FGかふぇ

読書やらカフェ巡りが趣味。読んだ本、行ったカフェの紹介がメインのブログです。ごゆるりとどうぞ。

11月に読んだ本


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・夜明けの街で/東野圭吾
【391ページ】

・星を継ぐもの/ジェイムズ・P・ホーガン
【307ページ】

・時生/東野圭吾
【533ページ】

・すべてがFになる/森博嗣
【522ページ】

・ICO-霧の城-(上)/宮部みゆき
【330ページ】

・ICO-霧の城-(下)/宮部みゆき
【381ページ】

・悪意/東野圭吾
【365ページ】

・雪煙チェイス/東野圭吾
【409ページ】


合計8冊3238ページ

日当たり108ページ


自分としてはかなり読んだほう
月に8冊も読んだのは初めてかもしれない。

ベスト3を選ぶとしたら
1.『すべてがFになる』
2.『悪意』
3.『星を継ぐもの』


『すべてがFになる』の衝撃が強すぎた。いつかは読もう思ってて、先延ばしにしていた作品だったが、予想以上に楽しめた。


森博嗣の作品は初めて読んだ。『S&
Mシリーズ』という『すべてがFになる』のシリーズ作品があるので、今後は読み漁っていこうと思う。


好きな作家さんが見つかって、当分はまた退屈せずにすみそうです。

【2023年版】東野圭吾初心者に捧げるオススメ11選!迷ったらコレを読め!!【随時更新】



1つの作品を読んだだけで、その作者の良し悪しを決めてしまうのはあまりにもったいない。東野圭吾は2023年現在で100近い作品を世に放ち、映像化作品も数多くある。


作品数があまりに多いので、何から読めばいいか迷う人も多いであろう。そんな「東野圭吾の作品を読んだことがない」または、「何冊か読んだことあるが次に何を読めばいいか悩んでいる」方へ、東野圭吾ファンの私がこれを読んでおけば間違いない!と思うオススメ11作品を紹介する。


コチラでは、私が好きな東野圭吾作品をランキングで紹介している。合わせてどうぞ。
『好きな東野圭吾作品10選』


1.『容疑者Xの献身』

──あらすじ

天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。ガリレオシリーズ初の長篇、直木賞受賞作。

──天才vs天才 慟哭のミステリー

″ガリレオシリーズ″と呼ばれる物理学者・湯川学を主人公とした物語。シリーズ作品ではあるが、この作品から読み始めてもまったく問題はない。2008年には映画化もされている作品である。


”ガリレオシリーズ”通しての特徴としては、大学時代の友人である刑事・草薙俊平の依頼を受けて、一見超常現象とも取れる事件を科学によって、または論理的な推理によって解決していくものだ。


『容疑者Xの献身』を簡単に説明すれば、惚れた女性の犯罪を隠す石神と、犯罪の秘密に迫る湯川の二人の天才による対決が描かれた物語だ。
 

石神と湯川は大学時代の同期であり、お互いに「天才」という意味では同じであったが、決して似ている二人ではない。


湯川は頭脳明晰、容姿端麗おまけにスポーツ万能...とすべてを兼ね備えた完璧人間と言っても過言ではない。このようなことに対して石神は、湯川と対極の人物である、と説明すればわかりやすいだろう。


この二人によって展開される頭脳戦が『容疑者Xの献身』の見所の一つである。石神による人の盲点を突く、天才的発想の隠蔽工作は予想の斜め上をいく。また、その石神の隠蔽工作に対して湯川はどこから真実を見抜くのか...!?


もう一つの見所としてはタイトルの意味だろうか。読了後にはタイトルの意味を深く噛み締める事になるだろう。そして石神という人間に対してきっと涙するはずだ。


【長編ガリレオシリーズ紹介】
【東野圭吾】長編ガリレオシリーズにハズレなし!!最新作『透明な螺旋』含む6作品のあらすじ・見所をまとめて紹介する - FGかふぇ


  

2.『真夏の方程式』

夏休みを玻璃ヶ浦にある伯母一家経営の旅館で過ごすことになった少年・恭平。一方、仕事で訪れた湯川も、その宿に宿泊することになった。翌朝、もう一人の宿泊客が死体で見つかった。その客は元刑事で、かつて玻璃ヶ浦に縁のある男を逮捕したことがあったという。これは事故か、殺人か。湯川が気づいてしまった真相とは──。

