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十二国記『風の万里 黎明の空』の感想を好き勝手に語る【小野不由美】



『月の影 影の海』で活躍した陽子のその後を描いた物語、十二国記シリーズ『風の万里 黎明の空』の感想を語っていく。

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目次

感想

──良い国とは?良い王とは?

十二国記の今まで読んできたシリーズは、総じて言えば「国作り」が基礎になっている物語だと思う。


今回の『風の万里 黎明の空』では、陽子の目指す「良い国」とはなんなのか?物語序盤に陽子が己に投げた疑問に対して、真っ向から向き合い、悩み、現実を見つめながら答えを出している。だからこそ、最後に陽子が出した答えには痺れるのだろう。


『月の影 影の海』で陽子は景麒に選ばれて景王になったわけだが、その時点では何故、陽子が王に選ばれたのかよくわならなかった。


というのも、延王・尚隆は蓬莱で一国を背負っていた経験があるし、泰王・驍宗は、禁軍の将軍で人望が厚く、知略に優れた武将であったりするのに対して陽子はあまりにも普通すぎた。


なぜ陽子は王に選ばれたのか?
その疑問も『風の万里 黎明の空』を読んでいて、朧気ながら分かった気がする。

  

「私は蓬莱で人に嫌われることが怖かった。終始人の顔色を窺って、誰の気にも入るよう無理な綱渡りをしていたんだ。──今とどう違う?愚王と呼ばれることが怖い。溜息をつかれることが怖い。諸官の、民の、景麒の顔色を窺って、誰からも頷いてもらえるよう、無理をしている」

(引用:風の万里 黎明の空〈上〉P/166小野不由美)

陽子自身が語っているように、弱さは確かにある。だが、弱さに目を背けず正面から向き合い、国の現状を把握しようとしたり、この世界について理解を深めようとする姿勢。それは陽子の前の予王にはなかった強さなのは間違いない。


蓬莱生まれだからこそ、この国の考えに縛られない。周りから見たら異端だろうが、荒廃が進んだ慶国を導くのは"普通"では務まらない。慶を新しい国に変えるため、新しい風を吹かせるためには、今まであったこの世界の常識を覆せる陽子のような人物が適任だったのだろう。



──景麒のセリフにぐっときたのは私だけじゃないはず

先程も述べたように、王になってからも苦悩が絶えない陽子。世界の様子もなにもかもわからない、同じ蓬莱から来た延王とは違い国を納めた経験などあるはずもないただの女子高生。


だからこそ、臣下に任せっきりでなく、街に下りようと、陽子が決心したときの景麒のセリフはしみた。

少なくとも陽子は予王と違い、己と闘うことを知っている。予王と同じく、官に畏縮して玉座を疎んじる気配があったが、陽子はそれを己で自覚した。それを乗り越えるために自ら動き始めた。──この差は大きい。
「──班渠」
景麒は己の使令を呼ぶ。はい、と足元に落ちた影の中から答えがあった。
「主上におつきして、お守りせよ。決して危険のないように。──あの方は慶にとってかけがえのない方なのだから」

(引用:風の万里 黎明の空〈上〉P169-170/小野不由美)


「あの方は慶にとってかけがえのない方なのだから」
あの…あの景麒がこれを言ってくれるのか…と。


麒麟の苦悩は、泰麒や延麒の物語で痛いほど感じてきた。景麒も不安だったことは容易に想像がつく。
なぜ、なにも知らない蓬莱の少女が王なのか?
なぜ、また女王なのか?
彼女に国を背負えるのか?


自分が選んだ王が道を外しているのを目の当たりにしている景麒は陽子に不安があったことは間違いないと思う。私は景麒がそう思っているだろうなぁと予想していたからこそ、このセリフを見たときに色んな意味で泣きそうになった。

──ラストシーン

身分を隠し民の反乱に参加して活躍する陽子。
そのような展開で読者が期待している『お約束のシーン』といえば「そ、そんなあんたが王だったのか…!?」…と身分を明かすシーンだと思っているのだが、王にしか仕えない麒麟に騎乗し、王直属の禁軍に勅命を下すこれ以上ない登場…。


驚く民と兵の姿。そして威風堂々の陽子の姿。たまらない。このスカッとするラストシーンが好きすぎて何回でも読み返せてしまう。

最後に

『魔性の子』
『月の影 影の海』
『風の海 迷宮の岸』
『東の海神 西の滄海』
と十二国記シリーズを順当に読み進めているわけだが今回読んだ『風の万里 黎明の空』は、今までの読んだシリーズの中で一番面白かった。


上下巻あるにも関わらず、夢中になりすぎて2日で読破してしまった。とくにラストは、お約束の展開と陽子のカッコ良さにしびれ、帰宅途中の電車の中でニヤニヤしながら読んでいた。


一心不乱に本に目を落としニヤニヤする男の姿に、周りの乗客からはさぞ不気味に映ったことだろう。



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