FGかふぇ

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『ペガサスの解は虚栄か?』の感想を好き勝手に語る【森博嗣】


Wシリーズの7作目、森博嗣の『ペガサスの解は虚栄か?』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。

前回の感想はコチラ。
【『青白く輝く月を見たか?』感想】

目次

あらすじ

クローン。国際法により禁じられている無性生殖による複製人間。研究者のハギリは、ペガサスというスーパ・コンピュータからパリの博覧会から逃亡したウォーカロンには、クローンを産む疑似受胎機能が搭載されていたのではないかという情報を得た。彼らを捜してインドへ赴いたハギリは、自分の三人めの子供について不審を抱く資産家と出会う。知性が喝破する虚構の物語。

(引用:ペガサスの解は虚栄か? 裏表紙)

感想

今回は、前回の"オーロラ"にまた新しい人工知能の"ペガサス"の登場。ペガサスについて印象に残ったことは、人工知能も妄想をし、判断を間違うということ。ホント、機械というかほぼ人間の性質だよね。


これは前回のオーロラが病んでいたのと同じように、これまでの人工知能のイメージと異なる状態で強く印象に残った。


人工知能も人間と同様に妄想をするし、病んだりもする。個人的な科学の進んだ世界の人工知能は、万能・完璧なイメージだったけど、ペガサスたちはそれとは大きく異なる。


膨大な知識と、高速演算処理ができるが、人間に近い……。むしろこの世界に生きる人間よりは、だいぶ人間臭い存在かもしれない。


寿命を人工細胞を取り入れることで克服し体にチップを入れて機械に近づく人間と、妄想し、病み、人間らしい行動を示す人工知能。


人間と人工知能、または人間とウォーカロンがこれ以上近づいていくとどうなるのか……。今回もまた考えさせられる、また次巻が気になる話であった。


言わずもがなだが、このWシリーズでは子供がめったに産まれなくなった世界。そのため親が子供を想う異常な感情が理解されづらい世界。「親は子のためならなんだってする」という現代ではごくごくありふれた理論も、一歩ひいてハギリたち目線になると異常なように見えるんだね、正論ではあるんだけどね。

「子供を産むと、なにか変化があるということですか?子供のためならば、法律に反したこともできる、ということですか?」
「前者は違う。人格としての変化ではない。後者はそうだ。肉親というのは、法よりも上位なんだよ。みんながみんなではない。肉親でも、法の下だという場合もあるだろう。肉親でも、子供から見た親と、親から見た子供は違うらしい。子供のためならば、自分は喜んで犠牲になる、という精神もありえる」
「古典的な精神です。現代的ではありません」
「法というのは、人間が定めたものだ。大昔には、親は子供を殺しても罪にはならなかった。法に絶対的な正義があるわけではない。単なる、共有のルールだ」
「子供のためならば悪事を働くというのが、母親なら自然だと?」
「そういう道理もある。いや、道理ではなくてね、感覚的にそういう心理がありうるということ。間違っていることはわかってる。それでも、どうしようもない。そんなところかな」

(引用:ペガサスの解は虚栄か? P226-227)


──印象に残ったセリフ・名言

「その素直さが、私は好きです」
「え?酔っ払ってるんじゃない?」
「アルコールはこれからです」

(引用:ペガサスの解は虚栄か? P229)

物語終盤のお決まりとなってきたウグイとハギリのやりとり。癖になる。


冷凍された遺体からサンプルとして取り出される細胞から、クローンもウォーカロンも製造できる。それらは、ほぼまちがいなく、子供を産む能力を有した人間として成長するだろう。
それは、完全に人間といって良い。そう、完全なという表現が相応しい。正しいという意味ではなく、つまり本来の能力なのである。
クローンであれば違法だ。人間を作ることは全面的に禁止されている。しかし、ウォーカロンはそうではない。両者の違いは、頭脳回路のインストールだ。

(引用:ペガサスの解は虚栄か? P238)

クローンとウォーカロンの違いは頭脳回路インストールの有無。


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【オススメ記事】






『青白く輝く月を見たか?』感想:人と人工知能の終着点や如何に【森博嗣】


無限ともいえる知性わあるい思考は、どこへ行き着くのか。壮大な実験を人間はスタートさせて、そのまま忘れてしまったのだ。コンピュータは、言われたとおりに学び続け、知性の実験を続けている。
なんとなく虚しい。
人工知能が、無限の虚しさに襲われても無理はない。
想像しただけで、躰が震えるほど、それは虚しく、悲しく、寂しい。

(引用:青白く輝く月を見たか? P184-185)

Wシリーズの6作目、森博嗣の『青白く輝く月を見たか?』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。

前回の感想はコチラ。
【『私たちは生きているのか?』感想】

目次

あらすじ

オーロラ。北極基地に設置され、基地の閉鎖後、忘れさられたスーパ・コンピュータ。彼女は海底五千メートルで稼働し続けた。データを集積し、思考を重ね、そしていまジレンマに陥っていた。
放置しておけば暴走の可能性もあるとして、オーロラの停止を依頼されるハギリだが、オーロラとは接触することも出来ない。
孤独な人工知能が描く夢とは。知性が涵養する萌芽の物語。

(引用:青白く輝く月を見たか? 裏表紙)


感想

初めのページの登場人物紹介でもうわくわくが……!マガタ博士に、二人のフーリ。そして序盤からマガタ博士が惜しみなく登場するという豪華っぷり。


ちなみにフーリは前作『私たちは生きているのか?』で富の谷にでてきたウォーカロン。
「同じ名前の二人の登場人物ってどういうこと……?」って思ったが、読み進めて納得。悲しきかな、そういうことね……と。



本編のほうは、まさかの密室が登場。まぁ今回はWシリーズなのでがっつりトリックがあったわけではないが、深海5000メートルの密室とかロマンの塊。そしてそこにいるのが忘れ去られた人工知能オーロラ。今更だが設定が良すぎだな?




