2017-01-01から1年間の記事一覧
ここには言葉が渦巻いている。針を落としてもそれと気づくほどの沈黙をたたえたこの図書館に、空恐ろしいほどの量の言葉が漲って、渦巻いているのをキリヒトは感じた。(中略)図書館の沈黙は、言葉に充ち満ちた沈黙だったのだ。 (引用:図書館の魔女1 P95-96/…
「先生......、現実ってなんでしょう?」萌絵は小さな顔を少し傾げて言った。 「現実とは何か、と考える瞬間にだけ、人間の思考にあらわれる幻想だ」犀川はすぐ答えた。「普段はそんなものは存在しない」 (引用:すべてがFになる P357/森博嗣) 今回は森博嗣の…
『すべてがFになる』は森博嗣のデビュー作にして最高傑作と名高い作品だ。 だれが犯人なのか?どんなトリックを使っているのか?ミステリーでは欠かせない要素に対する解答も素晴らしいし、謎めいたタイトルに秘められた意味が分かったときの衝撃といったら…
・夜明けの街で/東野圭吾 【391ページ】・星を継ぐもの/ジェイムズ・P・ホーガン 【307ページ】・時生/東野圭吾 【533ページ】・すべてがFになる/森博嗣 【522ページ】・ICO-霧の城-(上)/宮部みゆき 【330ページ】・ICO-霧の城-(下)/宮部みゆき 【381ページ…
1つの作品を読んだだけで、その作者の良し悪しを決めてしまうのはあまりにもったいない。東野圭吾は2023年現在で100近い作品を世に放ち、映像化作品も数多くある。 作品数があまりに多いので、何から読めばいいか迷う人も多いであろう。そんな「東野圭吾の作…
これは地獄だ。甘い地獄なのだ。そこからどんなに逃れようと思っても、自分のなかにいる悪魔がそれを許さない。 (引用:夜明けの街で P80/東野圭吾) 今回は東野圭吾の『夜明けの街で』の感想を語っていく。 ネタバレNGの方はコチラをどうぞ。 【『夜明けの街…
「謝るっていうのは、その時だけのことじゃないんだぞ。土下座は贖罪のスタートにすぎないんだ。で、それが終わる日は来ない。一生、謝罪の日が続くんだ。女房に頭は上がらず、家でも肩身の狭い思いをすることになる。どちらかが死ぬまでそれは続く」 (引用:…
″言葉″のファンタジー『図書館の魔女』 今回はその主要な登場人物である″キリヒト″について思ったことを書いていく。 がっつりネタバレには触れてしまうので未読の方はコチラをどうぞ。 『図書館の魔女』感想・考察・まとめなどはコチラ 【『図書館の魔女』…
図書館にある書物は、すべてが互いに関連しあって一つの稠密な世界を形づくっている。〈中略〉図書館は人の知りうる世界の縮図なんだ。図書館に携わるものの驕りを込めて言わせてもらえば、図書館こそ世界なんだよ。 (引用:図書館の魔女1巻 94P/高田大介) 「…
その手紙は時を越え 人と人とを繋ぎ 奇蹟を起こす 今回は東野圭吾の『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の映画版と原作小説の違いについてまとめた。1.映画と原作の相違点 2.原作にはないアレンジ以上の2点についてしぼってまとめているので参考になれば幸いだ。 ※ネタバ…
ナミヤ紹介 『悪事を働いた3人の元に届いたのは、過去からの手紙だった!?』 今回は東野圭吾の『ナミヤ雑貨店の奇蹟』を紹介していく。 2017年9月に映画化したこの作品、映画のほうも原作とは一味違った面白さを堪能できた。小説の感想、映画の感想はそれぞ…
2017年9月23日に公開された映画、東野圭吾原作の『ナミヤ雑貨店の奇蹟』を観てきたので、紹介と感想を語っていく。 原作小説の紹介はコチラ 【『ナミヤ雑貨店の奇蹟』あらすじ・紹介】 感想はコチラ 【『ナミヤ雑貨店の奇蹟』感想】 目次 ──『ナミヤ雑貨店の…
本格派ミステリーはもちろん、社会派から思わず涙を誘う感動作品、SFチックなものまで、もちろん東野圭吾といえば物理学をテーマとした″ガリレオ″シリーズも外せないだろう。 そんな様々な引き出しをもつ東野圭吾は、2022年現在短編集も含めればを100冊を越…
「またこんな日が来るとは夢にも思いませんでした」ロビーを見渡し、新田はしみじみとした口調でいった。「この制服を着て、あなたと一緒にいるとはね」 (引用:マスカレード・ナイト P48/東野圭吾) 今回は、「マスカレード」シリーズの第3作目である『マス…
『敵も化けている。決して騙されるな』 (引用:マスカレード・ナイト 表紙/東野圭吾) 今回は2017年9月15日に発売した、東野圭吾「マスカレード」シリーズの第3作目の『マスカレード・ナイト』を紹介する。 一体誰が犯人なのか?最後の最後まで犯人が予想でき…
