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【森博嗣】『すべてがFになる』の感想を好き勝手に語る【ネタバレあり】

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『すべてがFになる』は森博嗣のデビュー作にして最高傑作と名高い作品だ


だれが犯人なのか?どんなトリックを使っているのか?ミステリーでは欠かせない要素に対する解答も素晴らしいし、謎めいたタイトルに秘められた意味が分かったときの衝撃といったら他にない。


さて、感想はネタバレありなのでご注意を。未読の方はコチラをどうぞ。
『すべてがFになる』あらすじ・紹介


目次

感想

すべては天才の手の中に

犀川や萌絵ももちろん魅力的なキャラクターではあるが、『すべてがFになる』においては天才・真賀田四季博士の存在感が圧倒的である。


14歳で両親を殺害した異例の過去。現在の研究所での見せる存在感。そして15年間もの間、一歩も外に出ていないという考えられない真実。


序盤の萌絵との会話だけでも、その天才の思考が垣間見える。その会話だけでも物語に引き込まれる魅力に満ちている。

「ほら、7だけが孤独でしょう?」真加田女史が言った。「私の人格の中で、両親を殺す動機を持っているのは、私、真加田四季だけなの。ですから、私の肉体が両親を殺したのなら、私が覚えていないはずはない。私だけが、7なのよ......。それにBとDもそうね」

(引用:すべてがFになる P16/森博嗣)


ミ、ミステリアスー!!この会話だけではなく、前後にある萌絵にいきなり計算させるくだりとかも印象的。


インパクトを与えるだけ与えておいて、そんな天才がいきなり異様な死体で登場するのだから、もう衝撃しかない。ここまで読んでしまったらもう真相が気になりすぎて後には引き返せなくなってしまう。(本当は死んでないけど)



四季に関して言えば、ラストの犀川と四季の会話も印象深い。

「死刑って、いつ執行されるか教えてくれるのかしら?私、自分が死ぬ日をカレンダーに書きたいわ...。こんな贅沢なスケジュールって、他にあるかしら?」
「どうして、ご自分で...、その...、自殺されないのですが?」
「たぶん、他の方に殺されたいのね...」四季はうっとりした表情で遠くを見た。「自分の人生を他人に干渉してもらいたい、それが、愛されたい、という言葉の意味ではありませんか?犀川先生...。自分の意思で生まれてくる生命はありません。他人の干渉によって死ぬということは、自分の意思ではなく生まれたものの、本能的な欲求ではないでしょうか?」

(引用:すべてがFになる P/森博嗣)



まぁ彼女のセリフ一つひとつが深すぎて書ききれない。小説に限らず、物語の中には様々な天才が出てくる。天才物理学者だとか、天才数学者だとか、天才スポーツ選手だとか...。


私が今まで読んだ小説での一番の天才はぶっちぎりで真加田四季なんだよな。『すべてがFになる』で仕掛けられたトリックなどの発想もそうだが、彼女のもつ空気感や思考の展開、会話の随所に感じられる異質さが、私をひきつけてやまない。


彼女のキャラクターを創り上げた森博嗣に尊敬の念しかない。


『すべてがFになる』をまとめるとしたら、”天才の手の上の物語”だと思えるほどだ。


すべてが”F”になる

なんといっても、タイトルである『すべてがFになる』この意味が明かされるときが、一番の鳥肌物だった。


物語序盤に真賀田博士と萌絵の会話にあった、真賀田博士の「7は孤独な数字。それにBとDもそうね」というセリフは、読んでいてずっと心の中で引っ掛かっていたのだが、まさかそれがタイトルの伏線を回収するヒントになっているとは思いもしなかった。


『すべてがFになる』
印象的すぎるタイトルにして意味不明なタイトルであるが、読んでから考えるとこれ以上のタイトルはないだろうと思われる。

犀川

現実的であり哲学チックでもある彼のセリフも心に残るものが多かった。

「自然を見て美しいなと思うこと自体が、不自然なんだよね。汚れた生活をしている証拠だ。(中略)つまらない仕事や汚れた生活をしているから、自然、自然って、ご褒美みたいなものが欲しくなるんだ」

(引用:すべてがFになる P78-79/森博嗣)

他にも詳細は省くが、
「生きている」という定義。
大人になるということ。
現実とはなにか?

など、ハッとさせられるものや、感心してしまうものがあり、彼の思考や価値観もこの作品を魅力である。


『ドグラ・マグラ』

犀川と萌絵の会話の中で『ドグラ・マグラ』という小説の話がでてくる。


萌絵が「最高のミステリィ」と話すこの作品。調べてみると実在する小説なのですね、知らなかった...。


好きになってしまった作品の登場人物が「最高のミステリィ」と話すこの作品。そんなの読まないわけにはいかない。

ということで!!
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表紙をみる限りクセがすごい
古本屋で見つけて内容すら見ずにひとまず買ったしまったが...私に読めるだろうか...


