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『六人の超音波科学者』の感想を好き勝手に語る【森博嗣】

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未来は過去を映す鏡だ。
心配する者はいつか後悔するだろう。
自分が生まれ変わるなんて信じている奴にかぎって、ちっとも死なない。

(引用:六人の超音波科学者 P27/森博嗣)

森博嗣のVシリーズ第7弾『6人の超音波科学者』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。


目次

感想

橋を落とした理由、首と手が切断してなくなっていた理由、壁に残された暗号、消えた死体、そして犯人……。色々推理しながら読み進めてはいたものの、今回も正しい答えに行き着くことはできないまま、紅子の理路整然の推理を目の当たりにして読了。紅子がキレイに推理をあかしてくれたのでスッキリとした読了感だった。


練無が事件に巻き込まれ、殺される寸前にまでなってしまったことに対して紅子が激昂した場面が印象深かった。普段はクールな印象が強いけど、叫ぶほどに怒りをあらわにする熱い一面が垣間見えた。まぁその怒った理由も単に『友達である練無が襲われたから』ではないあたりが紅子らしいとえばらしいけど。

「小鳥遊君が私の友達だから言ってるのではありません。そうではない。何の関係もない、何も知らない人の首を絞めたのですよ。モルモットでも、ネズミでもない。どうです?関係のない者を殺すことは、私は絶対に許さない」

(引用:六人の超音波科学者 P344)




──紅子と祖父江

細かい人間関係の様子が相変わらず面白い。保呂草の紅子と祖父江の対応の違いで、無響室での救出場面の扱いの差は笑ってしまった。もちろん祖父江の自業自得である。


紅子と祖父江の険悪な関係は前から描かれているが、その中でも今回は群を抜いてバッチバチ。

「ちょっと待って」七夏は紅子の前に立った。「どういうことなんですか?私にわかるように説明して下さい。瀬在丸さん、博士たちと何か取引でもなさったのですか?そんなふうに見えますよ」
「ごめんなさいね、申し訳ないですけれど、私の前から、どいていただけないかしら?」紅子は微笑んで言う。「今、お話ししますわ。ゆっくりと落ち着いていらしてね。理解するのに慎重な方にも、順を追って飲み込めるように、噛み砕いてご説明いたしますから、どうかこの場は、もうしばらく私に任せていただけないでしょうか?それとも、何かのパフォーマンスで強気に出てらっしゃるの?通路に警察の方々がいらっしゃいますよ。ご自重なさった方がよろしいんじゃなくて?」
「あの……」七夏は顔を真っ赤にして口を開きかけた。しかし、林を一瞬だけ見て、溜息をつき、黙って小さく頷きながら後ろに下がった。
「ありがとう」紅子が小首を傾げる。「感情をコントロールできる理性をお持ちだったのね。

(引用:六人の超音波科学者 P376-377)


これ言葉遣いがいいから皮肉で済んでるけど、言ってることは「今からお前みたいな馬鹿にでもわかるようにきちんと説明文するから黙って聞いてろ、身内に恥晒してるのにも気づいてないの?」って事だからなぁ……紅子容赦ない。


祖父江は争うには相手が悪すぎなんだよ……哀れだ。読者の大半は、紅子派だろうからなんとも思わないだろうが。むしろ爽快である。


P350-351で描かれる、林との電話のやりとりも面白かったので引用したかったが長いので割愛。

──表紙に隠されているもの

Vシリーズの表紙は抽象的でカラフルなのが特徴としてあげられる。なかには意図がわからないものもあるが『六人の超音波科学者』の表紙に隠されているものは、比較的わかりやすい。

中央に正三角形が二つ、上向きと下向きで重なっている。よく見かける幾何学模様だ。そう、占星術だったか、悪魔を呼ぶ魔法陣だったか……。

(引用:六人の超音波科学者 P56)


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──印象に残ったセリフ

人間というのは、多少は不便な方法であっても打つ手がある場合にはそれを使う。それが使えることで、それ以外の方法を考えられなくなってしまう

(引用:六人の超音波科学者 P395)

共感しかわかない。
改善したほうが良いことはわかっているのに、それができない。


実に、偶然と必然は、紙一重といわねばならない。
あまりにも特別な偶然があったとき、それは、必然として理由をこじつけられるか、あるいは、奇跡と呼ばれるしか、道はないのである。

(引用:六人の超音波科学者 P404)


【オススメ】




『魔剣天翔〈Cookpit on Knife Edge〉』の感想を好き勝手に語る【森博嗣】


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森博嗣のVシリーズ第5段『魔剣天翔』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。前回の感想はコチラ。


『夢・出逢い・出逢い』の感想

目次

感想

前作の『夢・出逢い・魔性』と比べると読みやすくて、サクサクと読み進められた。


飛行機?の中、空中密室の殺人というインパクト。
時限装置説や、離陸前にすでに撃たれていた説は練無や紫子があげていたけど、私が考えついたのも彼女らと同じレベルの所までだった。


紅子のように視点を180度変えての発想と、論理的な思考力……かっこいいわ。今巻での紅子の活躍で一番印象に残ってる場面は、タクシーに乗っていた各務にワインボトルを渡して、各務の指紋を取った場面。


物語後半、林へのプレゼントという形で、あのときの行動の答え合わせをしてくれた訳だが……鳥肌たったね。

「このボトルに、斎藤静子さんの指紋があります」紅子は澄ました表情で言った。「わたし、あのとき、わざと彼女にこれを握らせたの。だって、ずっと姿を隠していた保呂草さんが、あんな時間に慌てて戻ってきて、しかもタクシーの中で待たせている女なのよ。興味が湧くのが当然でしょう?普通のじゃないって思ったものですから、つい……」

(引用:魔剣天翔 P400)


指紋をとるって発想もそうだし、物事への嗅覚の良さが半端ない。

──脅迫状

P115に出てくる脅迫状。なんらかの意図があるのだろうとは思っていたものの、出てきた段階で解読はかなわなかった。しかし、物語後半で紅子が「各務亜樹良」の名前が入っていると語っていて……!

