かつて愛した人は殺人犯なのか?
最後の夜に繰り広げられる心理戦
深まる疑惑、明かされる真実、濃密な心理戦
物語は予想外の結末を迎える──
恩田陸の『木漏れ日に泳ぐ魚』が不意打ちのように心に刺さったのであらすじ・紹介をしていく。感想はコチラ。
『木漏れ日に泳ぐ魚』感想
目次
あらすじ
舞台は、アパートの一室。別々の道を歩むことが決まった男女が最後の夜を徹し語り合う。初夏の風、木々の匂い、大きな柱時計、そしてあの男の後ろ姿──共有した過去のあ風景に少しずつ違和感が混じり始める。濃密な心理戦の果て、朝の光とともに訪れる真実とは。不思議な胸騒ぎと開放感が満ちる傑作長編!
(引用:木漏れ日に泳ぐ魚 裏表紙/恩田陸)
濃密すぎる一夜
『木漏れ日に泳ぐ魚』を一言で説明すれば、男女二人が夜通し語り合う話だ。回想を挟みはするがそれ以上でも以下でもない。なのに、面白い。いや、シンプルだからこそ面白い。作り込まれた物語に余分な要素はいらないのだ。
別れを前に二人が語る内容は、ある男の死について。二人は深い仲でありながら、お互いがお互いの事を殺人犯だと考えている。ある男が死んだ日の記憶を巡りながら、二人の腹の探りあい──心理戦が繰り広げられる。
その一夜の出来事が300ページにギュッと詰め込まれている。まさに濃密すぎる一夜で、喜怒哀楽すべてが詰込まれた一夜だ。
物語は、そんな心理戦を繰り広げる男女二人の視点が交互に入れ替わって進行していく。お互いが、お互いをどう見ているのか、考えているのか。二人が味わっている緊張感を読者もヒシヒシと感じることができるはずだ。
人間の感情はちょっとした出来事で揺れ動くものだと思う。挨拶をもらえれば嬉しくなるし、無視されれば悲しくなる。もっと些細な事を言えば、相手の仕草や表情だけでも、無意識に感情は揺れるはずだ。
そんな人間のちょっとした仕草や、それによって揺れる感情。その表現がとても繊細に描かれていると感じた。例えば、ちょっとネタバレになってしまうのだが...
そう呟き、これもまた無意識のうちに、彼はそのマフラーを私の手の届かないところに良いと移動させた。
私の手は、つかむつもりだったものを失い、宙を泳いだ。
目の前で窓を閉められたような虚しさと淋しさ。
その瞬間、私は確信したのだった。
彼は誰かに心を奪われている。
(引用:木漏れ日に泳ぐ魚 P68/恩田陸)
誰かからもらったであろうマフラー。そのマフラーを届かないところに置かれる。そんな些細な出来事で生まれる淋しさと、悲しい確信。
そうなんだよ、何事もきっかけはこんな些細な事。そんな些細な出来事とそれで動かされる心。その表現が素晴らしいな、と思った。『木漏れ日に泳ぐ魚』ではそんな揺れる男女の想いと葛藤が描かれている。
そして、時折挟まれる、どこかノスタルジックな感情になる表現がとても印象的で心に突き刺さる。
子供の頃は、いつもブランコに乗る順番を待っていた。けれど今はブランコのほうが誰かが来るのをずっと待っている。大人になるということは、ブランコの順番が必要でなくなるということなのだ
(引用:木漏れ日に泳ぐ魚 P27/恩田陸)
最後に
二人が語るのは、二人の関係と、残酷な偶然としか思えない過去と、ある男の死──。一転ニ転する物語の展開もさることながら、一つひとつの表現も楽しむことができた。
恩田陸の作品はこの『木漏れ日に泳ぐ魚』が初めて読んだ作品だったのだが、これは...癖になりそう。
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