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『図書館の魔女』「高い塔」の考察を好き勝手に語る【高田大介】




『図書館の魔女』のタイトルになっている『図書館』つまり「高い塔」──。
   


「高い塔」は人の意思をくみとることができるまた自らの意思を持っているという結論に達したので、そう考えるようになったきっかけを語っていく。

『図書館の魔女』感想・考察・まとめなどはコチラ
【『図書館の魔女』の記事まとめ】

目次

「高い塔」についての考察

1.向きの変わる階段と回廊

読者が「高い塔」についての一番の疑問は、向きの変わる階段と回廊についてだろう。


マツリカが答えた理由を簡単にまとめる。

・言葉は時の運行に従う。(一方通行で不可逆)
・言葉は小から大へ階層構造持って組み上がっている。
・言葉を集めて、一つの書物が織りなされる。この書物は言葉の性質をそっくり受け継ぐ。(書物も一方通行で不可逆)
・図書館は書物の集積から織りなされた厖大な言葉の殿堂であり、図書館そのものが一冊の巨大な書物である。
・よって図書館は、言葉の性質を受け継ぐので、順路は一方通行で不可逆である。


しかし、どのようにして回廊が昇りも下りも時計回りに進むことができるように変化するのか?とても気になるが、回廊の変化している様子についての描写はない。


キリヒトが回廊が向きを変えたことに、進み始めてから気付いたということは、音もなく、なんの気配もなく、いつの間にか、自然に変化したということになるだろう(魔女との初めての対面に緊張して気付かなかった可能性もあるが)。


どのように変化したのか、現時点では残念ながら説明しきれない。


だが、ここで一つ大きな疑問が浮かぶ。それはマツリカたちが自然と回廊を下り始めた点だ。


マツリカたちが回廊を下ろうとしたときには、すでに回廊の向きが変わっていた。つまり、図書館がマツリカたちの意思をくみとって回廊を変化させているといっていいのではないだろうか。


2.「高い塔」は意思をくみとり、意思を持つ

先程述べたように、「高い塔」は内部にいる人間の意思をくみとっているように思える。それを示すもう一つの根拠にマツリカの発言がある。

── いずれにせよお前をここで門前払いするわけにもいくまい。門前払いも何もすでに図書館はお前を迎え入れていることだし......。爺の手前もある、お前の師匠の面目もあろう、ひとまずは試みまでにしばらく使ってやることにする。

(引用:図書館の魔女1 P91/高田大介)


図書館はお前を迎え入れている。
この一言が鍵だ。


キリヒトが初めて図書館を訪れたとき、第一の扉はキリヒト自身がひらいた。その後、第一の扉と第二の扉に挟まれた(閉じこれめられた)。そしてしばらくしてから第二の扉が自動で開いた。


第一の扉と第二の扉に挟まれているとき(「高い塔」の内部に足を踏み入れたとき)、「高い塔」はキリヒトの意思をくみとっていたのだろう。


そして、「高い塔」にとって悪意のある存在ではないと判断され、第二の扉が開かれたと考えていいのではないだろうか。


つまり、「高い塔」は内部にいる人間の意思をくみとることができる。また自らの意思を持っている。と考えられる。


3.キリヒトが初めて「高い塔」に入るシーン

キリヒトが外側の一つ目扉を開けているシーン

扉は強く押してみてもゆっくりとした一定の速さでしか開かなかった。キリヒトの手に伝わる抵抗は扉の重さと錆びた蝶番のせいばかりではないことはすぐわかった。扉が開くにつれ左右のどこかでぎりぎりと大きな歯車が軋み合って動いている気配がある。

(引用:図書館の魔女1 P47/高田大介)

 
キリヒトが内側の二つ目の扉と向かい合っているシーン

キリヒトは手を扉のに押し当てたまま、しばらくじっとしていた。ただ耳を澄ましていた。第一の扉が閉まってからしばらくたつのに、まだ軋みながら動いている歯車の音が消えていなかった。キリヒトは息を静めて、口の中で自分の呼吸の数を数えながら、やまぬ歯車の音を聞き続けていた。
歯車の音はだんだんに調子良く響きはじめた。それと前後して重たい鎖が巻き上げられる音は聞こえる。ほどなく鎖が巻き上がる音が止まり、歯車がごとりと静かになり、どこかで閂のがちりと抜ける音が響き、手を触れていた扉が軋みを上げて観音開きに向こうへ開きはじめた。こちらに光が漏れてくる。扉が開く。

(引用:図書館の魔女1 P49/高田大介)


これらを読むと、第一の扉が開かれたことと連動して第二の扉が開かれたように思える。


しかしそんな単純な理由ではないだろう。なによりそれならわざわざ二重の扉にする必要がない。
(※追記:書物の管理環境を守るという点では、二重扉は十分な役割を果たしている)


単に連動する扉ならいつでも、誰でも「高い塔」に侵入できる道理となってしまう(第一の扉に鍵穴などがないことは、P47で語られている)。


このようなことからも「高い塔」が意思を持って、入場する者を選別しているように思われる。


またマツリカたちが図書館から出ていくシーンに決定的な説明が成されている。

図書館は真に心得のある者、その言葉を聞き取る者には、躊躇いもなく扉を開くのだ。

(引用:図書館の魔女1 P142/高田大介)


4.「最も高い塔」のルビ

下巻の最後のほうに「最も高い塔」の文字があり、そこには「トゥッリス・アルティッシマ(turris altissima)」とあてたルビがついていた。



(参照:図書館の魔女〈下〉P803)

気になって調べてみると、turris altissimaはラテン語で

・turris=塔
・altissima=最も背が高い

という意味を持つ。

「アルテシマ」とは、ゴムの木の一種である。また「アルテシマ」の種類であるゴムの木の花言葉は「永遠の幸せ」だ。


つまり「最も高い塔」は「永遠の幸せの塔」ともいえるのではないだろうか。


正直な話、「高い塔」というネーミングが簡素すぎるような単純すぎる気がしていたが、ラテン語の意味を考えるとこれ以上ないネーミングに思える。


しかもコレを最後の最後にもってくるとか...最高かよ...。


5.帳面の文字は誰が書いた?