ヨワキココロヨ
スカイボルトヲイダ
ソノモノノチルハサイワ
ヒトハチリテマケンハト
アタラシキチヲハサキニソソ
テンクウニミルユメハサラニトオ

(引用:魔剣天翔 P115)



脅迫状は、末尾の文字を50音順を1つ前にずらすと『キギムイクリ』→『カガミアキラ』になる。



暗号としては、奇抜な訳じゃないが……ノーヒントじゃなかなか気付けないよなぁ……。保呂草の遊び心。



──練無の過去

練無に関係の深い登場人物、杏奈の登場によって練無の過去の鱗片が垣間見えたのだが……。切なかったな……とくにラスト、あの明るさの裏にある本音の部分が見えた。


癖が強い阿漕荘のメンバー、その中でもとくに練無は女装趣味の上、少林寺が使える…とVシリーズを読み始めた頃から「どうしてそうなった」と思っていた。


でも蓋をあけてみれば……と。一途なんだなぁ……それに物語の結末を知ってしまうて切なくて切なくてしょうがない。


練無だけではなく、保呂草の新たなる一面や、紅子と林の離婚のいきさつ(?)にも少し触れられ、よりVシリーズを読むのが楽しくなってきた。この『魔剣天翔』でちょうど折り返しだしね。




──印象に残ったセリフなど

もしかすると、飛んでいる姿が美しいと感じるのは、バックに大空があるためであろうか。

(引用:魔剣天翔 P11)

飛行機がなぜ美しく感じるのか
なんか納得


ところで、私は美術品がとても好きだ。その中でも、特に絵画に興味がある。それが好ましく、あるいは美しく感じられる理由(あるいは対象)は、物体としての「絵」そのものにはない。つまり、そこに描かれているものに対する美ではありえない。もしそうならば、絵画の写真を撮れば、ほぼ自分のものになるのだろう。そうではなく、絵筆を持ちキャンパスに向かっている画家の姿、その目、その手、その姿勢、その生きざまのすべてが、つまりは、「美」として、彼の絵の中に焼き付いているのだ。
それを私は観る。
結局のところ、人が作ったものを美しいと感じるのは、すべてこのシステムによるものだと、おぼろげながら、私は考えている。まだまだ言葉が足りないと思うけど、この辺でやめておこう。

(引用:魔剣天翔 P13)

人が”美しい”と感じる理由。
美しさは物語の過程に宿る。苦悩とも言える。

どんな出来事でも、ある観測点から見れば奇跡である。したがって、どんな事象についてもほとんど例外なくいえることだが、今回の物語も、いろいろな偶然が重なった、その結果だった。つまり、偶然というのは、人が偶然だと感じる、ただそれだけの評価であって、その気になって観察すれば、自然界のいたるところに偶然は存在する。木の葉は偶然にも、私の足元に舞い降りる。こんな奇跡的なことが無限に発生して、日常を形成するのだ。

(引用:魔剣天翔 P18)

偶然とは、人が偶然だと感じる、ただそれだけの評価。


前置きがあったように、偶然が多い物語だったのは確か。しかしそれは読者がそう感じただけ?


最後に

名言?好きなセリフが多い巻だった。ミステリとしての面白さもあるし、上記で引用したような印象に残るセリフがたくんあるのも森博嗣を好きなところ。



【オススメ】




『夢・出逢い・魔性』の感想を好き勝手に語る【森博嗣】


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どんな記録でも、多かれ少なかれ同じだと思う。しかもそれがずっと以前のことであれば、なおさらだろう。記憶とは、想像力が作る記号なのだ。

(引用:夢・出逢い・魔性 P30/森博嗣)


森博嗣のVシリーズ第4作品目、『夢・出逢い・魔性』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。前回の感想はコチラ。

【『月は幽咽のデバイス』の感想】

目次

感想

犯人視点での怪しげな雰囲気、立花亜裕実視点での夢の中の不可解な様子など要領を得ない不思議な様子が不気味で後をひく。


しかしそんな暗いイメージとは対象的に密室トリックなど事件の全容は紅子から大盤振る舞いで解説されるのでスッキリとした読後感があった。カメラの前できっと何かやってくれるだろうという期待通りに、まさにカメラの前での推理ショーは気持ちがいい。


トリックも犯人もまったくわからなかったので、私は完全に紅子のショーを見る観客の一部だった。


立花亜裕実の要領を得ない証言と夢、そして被害者との奇妙な関係もあり、ヒントとミスリードがよく読み切れなかったのが、真相にたどり着けなかったの大きな要因かな……。


──タイトル

見るからに意味ありげなタイトルな『夢・出逢い・魔性』。サブタイトルの『You May Die in My Show』。そして読み方を変えて『夢で逢いましょう』のトリプルミーミング。相変わらず遊び心満載。


当たり前だが、読む前はタイトルの意味わけわからんけど、読んだあとはストンと納得できるのは流石。こういうのは先にタイトルを決めてから物語を作るのか、物語を作ってる途中で思いつくのか……。



──性別と先入観

練無が設定(女装)が物語のキーであったのは言わずもがな。その他にも序盤、犯人がに運転していたタクシーに保呂草たちは偶然乗り合わせたわけだが、タクシー運転手の多くが男性のため、その先入観のせいで、謎が深まってしまった。