──博士と少年 一夏のストーリー

ガリレオシリーズからもう一つオススメするのが『真夏の方程式』。これを読んだら湯川のことが好きになるに違いない。


恭平は両親の仕事の都合により、一人で伯母の家に泊まらされることに対して不満をつのらせていた。しかし皆が恭平のことを子供扱いするなかで唯一、正面から向き合ってくれたのが湯川であった。


自らを「子供嫌い」と語る湯川が恭平と親交を深めるようすがミスマッチのようで、どこか微笑ましい。恭平のために湯川は「ある実験」を行うのだが、その場面はとても印象的だ。


湯川と少年・恭平を中心に物語がすすんで行くのはもちろんだが、やがて、東京 と玻璃ケ浦、現在の事件と過去の事件、そして人間関係...それぞれの絡まり合ったすべての糸が解けるとき...!!




3.『マスカレード・ホテル』

──あらすじ

都内で起きた不可解な連続殺人事件。容疑者もターゲットも不明。残された暗号から判明したのは、次の犯行場所が一流ホテル・コルテシア東京ということのみ。若き刑事・新田浩介は、ホテルマンに化けて潜入捜査に就くことを命じられる。彼を教育するのは、女性フロントクラークの山岸尚美。次から次へと怪しげな客たちが訪れる中、二人は真相に辿り着けるのか!? いま幕が開く傑作新シリーズ。

──名コンビ誕生 伝説のはじまり

”マスカレード”シリーズは、一流シティホテル「コルテシア」を舞台に繰り広げられる物語。2022年現在では
『マスカレード・ホテル』
『マスカレード・イブ』
『マスカレード・ナイト』
『マスカレード・ゲーム』
以上の4作品が刊行されている。


そして、新田&山岸のコンビが誕生したのがシリーズこの第一作『マスカレード・ホテル』だ。


犯人不明
動機不明
いつ事件が起こるか分からないし
誰が狙われるかもわからない


判明しているのは次の犯行現場が一流ホテル「コルテシア東京」だということのみ。


優秀だがプライドの高い刑事の新田
ホテルウーマンとして優秀な能力を持つ山岸


犯人の仮面を暴こうとする新田と、お客様の仮面を守ろうとする山岸。職業柄、価値観のまったく違う二人は最悪の印象で物語は始まる。


しかし、警察という仕事、フロントクラークという仕事を通して、お互いがお互いをプロとして認め、信頼関係を気付いていく様子がとても印象的な作品。


ミステリーのジャンルの作品だが、ホテルという舞台、そしてそこで働く人たちの喜びや苦労が楽しめるのもこの作品の大きな魅力の一つだろう。最後まで予測のつかない犯人と、その緊張感。そして主人公二人の息のあったコンビがたまらない。



″マスカレードシリーズ″として他の作品がすでに出ているが、このシリーズは是非とも順番にこの『マスカレード・ホテル』から読むことをオススメする。


マスカレードシリーズ紹介
『マスカレードシリーズ』の作品一覧とあらすじ・内容を全4作品まとめて紹介する【東野圭吾】 - FGかふぇ




4.『ナミヤ雑貨屋の奇蹟』

──あらすじ

悪事を働いた3人が逃げ込んだ古い家。そこはかつて悩み相談を請け負っていた雑貨店だった。廃業しているはずの店内に、突然シャッターの郵便口から悩み相談の手紙が落ちてきた。時空を超えて過去から投函されたのか?
3人は戸惑いながらも当時の店主・波矢雄治に代わって返事を書くが・・・。次第に明らかになる雑貨店の秘密と、ある児童養護施設との関係。悩める人々を救ってきた雑貨店は、最後に再び奇蹟を起こせるか!?