マガタ博士がアミラの本当の名を『スカーレット』と言っていた。

「アミラは、本当は何という名ですか?」
「スカーレットです。いえ、アミラでけっこうですよ」マガタは、そこで微笑んだ。

(引用:青白く輝く月を見たか? P43)

そもそもアミラって名は、ヴオッシュが勝手に命名した名前。また『テラ』という名前もある。(デボラ、眠っているのか?P152)


マガタ博士はスカーレットと命名したけど、その名はスカーレット自体には語られなかったのかな。スカーレット、紅、Vシリーズ……いや、考えすぎか……?


ベルベットの本名はなんなんだろうね?



人工知能の"心"について語られているのが、この巻で印象的だったことの一つだ。人工知能なのにオーロラは、詩情を読む。そして、素直になれず反発し、虚しさから病む。それは人間だけが持っていると思われていた、心を持っているということだ。そして、心があれば性格があるように知的領域で個人が変容するというのも面白い解釈。


人類は機械に近づき、人類は人間に近づく。
この終着点はどこになるのかな。



オーロラもデボラも能力は桁違いだが、ホント人間っぽさしかない。エピローグ部なんてとくに。エピローグといえば、ハギリとウグイのほんわかするパートが恒例(?)となっていたが、今回もまた良きであった。ミサイルのくだりね。


今回まででウグイがハギリのボディガードから外れて、次からサリノがボディガードになるみたい。新しい展開。ウグイとハギリのコンビは、ズレているようでどこか小気味よく好きだったな。


ボディガードから外れるってだけで今後も物語には登場するだろうけど……どうなることやら。とにかくまた、新しいスタートになりそうなWシリーズ、まだまだ楽しめそうだ。

──印象に残ったセリフ・名言

「それも、マガタ博士の計画の一環のような気がしますね」
「え?ああ……、人間の寿命を延ばして、機械に近づけたわけですか」
「そうです。図らずも、私もそうなりそうです」
「そうか、人類は長寿という餌に釣られて、罠にかかったのか」

(引用:青白く輝く月を見たか? P132-133)

人類は長寿という餌に釣られた…ね。

「応答がないので、みんなが心配していました」僕は話す。「マガタ博士から、その話を聞きました」
「あの方は、常に心配されるのです」オーロラは抑揚のないゆったりとした口調である。「優しすぎる。思い遣りが強すぎる。それで、つい反発してしまい、耳を塞いでおりました。あの方の前では素直になれないのは不思議なことです」
信じられないような言葉だった。これが人工知能の言うことか、と僕は思った。まるで、母娘の喧嘩ではないか。

(引用:青白く輝く月を見たか? P166-167)
ハギリとオーロラの会話。四季の前では、人工知能のオーロラは素直になれない。ハギリも言っているが、もうこれは完全に人の性質というか言葉だよなぁ……。こういう不完全さ?がハギリに言わせると人間の持つ唯一な所なんだろうな。じゃあそれすらもある人工知能のオーロラはもはや何なんだろうか。

彼女は、すべてを見られる。世界中のどこにでも目を持っている。地理的にも歴史的にも、すべてを見てきた。人間のやることを、全部知っている。
無限ともいえる知性、あるいは思考は、どこへ行き着くのか。壮大な実験を人間はスタートさせて、そのまま忘れてしまったのだ。コンピュータは、言われたとおりに学び続け、知性の実験を続けている。
なんとなく虚しい。
人工知能が、無限の虚しさに襲われても無理はない。
想像しただけで、躰が震えるほど、それは虚しく、悲しく、寂しい。

(引用:青白く輝く月を見たか? P184-185)

この場面だけでも面白いが、このあと続くハギリの思考がまた面白い。見所の一つ。

「そうそう、君たちが学ぶのは、言葉になったデータなんだ。そこが、ラーニングの最も大きな落とし穴といえる。人はね、大事なことは言葉にしない。呑み込んでしまうんだ。賢明で正しい思考ほど、言葉になっていない。一番学ばなければならない賢者には、マニュアルがないんだ」
「賢者がマニュアルを残さないのは、どうしてですか?」
「人に教えること、教えられると思い上がることが、賢者にはできないからだよ。そういう自分を許せないんだ」

(引用:青白く輝く月を見たか? P248-249)

これからの未来を、担っていくのは、いったい誰なのか?
おそらくそれは、マガタ博士が目指している共通思考だろう。ぼんやりと、そこにしか道はない、という感覚を僕は抱きつつある。すなわち、人間もウォーカロンも人工知能も、すべて取り込んだ次世代の生命だ。有機も無機もない、生命も非生命もない、現実と仮想もない、すべてが一つになった地球だろう。