そして何より驚いたのは、稲沢が女性であったこと。男だって言ってなかったっけ…?と思い読み返してみたところ

稲沢真澄と会うのは、3年ぶりだ。保呂草が海外にいるとき、日本から観光旅行でやってきた稲沢と妙な経緯で同じホテルになった。そのあと、一週間ほどずっと彼と一緒だった。

(引用:夢・出逢い・魔性 P58)


やはり彼って書いてある……!と思ったが、実はこれが三人称で語られているため、彼=稲沢ではなく、彼=保呂草、というトリックらしい。個人的にはグレーな気もする。


しかし、彼女の名前が真澄(ますみ)で男女どちらともとれる名前を採用していたことで疑えるヒントは隠れていたのだろう。


──印象に残ったセリフなど

自分の夫が殺されたばかりなのに、彼女は落ち着いていた。どこか冷めている。保呂草にはそれが不思議であり、また、自然であると思えた。これが、人間の本性、本来の動物としての機能かもしれない。愛する者の死、仲間の死を受け入れるために、まるでローンを組むように、少しずつショックを分散するのだろう。

(引用:夢・出逢い・魔性 P190)

いずれにしても、人ほど、自分の皮膚を不安に感じる動物はいない。人は服を着る。そのうえ家に籠もる。家や城を築く。堀や城壁で取り囲む。さらには、村を作り、国を作る。そうして、社会というシールドを構築し、常に、その綻びに目を光らせ、直し続けるのだ。
それが、人間という動物だろう。
幾重にも及ぶかぶりもの一生を脱がないまま、生きていこうとする。
最後には死装束に棺桶。

(引用:夢・出逢い・魔性 P414)
著者の、人について、生と死について、などの考え面白いんだよな。『最後には死装束に棺桶』とは皮肉がきいてる。

私がかぶっているものは、それが好きらしい。

(引用:夢・出逢い・魔性 P417)

保呂草の最後の言葉。あいも変わらず彼はミステリアス。本物の保呂草は何者なのか……。そもそも本物ってなんなのか……。


【オススメ】




『圕の大魔術師』考察:作中に登場するヒューロン語の解読を試みる【泉光】


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ビブリオファンタジーの『圕の大魔術師』。ワクワクするストーリー、そして繊細な絵、個性豊かな登場人物たち、そして何より驚いたのは、その設定の細かさ。


扉絵で紹介される民族や歴史など、ファンタジーの世界を形作るのには欠かせない要素の設定が練りに練られている。もちろんそれは言葉にも及んでおり、物語で登場する架空の言語もけっして適当に書かれているわけではない。


そこで今回は『圕の大魔術師』の世界で、多く使われている『ヒューロン語』についてできる限り解読を行った。完璧ではないのであしからず。むしろ有識者よ、助けてくれ…!


もし、完璧に読めるようになれば、隠されている伏線などにも気付けるかもしれない。


目次

1.解読方法

物語の途中、扉絵、間話に、日本語とヒューロン語が並べて書かれている箇所がある。一番最初に出てくるのは1巻P18の「ジャグラザットの冒険」。


これらのヒューロン語の形と日本語の読みに注目していきあぶり出しを行った。例えば物語に巻頭で書かれている印象的な台詞。

書を護ること
それ即ち
世界を護ることなり

1巻P73でシオがセドナの本を読んでいるときに上記の言葉とそれのヒューロン語が描かれている。




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まず注目したのが、ひらがなにしたときの文字数とヒューロン語の文字数が同数だったことから、それぞれひらがなに当てはまる形があると予想した。


次に注目したのが文頭の形。「し」「そ」「せ」が同じ形であることから△に似た形が「S」と同じ働き、そして上下につく点で母音の役割を果たしていると予想できる。


……といった感じでそれぞれ当てはまるものを探していった。

※画像の青は、細かくて判別ができなかったため予想の形

2.ヒューロン語の基本形

先程の説明の通り調べていき、母音と子音の形は下記のようになると考えられる。

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──母音について

母音はa.i.u.eが上、oが下に付くのが基本らしい。ただしK、R、Pはすべての母音が下につくようだ?


また同じ母音が続く場合は─で表される。先程の例を参考にみると『こと』『なわ』はoとa母音が連続しているため─で表されている。


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──『ん』

『ん』はNと同じ形で表されるが、母音を付けないことで区別されている。

──数字

1〜8までの数字は以下である。

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2巻の扉絵の下部分に数字らしき記載があったのでそこから推測。しかしこれだけだと数字なのか確証は得られないが、3巻P15に『受験番号54』と日本語とヒューロン語で書かれている。


この54の形が、扉絵の4番目と5番目の形と一致していたので間違いないと思われる。

0と9についてはまだわからない。
 

──その他

長音符や「ぁ」「ゃ」「っ」などの拗音、促音に関してはサンプル数が少なかったため確証はない。

載っていた巻数、ページとともに記しておく。

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3.例外と不明な点

先程あげた基本形から異なる形
①「く」が「K」とは異なる。
②同じ子音が連続する場合は省略される。
③おそらく「とちゅう」と読むのだろうが、「と」「ち」が基本形と異なる。Mと似てるが、恐らく下線の凹みで区別される?「ゅ」もよくわからない。
④「の」「ん」が「N」とは異なる形。簡略化された書き方?
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4.おまけ

1巻ラストにシオが読んでいた本のタイトルには日本語がついていないが、翻訳できた。おそらくだが
『砂漠の鐘の冒険(さばくのかねのぼうけん)』
だと思われる。


シオが作中に読んでいる本の内容なども、頑張れば読めるのだろうが……細かいので確証が得られない。

5.最後に

まだまだ不完全な部分が多いが、私の知恵を絞りきった。残りは有識者に託したいと思う。ご指摘等あったら遠慮なくしていただけるととても嬉しい。

【オススメ】




『白鳥とコウモリ』感想:負の連鎖は止まらない【東野圭吾】

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「そんなことが起こりますか?そんな奇跡みたいなことが」
「夢だよ、俺の。刑事ってのは、辛い現実ばかりを見せられる仕事だ。たまには夢ぐらい見せてくれ」

