2020-01-01から1年間の記事一覧
「偶然のうちの半分は、人の努力の結晶です」 (引用:月は幽咽のデバイス P59/森博嗣) 森博嗣のVシリーズ第3作目『月は幽咽のデバイス』の感想を語っていく。ネタバレありなので、未読の方はご注意を。 目次 感想 ──プレジョン商会 ──新しい登場人物 感想 予…
ガリレィ、ニュートン、アインシュタイン、そしてマガタなのだよ」 「ええ、よく、わかります。我々研究者ならば、彼女は宗教的な存在です」 (引用:魔法の色を知っているか? P156)森博嗣のWシリーズ第2作『魔法の色を知っているか?』の感想を語っていく…
「これは全部、ガキの頃の思い出のおかげだ。あの頃に見聞きして、味わったことのすべてが、今の俺たちを守ったんだ」 (引用:キャプテンサンダーボルト〈下〉/263) 伊坂幸太郎と阿部和重の合作『キャプテンサンダーボルト』の感想を語っていく。ネタバレあ…
「自分の手でって、そんなことできる?叔父さんは捜査のプロじゃないでしょ?」 「もちろんそうだが、できないときめつける理由は何もない。警察にはできないが、俺にはできるということもあるしな」 (引用:ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人 P95/東…
「もしかして、生きているのですか?」「生きているかどうかは、問題ではないのでは?」シモダは言った。 その意味は、よく理解できる。今の時代、生きていることの定義が非常に曖昧だ。人は死なないし、人工知能は、既に人間の能力をはるかに超えている。実…
「”わたしがおまえたちを滅ぼすとして、それがおまえたちとなんの関係がある?”」 (引用:三体 黒暗森林〈下〉P212) 前作からの圧倒的な物語の余韻をそのまままに、さらなる興奮の展開をみせる劉慈欣(りゅう・じきん)の『三体 黒暗森林』の感想を語っていく…
『図書館の魔女』の好きな所を書いただけ。今回は、図書館の本質を語っている、小さな欠片を未来に届けるについて。引用が多めになってしまったがご容赦いただきたい。ネタバレありなので未読の方はコチラからどうぞ。 【図書館の魔女 あらすじ・紹介】 ──小…
「それは、宇宙のどの場所においても適用できる物理法則が存在しないことを意味する。ということはつまり……物理学は存在しない」 (引用:三体 P78/劉慈欣) SF小説の話題作、中国作家である劉慈欣(りゅう・じきん)の『三体』のあらすじ・紹介をしていく。 【…
すべての証拠が示す結論はひとつ。これまでも、これからも、物理学は存在しない。この行動が無責任なのはわかっています。でも、ほかにどうしようもなかった。 (引用:三体 P66/劉慈欣) SF小説の話題作、中国の作家である劉慈欣(りゅう・じきん)の『三体』…
世界が変わって見えた。まさにこのときだった。工藤賢は、生まれて初めて、恋に落ちた。水科晴。六年前、奇妙な方法でこの世を去った、彼女に対して。 (引用:虹を待つ彼女 P149/逸木裕) 第三十六回横溝正史ミステリ大賞受賞作、ゲームの世界と現実の世界を…
人工知能と劇場型自殺事件を起こした女性を扱ったミステリ『虹を待つ彼女』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はコチラからどうぞ。【『虹を待つ彼女』あらすじ・紹介】 目次 感想 ──ミステリ?いや、究極の恋愛小説 ──切なすぎるラスト 最後に…
月への挑戦と少女の想いを描いた近未来ハードSF小説、小川一水の『第六大陸』のあらすじ・紹介をしていく。テンポのよいストーリーと飽くなき挑戦、そして宇宙のロマンが詰まった一冊だ。 感想はコチラ 【『第六大陸』感想】 目次 あらすじ 『第六大陸』紹…
月への挑戦と少女の想いを描いた近未来ハードSF小説、小川一水の『第六大陸』の感想を語っていく。導入から読者を惹き付ける流れが完璧で、あれよあれよという間に読み切ってしまった。以下ネタバレありのため未読の方はコチラからどうぞ。【『第六大陸』…
2020年上期(1〜6月)に読んだ小説26作品を5段階評価で好き勝手に感想を書いていく。 そして、後半は上期に読んだ小説の面白かった作品ベスト3をあらすじなどと共に紹介。2020年に発売した小説ではなく、あくまで私が1〜6月に読んだ小説なのでご注意を。目次 1…
人ってのは、良い言い訳が見つかると逃げたくなる生き物だ。それでいて、逃げることは後ろめたいもんだから、いつの間にか言い訳を鉄壁の理屈に祭り上げちまう。神さまがこういう存在を生んだから、なんて言われたら、そこですべてはどん詰まりだ。医術師に…
