FGかふぇ

読書やらカフェ巡りが趣味。読んだ本、行ったカフェの紹介がメインのブログです。ごゆるりとどうぞ。

『天冥の標Ⅸ〈ヒトであるヒトとないヒトと〉』の感想:さぁ舞台は整った【小川一水】

SF

「大きな構図の、外側のさらに大きな構図がわかったところで、いちばん小さな手元の問題が消えてなくなる訳じゃないの。ねえ、知ってるかしら?痛みや悲しみはそれが重なると麻痺してしまうけれど、責任というものは、背負えば背負っただけ、無限に重く感じ…

『天冥の標Ⅷ〈ジャイアント・アーク〉』の感想:二つの”ジャイアント・アーク”【小川一水】

SF

一千メートルの柱を登り、長い長いドーム天井の道を歩いてもなお、この巨大な箱舟〈ジャイアント・アーク〉の輪郭を実感きていなかったのだとカドムは思った。多分、今もなお実感しきっていないのだ。自分たちは、あとどれほどのことを理解していないのだろ…

『天冥の標Ⅶ〈新世界ハーブC〉』感想:ついに謎の原点が明らかになる【小川一水】

「まだわかってないな。人類だよ」ハンは両手の先をクイと自分の顔に向けた。「僕たちが人類であり、人類といえば僕たちになったんだ。厳密な意味で」 (引用:天冥の標Ⅶ P213) 小川一水の『天冥の標』シリーズ第7段、『天冥の標Ⅶ〈新世界ハーブC〉』の感想…

『天冥の標Ⅵ〈宿怨〉』の感想:どこまでも「ヒト」の物語である【小川一水】

SF

ブレイドがそれこそ真の目的だとして心の源に捉えたのは、どちらも人間であるという信念だった。《救世群》は歪められた人間である。パナストロ人は、まだそれを知らない人間である。〈中略〉何より絶望的なのは、《救世群》誕生からこれまでの5百年間、当の…

『天冥の標Ⅴ〈羊と猿と百掬の銀河〉』の感想:本当の根源に迫る【小川一水】

SF

「知ろうとした?今は違うの?」 「今でもそうだ。けれどもぼくは思ったよりもたくさん見てしまったから」 「何を?」 「人が、可憐に滅んでいくさまを」 かの者を除いて、この世に彼より可憐でないものなど、存在しなかった。 (引用:天冥の標Ⅴ P315-316/小…

『星を継ぐもの』シリーズ一覧!全4作品をまとめて紹介する【J・P・ホーガン】

SF

「夢を描くことがなくなったのだね」ダンチェッカーは悲しげに頭をふった。「それは悲劇だ。わたしたちが今当たり前と思っていることはすべて、誰かが突拍子もない夢を描いたところから始まっているのだからね」 (引用:巨人たちの星 P259/J・P・ホーガン) …

『天冥の標Ⅳ〈機械じかけの子息たち〉』の感想:少年は種族を超える【小川一水】

小川一水の天冥の標シリーズ第4弾『天冥の標Ⅳ〈機械じかけの子息たち〉』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。前回の感想はコチラ 【『天冥の標Ⅲ』感想】 目次 感想 ──全体を通して ──救世群と《恋人たち》 ──《恋人たち》の原点と『…

S&Mシリーズの紹介・あらすじと感想【森博嗣】

『すべてがFになる』をはじめとする森博嗣の人気シリーズ『S&Mシリーズ』を物語の核心に触れるネタバレはしないで、簡単な感想と紹介をしていく。目次 1.【S&Mシリーズ作品一覧】 2.S&Mシリーズとは? 3.作品紹介 ──すべてがFになる ──冷たい密室と博士たち…

『天冥の標Ⅲ〈アウレーリア一統〉』感想:過去と未来を繋ぐ物語【小川一水】

SF

「総員傾聴!天に在り、すなわちここに在る主神代理ケブネカイセの聖位のもと、大王主デイム・グレーデル・シンデルのしもべ、主教サー・アダムス・アウレーリアが命じる!系内平和をかき乱す、邪なる者滅ぼすため、一統身命を御許に擲ち、怒り、溜め、撃ち…

