こんちには、FGです。
今回は東野圭吾著の『真夏の方程式』の感想を語っていきます。
内容にはがっつり触れていくので、まだ読んでないという、あなたは前回の記事をどうぞ。
感想
本書『真夏の方程式』は、いわゆるガリレオシリーズと言われるものの、3作目の長編作品です。
ガリレオシリーズは大抵の場合、物理学者の湯川学が、大学時代の友人である刑事の草薙俊平の依頼を受けて、一見超常現象とも取れる不可解な事件を科学によって解決していく、というもの。
しかし今回は草薙に依頼されるのではなく、湯川自身が宿泊先で、事件に遭遇する形となっていて、いつもとは違う流れになっている。(もちろん後から草薙から依頼はされる)
物語前半で一番印象に残っているシーンは、ペットボトルロケットで海底の玻璃を見るところですね。
大人をあまり良く思っていない恭平が湯川に心を許すようになる、重要なシーンでもあると思います。その後は一緒にご飯を食べたり、花火をしたりと、関係の変化が伺えます。
恭平にしてみれば、自分のためにペットボトルロケットを作ってまで、玻璃を見せようとしてくれる湯川と、それを可能にした物理の力に興味が惹かれないはずはないですよね。
本書、『真夏の方程式』は科学や物理の驚きのトリックで事件が起きている、という訳ではありません。メインの話しは人間関係と、16年前の事件と川畑一家にどんな繋がりがあったかです。
16年前の事件を真相を明らかにすることで、物語の全貌が見えてきて、また伏線の回収にもなっています。
湯川いわく、成実が「不自然なほど痛々しく、悲壮感さえ漂わせて」海を守る理由や、きっかけ、がその最たる例でしょう。
ガリレオシリーズは湯川の推理力、観察力が見所ですが、今回はそれに足して湯川の「優しさ」も足されます。
推理力、観察力でいえば、恭平の「屋上には煙突があるから」という言葉だけから推理を重ね、警察もたどり着けなかった真相にたどりついています。
物語でいえば、半分もいかない時点で気づいてますからね、驚異的です。
そして「優しさ」の部分
「ある人物の人生が大きくねじ曲げられてしまうおそれがある」
それを防ぐために湯川は事件に挑んでいきます。
さしてラストシーンの湯川の台詞は心にくるものがあります。かっこよすぎです。
「今回のことできみが何らかの答えを出せる日まで、私は君と一緒に同じ問題を抱え、悩み続けよう。忘れないでほしい。君はひとりぼっちじゃない」
(引用:真夏の方程式 P462/東野圭吾)
恭平にとって湯川は恩人であり、尊敬する大人になったでしょうね。
湯川おかげで理科嫌いも直り、むしろ好きになっているようにも思えます。
何年後かには湯川のいる、帝都大学理工学部物理学科第十三研究室のドアを、恭平は叩くのではないかな、と勝手に妄想してしまいました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
関連記事