自分は、どこまで一つだろう? 生きていれば一つなのか? 生きているうちは、どうにか一つなのか? S&Mシリーズ第9段!森博嗣の『数奇にして模型』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。S&Mシリーズの紹介はコチラ あらすじ 密室の中…
川口俊和の『コーヒーが冷めないうちに』を読んだ。コーヒーを淹れて冷めるまでのわずかな時間だけ過去にいける不思議な喫茶店は、これからを生きる活力を与えてくれる素敵な物語だった。以下ネタバレありなので未読の方はご注意を。 感想 ──未来はこれから…
軽快なテンポと本格推理が癖になる、東川篤哉の『謎解きはディナーのあとで』の感想を語っていく。 感想 個性的なキャラクターたちが軽快に活躍していて読みやすい。その上、ミステリーの内容はとても凝っていて心地よい読了感だった。 シリーズ1作目は6話構…
新潮社出版の短編集、『ストーリーセラー 〜StorySeller〜』の感想を語っていく。この短編集は伊坂幸太郎、近藤史恵、有川浩、米澤穂信、佐藤友哉、道雄秀介、本多考好の7人の作家で構成されている。 表紙にある通り『読み応えは長篇並 読みやすさは短篇並』…
第二回本屋大賞受賞作、恩田陸の『夜のピクニック』のあらすじ・紹介をしていきます。 学生の方はもちろん、大人が読んでも懐かしい『あの時』を思い出させてくれるような青春小説です。夜を徹して80キロを歩き通す変わった学校行事『歩行祭』。 『夜のピク…
当たり前のようにやっていたことが、ある日を境に当たり前でなくなる。こんなふうにして、二度としない行為や、二度と足を踏み入れない場所が、いつのまにか自分の後ろに積み重なっていくのだ。 (引用:夜のピクニック P22/恩田陸) 第二回本屋大賞受賞作、…
永遠の片想い、か──。 その気持は哲郎にも何となく理解できた。無意味だとわかっていながらこだわらずにはいられない何か──誰だってそういうものを持っている。 (引用:片想い P186/東野圭吾) 東野圭吾の『片想い』の感想を語っていく。ネタバレありなので…
有川浩の『図書館戦争』シリーズ第6弾、番外編である『図書館戦争 別冊Ⅱ』の感想をかたっていく。ネタバレがあるので未読の方はご注意を。 感想 緒方副隊長の昔話や、堂上と小牧の新人時代の話など興味を惹かれる番外編だったど、やっぱり一番心に残ったのは…
異世界、不思議な生物、異なる文化、超能力……現実では体験し得ないワクワクするような世界をみせてくれるのはファンタジー作品の醍醐味だ。 今回は、一度物語の世界に入り込んだら、寝食を忘れて没頭できるような8つの作品を紹介していく。 どこからを”長編…
有川浩の『図書館戦争』シリーズ第四弾、『図書館革命』の感想をかたっていく。ネタバレがあるので未読の方はご注意を。 目次 感想 ──郁と堂上 ──堂上の背中を追いかけて ──手塚と柴崎 感想 物語の主軸は作家・当麻を守る戦い。その中で郁と堂上の関係が進展…
散らかった本棚の救世主!!ダイソーの『お助け本棚』を紹介。『お助け本棚』を使えば、今まで無駄になっていたスペースをなくして本棚を最大限に利用することができます。 今回は、基本的な使い方を2つ。そしてあまり知られていない『お助け本棚』のもう1つ…
県展を守りながらくだらない嫌がらせに付き合ってる暇はないの。県展警備に対する部内者の重大な妨害として報告させてもらうから、そのつもりであたしにかかってこい!」 (引用:図書館危機 P277/有川浩) 『図書館戦争』シリーズの三作目、有川浩の『図書館危…
「読みたいのは今なんだもの。何十年後の自由のために今ある自由を捨てろなんて言えない」 (引用:図書館内乱P349/有川浩) 有川浩の『図書館戦争』シリーズ第二弾、『図書館内乱』の感想をかたっていく。ネタバレがあるので未読の方はご注意を。 目次 感想 …
美しさは千差万別、幅広く、豊かなもので、そこに気づくことができるのは才能です。 (引用:宝石商リチャード氏の謎鑑定 P68/辻村七子)辻村七子の『宝石商リチャード氏の謎鑑定』の感想を語っていく。ネタバレがあるので未読の方はご注意を。 目次 感想 ──…
ジェイムズ・P・ホーガンの『内なる宇宙』の感想を語っていく。ネタバレがあるので未読の方はご注意を。 目次 感想 ──タイトルの”内なる”の意味 ──過去作との繋がり 最後に 感想 今までのシリーズ作品とはだいぶ毛色の違う作品だった。 『内なる宇宙』は10年…