文字は飾り気のない古い角張った書体で、かすかに赤みがかった黒い烏賊墨で紙面の上を横切っている。キリヒトは文字が読めなかったので気にも留めなかったが、もし彼にその一行を読むことができていたとしたら、キリヒトがその時感じていたうすら寒さが倍にも感じられて、踵からくびすじまで震えが走ったことだろう。そこに書かれた一行には、この街にきてまだ一度も名のったためしのない少年の通り名が記されていたのだから。そしてまたキリヒトに烏賊墨で文字を刻む習慣が仮にあったならば、まだ赤黒い縁取りを周囲に残し、墨跡が黒々と紙の上に盛り上がっている問題の一行がたったいま書き記されたばかりの筆跡だということに気づいたかもしれない。

(引用:図書館の魔女 1 P56/高田大介)

キリヒトが初めて「高い塔」を訪れた時、紙に書かれてた『少年の通り名』。これはいったい誰が書いたのだろうか?

この場面で高い塔にいたのは、キリヒトを除くとマツリカとハルカゼとキリン。しかし、マツリカは本を読んでいたし、ハルカゼはマツリカについていたし、キリンも本を読んでいたようだし...。この三人が書いたとは思えない。


そもそもキリヒトとマツリカたちが初めて会ったときマツリカたちは、誰かが来るとは知らされていたようだが、それがキリヒトだとは知らなかった。(名前を聞きてましたしね)


マツリカたちはキリヒトの名前を知らなかった訳なので、そもそもキリヒトの名前を帳面に書くことは出来ないはずだ。


逆にキリヒトが高い塔に行くことを知っていたのはタイキ・ロワン・先代キリヒトだけだと思われる。しかし、もちろんこの3人は高い塔にはいなかった。


つまり誰も帳面を書くことは不可能である。一番可能性があるのは高い塔が書いた説ではないだろうか?回廊の向きを変えるくらいなので、帳面に名前を書き記すくらい、突拍子な考えではないだろうと思われる。


最後に

まだまだ多くの疑問を残す『図書館の魔女』。今回の考察があなたに何か新しい発見や疑問の提示ができていれば、なによりだと思う。


第三部 『霆ける塔』の詳細が未だにでてきていないのは心苦しい限りだ。


塔という文字が入っているし、「高い塔」にスポット当てた作品なのかな?「霆ける」の意味は、(雷が)激しく鳴り響く。だし、「高い塔」が直接侵略でも受けるのかな?


そんな妄想を繰り広げながら、じっくりと新作の発表を待とうと思う。



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『向日葵の咲かない夏』の感想を好き勝手に語る。爽やかな皮を被ったえげつない物語。【道尾秀介】



油蝉の声を耳にして、すぐに蝉の姿を思い浮かべる人は、あまりいないだろう。雨音を聞いて、雨音のそれぞれが地面に接している瞬間を想像する人がいないように。

(引用:向日葵の咲かない夏 P5/道尾秀介)



道尾秀介の代表作『向日葵の咲かない夏』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。

目次

あらすじ

夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音聞こえる S 君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体が忽然と消えてしまう。一週間後、 S 君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追い始めた。あなたの目の前に広がる、もうひとつの夏休み

(引用:向日葵の咲かない夏 裏表紙/道尾秀介)


感想

かなり好き嫌いが分かれる作品なのは間違いない。私は...…あまり好きにはなれなかったかな。


では、「なんでわざわざ感想なんて書いてるんだ?」と思われる方もいるかも知れないが、好き嫌いととは関係なく、衝撃を受けた作品だったからだ。


物語自体が放つ異様な雰囲気、そして巧みに描かれた叙述トリック、ラストの展開などなど...。


読み始めたきっかけは『向日葵の咲かない夏』というタイトルにひかれたからだ。あらすじだけ読むと、「夏休みに生まれ変わった友人の頼みを聞いて事件を解決させる小学生の物語」と、爽やかなイメージを予想していたが、まったく逆の展開に、もうビックリ。(あらすじは読んでいたが前情報はまったく持っていなかった)


ジャンルとしてはホラー寄りのミステリーになるのだろうか。好きになれなかったのは、私自身がホラー系が苦手というのが大きいだろう。


──絶望が見える

物語が始まって序盤から、「あ、これは救われない物語かもしれない」と感じた。

妹の遺骨の一部を、僕はいまでも大事に持っている。当時僕が使っていた、背の高い硝子のコップに入れて、ラップをかけ、机の上に置いている。

(引用:向日葵の咲かない夏 P6/道尾秀介)


最初に読んだこの一文だけでも若干の狂気を感じたが、読了しすべてを把握したうえだと、より一層の狂気を感じる。



S君が死んで、妹が死ぬこともあかされてて、主人公の家庭環境みると暗い未来しかみえない。


まぁ、そんな私の憶測では足りないくらい、真相はぶっとんでいたわけだが。

──登場人物について

歪んでる。この一言に尽きる。
主要な登場人物全員の人格が歪んでるといっても過言ではないのでは?


主人公のミチオも、S君も、ミチオのお母さんも、岩村先生も、古瀬お爺さんも。


物語の至るところにその異常さが滲み出ているわけだが、その一番最初のインパクトがある部分がS君の書いた作文だった。

──印象に残った部分

先程挙げたSくんの作文

やがて、王様の前に置かれたお皿の上に、ころころと二つの丸いものは転がり落ちてきます。それは塔のてっぺんにとらわれた人の、目玉なのです。
王様はフォークでそれをつきさし、うまそうにペロリと食べてしまいます。そして言うのでした。
『ああ、希望。私はこれを食べるのが大好きなんだ』
王様の好物とは、希望なのでした。王様はそれを食べて、国を大きくしていたのでした。しかしやがてその国は滅びてしまったといいます

(引用:向日葵の咲かない夏 P80/道尾秀介)

目玉を食べるというのもゾッとするが、その過程もえぐい。Sくん本来の異常性が伺える。

何かをずっと覚えておくということは大変なことだ。しかし、何かをわざと忘れることに比べると、大したことはない

(引用:向日葵の咲かない夏 P93/道尾秀介)


「ミカ、S君、死んじゃったよ」
指先でS君の体を挟み込んだまま、ゆっくりとミカに近づく。
「ねぇミカ──S君の事、好きだった?」
しゃがみ込み、ミカの身体を左手で捕える。
「食べちゃいなよ、ミカ」
左手をミカの口許に近づける。
「もう我慢しなくていいんだよ。S君なんて、食べちゃいな」
ミカは嬉しそうに口をあけた。S君の身体は、その中に消えた。

(引用:向日葵の咲かない夏 P378/道尾秀介)