身内から犯罪者が出るというのは、どういうものなのだろう。 いきなり″重い″投げかけで始めてしまったが、今回は東野圭吾の『手紙』を紹介する。 手紙 (文春文庫)posted with ヨメレバ東野 圭吾 文藝春秋 2006-10-01 AmazonKindle楽天ブックス 身内から犯罪…
宮部みゆきの『龍は眠る』の感想を語っていく。ネタバレを含めた感想ですのでご注意を。未読の方はこちらをどうぞ。 感想 『龍は眠る』を読んで、まず考えさせられるのは「人の心が読める(読めてしまう)のはどういうことか?」だろう。これによってサイキッ…
どうもFGです。なんとなくで始めたこのブログ『FGかふぇ』ですが、もう少しで開設して3ヶ月になろうとしています。いやはや読んでくださっている方には感謝の気持ちでいっぱいです。素直な感想としては、あっという間でしたね。今回は ・3ヶ月続けてみてどう…
宮部みゆきの『龍は眠る』を紹介する。 感想は別でこちらに書いています。 宮部みゆきの作品が読みたくなり古本屋でたまたま手に取った作品だったのだが、1992年に第45回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞している作品だった。どうりで面白い訳だ。 もし…
東野圭吾の『赤い指』を読んだ。 加賀恭一郎シリーズの第7作であり、累計部数は135万部を越えた人気作品である。 私はまだ加賀恭一郎シリーズは第1作の『卒業』しか読んでいないのだが、何故か第7作である『赤い指』に手を出してしまった。 問題なく読み進め…
※『マスカレード・ホテル』の若干のネタバレがあります。 みなさんはどんなジャンルの小説が好みだろうか?また苦手だろうか? 私はミステリー、ファンタジー、SFものが好きでこのブログで紹介するのも必然的にそれらのジャンルが多くなっている。 では逆に…
森見登美彦さんの『四畳半神話大系』を読んだ。 心地よく独特な読み口、魅力的で癖が強すぎる登場人物たち、考え抜かれた設定と世界観。 パラレルワールドというSF的要素も取り込み、読者を夢中にさせること間違いなしだ。 あらすじ 私は冴えない大学3回生…
「もし、この世に存在するすべての原子の現在位置と運動量を把握する知性が存在するならば、その存在は、物理学を用いることでこれらの原子の時間的変化を計算できるだろうから、未来の状態のがどうなるか完全に予知できる。」 (引用:ラプラスの魔女 P342/東…
どうもFGです。 今回は東野圭吾の「ラプラスの魔女」を紹介してきます。 感想はこちらで書いてます。 映画について 2018年には映画化が決定されており、櫻井翔、広瀬すず、福士蒼汰という豪華メンバーの出演だそうで映画も是非見てみたいものです。 あらすじ…
いつもの日常からちょっぴり抜け出したいあなたへ、『cafe sorte』を紹介する。 埼玉県日高市にある『cafe sorte』 国道15号線沿いにひっそりお店を構えており、最寄り駅は西武秩父線高麗駅から徒歩約20分、と駅からだとけっこう遠め。 駐車場が4台分あるの…
どうもFGです。 今回は阿川大樹さんの「終電の神様」の感想を語っていきます。 ネタバレありなので、未読の方はこちらをどうぞ。 感想 まさに終電の「神様」がいて、登場人物たちを助けてくれているのでは?と思わせてくれる作品。 第一話 化粧ポーチ このお…
どうもFGです。 満員電車や人身事故による電車遅延 電車を利用されている方ならどなたでも経験したことがあるのではないでしょうか? 私自身、満員電車では忘れられないエピソードが1つありまして、足元に置いた荷物が満員電車で身動きができないがために回…
どうもFGです。 気づけば蝉が騒がしく鳴く季節になりましたね。 今回は埼玉県鶴ヶ島市にあるエランズカフェに夏期限定の新メニューが出たということで早速行ってまいりました。 紹介はこちら 【外観】 グリーンカーテンとしてフウセンカズラが育てられていま…
どうも、夏が大好きなFGです。 今回は『ギンカムロ』の感想を語っていきます。 内容には触れていくので、読んだことがない方は、こちらをどうぞ。 きっかけ 本屋さんで、その鮮やかな表紙に思わず目を奪われる。 そして冒頭部分を読んでいただき購入を決めま…
「花火には、二つしかない」 山頂から吹き降りてくる秋の風が、厳粛な空気の隙間を舐めるように吹いていた。 「一瞬で消えるか、永遠に残るか...その二つしかない」 (引用:ギンカムロ P7/美奈川護) 今回は花火とそれを打ち上げる花火師をテーマにした小説、…