(引用:青白く輝く月を見たか? P266)



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【オススメ記事】






【2022年版】『ガリレオシリーズ』の作品一覧とあらすじ・紹介【東野圭吾】





東野圭吾作品の中でもシリーズ作品は特に人気を博している。魅力的な主人公、巻き起こる事件、そしてシリーズを通して読むことで明らかになる新たな事実──!最近では『沈黙のパレード』が映画化されたことでも話題である。


著者のシリーズものとえば、『加賀恭一郎シリーズ』や、最近では映画化されたり、新刊がでた『マスカレードシリーズ』も人気である。


そんな中でも一番人気といってもいいであろう、天才物理学者・湯川学を主人公とした『ガリレオシリーズ』。映像化作品は多数あり、新刊も2021年に発売し、長きにわたって東野圭吾ファンに愛され続けているシリーズだ。


今回は、そんな『ガリレオシリーズ』全10作品の紹介・あらすじ等を解説していく。『ガリレオシリーズ』は短編作品と長編作品の両方があるのだが、長編作品は下のリンクのほうで詳しく説明しているのでよろしければどうぞ。

【『長編ガリレオシリーズ』紹介】




目次

1.『ガリレオシリーズ』の特徴

″ガリレオシリーズ″とは、聡明な頭脳を持つことからガリレオと呼ばれる物理学者・湯川学を主人公にしたシリーズ作品である。

 
ドラマや映画化も多数されており、福山雅治が湯川を演じている。そちらのイメージが強い方もいるだろう。


シリーズを通しての特徴は、大学時代の友人である刑事・草薙俊平の依頼を受けて、一見超常現象とも取れる事件を科学によって、または論理的な推理によって解決していく。



2.シリーズ一覧と刊行年、読む順番

ガリレオシリーズは現在10冊が刊行されている。下は刊行順に作品一覧だ。《》内は刊行年である。


1. 探偵ガリレオ《1998年》──短編
2. 予知夢《2000年》──短編
3. 容疑者Xの献身《2005年》──長編
4. ガリレオの苦悩《2008年》──短編
5. 聖女の救済《2008年》──長編
6. 真夏の方程式《2011年》──長編
7. 虚像の道化師《2012年》──短編
8. 禁断の魔術《2012年》──長編
9.沈黙のパレード《2018年》──長編
10.透明な螺旋《2021年》──長編

※刊行年は単行本の年である。



読む順番は、シンプルに刊行順に読んでいくのが一番だろう。これは個人的な意見だが、ガリレオシリーズは比較的どこから読んでも楽しめるシリーズだと思っている。特に『容疑者Xの献身』や『真夏の方程式』は映画化もされ、原作支持も非常に高い作品だ。


じっくり楽しみたい方は、刊行順に『探偵ガリレオ』から、とりあえず名作から読みたい方は、先程挙げたように『容疑者Xの献身』『真夏の方程式』から読んでみてはいかがだろうか。

3.作品紹介

各作品をざっくり紹介していく。

──1.探偵ガリレオ

──あらすじ

突然、燃え上がった若者の頭、心臓だけ腐った男の死体、池に浮んだデスマスク、幽体離脱した少年…警視庁捜査一課の草薙俊平が、説明のつかない難事件にぶつかったとき、必ず訪ねる友人がいる。帝都大学理工学部物理学科助教授・湯川学。常識を超えた謎に天才科学者が挑む、連作ミステリーのシリーズ第一作。

(引用:BOOKデータベース)

『探偵ガリレオ』は5つの短編からなる。以下、章一覧。
第1章:燃える(もえる)
第2章:転写る(うつる)
第3章:壊死る(くさる)
第4章:爆ぜる(はぜる)
第5章:離脱る(ぬける)




──2.予知夢

──あらすじ

深夜、16歳の少女の部屋に男が侵入し、気がついた母親が猟銃を発砲した。とりおさえられた男は、17年前に少女と結ばれる夢を見たと主張。その証拠は、男が小学四年生の時に書いた作文。果たして偶然か、妄想か…。常識ではありえない事件を、天才物理学者・湯川が解明する、人気連作ミステリー第二弾。

(引用:BOOKデータベース)

『予知夢』は5つの短編からなる。以下、章一覧。
第1章:夢想る(ゆめみる)
第2章:霊視る(みえる)
第3章:騒霊る(さわる)
第4章:絞殺る(しめる)
第5章:予知る(しる)



──3.容疑者Xの献身

──あらすじ

天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。ガリレオシリーズ初の長篇、直木賞受賞作。

『容疑者Xの献身』を簡単に説明すれば、惚れた女性の犯罪を隠す石神と、犯罪の秘密に迫る湯川の二人の天才による対決が描かれた物語である。


おそらくガリレオシリーズで一番有名な作品。その知名度に恥じない魅力が詰まった一冊。



──4. ガリレオの苦悩

“悪魔の手”と名のる人物から、警視庁に送りつけられた怪文書。そこには、連続殺人の犯行予告と、帝都大学准教授・湯川学を名指して挑発する文面が記されていた。湯川を標的とする犯人の狙いは何か?常識を超えた恐るべき殺人方法とは?邪悪な犯罪者と天才物理学者の対決を圧倒的スケールで描く、大人気シリーズ第四弾。