これを読んでいるときにはまだ、ミカ=トカゲと分かっていなかったので、とにかく不気味だった。


しかし、あとから見ると「なるほど」と感心する。
「しゃがみ込み、ミカの身体を左手で捕らえる」とある。違和感なく読めるが、真相を知った後だとトカゲに対面しているとよく分かる。


「しゃがみ込み」は、それだけ小さいモノと対面しているのが分かるし、「ミカの身体を左手で捕らえる」は、『つかむ』ではなく『捕らえる』と表現していることが、人ではなく、トカゲと対面しているのだと想像させる。


油蝉の声を耳にして、すぐに蝉の姿を思い浮かべる人は、あまりいないだろう。雨音を聞いて、雨音のそれぞれが地面に接している瞬間を想像する人がいないように。

(引用:向日葵の咲かない夏 P5/道尾秀介)

記事の冒頭にも引用した、物語の1行目〜の部分。自分自身でも”何が”とは説明できないけど、引き込まれる冒頭部分。

ここでも紹介してるので是非


──見せ方は秀逸の一言

さて、先程『ミカ=トカゲ』と述べた通り『向日葵の咲かない夏』のトリックは、「Sくんやミカが他の生き物に生まれ変わった訳ではなく、すべてがミチオの妄想で、それを叙述トリックによって見事に隠している」ことである。


叙述トリックの見せ方がとにかく秀逸。叙述トリックにいて、まとめている方のサイトがあったので貼っておく。見事に考察なされているので是非とも。


──ラスト

太陽は、僕たちの真後ろに回り、アスファルトには長い影が一つ、伸びていた。

(引用:向日葵の咲かない夏 P462/道尾秀介)


「僕たち」と言っておきながら、「長い影が一つ」と言っているので、両親は火事で亡くなりミチオだけ生き残ったということは分かるが、ミチオが両親を何の生き物で妄想していたかは明らかにされていない。


しかし、ミチオ自身がP69-70でお父さんはカメだろう。お母さんはカマキリに違いない。と語っている。


恐らくラストでミチオが持っている生き物は、その通りトカゲとカメとカマキリだと思う。深読みをすればこの生き物の選択もなかなかに残酷だ。


カメが長生きなのは言うまでもない。実はトカゲも長生きで、日本全土に生息するニホンカナヘビも寿命は7年前後とされている。(ミカは4年だったが)


それに比べるとカマキリは生きても1年と、かなり短命だ。この寿命の差もミチオの家族に対する好き、嫌いが現れているように思える。


メスのカマキリがオスのカマキリを食べてしまうという性質があるが、お母さんが圧倒的に幅をきかせている家庭環境を見るとその例えも、なんだかしっくりとくる。

最後に

実に、爽やかな皮(タイトル)を被った、えげつない物語だった。


ホラー系が苦手な私からすると、なかなかにトラウマが植え付けられそうな展開だったが、いい意味でも悪い意味でも決して忘れる事ができない一冊になったことは間違いない。

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『容疑者Xの献身』感想:”献身”の名にふさわしいガリレオ最高傑作【東野圭吾】


「うまくいかなかった時には観念する──それが普通の人間だ。最後の最後まで庇い続けるなんてのは至難の業だ」湯川は遠くを見つめる目をして呟いた。「石神だってそうだ。そのことは彼自身にもよくわかっていたんだ。だから……」

(引用:容疑者Xの献身 P337/東野圭吾)



ガリレオシリーズ長編第一作目の『容疑者Xの献身』の感想を語っていく。ネタバレありなので、未読の方はコチラをどうぞ。

『容疑者Xの献身』あらすじ・紹介

長編ガリレオシリーズ あらすじ・紹介


目次

感想

湯川が石神の家を訪れたときにした数学に関する会話がトリックの全体像をさり気なく伝えているのと流石だなと思った。

「P≠NP問題というのは当然知ってるよな」湯川が後ろから声をかけてきた。
石神は振り返った。
「数学の問題に対し、自分で考えて答えを出すのと、他人から聞いた答えが正しいかどうかを確認するするのとでは、どちらが簡単か。あるいはその難しさの度合いはどの程度か──クレイ数学研究所が賞金をかけて出している問題の一つだ」
「さすがだな」湯川は笑ってグラスを傾けた。
石神は机に向き直った。
数学は宝探しに似ている、と彼は思っている。まずどのポイントを攻めればいいかを見極め、解答に辿り着くまでの発掘ルートを考察するのだ。そのプラン通りに数式を組み立てていき、手がかりを得ていく。何も得られなければ、ルートを変更しなければならない。そうしたことを地道に、気長に、しかし大胆に行うことによって、誰も見つけられなかった宝すなわち正解に行き着けるのだ。
そうした喩えを使うなら、他人の解法を検証するということは、単に発掘ルートをなぞるだけの簡単なことのように思える。しかし実際はそうではなかった。間違ったルートを進み、偽の宝物に辿り着いている結果について、その宝が偽物だと証明するのは、時に本物を探すよりも難しい場合がある。だからこそP≠NP問題などという途方もない問題が提示されているのだ。

(引用:容疑者Xの献身 P117-118/東野圭吾)

間違ったルートを進み、偽の宝物に辿り着いている結果について、その宝が偽物だと証明するのは、時に本物を探すよりも難しい場合がある。
この部分がそのまま今回のトリックに当てはまる所だ。



──表紙に込められた意味

漆黒の中に咲いている一輪の赤い薔薇。シンプルながらも、とても印象深い表紙の『容疑者Xの献身』。


作品中に薔薇は出てこないと記憶している。一見関係ないように思えるが、花言葉などを含めて考えると、なんとなく答えが見えてくる。


薔薇は、色や本数によって花言葉が変わる。ちなみに赤色は 「あなたを愛してます」「愛情」「美」「情熱」「熱烈な恋」「美貌」


そして1本だと「一目ぼれ」「あなたしかいない」


まさに石神の気持ちを表現しているとしか思えない。黒一色の所は自殺しようと真っ暗の気持ちだった石神を、そして薔薇は挨拶に来た花岡靖子に対しての気持ち、と考えるとしっくりくる。