(引用:白鳥とコウモリ P502/東野圭吾)


2021年4月に発売された東野圭吾の新作『白鳥とコウモリ』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。

目次

感想

東野圭吾の作品を読むのは久しぶりだったのだが、やはり圧倒的に読みやすい、そして面白い。今回の『白鳥とコウモリ』、単行本で500ページ越えとなかなかの文量があったが、すぐに物語の中に引き込まれあっという間に読了。


彼の作品は一気読みさせる魔力がある。「罪と罰」がテーマになっていることから明らかなように、決して、読んでいて無条件に楽しい!!となる話ではない。


しかし、じりじりと真相に迫る緊張感、物語がひっくり返る瞬間の驚き、そして最後をどう締めくくるのかという期待……!読み手の飽きさせない500ページだった。


最後には希望の光も覗かせたりと、個人的にはスッキリした気持ちで読み終えることができた一冊。


──すべての元凶は……

詐欺師の灰谷さえいなければ、今回の事件も30年前の事件も起きることはなかったんだろうなぁと思わずにはいられない。


灰谷の悪行のせいで白石が殺人を犯してしまい、同時期に倉木が灰谷に絡まれてしまっていたからこそ、誤認逮捕で福間が捕まり自殺。


福間の残された家族、織江と洋子は周りから非難の目で見られ、苦労の人生を送ることになり、さらには白石も復讐(というには怪しいが)で殺されてしまう…と。


まさに負の連鎖。


悪人のせいで善人の人生が狂わされていくのは、見ていてやるせない気持ちになるけど、見えないだけで大なり小なり現実世界でも同じようなことが起きてるんだよなぁ……。


──『白鳥とコウモリ』

タイトルの意味、読み始める前は「何らかの対比だろう」と思っていたけど、対比+αの意味合いがあったようだ。

「どちらも事件の真相に納得していないってことだ。《中略》加害者側と被害者側、立場上は敵同士だが、目的は同じ。ならば手を組もうと思っても不思議じゃない」
「なるほどねえ……といいつつ、やっぱり納得できないですね。《中略》光と影、昼と夜、まるで白鳥とコウモリが一緒に空を飛ぼうって話だ」

(引用:白鳥とコウモリ P391)


『被害者側』と『加害者側』という互いに相容れない関係の例えとして『白鳥とコウモリ』としている。その上で、その白鳥とコウモリがどうしたら手を取り合っていけるのか?(上の引用から取れば、どうしたら一緒に空が飛べるのか)が本書の肝……というか著者が書きたかった所なのかな、と思った。


その肝の部分が『被害者側』と『加害者側』の入れ代わり。両方の体験をしたからこそ、お互いの気持ちが分かる。だから手を取り合っていける。


けっこう無茶はあるけど、この建前が成立するのは和真と美令の人間性……ひいては二人の父親の人間性あってこそだと思う。


本書の大きな部分で「白石健介は殺されるような人ではない」、「倉木達郎は殺人を行うような人ではない」と語られるし、それが真実である。まぁ白石は過去に殺人をしている訳だが……それには訳があり真人間であることは間違いないだろう。


この二人の血を継いでいる和真と美令、根本の部分は二人とも真面目で素晴らしい人間だからこそ成り立ったのかなと思ったり思わなかったり。


印象に残ったセリフなど

「真相なんてね、そう簡単にわかるものじゃないの。わかったとしても大したものじゃない。お父さんがよくいってた。犯行動機をうまく説明できない被告人は多いって。なんとなく盗んだ、気が付いたら殺してた、自分でもよくわからない、そんなのばっかりだって。

(引用:白鳥とコウモリ P360)

なんでもないセリフだが、真相を知る前は、白石が弁護士として働いてきたからこそでてきた言葉だと思っていたが、実体験として自らのことも暗に言ってたのだなと分かったときの重みが…。


「人を殺しておきながら罪を逃れ、ふつうの生活を送って家庭まで築いた。そんな男の子供が生きていてもいいんだろうかって。母と父とは他人です。でもあたしの身体には殺人者の血が流れています。もしあたしが子供を産んだら、その子にも血が受け継がれます。それは許されることでしょうか?」

(引用:白鳥とコウモリ P521)


殺人者の血が受け継がれるかもしれないが、それ以上に素晴らしいものを和真と美令の子供なら受け継いでくれそうな気がする。

最後に

本書の帯には下記のようにあった。

『白夜行』『手紙』──新たなる最高傑作。東野圭吾『罪と罰』

まぁ順当に面白かったが……。最高傑作は宣伝文句感が強いなぁとは思ってしまった。物語の構成は緻密で抜け目がないが、読み手の感情に刺さる部分は弱い印象。


とはいってもそもそもガリレオに加賀恭一郎に白夜行に…と比較されるハードルが高すぎるってのもあるよね。


【オススメ】




『天冥の標X〈青葉よ、豊かなれ〉』の感想を好き勝手に語る【小川一水】


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「……あんたもじゃない」
「ん?」
「とてつもなく大きな敵に立ち向かって、とてつもなくたくさんの味方と戦ってきただけだかと思ったら、あんたにも……一番大事な一人が、いたんじゃない」

(引用:天冥の標X part1 P303/小川一水)


シリーズラストとなる『天冥の標X〈青葉よ、豊かなれ〉』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。前回の感想はコチラ。