(引用:BOOKデータベース)


『ガリレオの苦悩』は5つの短編からなる。以下、章一覧。
第1章:落下る(おちる)
第2章:操縦る(あやつる)
第3章:密室る(とじる)
第4章:指標す(しめす)
第5章:撹乱す(みだす)

──5. 聖女の救済

──あらすじ

資産家の男が自宅で毒殺された 。 毒物混入方法は不明、男から一方的に離婚を切り出されていた妻には鉄壁のアリバイがあった。難航する捜査のさなか、草薙刑事が美貌の妻に魅かれいることを察した内海刑事は、独断でガリレオこと湯川学に協力を依頼するが...。驚愕のトリックで世界を揺るがせた、東野ミステリー屈指の傑作!

『聖女の救済』は、誰が殺したのか?ではなく、どのような方法で殺したのか?がメインとなっている、『天才』VS『完全犯罪の女』のストーリーである。


「論理的には考えられるが、現実にはありえない」そんな驚愕のトリックを是非ご覧あれ。




──6. 真夏の方程式

──あらすじ

夏休みを玻璃ヶ浦にある伯母一家経営の旅館で過ごすことになった少年・恭平。一方、仕事で訪れた湯川も、その宿に宿泊することになった。翌朝、もう一人の宿泊客が死体で見つかった。その客は元刑事で、かつて玻璃ヶ浦に縁のある男を逮捕したことがあったという。これは事故か、殺人か。湯川が気づいてしまった真相とは──。

『真夏の方程式』は、これまで紹介した長編作品とは違い、明るめな雰囲気。自らを「子供嫌い」と語る湯川が恭平と親交を深めるようすがミスマッチのようで、どこか微笑ましい。恭平のために湯川は「ある実験」を行うのだが、その場面はとても印象的だ。


──7. 虚像の道化師

──あらすじ

ビル5階にある新興宗教の道場から、信者の男が転落死した。男は何かから逃れるように勝手に窓から飛び降りた様子だったが、教祖は自分が念を送って落としたと自首してきた。教祖は本当にその力を持っているのか、そして湯川はからくりを見破ることができるのか(「幻惑す」)。ボリューム満点、7編収録の文庫オリジナル編集。

『虚像の道化師』は7つの短編からなる。以下、章一覧。
第1章:幻惑す(まどわす)
第2章:透視す(みとうす)
第3章:心聴る(きこえる)
第4章:曲球る(まがる)
第5章:念波る(おくる)
第6章:偽装う(よそおう)
第7章:演技る(えんじる)

──8. 禁断の魔術

──あらすじ

高校の物理研究会で湯川の後輩にあたる古芝伸吾は、育ての親だった姉が亡くなって帝都大を中退し町工場で働いていた。ある日、フリーライターが殺された。彼は代議士の大賀を追っており、また大賀の担当の新聞記者が伸吾の姉だったことが判明する。伸吾が失踪し、湯川は伸吾のある"企み"に気づくが…。シリーズ最高傑作!

(引用:禁断の魔術 裏表紙/東野圭吾)


湯川の弟子(?)ともいえる人物が登場。彼を中心に物語は進んでいくが……!?
物語終盤の湯川がとにかくカッコよすぎて、必見の一冊。


元々は短編だったものの、加筆され長編に書き換えられた作品でもある。



──9.沈黙のパレード

──あらすじ

突然行方不明になった町の人気娘が、数年後に遺体となって発見された。容疑者は、かつて草薙が担当した少女殺害事件で無罪となった男。だが今回も証拠不十分で釈放されてしまう。さらにその男が堂々と遺族たちの前に現れたことで、町全体を憎悪と義憤の空気が覆う。秋祭りのパレード当日、復讐劇はいかにして遂げられたのか。殺害方法は?アリバイトリックは?
超難問に突き当たった草薙は、アメリカ帰りの湯川に助けを求める

19年前、捜査一課の新人・草薙の活躍によって解決に向かっていた少女殺害事件は決定的な証拠を挙げることができず、そして容疑者は自供を行わず沈黙を守ったことで釈放となってしまった。草薙にとっては因縁のその相手・蓮沼が再び殺人事件の容疑者として草薙の前に現れる。


──10.透明な螺旋

──あらすじ

シリーズ第十弾。最新長編。
今、明かされる「ガリレオの真実」。
房総沖で男性の銃殺遺体が見つかった。
失踪した恋人の行方をたどると、関係者として天才物理学者の名が浮上した。
警視庁の刑事・草薙は、横須賀の両親のもとで過ごす湯川学を訪ねる。
「愛する人を守ることは罪なのか」
ガリレオシリーズ最大の秘密が明かされる。

殺人事件の解決……というより、『湯川学』にスポットをあてたのが、ガリレオシリーズ節目の10作目『透明な螺旋』だ。


あらすじに「シリーズ最大の秘密が明かされる」とあるが、事件を通して明らかになるその秘密に是非ふれてみてほしい。今までに見たことのない、ガリレオの姿を見ることができるだろう。


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『禁断の魔術』の感想を好き勝手に語る【東野圭吾】


向こう側に捜査員が一人でも姿を見せた場合も、私はスイッチを入れる」
「湯川、気はたしかか」
「これまでの生涯で、最もたしかだ」

(引用:禁断の魔術 P287)


東野圭吾のガリレオシリーズ第8作目『禁断の魔術』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。


目次

あらすじ

高校の物理研究会で湯川の後輩にあたる古芝伸吾は、育ての親だった姉が亡くなって帝都大を中退し町工場で働いていた。ある日、フリーライターが殺された。彼は代議士の大賀を追っており、また大賀の担当の新聞記者が伸吾の姉だったことが判明する。伸吾が失踪し、湯川は伸吾のある"企み"に気づくが…。シリーズ最高傑作!

