2022年7月に文庫化された伊坂幸太郎の『クジラアタマの王様』のあらすじ・紹介を語っていく。重要なネタバレなしで解説していく。
ネタバレありの感想はコチラ。
【『クジラアタマの王様』感想】
目次
1.あらすじ
記憶の片隅に残る、しかし、覚えていない「夢」。自分は何かと戦っている?──製菓会社の広報部署で働く岸は、商品の異物混入問い合わせを先輩から引き継いだことを皮切りに様々なトラブルに見舞われる。悪意、非難、罵倒。感情をぶつけられ、疲れ果てる岸だったが、とある議員の登場で状況が変わる。そして、そこにはおもいもよらぬ「繋がり」があり……。伊坂マジック、鮮やかに新境地。
(引用:クジラアタマの王様 裏表紙/伊坂幸太郎)
主人公の岸は、製菓会社の広報部署で働いているユーモアあふれる、どこにでもいそうな社会人。
ある日、お菓子の新商品に「画鋲が入って子供が怪我をした!!」というクレームが入ったことをきっかけに、ネットでの炎上騒ぎ、マスコミの殺到、非難罵倒など、大きなトラブルへの発展してしまう。
しかし、そんなトラブル中、岸は不思議な夢をきっかけに異物混入事件は思わぬ好転をとげる。そして岸の元に池野内と名乗る議員が現れて物語は更に加速していく……。
2.あらすじ補足
もう少し踏み込んで『クジラアタマの王様』について紹介していく。
重要なネタバレには触れないが、ちょこちょこと物語の中身に触れていくので嫌な方は戻る推奨。
『クジラアタマの王様』の大きなポイントは、『現実世界』と『夢の世界』の2つの世界が登場する点である。
記憶の片隅に残る、しかし、覚えていない「夢」。自分は何かと戦っている?
(引用:クジラアタマの王様 裏表紙)
上記のあらすじにあるように、岸の頭の片隅には、何かと戦う夢の記憶が残っている。そして『クジラアタマの王様』の最大の特徴が、この夢の出来事がマンガのような形で描いているのだ。冒頭ほうの夢の1ページだけ引用する。
(引用:クジラアタマの王様)
味のあるいい絵…!普通のマンガと違う点としては、セリフが一切ない点だろう。これは夢の中の曖昧さを表しているのか、読者に判断を委ねているのかは定かでないが、どちらにせよ小説の文中に突然現れるこのマンガは読者に驚きと、このマンガは何なのか、と想像力掻き立てられること間違いない。
もちろんだが、このマンガが大切な役割を果たしているので是非じっくり見て頂きたい。
そして、現実世界では主人公の岸、議員の池野内の他にあと一人、重要な登場人物がいる。それがスカイミックスという人気ダンスグループの小沢ヒジリなる人物だ。
・製菓会社の岸
・議員の池野内
・人気ダンスグループの小沢
共通点、関連性も何もなさそうな3名だが、3人には過去にとある繋がりを持っていて──それが夢と大きな関わりがあるのである。