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『キャプテンサンダーボルト』の感想を好き勝手に語る【伊坂幸太郎・阿部和重】


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「これは全部、ガキの頃の思い出のおかげだ。あの頃に見聞きして、味わったことのすべてが、今の俺たちを守ったんだ」

(引用:キャプテンサンダーボルト〈下〉/263)


伊坂幸太郎と阿部和重の合作『キャプテンサンダーボルト』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。



目次

感想

──全体を通しての感想

結論として全体を通して面白かった。
ストーリー前半はあまり動きはないもののじわじわと広がる不穏な気配でどんな展開が待っているのか気になるし、後半はその期待を裏切らないスピード感とスリル、そして伏線回収で見事なエンタメ小説になっていた。


伊坂幸太郎の他作品は読んだことあるが、阿部和重は読んだことなかったので、二人の特徴がどこにでているのか詳しくはわからなかったけど、伏線やスピード感など全体として伊坂色が濃い印象だった(阿部和重の作品を読んだらまた違う印象になるのかな?)。阿部和重の作品も読んでみたいなぁと思った。


強いて言うならラストがギリギリでの爆弾(ウィルス)処理というかなり王道…というかよくみる展開。でもちょっと先が読めるだけだしワクワクしながら読めた。ベタだけどそれをあまり感じさせない書き方でいい。



──史実を含めてのストーリー

個人的に好きなのが、史実を含めたストーリーと伏線。
「東京大空襲の日、3機のB29爆撃機が宮城蔵王の不忘山に墜落した」
これ自体は事実らしいがなぜ、3機のB29が蔵王に墜落したのかは未だに謎らしい。この史実を、もしかしたら……と思わせる解釈が面白い。


こういう史実が絡んたストーリーが好きな方は、ダン・ブラウンの『ダ・ヴィンチ・コード』とかオススメ。
『ダ・ヴィンチ・コード』シリーズ一覧!全5作品をまとめて紹介する【ダン・ブラウン】 - FGかふぇ


──謎が謎を呼ぶ展開と伏線

「伊坂幸太郎といえば見事な伏線回収!!」っていうイメージだけど、キャプテンサンダーボルトもそれを裏切らない見事な構成だった。


・戦時中のB29の不可解な墜落
・ゴシキヌマの水
・「村上病はあるけど、ない」
・テロ組織の存在
・戦時中にばらまかれた紙の数字


あげたら数え切れないけど、後半にかけて今までのさりげない描写に隠された秘密があかされていく様子がたまらない。再読してもう一度堪能したくなる。

──印象に残ったセリフなど

「俺が官僚だったら、予防接種なんてやらないぜ。副作用のことで文句を言われるくらいなら、予防接種なんて広めずに、病気に勝手に罹ってもらうほうを選ぶ。そのほうが批判はされない。やって批判されるよりは、やらないで知らんぷりだ

(引用:キャプテンサンダーボルト〈上〉P80)

やって批判されるよりは、やらないで知らんぷりだ
めっちゃわかる……出来ることならこの精神で生きていきたい。

「これは全部、ガキの頃の思い出のおかげだ。あの頃に見聞きして、味わったことのすべてが、今の俺たちを守ったんだ」

(引用:キャプテンサンダーボルト〈下〉/263)

このセリフにすべてが詰まってる気がする。



最後に

合作って今までなんとなく敬遠してたけど、なんの違和感もなく読めたなぁ。


ペア、相棒そんな言葉が似合う小説だった。相葉と井ノ原の主人公コンビはもちろん、米軍兵の二人もそうだし、なにより伊坂幸太郎と阿部和重のコンビで形になった『キャプテンサンダーボルト』。いい読書体験になった。


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