(引用:禁断の魔術 裏表紙/東野圭吾)

感想

物語終盤の湯川がカッコよすぎて、そこに全部持っていかれた。伸吾の犯行を止めるための、アレ以上の説得の仕方はないだろうな。湯川だからできた方法。


警察がレールガンの押収とかで無理矢理犯行を阻止したなら、伸吾の気持ちは変わらないままだっただろうけど、湯川は言葉だけではなく、行動で伸吾に寄り添っていたのが響いた。


自分も一緒に重荷を背負おうとするあたり、『真夏の方程式』を彷彿とさせるものがあった。いい話だったな。



厳しいのは間違いないんだけど、その厳しさも優しさの裏返し……みたいな感じで次にちゃんと繋がる厳しさが湯川らしさを感じた。『次に繋がる厳しさ』で言うと湯川が伸吾の指導をしているときもそれが垣間見える所がある。

時には、理論があまりに難解で、ついていけなくなりそうなこともあった。それで伸吾が諦めそうになると、湯川は珍しく厳しい言葉を発した。
「諦めるな。過去の人間が考えついたことを、若い君たちが理解できないなんてことはない。一度諦めたら、諦め癖がつく。解ける問題まで解けなくなるぞ」そして伸吾が理解できるまで、粘り強く説明してくれるのだった。

(引用:禁断の魔術 P17)


伸吾が由里奈に勉強を教えているときに、同じ言葉を使って教えていて、本当に湯川のことを尊敬しているんだなって深く感じた。


物語の中で意外だったのは、大賀の人間性と伸吾の姉・秋穂の気持ち。
秋穂をホテルで見殺しにしたであろう大賀はどんなクズ人間かと思いきや、意外や意外でまともな人間。まぁ、見殺しにしたことに変わりはないんだけど……。
秋穂については、伸吾を大学に通わせるお金のために大賀と関係があると思ったのに、まさかの普通の好意からの関係……。


明らかな悪役がいない分、この辺の関係はちょっと煮えきらない所があるけど……まぁ現実的にはこんなもんなんだろうね。

──印象に残ったセリフ・名言

「諦めるな。過去の人間が考えついたことを、若い君たちが理解できないなんてことはない。一度諦めたら、諦め癖がつく。解ける問題まで解けなくなるぞ」

(引用:禁断の魔術 P17)

先程も取り上げた所。湯川の伸吾へのアドバイス。


「彼はこういった。姉の死は悲しいけれど、悲しみは大きな力に変えることができる。だから科学を発達させた最大の原動力は人の死、すなわち戦争ではなかったのか、と」
「湯川先生は何と?」
「もちろん科学技術には常にそういう側面がある。良いことだけに使われるわけではない。要は扱う人間の心次第。邪悪な人間の手にかかれば禁断の魔術となる。科学者は常にそのことを忘れてはならない──そうなふうにいった」

(引用:禁断の魔術 P178)


タイトルが出てくる所。科学技術は使う人の心次第で人の命を奪う"禁断の魔術"になってしまう、と。
過去の伸吾の父にも当てはまるよな……。

「湯川、気はたしかか」
「これまでの生涯で、最もたしかだ」

(引用:禁断の魔術 P287)

このラストシーンの湯川がカッコよすぎる。そして上記のセリフは湯川の本気さが痺れる。


最後に

もし伸吾が合図を出していたら、湯川は本当にレールガンを発射させたかどうか?という問いが草薙と内海の間で話されていたが、私は内海と同じで発射させただろうと思う。


これといった根拠があるわけではないが、湯川は自分の言った言葉に責任を持つ人間だと思うし、そんな人間であってほしい。私の中のガリレオは、どこまでもカッコいい憧れの人間だからだ。



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『私たちは生きているのか?』の感想を好き勝手に語る【森博嗣】



人間というのは、自分という存在を過去や先祖に立脚してイメージするものだ。生命というものの価値も、少なからずそういった思想に基づいているだろう。

(引用:私たちは生きているのか? P100)

Wシリーズの5作目、森博嗣の『私たちは生きているのか?』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。

前回の感想はコチラ。
【『デボラ、眠っているのか?』感想】

目次

あらすじ

富の谷。「行ったが最後、誰も戻ってこない」と言われ、警察も立ち入らない閉ざされた場所。そこにフランスの博覧会から脱走したウォーカロンが潜んでいるという情報を得たハギリは、ウグイ、アネバネと共にアフリカ南端にあるその地を訪問した。
富の谷にある巨大な岩を穿って造られた地下都市で、ハギリらは新しい生のあり方を体験する。知性が提示する実在の物語。

(引用:私たちは生きているのか? 裏表紙/森博嗣)