『天冥の標Ⅱ〈救世群〉』の感想と考察【小川一水】

SF

小川一水の『天冥の標Ⅱ 救世群』の感想と、疑問・考察について書いた。ネタバレありなので未読の方はご注意を。 【『天冥の標Ⅰ』の感想はコチラ】 目次 感想 天冥の標ⅠとⅡの繋がり 1.フィオドール 2.病気 3.ダダー 4.救世群 残された謎・今後気になる点 1.コ…

『天冥の標Ⅰ 〈メニー・メニー・シープ〉』の感想:革命と忍び寄る絶望【小川一水】

SF

小川一水の『天冥の標Ⅰ〈メニー・メニー・シープ〉』の感想を語る。ネタバレありなので未読の方はご注意を。 目次 感想 ──交錯する想い ──弱者の反撃 ──残された謎 1.イサリについて 2.メニー・メニー・シープの外の新天地 3.地球からの訪問者 4.アクリラの…

高田大介の小説一覧とこれから刊行するであろう作品まとめ【3作品+α】

私の好きな作者、高田大介氏の2021年現在で出版されている小説と、これから出版されるであろう小説についてまとめた。現在出版されている小説についてはあらすじ、紹介、ネタバレは触れていない感想を述べている。 目次 1.作品一覧 ──①図書館の魔女 ──②図書…

『かがみの孤城』の感想を好き勝手に語る【辻村深月】

2018年本屋大賞、堂々の1位に輝いた、辻村深月の『かがみの孤城』の感想を語っていく。ネタバレありなので、未読の方はご注意を。 目次 感想 ──まとまりがあるストーリー ──こどもたちを繋ぐもの ──印象に残ったセリフなど 最後に 感想 ──まとまりがあるスト…

【17作品】2020年下期に読んだ小説を5段階で評価する&ベスト3紹介【一言感想】

2020年下期(7〜12月)に読んだ小説17作品を5段階評価で好き勝手に感想を書いていく。 そして、後半は下期に読んだ小説の面白かった作品ベスト3をあらすじなどと共に紹介。2020年に発売した小説ではなく、あくまで私が7〜12月に読んだ小説なのでご注意を。目次…

『月は幽咽のデバイス』の感想を好き勝手に語る【森博嗣】

「偶然のうちの半分は、人の努力の結晶です」 (引用:月は幽咽のデバイス P59/森博嗣) 森博嗣のVシリーズ第3作目『月は幽咽のデバイス』の感想を語っていく。ネタバレありなので、未読の方はご注意を。 目次 感想 ──プレジョン商会 ──新しい登場人物 感想 予…

『魔法の色を知っているか?』の感想と考察を好き勝手に語る【森博嗣】

ガリレィ、ニュートン、アインシュタイン、そしてマガタなのだよ」 「ええ、よく、わかります。我々研究者ならば、彼女は宗教的な存在です」 (引用:魔法の色を知っているか? P156)森博嗣のWシリーズ第2作『魔法の色を知っているか?』の感想を語っていく…

『キャプテンサンダーボルト』の感想を好き勝手に語る【伊坂幸太郎・阿部和重】

「これは全部、ガキの頃の思い出のおかげだ。あの頃に見聞きして、味わったことのすべてが、今の俺たちを守ったんだ」 (引用:キャプテンサンダーボルト〈下〉/263) 伊坂幸太郎と阿部和重の合作『キャプテンサンダーボルト』の感想を語っていく。ネタバレあ…

『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』の感想を好き勝手に語る【東野圭吾】

「自分の手でって、そんなことできる?叔父さんは捜査のプロじゃないでしょ?」 「もちろんそうだが、できないときめつける理由は何もない。警察にはできないが、俺にはできるということもあるしな」 (引用:ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人 P95/東…

『彼女は一人で歩くのか?』感想と考察を好き勝手に語る【森博嗣】

「もしかして、生きているのですか?」「生きているかどうかは、問題ではないのでは?」シモダは言った。 その意味は、よく理解できる。今の時代、生きていることの定義が非常に曖昧だ。人は死なないし、人工知能は、既に人間の能力をはるかに超えている。実…

『三体2 黒暗森林』の感想を好き勝手に語る【劉慈欣】

「”わたしがおまえたちを滅ぼすとして、それがおまえたちとなんの関係がある?”」 (引用:三体 黒暗森林〈下〉P212) 前作からの圧倒的な物語の余韻をそのまままに、さらなる興奮の展開をみせる劉慈欣(りゅう・じきん)の『三体 黒暗森林』の感想を語っていく…

