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『λに歯がない』の感想を好き勝手に語る【森博嗣】


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自殺をすれば、一時でも周囲を自分の存在に目を向けるだろう、という予測だ。生きていても影響を与えることができない、あるいは、これ以上に、強い影響を与えられない。起死回生の最後の手段として、自殺がある」

(引用:λに歯がない P132-133)


森博嗣のGシリーズの第5弾『λに歯がない』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。

前回の感想はコチラ。
【『εに誓って』の感想】


目次

あらすじ

完全に施錠されていたT研究室で、四人の銃殺死体が発見された。いずれも近距離から撃たれており、全員のポケットに「λに歯がない」と書かれたカードが入っていた。また四人とも、死後、強制的に歯が抜かれていた。謎だらけの事件に迫る過程で、西之園萌絵は欠け落ちていた過去の大切な記憶を取り戻す。

(引用:λに歯がない 裏表紙/森博嗣)

感想

萌絵と犀川の登場頻度が高くてS&Mの延長を読んてる感があった。二人の関係性が目に見えて進展していて月日が流れてるんだなぁ……って改めて感じる。そして頭脳明晰の犀川は健在……と。常に萌絵とか海月の一歩先をいってるよね


あいも変わらず事件は謎を少し残したまま終わる不完全燃焼感。もちろん密室のトリック自体は明かされたけど、犯人は行方不明だし、『λ』の意味は推測の域をでないし、今回の『λ』はこれまでと違ってギリシャ文字を利用してこれまでの事件のカモフラージュで使われただけかもしれないし……。。


シリーズ折り返しの5作目でまだこんな手探りの状態だとは、思いもしなかった。これからの展開に期待していいんですよね!!!???


ギリシャ文字の謎は一向に答えが見えてこないけど、登場人物たちの関係は徐々に動きがでてきたのが印象的。S&Mの犀川・萌絵、Vの保呂草・各務亜たちが赤柳を軸に繋がってきたのが面白い。


まぁ犀川、萌絵、保呂草はすでに知った仲だけど、事件をきっかけに接近してる感がある。


──λに歯がない

ざっくりとした事件の全容としては、所長の梶間が事故死した田村香の復讐で関係者を殺害。歯を抜いたのは事故で田村香が歯を失ったから、同じ目にあわすために行った……と。

「もしかしたら、田村さんだから、λにしたのかしら」

(引用:λに歯がない P260)


と作品中に語られてはいたけど……、たむら、らむだ……。果たして本当にこれだけなのだろうか……。ギリシャ文字の意味としては今まで一番拍子抜け感が否めないんだが。


建物自体を動かす事件のトリックや、引き出しが勝手に開けられているといった伏線はなるほど、とは思ったけどそれをあっという間に解く犀川。流石の一言。

──印象に残った台詞・名言

「先生は、これ、真賀田博士が考えたことだと思われますか?」
「いや」犀川は簡単に首をふった。「この程度のことは、彼女の発想ではない」
「え?、では、たとえば、どの程度だと、真賀田博士の発想だと思えるんですか?」
《中略》
「たとえば、死んだ人間を、もう一度、生かす、というような発想だ」

(引用:λに歯がない P113)



「単に辛さから逃れるための自殺もあるけれど、もう一つの要因は、自殺することで、自分を社会に認めてもらおうという動機だね。自殺をすれば、一時でも周囲を自分の存在に目を向けるだろう、という予測だ。生きていても影響を与えることができない、あるいは、これ以上に、強い影響を与えられない。起死回生の最後の手段として、自殺がある」

(引用:λに歯がない P132-133)


犀川先生の自殺についての考え。
自殺って逃げ、諦めのイメージしかなかったけど……なるほどなぁ……。


死というものは、不思議なものだ。誰にでも訪れるごく身近で日常的な現象なのに、何故か、常に生から一番遠いところに追いやられている。言葉にすることさえ嫌がられる。子供が死について尋ねると、「そんか縁起でもないことを言わないで」と大人は顔をしかめるのだ。

(引用:λに歯がない P217)



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【『ηなのに夢のよう』感想】


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