感想

ついにWシリーズも折り返しの5作目『私たちは生きているのか?』。タイトル通り、『生きる』『生きている』とはどういった状態を指すのか?ハギリの考えが印象的だった一冊。とくに最後のデボラとの会話がとくに面白かった。


前作『デボラ、眠っているのか?』では、トランスファと呼ばれるAIがネットの世界で生きていたが、今回は更に一歩進んでウォーカロンが、更には人間が、躰を必要とせずネットの……バーチャルの世界で生きていけることを証明していた。着実に四季が予期した世界に変わっていくな……。



物語の中で今後、登場しそうな重要な事といえば『コンピュータの中で孵化する卵』の話。


富の谷の住人・フーリが話していたが、卵の漂流方法で「どんな鍵でも開けられる万能の鍵を持っている。コンピュータや、ネットの萌芽期からのもの」と言っていたが、前シリーズを読んでいればピンとくる方が多いだろうが、これは四季が持っていた技術……というか仕込んだものとしか考えられない。


また、卵といえば『デボラ、眠っているか?』で出てきたスーパ・コンピュータのテラがちょうど卵型のシェルに覆われていたのが記憶に新しいが……関係あるのかな。


──生命の定義

生きるとは何か?今作で大いに語られているところだが、気になったので少し調べてみた。
生物学的に考えられる生物の定義として、3つの条件があるらしく、それは、

①外界と膜で仕切られている。
②代謝(物質やエネルギーの流れ)を行う。
③自分の複製を作る。

以上の3つだそう。


いやはやなるほど、これまでは漠然と「へー、ウォーカロンとハギリたち人工細胞をいれた人間は子供ができないのかー」となんとなく受け入れていた事実だったが、現代の生物学の定義的には、それは生命の定義から外れているとなると……また話が変わってくるな。


ウォーカロンはまだしも、これではハギリたちもすでに生きていないということになる。


本書『私たちは生きているのか?』でも結局、生きることの定義というか、答えは提示されなかった訳だが……著者はこの問題にどのような答えをもっているのか……あかされるなら是非、拝見したいものだ。



──印象に残ったセリフ・名言

「自由への欲求が生まれるのは、どうしてでしょうか?」
「え?うーん、哲学的な質問だね。それはたぶん、生きていることが、その状況のベースにあると思う」
「生きていることが、ですか?」
「いや、しかし何をもって生きているのか、それがまた曖昧だ。むしろ逆かもしれない。自由を志向することが、現代では、生きていると表現される状況かもしれない」

(引用:私たちは生きているのか? P98)

人間というのは、自分という存在を過去や先祖に立脚してイメージするものだ。生命というものの価値も、少なからずそういった思想に基づいているだろう。

(引用:私たちは生きているのか? P100)

しかし、子供が生まれないことよりも、また、ウォーカロンが人間になれるかどうかということよりも、まさに人類が直面している問題とは、生命というものの概念なのだ。それは、長く問われなかったテーマだった。誰もが、普通に信じていた。自分たちは生きていると、なんの疑いもなく、誰もが胸を張って主張した。人の命はかけがいのないもの、この世で最も貴重なものだ、という信念によってすべてが進められてきた。だが、それは本当なのか、どうしてそんなことがいえるのか、という危うい境界にまで、我々の文明は到達してしまったのである。

(引用:私たちは生きているのか? P113-114)
哲学的すぎる。生きていることの再定義ね……。

生きているものだけが、自分が生きているかと問うのだ。

(引用:私たちは生きているのか? P262)
真理。

──今後、大事かもしれない備忘録

・卵のプログラム、ネット上で漂流し条件が合えば孵化する。孵化するとしだいに卵どうしが集まり、成長する。(P159)



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【オススメ記事】






『デボラ、眠っているのか?』の感想を好き勝手に語る【森博嗣】


誰が自分を作ったのかはわからないと言っていたが、あれは隠しているのかもしれない。機械が嘘をつかないなんてことはない。機械がつく嘘は、辻褄を完璧に合わせる計算が行き届いているから、始末が悪い

(引用:デボラ、眠っているのか? P133)


Wシリーズの4作目、森博嗣の『デボラ、眠っているのか?』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。

前回の感想はコチラ。
【『風は青海を渡るのか?』感想】


目次

あらすじ

禱りの場。フランス西海岸にある古い修道院で製織可能な一族とスーパ・コンピュータが発見された。施設構造は、ナクチュのものと相似。ヴォッシュ博士は調査に参加し、ハギリを呼び寄せる。
一方、ナクチュの頭脳が再起動。失われていたネットワークの再構築が開始され、新たにトランスファの存在が明らかになる。拡大と縮小が織りなす無限。知性が挑発する閃きの物語。

(引用:デボラ、眠っているのか? 裏表紙)


感想

カンマパではない、本物(?)のデボラが大活躍する第4作目Wシリーズ。AIvsAI(物語の言葉を使うならトランスファvsトランスファ)がはじまり、SF味が強まってきた。『すべてがFになる』から読んでいると『デボラ』とトランスファに名付けたことが感慨深い。