──慟哭のラスト

尽くす事を愛と呼ぶのなら、石神以上の愛を私は見たことがない。


P358〜、湯川が靖子に真実を語り始める。ここからの物語の収束具合がえげつない。


工藤も普通に気のきく”いい人”なのだが、石神とは比べ物にならない(比較できるものではないかもしれないが)。工藤の存在が石神の献身さ、というものを際立たせている。


石神が靖子に送った手紙が私は忘れられない。

『工藤邦明は誠実で信用できる人物だと思われます。彼と結ばれることは、貴女と美里さんが幸せになる確率を高めるでしょう。私のことはすべて忘れてください。決して罪悪感などを持ってはいけません。貴女が幸せにならなければ、私の行為はすべて無駄になるのですから。』

(引用:容疑者Xの献身 P381/東野圭吾)

自分がしたことをすべて伏せたうえで、このような手紙が送れるものなのだろうか。自分のすべてを犠牲にして、彼女の幸せを願い、自分を忘れて嫉妬を抱いていて相手と結ばれたほうがいい。なんて...…。


更に湯川が真実を突き止め靖子に話したと告げた後

「あの女は少しは反省している気持ちだったか。俺に感謝していたか。厄介者を始末してやったというのに、自分は何の関係もないと、しゃあしゃあと語っているそうじゃないか」
口元を歪め、性悪を演じる姿に、草薙は胸が詰まった。人間がこれほど他人を愛することができるものなのかと感嘆するばかりだった。

(引用:容疑者Xの献身 P391/東野圭吾)

「」内が石神のセリフか訳だが……
ホント草薙の気持ちがよくわかる。すべてが明かされたあとの石神の性悪を演じる姿が痛々しすぎる。やりきれない切なさと、悲しさと、石神の覚悟に本当に涙がでる。献身という言葉以上に相応しい言葉が見つからない。

最後に

『聖女の救済』、『真夏の方程式』、『沈黙のパレード』とガリレオ長編作品は名作ばかりだが、今回の『容疑者Xの献身』はその中でも群を抜いて面白い。またふとした時に読み返したいと思う。

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『容疑者Xの献身』のあらすじ・紹介:ガリレオVS天才数学者【東野圭吾】




長編”ガリレオ”シリーズ第一作目の『容疑者Xの献身』を紹介していく。


”ガリレオ”シリーズの説明や他作品の紹介はコチラをどうぞ。
長編”ガリレオ”シリーズの紹介

感想はコチラ
『容疑者Xの献身』感想


目次

あらすじ

天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。ガリレオシリーズ初の長篇、直木賞受賞作。

(引用:容疑者Xの献身 裏表紙/東野圭吾)


登場人物とあらすじ補足

花岡親子

花岡靖子は中学生の娘・美里とアパートで二人暮らし。ある日、靖子の元夫・富樫慎二がアパートを訪ねてくる。富樫とはDVなどが原因で離婚したのだった。


富樫から逃げるように離婚をしたのは、ずいぶんと前の話。しかし富樫は金をせびるために、再び靖子たちの前に現れる。また生活を壊されると思った靖子と美里は衝動的に富樫を殺してしまう。


死体を前に途方に暮れる靖子だったが、その時アパートの隣の住人石神が訪ねてくる。一度は誤魔化すも、石神に殺人を行ったことを知られてしまう。

天才数学者 石神哲哉

部屋を一瞥しただけで、花岡家に起こった悲劇を把握してしまう。その観察力と論理的推理力は、まさに天才的。
   

そんな天才的な頭脳の持ち主だが、報われない日々を過ごしていた。結局その頭脳を生かすことができずに高校教師として働いたていた。


隣人の靖子には秘かな想いを寄せていた石神は、二人を救うため完全犯罪を企てる。死体の処理を請け負い、それだけでなく、花岡親子にこれから来るであろう警察にどのような対応をするのか、アリバイをどう作るのか、など様々な策略をたてる。


だがそんな折に、石神の大学時代の友人である物理学者の湯川学が現れる。

刑事 草薙俊平

湯川と石神を引き合わせたのは草薙であった。草薙は捜査を進める中で石神が自身の出身大学と同じ「帝都大学」と知り、そのことを湯川に話したことがきっかけである。


湯川と草薙はかつて帝都大学バドミントン部での同期だった。以前にあった摩訶不思議な事件の相談を行って以来、たびたび湯川の知恵を拝借している。

天才物理学者 湯川学

石神と湯川は大学時代の同期である。


草薙から石神の存在を聞かされた湯川は、石神のアパートを訪ねる。久しぶりに再開した二人、湯川から見た石神は以前と変わらず数学一筋の人間であった。


湯川がそんな石神から違和感を感じ取ったのは、他の人間では気づかない、ほんの些細な言動からで...。


天才vs天才 愛とはなんだ

『容疑者Xの献身』を簡単に説明すれば、惚れた女性の犯罪を隠す石神と、犯罪の秘密に迫る湯川の二人の天才による対決が描かれた物語だ。


あらすじなどから分かる通り『容疑者Xの献身』は倒叙もののミステリーである。(倒叙とは、ミステリーで最初から犯人が明かされて、主に犯人視点で物語が進行していくもの)
 

石神と湯川は大学時代の同期であり、お互いに「天才」という意味では同じであったが、決して似ている二人ではない。


湯川は頭脳明晰、容姿端麗おまけにスポーツ万能...とすべてを兼ね備えた完璧人間と言っても過言ではない。このようなことに対して石神は、湯川と対極の人物である、と説明すればわかりやすいだろう。


この二人によって展開される頭脳戦が『容疑者Xの献身』の見所の一つである。石神による人の盲点を突く、天才的発想の隠蔽工作は予想の斜め上をいく。また、その石神の隠蔽工作に対して湯川はどこから真実を見抜くのか...!?



読み終えて

ガリレオシリーズといえば科学を使った摩訶不思議なトリックの印象があったが、『容疑者Xの献身』はそれとは違い、ひたすらな論理的思考に基づいたトリックだった。


そのため、今回のトリックは特別な知識がなくても読者は予想することができる。(難しいとは思うが...)