『図書館の魔女』の好きな所「小さな欠片を未来に届ける」【高田大介】

『図書館の魔女』の好きな所を書いただけ。今回は、図書館の本質を語っている、小さな欠片を未来に届けるについて。引用が多めになってしまったがご容赦いただきたい。ネタバレありなので未読の方はコチラからどうぞ。 【図書館の魔女 あらすじ・紹介】 ──小…

物語のスケールに圧倒される『三体』のあらすじ・紹介【劉慈欣】

SF

「それは、宇宙のどの場所においても適用できる物理法則が存在しないことを意味する。ということはつまり……物理学は存在しない」 (引用:三体 P78/劉慈欣) SF小説の話題作、中国作家である劉慈欣(りゅう・じきん)の『三体』のあらすじ・紹介をしていく。 【…

『三体』感想:圧倒される傑作SF【劉 慈欣】

SF

すべての証拠が示す結論はひとつ。これまでも、これからも、物理学は存在しない。この行動が無責任なのはわかっています。でも、ほかにどうしようもなかった。 (引用:三体 P66/劉慈欣) SF小説の話題作、中国の作家である劉慈欣(りゅう・じきん)の『三体』…

『虹を待つ彼女』あらすじ・紹介:衝撃的な自殺を遂げた彼女の真意とは…【逸木裕】

世界が変わって見えた。まさにこのときだった。工藤賢は、生まれて初めて、恋に落ちた。水科晴。六年前、奇妙な方法でこの世を去った、彼女に対して。 (引用:虹を待つ彼女 P149/逸木裕) 第三十六回横溝正史ミステリ大賞受賞作、ゲームの世界と現実の世界を…

『虹を待つ彼女』感想:もしかしたらそれは究極の愛の形【逸木 裕】

人工知能と劇場型自殺事件を起こした女性を扱ったミステリ『虹を待つ彼女』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はコチラからどうぞ。【『虹を待つ彼女』あらすじ・紹介】 目次 感想 ──ミステリ?いや、究極の恋愛小説 ──切なすぎるラスト 最後に…

『第六大陸』あらすじ・紹介:月へと挑む近未来SF【小川一水】

月への挑戦と少女の想いを描いた近未来ハードSF小説、小川一水の『第六大陸』のあらすじ・紹介をしていく。テンポのよいストーリーと飽くなき挑戦、そして宇宙のロマンが詰まった一冊だ。 感想はコチラ 【『第六大陸』感想】 目次 あらすじ 『第六大陸』紹…

『第六大陸』感想:緻密な構成と宇宙のロマンが詰まった一冊【小川一水】

SF

月への挑戦と少女の想いを描いた近未来ハードSF小説、小川一水の『第六大陸』の感想を語っていく。導入から読者を惹き付ける流れが完璧で、あれよあれよという間に読み切ってしまった。以下ネタバレありのため未読の方はコチラからどうぞ。【『第六大陸』…

【26作品】2020年上期に読んだ小説を5段階で評価する&ベスト3紹介【一言感想】

2020年上期(1〜6月)に読んだ小説26作品を5段階評価で好き勝手に感想を書いていく。 そして、後半は上期に読んだ小説の面白かった作品ベスト3をあらすじなどと共に紹介。2020年に発売した小説ではなく、あくまで私が1〜6月に読んだ小説なのでご注意を。目次 1…

『鹿の王 水底の橋』の感想とタイトルの考察【上橋菜穂子】

人ってのは、良い言い訳が見つかると逃げたくなる生き物だ。それでいて、逃げることは後ろめたいもんだから、いつの間にか言い訳を鉄壁の理屈に祭り上げちまう。神さまがこういう存在を生んだから、なんて言われたら、そこですべてはどん詰まりだ。医術師に…

『数奇にして模型』の感想を好き勝手に語る【森博嗣】

自分は、どこまで一つだろう? 生きていれば一つなのか? 生きているうちは、どうにか一つなのか? S&Mシリーズ第9段!森博嗣の『数奇にして模型』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。S&Mシリーズの紹介はコチラ 感想 2つの密室殺…