  

──現在と過去を繋ぐ奇蹟の手紙

『東野圭吾史上、最も泣ける作品』との触れ込みもあるが、それに恥じない感動と、心暖まるストーリーである。


『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の特徴は、ヒューマンドラマとファンタジーの性質を合わせ持っている点。ファンタジー要素というのが、30年前の過去から手紙が届くのだ。


現在と未来が繋がる、また『ナミヤ雑貨店の奇蹟』のように現在と過去が繋がる。小説の設定としては、ありきたりのものだ。


しかし、この物語の本質はヒューマンドラマである。過去と現在でやり取りされる手紙は、過去軸の人間の”悩み相談”を現在軸の人間が答える形式となっている。


この手紙のやり取りを通して、3人の青年は相手の事を考え、自分自身を見つめ直し成長する過程が、描かれている。


また、物語は5章構成になっていて各章ごとに新しい相談者の話になる。だが完全に独立した話という訳ではなく、端々で繋がっていく。


個人的に第二章の『夜明けにハーモニカを』の話がたまらなく好きだ。
音楽の道に進むか、家業の魚屋を継ぐか。そんな人生の二択に迫られた青年がナミヤ雑貨屋に相談の手紙を出して……という流れなのだが最後は思わず涙があふれるだろう。




5.『白夜行』

──あらすじ

1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々に浮かぶが、結局、事件は迷宮入りする。被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂――暗い眼をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別々の道を歩んで行く。二人の周囲に見え隠れする、幾つもの恐るべき犯罪。だが、何も「証拠」はない。そして十九年……。息詰まる精緻な構成と、叙事詩的スケール。心を失った人間の悲劇を描く、傑作ミステリー長篇!

──かすかな灯火を元に、二人は生きる

まず目を引くのは間違いなく『白夜行』の厚さだろう。文庫本で全860ページと圧巻のボリュームである。そのボリュームに私はなかなか手を出せずにいたが、読み始めてしまえば一気に物語に引き込まれてしまった。


さて、殺人事件もあるので、ミステリーの部類に入ると思うが、本格派ミステリーのような謎解きは一切ない。


『白夜行』の何より特徴的なのは主人公である二人の心理描写が一切描かれておらず、第三者の視点や周りの状況だけで二人の人間性・関係性が表現されていることだろう。


物語は、大阪の廃ビルで一人の男が殺害されることで幕が開ける。被害者の息子・桐原亮司と容疑者の娘・西本雪穂は、その接点を持たせないままに、二人の心情は直接語らせないまま物語が進行していく。


太陽のように明るくはない。しかし夜の闇のように真っ暗でもない。そんな白夜を歩む二人の19年の長い道のりが描かれているのが『白夜行』だ。


『白夜行』を「東野圭吾の最高傑作である」という意見も多々見受けられる。その納得のストーリー、是非体感して頂きたい。



6.『秘密』

──あらすじ

妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美を乗せたバスが崖から転落。妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻だった。その日から杉田家の切なく奇妙な”秘密”の生活が始まった。映画「秘密」の原作であり、98年度の ベストミステリーとして話題をさらった長篇、ついに文庫化

──予感めいたものなど、何ひとつなかった。

この一文から始まる『秘密』


ここまで心を揺さぶられる作品はそうないと思う。そしてここまで男女の意見が分かれる小説もまた、ないだろう。


娘と妻が事故によって入れ替わってしまうという奇妙な現象がおき物語がスタートする。しかし、普通の入れ替わりと違うのは、母親の肉体は死に、母親の精神だけが娘に宿るという点だ。(当然娘の精神はない)



体は娘なのに中身は妻...非現実的な出来事に夫・平介は今後、どう生きていくのか?また妻は、妻として生きるのか、それとも娘として生きるのか。選択に迫られる。妻として生きるとすれば、体は娘なので性生活などはどうなるのか?また、立場としては学生なので、学校生活はどうするのか?


娘として生きるとすれば、夫との関係はどうなるのか?いずれは夫ではない誰かと結婚する日がきてしまうのか?直子の決断に、またそれまでの過程に拒否反応が起こる女性読者が多いようだ。


「もしも誰かと入れ替わったら...」そんな誰しも一度は考えるような平凡な発想も、東野圭吾の手にかかれば、この上ない上質なミステリーに変化する。男目線の私としては、非常に考えさせられる一冊だった。


7.『手紙』

──あらすじ

強盗殺人の罪で服役中の兄、剛。弟・直貴の元には獄中から月に一度、手紙が届く……。しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる。人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。犯罪加害者の家族を真正面から描き、感動を呼んだ不屈の名作。

──絆と償い、手紙に込められた想い

『手紙』は、2003年には映画化、さらに2017年にはドラマ化もされたか人気作品だ。


東野圭吾といえばミステリーの印象が強い作家であり、これまで紹介してきた5作品もミステリーの物語だった。しかし『手紙』は涙なしには見られない社会派ヒューマンドラマである。


