「読みたいのは今なんだもの。何十年後の自由のために今ある自由を捨てろなんて言えない」
(引用:図書館内乱P349/有川浩)
有川浩の『図書館戦争』シリーズ第二弾、『図書館内乱』の感想をかたっていく。ネタバレがあるので未読の方はご注意を。
目次
感想
1.両親撹乱作戦
2.恋の障害
3.美女の微笑み
4.兄と弟
5.図書館の明日はどっちだ
郁の悩める家庭問題から小牧の恋愛事情、そして手塚兄の登場と目白押しの展開で今回も面白かった。まだまだ続きが気になるところ。
郁が「王子様=堂上」にいつ、どうやって気づくのか気になっていたところだったけど(郁自身が何かとのきっかけで答えに辿り着くのかなぁと思ってた)、予想外だったなぁ…。思ってたより早く明かされたという印象。
手塚兄の立ち位置といいキャラといい、強キャラ感が凄まじい。
──レインツリーの国
登場人物紹介の次のページに『レインツリーの国』の本が描かれていてまずビックリした。
刊行順的には『レインツリーの国』の前に『図書館内乱』がでているので発売当初から『図書館戦争』シリーズを追ってる方からしたら何の疑問もないかもしれないが、すでに『レインツリーの国』を読んだことがある自分としたらびっくりだった。
世界線も違うし、どういうことや…!?と思ってたら読み進めて納得。これは『レインツリーの国』を知ってたほうがお得感があるね。
──好きなセリフ
「読みたいのは今なんだもの。何十年後の自由のために今ある自由を捨てろなんて言えない」
《中略》
「だって、もうこんな社会なんだもの。こんなの嫌だけどそれはもう仕方ないし、だったら今残されている自由が大事です。もっといい未来のために今我慢できる人もいるかもしれないけど、だから全員に我慢しろって言うのは違うし、今残されている自由を捨てたくない人を責めるのも違うと思う」
(引用:図書館内乱P349/有川浩)
冒頭でも載せたものだけど、上記は郁が手塚の兄に言い放った言葉。郁らしいまっすぐな言葉が『図書館内乱』で一番好きはセリフ。
規制が蔓延る中で、残された自由を享受したい。そして他の人にも享受させてあげたい。郁の持っている『正義』がまさにでている所だなぁと思った。
郁が図書隊を目指すきっかけの部分もまさにココ。自分の自由を守りたい。そしてその自由を守ってくれた堂上…。
「あり得ませんッ!」
ものすごい剣幕の堂上の怒声が、ドアの閉めた効果もないほどの声量で筒抜けた。
(引用:図書館内乱P284/有川浩)
そしてその堂上といえば、『図書館内乱』なら上記のセリフでしょう。
砂川に濡れ衣を着せられて、郁が査問会に出頭命令がでたときに叫んだ言葉。もうこれに至ってはシンプルにかっこよい。そして郁のことを信じて、冷静さを失うほど怒るとか…甘いわ。言うときは言う、こういう熱い堂上がすき。