【『天冥の標Ⅸ』感想】

目次

感想

怒涛の最終巻だったぜ…。10巻だけで3冊構成、1000ページオーバーの特大ボリューム。

チカヤの過去編から始まり、コルホーネン視点で地球群と救世群侵略後の地球の様子が語られ、アカネカをはじめとする異星物とそれらの規模に圧倒され、ついにミスチフとの決着がつく…と。まさに最終巻にふさわしい圧巻の展開だった。


印象的なシーンが数多くあったし、好きなシーンも数多くできた。


──MMS人としての自覚

Part1だけでも『第1章 芽生えざる種』のチカヤたちの月面編、『第3章 昏睡の眠り』のコルホーネンの過去編…と、見所と印象的な場面が目白押しだった。


10巻にしてまさかチカヤから始まるとは思いもよらず。確かに救世群が月に追いやられた事実は告げられていたけど、ここに持ってくるとは…!月面の開拓は著者の『第六大陸』をふと思い出したね。


遠い未来でも崇められていた理由がわかる、チカヤの強さが垣間見えた話だった。


コルホーネンの過去編もそれだけで一巻使えそうなほど面白い。”孤独”が印象深い。


そんな見事満載なPart1で一番印象深かったのがカルミアンとノルルスカインの意識の変化だった。


カルミアンは人と異なる種族である、しかし人と同じ『メニー・メニー・シープ人』であることには変わりない。さらには、ノルルスカインさえも

「僕もまた、他の何者でもなくメニー・メニー・シープの住人に違いない。

(引用:天冥の標X part1 P288)


生まれた星は異なれど、今はメニー・メニー・シープがそれぞれのかけがえのない場所に変わっている。この自覚を期に、どこか取り引きめいた関係からメニー・メニー・シープもとい惑星セレスを守るための本当の協力体制に変わった両者が印象的で胸が熱くなった。


──ノルルスカインの素

今まで圧倒的な性能と存在感で全知全能めいていたノルルスカイン。先程ふれた『メニー・メニー・シープの住人』という自覚もそうだが、最終巻にしてようやくノルルスカインの素の部分と感情的な部分が見れた巻だった。


下記はイサリとノルルスカインの会話

「……あんたもじゃない」
「ん?」
「とてつもなく大きな敵に立ち向かって、とてつもなくたくさんの味方と戦ってきただけだかと思ったら、あんたにも……一番大事な一人が、いたんじゃない」
「なんの──」ことだい、と訊き返そうとしてノルルスカインは言葉を切った。
そう、だった。確かにそうなのだった。分厚い地層のように積み重なった体験の底に埋もれ、たびたび思い出しはしても、もうすっかり化石のように白く乾いた一つの名前は、しかし最初は、何よりも大切なものだったはずなのだ。
「ミスチフ……」

(引用:天冥の標X part1 P303)


被展開体といえば、アクリラが被展開体になるとはなぁ…誰も予想できないでしょ…。被展開体になってからのアクリラとノルルスカインの軽快な掛け合いが好き。とくにアクリラがノルルスカインのことを『ノル』って呼ぶ所とか最高。


また同じ被展開体としてノルルスカインがアクリラを同等に見る……信頼できる仲間のように扱ってる場面がこれまでのノルルスカインからは想像できない姿で、ミスチフ以来やっとできた本当の友達なんだなぁと思い知らされた。

「僕が何で君を選んだと思う?単に都合のいい時に都合のいい場所で死にかかったやつはいたからか?そんなわけがないだろう!君が一人じゃないからだ!三百年の歴史を持つメニー・メニー・シープ、六百年の歴史を持つ《酸素いらず》八百年の歴史を持つ《救世群》、一万年の歴史を持つ人類文明、そして原始のシアノバクテリア以来三十五億年の歴史を持つ地球生命、そういう宇宙の片隅のちっぽけなカビみたいではあるけれど、それなりに長いこと努力を積み上げてきた連中の、一番先っちょで一番みんなと仲のいいやつだと思ったから、ここへ連れてきたんだ!みんな君を信じてる。誰が一人だもんか!」

(引用:天冥の標X part3 P216)
こんな感情的なノルルスカイン今まで見たことがあっただろうか、いやない。


──オムニフロラへの対抗手段

Part2でもルッツとアッシュの死や、イサリとミヒルの決着など様々なことが描かれていたが、進化論に基づいたオムニフロラへの対抗手段が抜群に熱かった。


圧倒的な力を有するオムニフロラ、超新星爆発を持ち出してようやく対抗できる相手に他にどんな勝機が見いだせるか想像もできなかったが……。

「そうか……」カドムは大きくうなずく。「俺たち自身の、病原体との戦いの中で培われてきた力。6万年分の進化。その成果が……その遺伝子だというわけか!」

(引用:天冥の標X part2 P95)


オムニフロラはしていなかった『進化』。6千万年分の進化の歴史。こういう勝ち筋の見出し方があるのかと読んでいて最高に興奮した。引用した場所だけでなくこの付近20〜30ページのリリー、セアキ、イサリの会話は何度読んでも面白い。

──ヒトは、何処へ行けばいいのだろう?