知ってしまえば、「なるほど!」となるかもしれないが、まぁ思いつかない。そトリックは『論理的には実現可能だが、実行は限りなく難しい』ものだ。


読了後にはタイトルの意味を深く噛み締める事になるだろう。そして石神という人間に対してきっと涙するはずだ。


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『黒猫の三角』の感想を好き勝手に語る【森博嗣】

「遊びで人を殺している、とおっしゃるのですか?」
「遊びで殺すのが一番健全だぞ」

(引用:黒猫の三角 P47/森博嗣)



今回は森博嗣の『黒猫の三角』の感想を語っていく。ネタバレありのため、未読の方はご注意を。



目次

あらすじ

一年に一度決まったルールの元で起こる殺人。今年のターゲットなのか、六月六日、四十四歳になる小田原静江に脅迫めいた手紙が届いた。探偵・保呂草は依頼を受け「阿漕荘」に住む面々と桜鳴六画邸を監視するが、衆人環視の密室で静江は殺されてしまう。森博嗣の新境地を拓くVシリーズ第一作、待望の文庫化。

(引用:黒猫の三角 裏表紙)

感想

保呂草と紅子の会話が面白い。今までの自分の価値観や常識が揺さぶられるようだった。個人的には『黒猫の三角』一番の見所だと思う。


その様子はS&Mシリーズの犀川と四季のやり取りを彷彿とさせる。保呂草、紅子、犀川、四季、この4人の共通点は言わずもがな「天才」な事だ。(四季が飛び抜けてる気がするが)


保呂草と紅子のやり取りが面白いと感じるのは、『黒猫の三角』の物語にある表現を借りれば私が「理不尽さも鵜呑みにできる鈍い連中(P375)」だからだろう。


天才の思考なんて持ってない。そのため彼らのやり取りに、天才の思考に触れることは、今まで自分が考えた事もないような自由な思考、価値観を示してくれる。まぁ示してくれるだけで、理解しきれるかという事とは、別問題だ。


印象に残ったセリフ・名言

「遊びで人を殺している、とおっしゃるのですか?」
「遊びで殺すのが一番健全だぞ」紅子はこともなげに答える。「仕事で殺すとか、勉強のために殺すとか、病気を直すためだとか、腹が減っているからとか、そういう理由よりは、ずっと普通だ」
「お嬢様、それはお言葉が過ぎます」
「では何か?宗教的な儀式だとか、復讐に燃えるといった恨み辛みがあれば、それで正義だと言うのか?復讐ならば正義か?理由さえしっかりしていれば、殺人を犯しても良いのか?もしそうならば、殺人の許可証を区役所で発行したらどうだ?」

(引用:黒猫の三角 P47/森博嗣)


「僕は、それが知りたいな。人を殺してはいけない、ということになっているけど、でも、虫や植物は殺しても良い。意味もなく殺しても罪にはならない。魚や鳥、牛や豚も殺されますね。じゃあ、人間はどうか……、日本だけで一年に何万人もの人が自殺をしています。事業に失敗して、受験に失敗して、恋愛に失敗して、人は自殺する。それはつまり、誰かが成功したからではありませんか? 人は人を蹴落として這い上がろうとする。良い成績を取り、良い業績を上げ、人より得をし、人よりも幸せになろうとする。それで、敗れた者のうち何人かは、死んでいく。そうじゃありませんか? だとしたら、僕らは誰だって、知らず知らずのうちに、間接的に他人を殺していることになる。誰も殺さないでいたいのなら、勉強をしたり、仕事をしてはいけない。お金を儲けたり、得をしてはいけない。幸せになってはいけないことになる。戦争みたいな単純でわかりやすい人殺し以外にも、同じような殺し合いは、日常的に行われている。そうじゃありませんか?」

(引用:黒猫の三角 P373-374/森博嗣)


「沢山の固定観念が作られる。どんどんどんどん、その固定観念で人間は鈍化していく、それが、歳をとるってことだ。何故か?それが一番安全で、楽ちんだからです。人を殺すことは道徳的ではない。年寄りはいたばるべきだ。友情は美しい。努力は報われる。こういうのって、一体何でしょう?どこの誰が、こんな陳腐の法則を考え出したんでしょうね?まあ人類の九十九パーセントは、こういった理不尽さも鵜呑みにできる鈍い連中ですから、彼らを統治するために、一応のガイドラインを作っておかなくてはまずい...... そう、たぶん、そんな発想だったんでしょう。世の中には、テンプレートが必要なんです。定規がないと、線も引けない連中が多い。何かないと不安なんです。自由な思考、自由な価値観を持つことが恐い。そんな連中で溢れているんですよ」

(引用:黒猫の三角 p374-375/森博嗣)


「その、人間の証に、何の価値がありますか?」

(引用:黒猫の三角 P400/森博嗣)


「貴女は率直にものを言う人だ。でも、残念ながら、そういった感情は僕には無縁です。友情ですか?それは、単なる思い込みですよね。実体は、存在しない。友情というものは、信頼できる友人がいる幸せな自分、それを思い描くための小道具に過ぎません。意図的にそう思い込ませている。うーん、つまりは、ドレスみたいなものですよ。それを着ると綺麗に見える、という思い込みです。共通認識、あるいは約束、といっても同じかな。他人に支配されたい人間、思考を停止したい人間たちの持つ馬鹿馬鹿しい価値観の一つです」

(引用:黒猫の三角 P412 /森博嗣)


ストーリーに関して

私は『黒猫の三角』について予備知識が全くない状態で読み始めた。裏表紙のあらすじには「Vシリーズ第一作」とあったが、何の「V」なのかは把握していなかったが、「紅子」のイニシャルである「V」だったとは...。


保呂草が探偵という事で、勝手に彼が犯人という選択を排除してしまっていた。なので、紅子と保呂草のラストシーンは驚きの連続だった。


驚きつつ読み進める中で「いや、まだどんでん返しがあるのでは...!?」と考えてもいた。


だって、一年に一度、ゾロ目の日付にゾロ目の年齢の人間が殺されるなんて、必ず何かしらの意味が隠されていると勘ぐってしまう。


あとがきで皇 名月さんも同じような感想を語っていた。よかった、私だけではなかった。と、いうよりは皆この作者が仕掛けた罠にハマってしまっているのではと思ってしまう。(負け惜しみ)


それくらい見事に作者の手の上で踊らされていた。



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【東野圭吾】長編ガリレオシリーズにハズレなし!!最新作『透明な螺旋』含む6作品のあらすじ・見所をまとめて紹介する




ガリレオシリーズ待望の新作長編『透明な螺旋』が2021年9月に発売となった。そこで今回は、その『透明な螺旋』含む長編ガリレオシリーズ6作と、あとはガリレオシリーズを知らない方へ簡単にシリーズについて紹介をしていく。

好きな東野圭吾作品をランキングで紹介しているのでコチラもどうぞ。

目次

ガリレオシリーズとは?