罪を犯すということは、このような現実が付きまとうのだ。と、加害者本人だけではなく、周りの人に降りかかる厳しい現実を含めて突きつけられる一冊。


不条理な世の中に感じれるかもしれないが、現実を受け入れて前に進む兄弟の決断に涙が止まらない。



8.『夢幻花』

──あらすじ

花を愛でながら余生を送っていた老人・秋山周治が殺された。第一発見者の孫娘・梨乃は、祖父の庭から消えた黄色い花の植木鉢が気になり、ブログにアップするとともに、この花が縁で知り合った大学院生・蒼太と真相解明に乗り出す。一方、西荻窪署の刑事・早瀬も、別の思いを胸に事件を追っていた……。宿命を背負った者たちの人間ドラマが展開していく"東野ミステリーの真骨頂"。

──"禁断の花"を巡る傑作ミステリー

構想10年。東野圭吾が構想に10年をかけた、といわれる『夢幻花』。「追い求めると身を滅ぼす」と言われる禁断の花……黄色いアサガオを中心に、物語は複数の視点から進行していく。

「世の中には負の遺産というものがある。それが放っておけば消えてなくなるものなら、そのままにしておけばいい。でもそうならないのなら、誰かが引き受けるしかない」


日本の現代社会に残る大きな問題も絡めつつ物語は展開されていく。意味深なプロローグから、納得のラストまで、最後まで目が離せない一冊だ。

9.『ラプラスの魔女』

──あらすじ

円華という若い女性のボディーガードを依頼された元警官の武尾は、行動を共にするにつれ彼女には不思議な《力》が備わっているのではと、疑いはじめる。
同じ頃、遠く離れた2つの温泉地で硫化水素による死亡事故が起きていた。検証に赴いた地球化学の研究者・青江は、双方の現場で謎の娘・円華を目撃する──。
価値観をくつがえされる衝撃。物語に翻弄される興奮。
作家デビュー30年、80作目の到達点。
これまでの私の小説をぶっ壊してみたかった。
そしたらこんな作品ができました。──東野圭吾

──彼女の瞳は何を写すのか

『ラプラスの魔女』は、フランス人数学者の「ピエール・シモン・ラプラス(1749-1827)」が提唱した「ラプラスの悪魔」という仮説を題材にした物語となっている。どんか仮説かというと以下の通りだ。
 

 「もし、この世に存在するすべての原子の現在位置と運動量を把握する知性が存在するならば、その存在は、物理学を用いることでこれらの原子の時間的変化を計算できるだろうから、未来の状態のがどうなるか完全に予知できる。」

これは実際に『ラプラスの魔女』本文から引用したものだ。


「もし、未来がわかったら…」と、だれもが一度は考えたことがあるはず。そんな力を得てしまった登場人物と、巻き起こる事件に一気読み必死の作品だ。


賛否がわかれる作品ではあるが、個人的には推したい一冊。また映画化もされているが……小説で楽しむ事をオススメする。


10.『流星の絆』

──あらすじ

何者かに両親を惨殺された三兄妹は、流れ星に仇討ちを誓う。14年後、互いのことだけを信じ、世間を敵視しながら生きる彼らの前に、犯人を突き止める最初で最後の機会が訪れる。三人で完璧に仕掛けはずの復讐計画。その最大の誤算は、妹の恋心だった。涙があふれる衝撃の真相。著者会心の新たな代表作。

──兄弟たちの復讐劇

『流星の絆』は、両親を殺害された幼い三兄妹による復讐劇が描かれた一冊だ。その復讐劇に「詐欺」「禁じられた恋」などの要素が絡められながら物語が進んでいく。


メインは復讐劇のわけだが、あらすじに『最大の誤算は、妹の恋心だった』とある。妹が好きなってしまった相手が実は……という訳なのだが、この妹の葛藤が実に胸にくる。


ページ数は600ページと多いが、それを感じさせないスリリングな展開の連続、そして最後の最後まで気が抜けない小説の醍醐味をあじわえる作品だ。



11.『さまよう刃』

──あらすじ

長峰の一人娘・絵摩の死体が荒川から発見された。花火大会の帰りに、未成年の少年グループによって蹂躪された末の遺棄だった。謎の密告電話によって犯人を知った長峰は、突き動かされるように娘の復讐に乗り出した。犯人の一人を殺害し、さらに逃走する父親を、警察とマスコミが追う。正義とは何か。誰が犯人を裁くのか。世論を巻き込み、事件は予想外の結末を迎える―。重く哀しいテーマに挑んだ、心を揺さぶる傑作長編。