セアキがPart1の123ページで想いを馳せていた。ウーラもまた「自分がどこからきて、どこへいくのか」悩んでいた。


すべてが解決したあとで、どこへ帰ればいいのだろうか?私も登場人物たちと同様、気になっていた点。


それを地球に帰る…!!ええやん。『ヴァンディ』の名前を継ぐものが現れて、《救世群》とカルミアンも同じ環境で暮らしている。さらにはカン類たち、あの時の戦友も移り住んでいる。大団円とはまさにこのこと。


他に印象に残ったセリフなど

 人類を知らない、人類の知らない者たちの前で、人類に淵源を発する、しかし人類とは異なるものとなった艦隊が、動き始める。

(引用:天冥の標X part1 P81)

「君、兵士がなぜ死ねるのかわかってないな」イスハークは首を振る。【兵士が目の前の敵に全力を叩き込めるのは、自分の背後に自分より大きなものがあると分かっているからだ。守るべき家族だったり、恋人だったり、そういう人々が住んでいる国だったり、あるいはそれらをすべて包み込む大きな存在が、自分が死んだ後も続いていくと信じられるから、死んでいけるんだ。未来だよ、セアキ先生。俺たちの帰りつく場所が見えていること、これが大事なんだ」

(引用:天冥の標X part1 P121-122)


このセリフの少し後にエンルエンラにも同じような思想があることが語られているんだけど、ヒトとエンルエンラも手を取り合っていける伏線がすでにあったんだな。

「本当のことを話していこう。嘘は百万でもつくことができるけど、本当のことを言える機会は滅多にない」

(引用:天冥の標X part2 P188)

「ヒトは、なるものじゃない!そのように在るものだ!誰かから奪えるものじゃない、今この自分がそうだと認める在るもの、殺されて殺して殺さない、そういうの全部抱えて自分だとするものが、ヒトじゃないの!」

(引用:天冥の標X part2 P299)
イサリとミヒルの戦闘中の会話。

裏表紙

天冥の標Xpart3の裏表紙のあらすじがズルい。これまでのサブタイトルすべてが詰め込まれている。

メニー・メニー・シープという人類の方舟を舞台にした、《救世群》たちと、アウレーリア一統の末裔、そして機械じかけの子息たちの物語は、ここに大円団を迎える。羊と猿と百掬の銀河の彼方より伝わる因縁、人類史上最悪の宿怨を乗り越え、かろうじて新世界ハーブCより再興した地で、絶望的なジャイアント・アークの下、ヒトであるヒトとないヒトとともに私たちは願う、青葉よ、豊かなれと。天冥の標10巻・17冊、ついに完結。

(引用:天冥の標X part3 裏表紙)

最後に

あとがきで著者が行き詰まったとき、それを突破できた理由をいくつか語られていたが、そのうちの一つが「キャラクターたちの力」だと仰っていた。

カドムやアクリラやイサリがあの世界を駆け抜けられないわけがない。

(引用:天冥の標X part3 P365)


『駆け抜けられないわけがない』かぁ。ホントに魅力的な3人だったなぁ。


1巻に手を出したのは約半年前、6ヶ月でようやく読み切った、いや読み切ってしまった。いやはや、長い長い冒険だった。


【オススメ】




『ジェイムズ・P・ホーガン』の作品一覧と和訳されている作品まとめ【33作品】

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SF界の巨匠『ジェイムズ・P・ホーガン』。今回は彼の作品一覧と、邦訳されている作品のあらすじをまとめた。彼の作品に興味がある方の参考になればと思う。ホーガンの作品にはじめて手を出そうと思っているならまずは『星を継ぐもの』を読もう。話はそれからだ。


目次

『ジェイムズ・P・ホーガン』について

『ジェイムズ・P・ホーガン』や『J・P・ホーガン』とよく略されているが正式な名前は、『ジェイムズ・パトリック・ホーガン(James Patrick Hogan)』。1941年にイギリスで生まれ、2010年には亡くなられてしまっている。


彼の代表作はなんといっても『星を継ぐもの』。ホーガンのデビュー作であり、一番の人気作と言っていいだろう。


彼の作風はハードSFで、日本では星雲賞に3度も受賞したほどの人気を誇る。


(※星雲賞は、前暦年に発表もしくは完結した、優秀なSF作品およびSF活動に贈られる賞。)


その受賞作は、先程述べた『星を継ぐもの』、それの続編である『内なる宇宙』、そして『創生記機械』の3つである。


作品一覧

ここではホーガンの全33作品のタイトルをシリーズごとに紹介(年は刊行年)。また英語のタイトルは邦訳されいない作品である。

──『巨人たちの星』シリーズ

1978年 星を継ぐもの
1978年 ガニメデの優しい巨人
1981年 巨人たちの星
1991年 内なる宇宙
2005年 Mission to Minerva

──『造物主』シリーズ

1983年 造物主の掟
1995年 造物主の選択

──『揺籃の星』シリーズ(未完)

1999年 揺籃の星
2003年 黎明の星

──単発長編

1978年 創世記機械
1979年 未来の二つの顔
1980年 未来からのホットライン
1982年 断絶への航海
1985年 プロテウス・オペレーション
1987年 終局のエニグマ
1989年 ミラー・メイズ
1991年 インフィニティ・リミテッド
1992年 マルチプレックス・マン
1993年 時間泥棒
1995年 仮想空間計画
1996年 量子宇宙干渉機
1997年 ミクロ・パーク
1998年 Star Child
1999年 Outward Bound
2000年 The Legend that was Earth
2001年 火星の遺跡
2007年 Echoes of an Alien Sky
2008年 Moon Flower

──その他(ノンフィクション・短編等)

1988年 Minds, Machines & Evolution
1999年 Rockets, Redheads & Revolution
2005年 Catastrophes, Chaos & Convolutions
1998年 Mind Matters
2004年 Kicking The Sacred Cow

邦訳されている作品のあらすじ・紹介

邦訳されている22作品のあらすじを紹介していく。なおシリーズ作品に関しては最初の作品のあらすじのみ載せる。


──『星を継ぐもの』

──あらすじ

月面で発見された真紅の宇宙服をまとった死体。だが綿密の調査の結果、驚くべき事実が判明する。死体はどの月面基地の所属でもないだけでなく、この世界の住人でさえなかった。彼は5万年前に死亡していたのだ!一方、木星の衛星ガニメデで、地球のものではない宇宙船の残骸が発見される。関連は?J・P・ホーガンがこの一作を持って現代ハードSFの巨星となった傑作長編!