″ガリレオシリーズ″とは、聡明な頭脳を持つことからガリレオと呼ばれる物理学者・湯川学を主人公にしたシリーズ作品である。

 
ドラマや映画化も多数されており、福山雅治が湯川を演じている。そちらのイメージが強い方もいるだろう。


シリーズを通しての特徴は、大学時代の友人である刑事・草薙俊平の依頼を受けて、一見超常現象とも取れる事件を科学によって、または論理的な推理によって解決していく。


ガリレオシリーズは現在10冊が刊行されている。下は刊行順に作品一覧だ。


1. 探偵ガリレオ
2. 予知夢
3. 容疑者Xの献身
4. ガリレオの苦悩
5. 聖女の救済
6. 真夏の方程式
7. 虚像の道化師
8. 禁断の魔術
9.沈黙のパレード
10.透明な螺旋


今回はこのなかから、長編6作品を紹介していく。



1.『容疑者Xの献身』

──あらすじ

天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。ガリレオシリーズ初の長篇、直木賞受賞作。

──天才vs天才 愛とはなんだ

『容疑者Xの献身』を簡単に説明すれば、惚れた女性の犯罪を隠す石神と、犯罪の秘密に迫る湯川の二人の天才による対決が描かれた物語だ。


あらすじなどから分かる通り『容疑者Xの献身』は倒叙もののミステリーである。(倒叙とは、ミステリーで最初から犯人が明かされて、主に犯人視点で物語が進行していくもの)
 

石神と湯川は大学時代の同期であり、お互いに「天才」という意味では同じであったが、決して似ている二人ではない。


湯川は頭脳明晰、容姿端麗おまけにスポーツ万能...とすべてを兼ね備えた完璧人間と言っても過言ではない。このようなことに対して石神は、湯川と対極の人物である、と説明すればわかりやすいだろう。


この二人によって展開される頭脳戦が『容疑者Xの献身』の見所の一つである。石神による人の盲点を突く、天才的発想の隠蔽工作は予想の斜め上をいく。また、その石神の隠蔽工作に対して湯川はどこから真実を見抜くのか...!?


もう一人の見所としてはタイトルの意味だろうか。読了後にはタイトルの意味を深く噛み締める事になるだろう。そして石神という人間に対してきっと涙するはずだ。


『容疑者Xの献身』をもう少し詳しく知りたい方へ


2.『聖者の救済』

──あらすじ

資産家の男が自宅で毒殺された 。 毒物混入方法は不明、男から一方的に離婚を切り出されていた妻には鉄壁のアリバイがあった。難航する捜査のさなか、草薙刑事が美貌の妻に魅かれいることを察した内海刑事は、独断でガリレオこと湯川学に協力を依頼するが...。驚愕のトリックで世界を揺るがせた、東野ミステリー屈指の傑作!

(引用:聖女の救済 裏表紙/東野圭吾)

──天才vs完全犯罪の女

『聖女の救済』も『容疑者Xの献身』と同様に倒叙もののミステリーで、誰が殺したのか?ではなく、どのような方法で殺したのか?がメインとなっている。


殺害された男・真柴義之の死因は毒。現場の状況から被害者の男はコーヒーに仕込まれた毒で死亡したことがわかるが、どのように毒を仕込んだかは不明だった。


真柴義之を殺害する動機があるのは、夫が不倫をしていることを知っていた真柴綾音。しかし彼女には鉄壁のアリバイがあり、夫が殺害されたときに彼女は遠く離れた北海道にいたのだ...。


そんな不可能犯罪に対して湯川が導き出した解答、「虚数解」を用いたセリフがとても印象深い。

「今日、君が帰った後も、あれこれと考えてみた。真柴夫人が毒を入れたと仮定して、どういう方法を用いたのかをね。だけどどうしてもわからない。僕が出した結論は、この方程式に解はない、というものだった。ただ一つを除いてね」
「ただ一つ?じゃあ、あるんじゃないですか」
「ただし、虚数解だ」
「虚数解?」
「理論的には考えられるが、現実にはありえない、という意味だ。北海道にいる夫人が東京にいる夫に毒を飲ませる方法が一つだけある。だけどそれを実行した可能性は、限りなくゼロに近い。わかるかい?トリックは可能だが、実行することは不可能だということなんだ」

(引用:聖女の救済 P287/東野圭吾)

果たして湯川にここまで言わせた驚愕のトリックとはなんなのか...!?


3.『真夏の方程式』

──あらすじ

夏休みを玻璃ヶ浦にある伯母一家経営の旅館で過ごすことになった少年・恭平。一方、仕事で訪れた湯川も、その宿に宿泊することになった。翌朝、もう一人の宿泊客が死体で見つかった。その客は元刑事で、かつて玻璃ヶ浦に縁のある男を逮捕したことがあったという。これは事故か、殺人か。湯川が気づいてしまった真相とは──。

(引用:真夏の方程式 裏表紙/東野圭吾)

──博士と少年 ひと夏のストーリー

『真夏の方程式』は先程紹介した2作品とは、少し毛色の違った作品だ。違いとしては、倒叙ではなく誰が犯人かわからないこと。もうひとつは作品全体を見たときの雰囲気が先程の2作品と比べて比較的明るいところだ。


恭平は両親の仕事の都合により、一人で伯母の家に泊まらされることに対して不満をつのらせていた。しかし皆が恭平のことを子供扱いするなかで唯一、正面から向き合ってくれたのが湯川であった。


自らを「子供嫌い」と語る湯川が恭平と親交を深めるようすがミスマッチのようで、どこか微笑ましい。恭平のために湯川は「ある実験」を行うのだが、その場面はとても印象的だ。


一方、殺人事件の真相が明かされていくにつれて、湯川はとんでもない真実に直面することになる。


事件に対して当初は傍観を決めていた湯川だったが、その真実によってもたらされるであろうに影響に目を背けることができなくなってしまう。

 
何故、警察の捜査に協力的ではなかった湯川が捜査に手をかしたのか?湯川が辿り着いた、そうせざるを得なくなるほどの理由とはなんだったのか?


湯川と少年・恭平を中心に物語がすすんで行くのはもちろんだが、やがて、東京 と玻璃ケ浦、現在の事件と過去の事件、そして人間関係...それぞれの絡まり合ったすべての糸が解けるとき...!!