──正義とは何なのか

『さまよう刃』はこれまで紹介してきた作品とは違い、社会派の考えさせれる"重い"作品だ。東野圭吾の″重い″作品はなんだろう?と考えたときに一番最初に浮かんだのがこの作品『さまよう刃』だった。


どんな理由があっても暴力は許されない、たとえそれが復讐であっても。誰だって理解はしている″常識″だ。だが、いざ我が身に主人公のような出来事が振りかかったときに、果たしてその″常識″を突き通せるのだろうか?


少年法は本当に必要なのだろうか?正義とは何だ?悪とは何だ?生々しく目を覆いたくなるような場面も多かったが、目を反らさずに読んでよかったと思える一冊だ。


重い作品ゆえに『さまよう刃』は東野圭吾作品を初めて読む人には向かないとは思うが、いつかは手にとってもらいたいと思う。



最後に

今回は加賀恭一郎シリーズの作品は取り上げなかった。個人的には加賀恭一郎シリーズは、最後の『祈るの幕が下りる時』が一番好きなのだが、これはシリーズを通して読んでこそ刺さる作品。


シリーズの特徴的に、気になる作品をかいつまんで読むより、刊行順に読むほうが面白いと思っているので今回の紹介では取り上げなかった。


加賀恭一郎シリーズは、ガリレオシリーズと並ぶ東野圭吾の大人気シリーズなので、是非そちらも手を出してみてほしい。

加賀恭一郎シリーズ紹介・あらすじ


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【オススメ記事】






【東野圭吾】『夜明けの街で』の感想を好き勝手に語る【ネタバレあり】

これは地獄だ。甘い地獄なのだ。そこからどんなに逃れようと思っても、自分のなかにいる悪魔がそれを許さない。

(引用:夜明けの街で P80/東野圭吾)


今回は東野圭吾の『夜明けの街で』の感想を語っていく。
ネタバレNGの方はコチラをどうぞ。
【『夜明けの街で』あらすじ・紹介】


感想

率直な感想としては、主人公である渡部が物語が進むごとに不倫の沼にはまっていく様子がとにかくリアル。


遊び人ではないし、家庭に不満はない。本人も「不倫をするやつなんて馬鹿」とまで言っている。それなのにいつの間にか、その底無し沼に足を突っ込んだかと思えばすぐに身動きがとれなくなっている。


悪いことなのは分かっている。不倫に対するボーダーラインが「一度だけなら...」から始まり「離婚する気がなければ...」と下がっていき自分自身を正当化していく様を見ていると、あぁこうやって人は知らず知らずのうちに堕ちていくのか、と感じた。


そんな泥沼にはまっていく渡部の心情を表した描写で心に残ったところがある。初めて秋葉と一線を越えてしまったあとのシーン。

こうして僕たちは、本来越えてはいけない境界線を跳び越えてしまった。越える前はその境界上には大きな壁が立っているのだと思っていた。だけど越えてしまうと、じつはそこには何もなく、壁は自分が作り出した幻覚だったと知るのだ。(中略)境界線の向こう側に、目眩がしそうなほど甘美な世界があると知っていて、これから永遠に踏み越えずにいられるだろうか。境界線の上には壁などなく、ひょいと一跨ぎすればいいだけのことと知ってしまった今となっては、それは非現実的なほど不可能に思えた。

(引用:夜明けの街で P73/東野圭吾)

「境界線上には壁はなく、壁は自分が作り出した幻覚だった」
これは不倫に関する事だけではないな、と。
未知の事には過大評価してしまいがちだが、いざやってみると大したことなかったというのは往々にしてあるものだと思う。(この場合悪いことだが)




渡部の友人、新谷のセリフはことごとく説得力に溢れていて感心してしまった。

「謝るっていうのは、その時だけのことじゃないんだぞ。土下座は贖罪のスタートにすぎないんだ。で、それが終わる日は来ない。一生、謝罪の日が続くんだ。女房に頭は上がらず、家でも肩身の狭い思いをすることになる。どちらかが死ぬまでそれは続く」