ハギリたちが話していたが、『デボラ』には他に、『旧約聖書に登場する預言者』や、ヘブライ語で『蜜蜂』だったり、『小惑星』の名前だったりするらしいね。


どんどん未来的な話になって、現代とは乖離していってるにも係わらず、何故かすんなり物語が入ってくる。理由としては、著者の描く未来像が将来実現しそうな気がしてならないからだろう。例えば、人工知能の発達で人間と機械(ウォーカロン)の境界がなくなってくること、人間がチップなどで機械化しはじめていること……など。


もし私が森博嗣作品を読み始めたのが、このWシリーズからだったなら、上記のようなウォーカロンの人間化また人間の機械化など、すんなり入ってこなかったかも。

「そもそも、この躰というものが、いつまで必要でしょうね」僕は言った。「エネルギィ効率から考えて、すべてをバーチャルにする選択は、けっこう早い段階で訪れる気がします。なにしろ、みんなが歳を重ねて、自分の躰に厭き厭きしてしまうんじゃないですか?そんな気がしますよ」

(引用:デボラ、眠っているのか? P266)

上記は物語終盤のハギリの言葉。
現代で考えるとけっこう突飛な考え方だと思うが、こういうセリフや考え方をすんなり納得してしまうのって、過去シリーズ(S&Mとか)を通して刷り込まれているからだと思う。確証はないが、「体は邪魔。いつか必要なくなる」といった趣旨のことを四季が語っていたはず。


彼女がS&Mシリーズで犀川たちに向けて、上記のような言葉を残してから百年以上あとのWシリーズで同じ思考をする人間がいるって感慨深い。いやそれを通り越して、やっぱり四季って桁違いの天才なんだって実感する。


ハギリだってかなり優秀な人間だけれども、そのハギリが考えることは、もう百年以上昔に四季が思考していたという事実。まぁ他にも四季が語っていた未来の姿が少しずつではあるけど、実を結んできているってどんだけ正確に未来を見通してたのか……。



あと、とっっっても印象に残っているのがエピローグのウグイがかわいいところ、P270-271。そんなことする人だったのか……普段とのクールなギャップに差にやられたね。みんなそう思うに違いない。

──印象に残ったセリフ・名言

人間の寿命が半永久的に長くなった今、人は現実というものをどう捉えて良いのか、迷っているように思える。《中略》いずれ自分にそれができるという無限の可能性を持っている者には、最初から興醒めでしかないをカタログを眺めるように、選択のための資料としての価値しかない。カタログは商品てまはない。カタログが欲しいわけではなく、商品を手にする未来を見ている。その未来は、今は無限に広くなり、逆に霞んでしまったように思える。大勢が霧の中で迷っているはずだ。

(引用:デボラ、眠っているのか? P87-88)

人の寿命が半永久的になったからこそ、未来が霞んでしまっている。
自分みたいな先延ばし癖のある人間にとって不老不死は毒でしかないかもしれない。

誰が自分を作ったのかはわからないと言っていたが、あれは隠しているのかもしれない。機械が嘘をつかないなんてことはない。機械がつく嘘は、辻褄を完璧に合わせる計算が行き届いているから、始末が悪い

(引用:デボラ、眠っているのか? P133)


「人間は、基本的に合理的な思考をしない傾向を持っています。私には、そう観察されます。無駄なことを考えて、最適ではないものを選択します。それでも人間は後悔しない。多くの戦争は、平均化すればこのような不合理の中にのみ成立する現象でした。したがって、歴史からは、学ぶものがほとんどありません」

(引用:デボラ、眠っているのか? P186)


デボラ(人工知能)から、この言葉を言われるの刺さるなぁ。歴史からわかるのは、いかに人間が愚かなのかってことくらいなのかもしれない。

そもそも、人工知能は人間のように私腹を肥やすとか、権力を欲しがるといった欲望を持たないはずだ。人間に比べればデフォルトが天使寄りなのである。
それは、ウォーカロンでも同じだろう。皆素直で、正直に生きているではないか。
そういった設計をしたのは人間なのだ。人間は、自分たちの至らなさを恥じ、もっと完璧な存在を目指して、コンピュータやウォーカロンを作った。その技術の初心を、忘れてはならないだろう。
そうでもなければ、生命の価値が消えてしまう。
それでは、あまりにも恥ずかしい、と僕は思うのだ。

(引用:デボラ、眠っているのか? P261-262)


ハギリの言葉。


──備忘録

今後のシリーズで、重要かもしれない個人的に気になった箇所の備忘録。

・ハギリの夢の中(デボラとの会話)でデボラは、カンマパを娘と言った(P65)

・城のスーパ・コンピュータの名前は『テラ』、ナクチュにあったものは『アース』。両方ともに地球の意。ヴォッシュは、『ベルベット』、『アミラ』と呼んでいる(P152)

・デボラの発想にはどこか人間的なものを感じる。(P168)

・共通思考とは、人工知能による新しい社会の構築。社会そのものが知性で、それは新しい生命体。(P175)


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『風は青海を渡るのか?』の感想を好き勝手に語る【森博嗣】



あらゆるものを手に入れようとして、結局のところ、あらゆるものを失っているのではないか、という気がしてならない。

(引用:風は青海を渡るのか? P64)



