今回は「夜は短し歩けよ乙女」の感想などを語っていきます。内容には触れていくので、まだ読んだことない方はこちらをどうぞ。
きっかけ
本書を読み始めたきっかけは、友人からオススメでした。
「けっこう癖があるから、好き嫌いはわかれると思う。」
と一言釘を刺されたのですが、ドはまりしましたね。いい本を教えてもらいました。
その中毒性のある文体に惹かれに惹かれ森見登美彦さんの小説を読み漁っている最中です。
感想
読み始めるとまずこう思いました。
「なんだこの独特の文体とオモチロイ登場人物たちは!!」と。
癖が強い
むしろ癖しかない
読者諸賢におかれては、彼女の可愛さと私の間抜けぶりを二つながら熟読玩味し、杏仁豆腐の味にも似た人生の妙味を、心ゆくまで味わわれるがよかしかろう。
願わくば彼女に声援を。
(引用:夜は短し歩けよ乙女 P7/森見登美彦)
最初のページからこの調子の良さ、「杏仁豆腐の味にも似た」なんて表現どうやったら思い付くんでしょうか...この柔軟な発想が羨ましい。
黒髪の乙女ももちろん可愛いし好きなのですが、個人的には先輩も大好きなんですよね(突然の告白)
先輩が次々と生み出す名言のような迷言が、たまらなく心に残りました。
いくつかピックアップすると
彼女が後輩として入部してきて以来、すすんで彼女の後塵を拝し、その後ろ姿を見つめに見つめて数ヶ月、もはや私は彼女の後ろ姿に関する世界的権威と言われる男だ。
(引用:夜は短し歩けよ乙女 P81/森見登美彦)
「彼女の後ろ姿に関する世界的権威」何というパワーワードであろうか。
諸君、異論はあるか。あればことごとく却下だ。
(引用:夜は短し歩けよ乙女 P124/森見登美彦)
先輩の全力の暴走具合がうかがえる。
なんとか日常生活で使ってみたいが、なかなか機会に恵まれない。
「恥を知れ!しかるのち死ね!」
(引用:夜は短し歩けよ乙女 P147/森見登美彦)
古本市でのラストシーン場面ですね。
たった一言なのに、この破壊力。一番印象に残っていると言っても過言ではないのです。
ごめんなさい。過言でした。
先輩の不器用なほど大迂回した恋愛作戦はパッと見間抜けですが、その一歩を踏み出せない様子はなんだか共感でき、ついつい応援してしまいました。
あーあ、私も学生時代にこんな甘酸っぱい馬鹿みたいな恋愛してみたかったです。
カムバックマイ青春!!!
さて、京都を舞台としたこの作品、実際にある地名や駅がバンバンでてくるんですよね。四条河原やら出町柳駅やら銀閣寺やら下鴨神社やら...
私は先月に京都に旅行へ行ってきたばっかりだったので、「黒髪の乙女は今、あの駅を歩いているのか...」と先月の記憶と重ね合わせながら読むことができ、なおさら楽しめました。
あと、文庫本あとがき部分に「かいせつにかえて」という題目で、「3月のライオン」の作者である『羽海野チカ』さんが、イラストで本書のコトバとシーンが描かれています。
羽海野チカさんの描く『黒髪の乙女』が自分の思い描いていた人物像とピッタリ当てはまっているんです。可愛い!!
3月のライオンは読んだことないけど!!!
最後に疑問なのですが、何故主人公である二人はあえて名前が伏せられているのでしょうか?他の登場人物は普通に名前がでてくるのに...
知ってる方がいらっしゃったら是非教えてほしいです!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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