4.『禁断の魔術』


──あらすじ

高校の物理研究会で湯川の後輩にあたる古芝伸吾は、育ての親だった姉が亡くなって帝都大を中退し町工場で働いていた。ある日、フリーライターが殺された。彼は代議士の大賀を追っており、また大賀の担当の新聞記者が伸吾の姉だったことが判明する。伸吾が失踪し、湯川は伸吾のある"企み"に気づくが…。シリーズ最高傑作!

(引用:禁断の魔術 裏表紙/東野圭吾)

──ガリレオの弟子登場!?

ホテルで見つかった謎の死体。そしてフリーライターの死。その後ある青年が失踪したことが明らかになるが、その青年は、過去に湯川に関わりのある人物であった。2つの事件と青年の失踪……事件の真相は……!?
という具合で物語が始まるわけだが、上記の青年・伸吾は、湯川の母校の高校に通っており、ひょんなことから湯川から直接指導を受ける。伸吾は湯川の人間性に尊敬の念を抱き、湯川もまた一生懸命で更に頭の良い伸吾に目をかけるようになる。大げさに言えば物理学の師匠と弟子のような二人である。


ラストシーンの湯川がとくにカッコよく、ガリレオシリーズファンなら見逃せない一冊だろう。

5.『沈黙のパレード』

──あらすじ

突然行方不明になった町の人気娘が、数年後に遺体となって発見された。容疑者は、かつて草薙が担当した少女殺害事件で無罪となった男。だが今回も証拠不十分で釈放されてしまう。さらにその男が堂々と遺族たちの前に現れたことで、町全体を憎悪と義憤の空気が覆う。秋祭りのパレード当日、復讐劇はいかにして遂げられたのか。殺害方法は?アリバイトリックは?
超難問に突き当たった草薙は、アメリカ帰りの湯川に助けを求める

(引用:沈黙のパレード /東野圭吾)

──それぞれの『沈黙』の先に…


19年前、捜査一課の新人・草薙の活躍によって解決に向かっていた少女殺害事件は決定的な証拠を挙げることができず、そして容疑者は自供を行わず沈黙を守ったことで釈放となってしまった。


草薙にとっては因縁のその相手・蓮沼が再び殺人事件の容疑者として草薙の前に現れる。


殺されたのは町の人気娘・並木佐織。今回こそは...と意気込む草薙。しかし、死体遺棄までは証明できるものの、またもや殺人の決定的な証拠を掴むことができず、蓮沼の処分は保留となってしまう。


蓮沼という男が殺したことは、ほとんど間違いない。にも関わらず、証拠不十分によって処分が下されない。残された遺族や佐織と親しかった者たちが怒り、警察に不満を覚えるのは当然のことだった。「ならば自分たちで...」と考え始めるのも自然な発想だろう。


そんな中、佐織の両親が経営する飲食店『なみきや』に堂々と蓮沼がやってくる。遺族を前にして横暴な態度を取る蓮沼に対して、両親はもちろん、常連の客もさらなる憎悪を向ける。


そして秋祭りのパレード当日、蓮沼は寝泊まりをしていた倉庫から遺体となって発見される──。



『沈黙のパレード』をもう少し詳しく知りたい方へ


5.『透明な螺旋』

──あらすじ

シリーズ第十弾。最新長編。
今、明かされる「ガリレオの真実」。
房総沖で男性の銃殺遺体が見つかった。
失踪した恋人の行方をたどると、関係者として天才物理学者の名が浮上した。
警視庁の刑事・草薙は、横須賀の両親のもとで過ごす湯川学を訪ねる。
「愛する人を守ることは罪なのか」
ガリレオシリーズ最大の秘密が明かされる。

──ガリレオの真実

物語はいつも通り、草薙からガリレオこと湯川の元へ殺人事件の協力依頼が入る。湯川の行動が読めないのも、いつも通りなのだが今回は、更に裏があるような行動を……?


殺人事件の解決……というより、『湯川学』にスポットをあてたのが、ガリレオシリーズ節目の10作目『透明な螺旋』だ。


あらすじに「シリーズ最大の秘密が明かされる」とあるが、事件を通して明らかになるその秘密に是非ふれてみてほしい。今までに見たことのない、ガリレオの姿を見ることができるだろう。


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読書初心者にもオススメ!有川浩の自衛隊三部作、『塩の街・空の中・海の底』+αのあらすじ・見所をまとめて紹介する。

シンプルな表紙に、シンプルなタイトルが美しくてたまらない。この様に3冊が並んでいたら思わずに手にとってしまいたくなる。

  
今回は有川浩の代表作品『塩の街』・『空の中』・『海の底』を紹介する。
 

最近ではドラマや映画など映像化された作品も段々と増えてきている。

 

ドラマだと

・フリーター、家を買う
・空飛ぶ広報室
・三匹のおっさん
・キャロリング
・図書館戦争

 

映画だと

・阪急電車
・図書館戦争
・県庁おもてなし課
・レインツリーの国
・植物図鑑
・旅猫レポート


 

あなたの見たことある作品もあるのではないだろうか?また、見たことはなくても名前くらいは聞いたことがあるのでは?


今回は、そんな有川浩さんの原点の作品であり、私の大好きな三作を紹介していく。

 
目次

どんな作品たち?

この三作はいわゆる自衛隊三部作と呼ばれていて、『塩の街』では陸上自衛隊、『空の中』では、航空自衛隊『海の底』では海上自衛隊、すべての作品が自衛隊に関わっていることから自衛隊三部作と呼ばれている。
 

三部作といっても物語が繋がっているわけではなく、それぞれ独立した形なのでどの順番で読んでも問題なく楽しめる。是非とも気になったものから読んでもらえればと思う。


それぞれの作品では大きな「異常事態」が発生しているが、その「異常事態」を除けば登場人物とその登場人物の「異常事態」への対応が非常にリアルに描かれている。

 
そんなリアルなSFの世界に恋愛要素が足されている。恋愛小説はあまり読まないが、サイドストーリーとして恋愛要素がある構成が好きな方には、どストライクの物語たちだ(『塩の街』は恋愛要素が強めだが)。





1.『塩の街』

──あらすじ

塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。塩は着々と街を飲み込み、社会を崩壊させようとしていた。その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女、秋庭と真奈。世界の片隅で生きる2人の前には、様々な人が現れ、そして消えていく。だが...「世界とか、救ってみたくない?」ある日そそのかされるように囁く者が運命を連れてやってくる。『空の中』『海の底』の3部作の第1作にして有川浩のデビュー作!番外編も完全収録!!

