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『図書館の魔女』ニザマとミツクビについての解説・考察【高田大介】


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『図書館の魔女』でマツリカたちにとって宿敵の相手であるニザマの宦官中常侍ミツクビ


今回はミツクビの考察、またモチーフとなった存在に迫る。それに伴い、ニザマについての解説・考察が必要と判断したため、前半はニザマについて軽く説明し、後半はミツクビについて述べていく。


ニザマ

まずはニザマについて


物語の中ではカタカナ表記で「ニザマ」と書かれているが、物語序盤では漢字で「二津間」と紹介されており、「二つの岬に囲まれた入り江」の意。


さて、この「ニザマ」だが文化や言語に注目すると、モデルとしては中国の影響を大きく受けていると考えられる。


例を挙げると、宦官・避諱・漢文などである。

宦官(かんがん)

宦官は中国の文化でもある。

東洋諸国で宮廷や貴族の後宮に仕えた、去勢された男子。中国・オスマン帝国・ムガル帝国などに多かった。王や後宮に近接しているため勢力を得やすく、政治に種々の影響を及ぼした。宦者(かんじゃ)。

(引用:宦官(かんがん)とは - コトバンク)


避諱(ひき)

マツリカが見破った避諱も中国の文化

中国を中心とする漢字文化圏にかつて見られた、皇帝など目上の人物の本名(諱)を直接口にしたり、書いたりすることをタブー視する風習のこと。

(引用:避諱とは - 日本語表現辞典 Weblio辞書)


などなど中国の文化を色濃く反映している。

ミツクビ

リアルな世界観にある『図書館の魔女』においてミツクビはかなり異質な存在である。


川でマツリカたちを襲撃したや人形の館での蚩尤(こいつも中国に関連があり、中国神話に登場)も異質ではあるが、珍しい種族として納得はできる。


しかし、ミツクビは人であるにも関わらず、最大の特長である三つの首。これほど特異である人は『図書館の魔女』世界では唯一と言っていいのではないだろうか。まさに魔術師。

(鬼を秒殺した彼も十分異質だが今回は置いておく)

特長

外交万事にわたる鋭い判断力と交渉能力、時には政敵の弱みを見逃さぬ非情さ、また何十年たってもいっこうに衰えを見せぬその容貌──同盟市諸侯の中には彼を魔術師といって敬遠し、〈略〉

(引用:図書館の魔1巻 P167/高田大介)


ミツクビは何歳なのでしょう?私はニザマ帝よりも上のイメージなのですが。



さて、ミツクビの最大の特長・謎である三つの首について。

ミツクビの左の影は自分の眼窩に指を突き立てんばかりにきつく両の手をまなこに押し当て、小刻みに痙攣する首を左右に回していた。〈中略〉右に立つ影の方は反対に、顔の左右に両手をぴたりと押し当てて、すべての音を拒絶しているような仕草である。

(引用:図書館の魔女 1巻 P186-187/高田大介)

この場面を読んでいて日光東照宮の三猿(見猿・聞か猿・言わ猿)を思い浮かべたのはきっと私だけではないはず...(ないよね?)


しかし、この三猿ではなく、ミツクビの元と思われる存在が別にあった。


今まで散々ニザマと中国の関連を述べたが、ミツクビの存在も中国の伝説に由来するものだと考えられる。それが

三首国民(サン・ショウ・クオ・ヤン)

中国の伝説と伝承に登場する怪奇な部族。人間型の体に3つの頭を持つとされる『山海経』に書かれており、中世ヨーロッパの動物寓話集と同じく、旅行者の話が大げさに伝わったものである。

(引用:世界の怪物・神獣事典 P207/キャロル・ローズ)


文字通りの三首


てっきりオリジナルかと思ってた...『図書館の魔女』におけるミツクビの描写とは若干異なるが、この存在『三首国民』がミツクビのルーツではないだろうか。

最後に

余談だが3つの身体に1つの頭をもつという『三身国民(サン・シェン・クオ・ヤン)』という伝説もあるようだ。


薬師(パルマキー)がこれだったり...流石にないか。


また彼の通り名が、ミツクビのそれと同じく個人の名前としてはいささか不可解な特徴を持っていたことにも触れておこう。ミツクビはその名に三という数詞を含んでいることからも予想されることであるが、薬師の名前にも一人の人間を指すには不自然な部分がある──彼らの呼び名はいずれも複数形の語尾をもっている。

(引用:図書館の魔女1巻 P173-174/高田大介)



第一作『図書館の魔女』では、無惨にも退散するしかなくなったミツクビ。


しかし第二作『図書館の魔女 烏の伝言』では、裏切り者を見つけ更に刺客を送り込むことまでしている。


状況は整ってきているということだろうか?遂に第三作『霆ける塔』ではマツリカたちとの直接対決になるのかもしれない。


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