Wシリーズの3作目、森博嗣の『風は青海を渡るのか?』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。

前回の感想はコチラ。
【『魔法の色を知っているか?』感想】

目次

あらすじ

聖地。チベット・ナクチュ特区にある神殿の地下、長い眠りについていた試料の収められた遺跡は、まさに人類の聖地だった。ハギリとヴォッシュらと、調査のためその峻厳な地に再訪する。
ウォーカロンメーカHIXの研究員に招かれた帰り、トラブルに足止めされたハギリは、聖地以外の遺跡の存在を知らされる。
小さな気づきがもたらす未来。知性が掬い上げる奇跡の物語。

(引用:風は青海を渡るのか? 裏表紙)


感想

久々のWシリーズの続きを読んだ。やっぱりこのシリーズは読みやすい上に、次の展開が気になるからどんどん読めてしまう。一冊の文量もほどほどだし。


期間でいうとシリーズ2作目『魔法の色を知っているか?』から約一年半あけての今回だったので、だいぶ思い出しながら読み事になった。どうでもいいけど、やっぱりハギリに犀川みを感じるんだよな。


なんでそんなに期間が空いたかというと、VシリーズとGシリーズを読み進めていたため。あらためて思うのは、やっぱりシリーズの順番通りに読むべきだったね。これで心置きなくWシリーズに専念することができる。


とくに面白かったのがP220-228くらいのページでハギリがウォーカロンが人間になる最後の一歩の要因を閃いたところ。


「気まぐれ、人間にしかないもの」
「人間の思考のほうがランダムで、他回路へ飛びやすい」
「ぼんやりしてしまう」

人間とほぼ同じのウォーカロンの人間とは違うところ。人間にしかないところ。AIが発達し始めている現代だから、ハギリの考えがなんとなく理解できる。人の曖昧な部分というか論理的ではない部分。さらに、そこをどうすればウォーカロンが人間になれるのか、しかしそれを実験し、再現して、証明したところでウォーカロンにとって、人間にとって、この世界にとって、どんな意味を持つのか……。


ハギリの思考の連続、人と機械の境界線。面白い。


──今回の終わり方よ……

このシリーズ毎回毎回、物語最後にあ然とさせられてる気がするのだが、今回も「そうくるか……」って思わざるを得なかったな……。

「四歳だね。どうもありがとう。名前は何ていうの?」
彼女は顔を背け、母親を見上げた。それから、今度はタナカを見た。
タナカは笑顔で、黙って頷いた。
再び僕を見たが、恥ずかしそうに下を向く。
躰を僅かに揺すっていた。
しかし、やがて、顔を上げて、小さな声で答えたのである。
「シキ」

(引用:風は青海を渡るのか? P261)


憶測だが仕草から彼女が四季の人格があるようには思えない。でも、わざわざ物語の終わりにこの展開を持ってくる、そして「シキ」の名前に意味がないなんてことはないよなぁ……。今後この子がどう関わってくるのか……。


※備忘録として記しておくと、この子「シキ」は、ナチュラル(人工細胞を入れていない)な人間とウォーカロンから産まれた子ども。父親が人間のタナカ(元ウォーカロンメーカ)、母親がウォーカロン(名前はない)。


巨大な四季のような顔がでてきて、なおかつ作動したことで十分驚きだったのに、「シキ」の登場は駄目押しだった。このシリーズの感想を書くとき毎度言ってる気がするが、今後の展開に期待。


──デボラ

『デボラ』といえば、『すべてがFになる』に出てくるシステム(AI?)の名前だったはずだが、登場人物としてでてきた。チベット・ナクチュの区長『カンマパ・デボラ・スホ』(P162)。


彼女の手紙の中に"ある方"って濁されて書かれてだけど、"デボラ"ときて、"ある方"ときたら、あの人しかいないよな…?



そういえば、ハギリが本名を『ハギリ・ソーイ』と名乗っていたけど、たぶん本名を名乗ったのはこれがはじめて…?

──印象に残ったセリフ・名言

いつの間にかそれは、料理が美味しいと同程度になった。その料理にしても、現在はどんな好みのものも人工的に作り出せる。十ほどの数字で表すことが可能で、容易に再現できる。同時にそれは、未体験の美味しさなどない、と言いきれる。人間が興味を示すほどの価値は認められない、と多くの人が諦める対象になってしまった。
あらゆるものを手に入れようとして、結局のところ、あらゆるものを失っているのではないか、という気がしてならない。

(引用:風は青海を渡るのか? P64)

「この地方では、青い鳥と同じ意味で、青い海を求めるのです」タナカは話した。「遠くから見ると、青くて綺麗なのですが、水辺まで近づくと、青くはない」
それは、僕の人生のどこかで聞いたことあるストーリィだった。ようするに、憧れている間は綺麗に見える。自分のものになると、素晴らしさは埋没し、汚れた現実が目につく、という教訓らしい。だったらどう対処するのか、には言及していないのだ。
「それは研究でも同じだ」ヴォッシュが言った。「他人の研究は、綺麗なところばかりが見える。なんという素晴らしい発想だ、よくこんなことを思いついたな、どうして自分の実験はうまくいかないのだろう。こんな役に立たないデータばかりなのは、どういうわけなんだ?」ヴォッシュは笑った。「だが、そんな汗に薄汚れた毎日から、美しい公式が現れるんだ。まるで天使のようにね」

(引用:風は青海を渡るのか? P241-242)





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