(引用:星を継ぐもの)


物語は月面で宇宙服を身につけた死体が発見されて幕をあける。月面で死体が発見されることでも驚きなのに、調査の結果その人物は5万年前に死んでいたことが分かったのだ!!


『星を継ぐもの』の面白い点は、宇宙、そして宇宙人という壮大なテーマの物語であるにも関わらず、ストーリーは一貫して月面の死体は何者なのか?どこから来たのか?に特化している点だ。


物理学、言語学、天文学、数学、化学、地理...ありとあらゆる専門家が様々な視点から謎に迫っていくのだが、その様子がたまらなく面白い。


シリーズを通して明らかになる謎、二転三転する衝撃の事実も目が離せない。


【シリーズを通しての紹介】

──『造物主の掟』

──あらすじ

百万年の昔、故障を起こした異星の自動工場宇宙船が土星の衛星タイタンに着陸し、自動工場を建設し始めた。だが、衛星の資源を使って作った製品を母星に送り出すはずのロボットたちは、故障のため独自の進化の道をたどり始めたのだ。いまタイタンを訪れた地球人を見て、彼ら機械生物は……? ホーガンSFの真髄がここに!

(引用:造物主(ライフメーカー)の掟 (創元SF文庫 (663-7)) | ジェイムズ・P・ホーガン, 黎, 小隅 |本 | 通販 | Amazon

──『揺籃の星』

──あらすじ

地球はかつて土星の衛星であった!?土星の衛星に住むクロニア人科学者たちは、地球の科学者にとって到底受け入れがたい惑星理論を展開する。太陽系は何十億年も同じ状態を保ってきたのではない。現に今、木星から生まれた小惑星のアテナは突如彗星と化し、地球を襲おうとしているのだと。物議を醸したヴェリコフスキー理論を大胆に応用、宇宙の謎に迫るハードSF新三部作開幕。

(引用:揺籃の星 上 (創元SF文庫) | ジェイムズ・P・ホーガン, 内田 昌之 |本 | 通販 | Amazon



──創世記機械

──あらすじ

若き天才科学者クリフォードは、統一場理論の研究を進めるうち、宇宙の無限のエネルギーを直接とり出す機械を発明した。この装置をうまく利用すれば究極兵器がつくれると判断した軍部は、ともすると反体制的なクリフォードを辞職に追いやる一方、独自の研究開発を続けたのだが……。ホーガン面目躍如の大作。

(引用:創世記機械 (創元SF文庫) | ジェイムズ・P・ホーガン, 昭, 山高 |本 | 通販 | Amazon


──未来の二つの顔

──あらすじ

人工知能を研究しているダイアー博士は研究中止命令の内示を受けて愕然とする。月面の工事現場で、コンピューターが勝手に下した誤った判断のために、大事故が起きたのだ。人工知能に仕事を任せる事の是非をめぐって論議がわき起こる。そのときダイアーが提案した実験とは……。ハードSFの第一人者ホーガンの待望の巨編!

(引用:未来の二つの顔 (創元SF文庫) | ジェイムズ・P・ホーガン, 昭, 山高 |本 | 通販 | Amazon


──未来からのホットライン

──あらすじ

アメリカ西海岸で技術コンサルタント事務所を開いているマードック・ロスは、スコットランドの古城に住む引退した物理学者の祖父に招かれ、友人のリーとともにイギリスへ向かった。祖父が政府の助けもなく、独力でタイム・マシンを完成させたというのだ。タイム・マシン・テーマにいどんだJ・P・ホーガンのお手並みやいかに。

(引用: 未来からのホットライン (創元SF文庫) | ジェイムズ・P・ホーガン, 黎, 小隅 |本 | 通販 | Amazon


──断絶への航海

──あらすじ

第三次世界大戦の傷もようやく癒えた2040年、アルファ・ケンタウリから通信が届いた。大戦直前に出発した移民船〈クヮン・イン〉が植民に適した惑星を発見、豊富な資源を利用して理想郷建設に着手したというのだ。この朗報をうけ〈メイフラワー二世〉が建造され、惑星ケイロンめざして旅立った。だが彼らを待っていたのは、地球とはあまりにも異質な社会だった…現代ハードSFの旗手がはなつ壮大なスペース・ドラマ。

(引用:断絶への航海 (ハヤカワ文庫SF) | ジェイムズ・P. ホーガン, Hogan, James P., 黎, 小隅 |本 | 通販 | Amazon


──プロテウス・オペレーション 

──あらすじ

1974年、世界はかつてない暗黒時代を迎えていた。第二次大戦で圧倒的勝利を収めたナチス・ドイツが、ヨーロッパのみならず、世界の大部分を支配していたのだ。そしてナチスの魔手は、ついにアメリカ合衆国へと伸びようとしていた。アメリカにとって最後の希望は「プロテウス作戦」―過去へと精鋭部隊を送りこみ、歴史の進路を変えて、ナチスを叩き潰す作戦であった!ホーガンが迫真の筆致で描く時間テーマSF超大作。

(引用:プロテウス・オペレーション (ハヤカワ文庫SF) | ジェイムズ・P. ホーガン, Hogan, James P., 黎, 小隅 |本 | 通販 | Amazon


──終局のエニグマ

──あらすじ

ソビエトが月軌道上に建設した巨大な宇宙島。ソ連政府当局は、これこそ彼らの宇宙計画の平和的目標の象徴であると主張した。しかし、合衆国国防総省の見方は違っていた。この宇宙島には強力なX線レーザーが積み込まれているに違いない。平和目的どころか、これこそ究極の攻撃兵器なのだ。この謎を解くため、二人のエージェントが送り込まれたが…。