 (引用:塩の街 裏表紙/有川浩)

 

──世界をとるか、彼女をとるか

好きな人を失う代わりに世界を救うか、それとも世界が滅びる代わりに好きな人と最後を迎えるか


一章から一気に引き込まれる。簡単に言うと、世界を侵食している塩害の説明部分になるのだが...最初から泣きそうに...。


『空の中』『海の底』は物語が始まってから「異常事態」が起こるのに対して、『塩の街』では「異常事態」がすでに起こった状態で物語が始まる。
 

『塩の街』に登場する「異常事態」とは、「巨大な塩の結晶が地球に飛来したことで人間が塩化していく」こと。

 
かなりぶっ飛んだ設定だが、物語の背景が丁寧に描かれているので、私はすんなりと『塩の街』の世界に入りこむことができた。


この崩壊の一途をたどっている世界で、元自衛隊の秋庭と少女・真奈が物語の中心人物である。


塩害の解決がメインストーリーで、秋庭と真奈の恋愛事情はサイドラインに過ぎないのが、歳の差や職業を考えればこの「異常事態」が起きなければ、恋に落ちることなど絶対なかったであろう二人。


「異常事態」があったからこそ、出会うことができた二人の行く末も、塩害解決のメインストーリーと同じくらい目が離せないものとなっている。


2.『空の中』

──あらすじ

200X年、謎の航空機事故が相次ぎ、メーカーの担当者と生き残った自衛隊パイロットは調査のために高空へ飛んだ。高度2万、事故に共通するその空域で彼らが見つけた秘密とは?
一方地上では、子供たちが海辺で不思議な生物を拾う。大人と子供が見つけた2つの秘密が出会うとき、日本に、人類に降りかかる前代未聞な奇妙な危機とは...すべての本読みが心踊らせる、未曾有のスペクタクルエンタテイメント!!

(引用:空の中 裏表紙/有川浩)

 

──高度2万メートルの上空に潜むものは……

大人の視点と子供の視点両方から徐々に物語の核心に迫っていく。


高度2万メートルの上空...まさに『空の中』で謎の航空機事故が相次いで起こる。


その唯一の事故目撃者で生存者が女性パイロットの武田光稀。そして事故調査委員として派遣されたのが春名高巳。この二人が大人側ストーリーの中心人物。


子供側ストーリーの中心人物が、航空機事故で父親を亡くした斉木瞬。瞬の幼馴染の天野佳江

  
光稀と高巳は事故原因の調査のために高度2万メートルに飛ぶのだが...そこで「異常事態」と遭遇する場面がたまらなく好きだ。臨場感と緊張感たっぷりで何度でも読みたくなる。いや、何回も読み返した。


「異常事態」が何なのか?それを明かすと初めて読むときのドキドキ感が半減してしまいそうなのでこれ以上の説明はしないでおく。


そして子供たち側では、「訳が分からない生物」を拾うことで物語が始まるのだが、その生物を拾う人物が父親を航空機事故で亡くしたである。


大人と子供、どちらのストーリーも魅力的。しかもそれが交錯していくんだからたまらない。


個人的には三作の中で一番好きな作品だ。

 

3.『海の底』

──あらすじ

4月。桜祭りで解放された米軍横須賀基地。停泊中の海上自衛隊潜水艦『きりしお』の隊員が見た時、喧噪は悲鳴に変わっていた。巨大な赤い甲殻類の大群が基地を闊歩し次々と人を「食べている」!自衛官は救出した子供たちと潜水艦に立てこもるが、彼らはなぜか「歪んでいた。」一方、警察と自衛隊、米軍の駆け引きの中、機動隊は凄絶な戦いを強いられていく...ジャンルの垣根を飛び越えたスーパーエンタテイメント!!

(引用:海の底 裏表紙/有川浩)

 

──海から現れた巨大生物の侵略

若い自衛官二人と子供たちの潜水艦での立てこもり。極限状態の密閉状況下でのヒューマンドラマと、突如現れた怪物と機動隊の戦いが交互に描かれている。


『海の底』も主に二つの視点で物語が進行していく。
 1つ目が潜水艦『きりしお』乗員、夏木三尉と冬原三尉。巨大ザリガニの来襲によって逃げ場がなくなった子供13人が、『きりしお』に立てこもる6日間の物語。


潜水艦の中は主に子どもたちに、振り回されながらも、懸命に対処する若い自衛官二人が描かれている。



2つ目が市民を救出する側の警察機動隊。「警備の神様」という異名を持つ明石警部と、警察庁警部参事官、烏丸警視正のコンビの物語。


あらすじにも出ているが、「人が食べられる」というなかなかのグロテスクっぷり。そんな怪物の出現に対応するプロフェッショナルたちの奮闘に目が離せない。

 

4.『クジラの彼』

おまけとして、最後は恋愛短編集の『クジラの彼』を紹介する。

──あらすじ

『元気ですか? 浮上したら漁火がきれいだったので送ります』
彼からの2ヶ月ぶりのメールはそれだけだった。聡子が出会った冬原は潜水艦(クジラ)乗り。いつ出かけてしまうか、いつ帰ってくるかわからない。そんなクジラの彼とのレンアイには、いつも7つの海が横たわる.......。表題作はじめ、『空の中』『海の底』の番外編も収録した、男前でかわいい彼女たちの6つの恋。有川浩がおくる制服ラブコメシリーズ第1段!!

(引用:クジラの彼 裏表紙/有川浩)

 

──主人公たちのその後を描いた物語

ここでは、6つの恋愛短編集が収録されている。

『海の底』で登場した冬原にスポットを当てた表題にもなっている「クジラの彼」


同じく『海の底』に登場した夏木が主人公の「有能な彼女」


『空の中』に登場した高巳が主人公の「ファイターパイロットの君」

 

『海の底』『空の中』を読んで、彼らのその後が気になった方には是非とも読んでもらいたい一冊となっている。絶対損はしません。

 

また、その他のお話も自衛隊員という、障害大き道を乗り越える、溢れる思いをぶつけるような恋物語となっている。

終わりに

今回は有川浩の原点である作品たちを紹介した。その他にも素晴らしい作品はたくさんあるので、是非とも読んでみてほしい。


著者の作品は読み進めやすく、普段読書をしない方でもとっつきやすいので、久しぶりに本に手を出したい方はこの機会に手にとってみてはいかがだろうか。



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