四季 春 P14/森博嗣) 森博嗣の代表作品『すべてがFになる』やその他の作品で圧倒的…
「遊びで人を殺している、とおっしゃるのですか?」 「遊びで殺すのが一番健全だぞ」 (引用:黒猫の三角 P47/森博嗣) 今回は森博嗣の『黒猫の三角』の感想を語っていく。ネタバレありのため、未読の方はご注意を。 目次 あらすじ 感想 印象に残ったセリフ・…
「その言葉こそ、人類の墓標に刻まれるべき一言です。神様、よくわかりませんでした……ってね」 (引用:有限と微小のパン P827/森博嗣) 「そうだ、私はこんなミステリーを求めていたんだ」 これまで積み上げたモノすべてが一瞬でひっくり返され、想像もして…
「先生......、現実ってなんでしょう?」萌絵は小さな顔を少し傾げて言った。 「現実とは何か、と考える瞬間にだけ、人間の思考にあらわれる幻想だ」犀川はすぐ答えた。「普段はそんなものは存在しない」 (引用:すべてがFになる P357/森博嗣) 今回は森博嗣の…
『すべてがFになる』は森博嗣のデビュー作にして最高傑作と名高い作品だ。 だれが犯人なのか?どんなトリックを使っているのか?ミステリーでは欠かせない要素に対する解答も素晴らしいし、謎めいたタイトルに秘められた意味が分かったときの衝撃といったら…