FGかふぇ

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『カラスの親指』の感想を好き勝手に語る。天才!?詐欺師の驚愕ペテン【道尾秀介】

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「飛びたいです、自分」
テツさんはそう言ったのだ。
「ずっと這いつくばるようにして生きてきたんです。人を、下から見上げてばかりだったんです。だから──だからいつか、飛びたいです」

(引用:カラスの親指 P38-39)


驚愕の逆転劇!?感動の結末!?!?
今回は道尾秀介の『カラスの親指』の感想を語っていく。ネタバレありなので、未読の方はご注意を。


目次

感想

面白い。
文句なしに面白かった。


タケさんとテツさんの絶妙なやりとりで最初から引き込まれ、二人の重い過去に気持ちが沈み、因縁の相手に一泡吹かせる爽快さを味わい、そして予想の斜め上の結末を迎える……。


最近は小説を読む頻度が落ちていたが、稀にこういう作品に出会えるから読書はやめられない。



──著者『道尾秀介』のイメージ

個人的に著者の作品には軽いトラウマがあった。


『カラスの親指』を読む前に、著者の代表作の一つである『向日葵の咲かない夏』は読んだことがあった。そこで受けた衝撃たるやいなや……。まぁ、詳細はここでは語らないので、よければ下記からどうぞ。

【『向日葵の咲かない夏』の感想】


とにかく『道尾秀介のイメージ』=『向日葵の咲かない夏』だったので、ホラーテイストが苦手な私からしたら、再び道尾秀介に手を出すのは怖いもの見たさがあったといっても過言ではない。


それに『カラスの親指』もタイトルだけみたらものすごく不穏な感じがしないだろうか?


とまぁ、そんな不安を抱えながらの読み始めたわけだが……度肝を抜かれたね。


これ、ホントに『向日葵の咲かない夏』を書いた人と同じか!?って


確かに物語に端々に仕組まれた細かいトリックや伏線、叙述トリックの見せ方、また人間の後ろ暗い部分の書き方など共通する所はあるが、『向日葵の咲かない夏』にはなかったコミカルな部分、感動する部分などはとても新鮮だった。


これを期に是非とも著者の他作品も読んでみたいと思った。


──作中に感じた違和感の正体

本書の最大のポイントは、なんといってもテツさんの正体と彼が仕掛けたペテンだろう。


タケさんたち5人で協力して憎きヒグチたちから金を奪うシーンも、作戦はよく練れれていたし、読んでいてハラハラした。テツさんのペテンを知る前はココが最大の見せ場だと思ったし、事実面白かった。しかしラストの衝撃を知ってしまったら……霞んでしまうな。


なにより読んでいて一番違和感を感じたのは、作戦がヒグチにすべて筒抜けで5人が捕まってしまった所。「さぁ、この絶望的状況からどのようにして脱するのか!?」と期待していたところで、まさかのあっさり解放。


裏の人間の対応としてはあまりにもぬるすぎるし、『向日葵の咲かない夏』でエグい書き方をする著者だとは知っていたので、違和感を感じずにはいられなかった。


……が、それが最後ですべて納得した。私もテツさんの仕掛けたペテンに見事にハマったいたのだ。

──印象に残ったセリフなど

「飛びたいです、自分」
テツさんはそう言ったのだ。
「ずっと這いつくばるようにして生きてきたんです。人を、下から見上げてばかりだったんです。だから──だからいつか、飛びたいです」

(引用:カラスの親指 P38-39)

重いなぁ。
結果的に最大のペテンをやりきったんだし、飛ぶことはできたんだと思いたい。


「あのですね、理想的な詐欺はですね、相手が騙されたことに気づかない詐欺なんですよ。それが完璧な詐欺なんです。でも、それと同じことがマジックにも言えるかというと、これが違う。まったく反対なのです。マジックでは、相手が騙されたことを自覚できなければ意味がないのですよ」

(引用:カラスの親指 P219-220)


普段は適当な印象がある貫太郎だが、たまに的を得た事を言ったり行動したりするギャップがある。マジシャンってのもビックリだったし。


「親指だけが、正面からほかの指を見ることができるんです。ぜんぶの指の中で、親指だけが、ほかの指の顔を知ってるんですよ」

(引用:カラスの親指 P488)

物語中盤にも指の話はあったけど、そこも深かったな。そこでテツさんが「親指が自分、タケさんは人差し指」と言っていて、逆な印象だったけど、そんなことなかったんだなぁ。


タケさんだけが、全員の本当の顔を知っていた……と(貫太郎は微妙な所だが?)。


最後に

人の闇をみせる所は相変わらずゾクッとした。とくに「わたぬき」は闇金○シジマくんを読んだときを思いだしてなかなかに心にきた。


あとコンゲームのポスターからの伏線は、うまいなぁって思った。絶対に「なにかに関係してくるんだろうな!?」とは思ったけど全然気付けなくて、スケールが大きくてそうくるかぁって感じだった。

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