裏表紙には「これを読む者には一度は精神に異常をきたすと伝えられる、一大奇書」とある。なるほど、心して読む必要がありそう...。



最後に

『すべてがFになる』一言でいえば、大満足の一作。
間違いなく、今年読んだ中でベスト5に入る面白さだった。


これから森博嗣の作品を読み漁れると思うとワクワクが止まりらない。



『すべてがFになる』はまだ終わっていない!? 追記(2019.4.15)

『すべてがFになる』はこの一冊で終わったわけではない。それは『すべてがFになる』がS&Mシリーズの第一作目だからまだ犀川と萌絵の物語は続いている!!と言っているわけではない。文字通りまだ『すべてがFになる』は完結していないのである。


『すべてがFになる』のすべては、真賀田四季を主人公として展開される『四季シリーズ』で明かされる。例えば『四季 春』には、真賀田四季の子供時代、『四季 夏』は『すべてがFになる』では明かされていなかった真賀田四季と新藤の関係について…など、それぞれの巻でこれまでの"真相"と天才"真加田四季"に焦点を合わせて物語が進んでいく。


そして、『四季シリーズ』もう一つ見所は『S&Mシリーズ』と『Vシリーズ』、2つのシリーズの登場人物の人間関係が明らかにされることだ。


なので『四季シリーズ』を最大限に楽しむためには、『S&Mシリーズ』(全10冊)と『Vシリーズ』(全10冊)、合計20冊を読んだうえで『四季』に臨むのが一番なわけだ。


しかし、「真相は気になるが、そんなにいっぱい読む暇ないよ!!」という読者も多いはずだ。


そこで、
・何故、四季は新藤と子供をつくったのか?
・パソコンに残された四季の人格、其志雄とは?
・何故、四季は死ぬつもりだったのに、外へ逃げたのか?

など『すべてがFになる』では明かされず、『四季シリーズ』で明らかになった真実を以下で記していく。


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『すべてがFになる』の真実


以下では、四季シリーズのネタバレありで『すべてがFになる』では明かされていなかった真相を書いていく。なお、『S&Mシリーズ』と『Vシリーズ』の人間関係には触れずに『すべてがFになる』の真実だけにスポットを当てている。『四季シリーズ』未読の方はご注意を。

──四季と新藤の関係は?

四季と新藤の間には子供・道流がいた。天才にも恋愛感情はあり、四季は新藤のことを愛していた。四季が身籠ったのは14歳の頃。四季は14歳ですでに圧倒的な存在で、新藤は四季に逆らうことができなかった。


『すべてがFになる』で新藤は、ヘリコプターの中で四季にナイフで刺されたにも関わらず、それを周りの人間には告げずに四季をかばっていた。それは新藤にとって四季がすべてだったからだろう。彼女のために生き、そして彼女のために死ぬ。そしていつの日か殺される日が来ると、新藤はわかっていたからだ。彼は、予告されていた死を受けいれただけだった。

「すべて私がやって、叔父様は、私を止めようとしたのです。わかりましたか?私は未成年です。すべての資産は叔父様のものになります。もう後戻りはできないわ」
「四季、僕を殺してくれ」
「私の産む子が大きくなれば、私や、叔父様をきっと殺すでしょう」四季はそう言ってナイフを床に置いた。「それまでの間、正しく、そして人の誇りを信じて生きましょう」

(引用:四季 夏 P277/森博嗣)


──四季が両親を殺した理由

『すべてがFになる』では人形が両親を殺した…と理解に苦しむ発言があったが、この事件の真実も『四季 夏』で語られている。


四季が両親を殺害した理由は、新藤との間に子供ができたことを受け入れてもらえなかったからだ


四季は、新藤との間に子供ができた事実を両親に告白。当然、四季の両親は激怒する。それを予期していた四季は用意していたナイフで両親を刺殺する。


『すべてがFになる』のなかでは、新藤がナイフを持っている四季の体を操って四季の両親を刺し殺した、と話があったが、これは四季の嘘の供述である。実際は四季が両親を殺害している(新藤も殺害の意志はあったが)。


「どうして、両親を殺したのに、新藤氏は殺さなかったのか」
という問いに対して四季は
「お父様とお母様の遺伝子は私が引き継いだから」…と。

……天才ってわからない。


──四季が部屋から出た理由

四季は道流に殺されるつもりだったのに、何故研究所から逃げ出したのか?


それはもう一つの疑問である遺体の手足が切断されていた本当の理由と共に説明できる。


まず『四季 秋』で道流の本当の死因は、感電死による自殺だと四季は語っている。では何故、遺体の手足を切断したのか?その理由は道流の細胞を持ち出すためだった。これが四季が研究所から逃げ出した理由でもある。


コンピュータ工学では圧倒的高みに登りつめた四季。設備ともども研究所で間に合っていたが、バイオテクノロジーの面では孤島の研究所では設備が間に合っていなかった。


そのため切断した腕の細胞から道流のクローンを作成するために、クローンの知識と設備をそなえる人物のもとに四季は逃げ出した、というわけだ。


──パソコンに残されていた四季の他の人格

四季のパソコンには、真賀田 四季の他に「栗本 其志雄」と「佐々木 栖麻」なる者からのメッセージが残されていた。(すべてがFになる/P177)


ここでは、真賀田四季の作り出した人格…と簡単にしか説明されていないが、この二人の人格は四季『春〜秋』の間に、モデルとなった人物と共に登場する。



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