(引用:終局のエニグマ〈上〉 (創元推理文庫) | ジェイムズ・P. ホーガン, 小隅 黎 |本 | 通販 | Amazon


──ミラー・メイズ

──あらすじ

西暦2000年の合衆国。新たな千年紀を目前に控えた大統領選。既成の二大政党を押さえて闘いを制したのは、護憲党と呼ばれる、全くの新興政党だった。政府による干渉を一切やめ、真の自由を謳う新大統領。だが一方でそんな自由を嫌うものたちもいた。選挙当日に起きた物理学者の殺害事件はほんの発端であり…。起死回生を狙って反対勢力が密かに企てる世界支配計画とは。

(引用:ミラー・メイズ〈上〉 (創元SF文庫) | ジェイムズ・P. ホーガン, Hogan, James P., 黎, 小隅 |本 | 通販 | Amazon


──インフィニティ・リミテッド

──あらすじ

作家という肩書きの裏で、フリーの諜報活動を続けるバーナード・ファロン。今度の依頼も、当初は第三世界にありがちな小競り合いとしか彼の目には映らなかった。ズゲンダなる独裁政府と対する共和戦線から、傭兵部隊の編成と敵の動向探査という、相次ぐ依頼…そこへ旧知の人物が突如姿を現す。われわれ「インフィニティ・リミテッド」のために両者の仕事を引き受けてほしいと。

(引用:インフィニティ・リミテッド〈上〉 (創元SF文庫) | ジェイムズ・P. ホーガン, Hogan, JamesP., 昌之, 内田 |本 | 通販 | Amazon


──マルチプレックス・マン

──あらすじ

気がついた時、ジャロウは七カ月間の記憶を失っていた。知人たちのもとを訪ねるが、誰ひとり彼のことを知らない。それどころか、彼は五カ月前に死亡したのだという。では一体この自分は誰なのか。身辺に残された手がかりをたぐるうちに浮かび上がった、彼自身がキイとなる恐るべき計画とは。宇宙に人類が進出し、世界構造も再編された近未来社会に展開するハードSFサスペンス。

(引用:マルチプレックス・マン〈上〉 (創元SF文庫) | ジェイムズ・P. ホーガン, Hogan, James P., 黎, 小隅 |本 | 通販 | Amazon



──時間泥棒

──あらすじ

ある日、ニューヨーク市の時間がおかしくなりはじめた。全世界でもこの街でだけ、時計がどんどん遅れていくのだ。しかも街の場所ごとで遅れ方が違う。前代未聞の事態に著名物理学者が言うには「異次元世界のエイリアンが我々の時間を少しずつ盗んでいるのです」。議論は際限なく続くが、その間にも時間は本当になくなっていく。大騒動の顛末は。巨匠が贈る時間SFの新機軸。

(引用:時間泥棒 (創元SF文庫) | ジェイムズ・P. ホーガン, Hogan, James P., 黎, 小隅 |本 | 通販 | Amazon


──仮想空間計画

──あらすじ

科学者ジョー・コリガンは見知らぬ病院で目を覚ました。彼は現実に限りなく近いヴァーチャル・リアリティの開発に従事していたが、テストとして自ら神経接合した後の記憶は失われている。開発計画は失敗し、放棄されたらしい…。だが、ある女が現れて言う。二人ともまだ、シミュレーション内に取り残されているのだ、と。あまりにリアルな仮想現実から、脱出する方法はあるのか?

(引用:仮想空間計画 (創元SF文庫) | J・P・ホーガン, Hogan, James P., 大島 豊 |本 | 通販 | Amazon



──量子宇宙干渉機

──あらすじ

世界が再び全面戦争の危機に直面した21世紀、ついに量子コンピュータは完成を見た。この世界は唯一の存在ではなく、同様に無数の世界が並行してあり、それらの相互干渉によって、いかなる物事が起こるのかが決定される。国防総省の極秘プロジェクトは、その別世界に干渉することで、現実の世界危機を回避できるというが…。量子力学の“多世界解釈”に基づく多元宇宙ハードSF。

(引用:量子宇宙干渉機 (創元SF文庫) | ジェイムズ・P. ホーガン, Hogan, James P., 昌之, 内田 |本 | 通販 | Amazon


──ミクロ・パーク

──あらすじ

まだ十五歳のケヴィンとその友人は、父親の会社で工作用の超小型ロボットの開発現場に足を踏み入れた。サイズが違えば、物理的特性が変わる。用途が変われば、新たなビジネスの機会が生まれる。極小マシンを裏庭のミニチュア世界のなかで操り、戦闘ゲームを楽しむふたりのアイディアは、箱庭式次世代テーマパークとなりうるか?ナノテク+仮想現実技術のハードSFサスペンス。

(引用:ミクロ・パーク (創元SF文庫) | ジェイムズ・P. ホーガン, Hogan, James P., 昌之, 内田 |本 | 通販 | Amazon



──火星の遺跡

──あらすじ

火星の都市で行われた瞬間移動技術の人体実験は成功と思われたが、被験者となった科学者の身辺で奇妙な事件が多発する。一方、火星の荒野で発見された12000年前の巨石遺跡を、太陽系各地に足跡を残す古代文明の実在証拠と考える地球からの考古学遠征隊には、大きな危機が迫る。ふたつの謎を巡り、紛争調停人キーランは調査に乗り出す。『星を継ぐもの』の巨匠、円熟期の傑作!

(引用:火星の遺跡 (創元SF文庫) | ジェイムズ・P・ホーガン, 内田 昌之 |本 | 通販 | Amazon

最後に

『巨人たちの星』シリーズが大好きなのだが、邦訳されていない続編『Mission to Minerva』があるのを今回初めて知った……。読みたいものだが、訳されているものでも難しいものを原文のまま読める気がしないんだよなぁ……。


【オススメ】