(引用:夜明けの街で P129-130/東野圭吾)

「いいことを教えてやる。赤い糸なんてのは、二人で紡いでいくもんなんだ。別れずにどちらかの死を看取った場合のみ、それは完成する。赤い糸で結ばれたってことになる」

(引用:夜明けの街で P143/東野圭吾)


他にも真意をついているセリフが多い。不倫に理解がありすぎるようにも思ったが、それも納得で文庫本には、おまけとして20ページほどの新谷の話が載っている。



全体を通しての感想とすれば、15年前の殺人事件の結末も読者の予想を裏切るどんでん返しが隠されていたが、やはりこの作品で印象に残るのは、不倫を通した人間関係や心情だ。


渡部が泥沼にはまっていく様子はもちろんの事。ラストシーンでの渡部と妻とのやり取りは忘れられない。作品の中では触れられなかった妻の心情を表す描写が痛々しい。


家庭の安定を守るためにすべてを気づかないふり。愛人と会うであろう夫を何も言わずに見送りだすのはどんな気持ちなんだろう。


そして最後には誰も幸せになれない。
なかなかに重く教訓になる一冊だ。

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【オススメ記事】






不倫とは甘い地獄である『夜明けの街で』のあらすじ・紹介。【東野圭吾】

「謝るっていうのは、その時だけのことじゃないんだぞ。土下座は贖罪のスタートにすぎないんだ。で、それが終わる日は来ない。一生、謝罪の日が続くんだ。女房に頭は上がらず、家でも肩身の狭い思いをすることになる。どちらかが死ぬまでそれは続く」

(引用:夜明けの街で P129-130/東野圭吾)

今回は不倫を主軸にした東野圭吾のミステリー『夜明けの街で』を紹介する。


感想はコチラで書いてます。

『夜明けの街で』は2007年に刊行され、2011年には、岸谷五郎・深田恭子主演で映画化された作品である。


私は本書を読み終えてから知ったのだが、この作品は東野圭吾がサザンオールスターズの『LOVE AFFAIR~秘密のデート~』に感化されて書かれたらしい。


なるほど、確かにそう言われると歌い出しは「夜明けの街で~」からだし、歌詞の中には本書の場面を思わせる箇所がいくつも見受けられる。

目次

あらすじ

不倫する奴なんて馬鹿だと思っていた。
ところが僕はその台詞を自分に対して発しなければならなくなる―。建設会社に勤める渡部は、派遣社員の仲西秋葉と不倫の恋に墜ちた。2人の仲は急速に深まり、渡部は彼女が抱える複雑な事情を知ることになる。15年前、父親の愛人が殺される事件が起こり、秋葉はその容疑者とされているのだ。彼女は真犯人なのか?渡部の心は揺れ動く。まもなく事件は時効を迎えようとしていた…...。

(引用:夜明けの街で 裏表紙/東野圭吾)




見所

主人公目線

主人公である渡部は一部上場の会社に勤めいる。面倒見のよい妻と可愛らしい娘がいる、いわゆる普通の家族だ。
「不倫なんてするやつはバカ」と思っていた渡部が、思わぬ巡り会わせで不倫の泥沼にはまってしまう心理描写が恐いくらい丁寧に書かれている。


家族に不満があるわけでもない。むしろ恵まれていると言ってもいい。不倫に対しても批判的であった。そんな主人公が堕ちていく姿は妙にリアルで生々しい。


的確な表現

この記事冒頭の言葉は、主人公・渡部の友人である新谷の台詞である。


新谷の不倫に対しての考え、表現、例えがわかりやすく、思わず「なるほど、確かに」と納得してしまうほど説得力がある。


またそんな説得力のある新谷の話が、おまけとして番外編のような形で載っている。


ミステリー

不倫の事ばかりの紹介になってしまっていたが、そこは東野圭吾、もちろんミステリー特有のどんでん返しの展開も用意されているだろう!?


とは言うものの、やはり主軸は不倫による主人公の心理である事には変わりない。


終わりに

私個人の話をすると、このような不倫を主軸にした物語は初めて読んだ。何故、今までそのようなテーマの物語を読んでいなかったというと理由は単純明快、好きではないからだ。


最初では、ドラマや映画などで不倫や浮気をテーマにした作品がとても増えたと思う。また芸能人や政治家のそのようなニュースも毎日のように放送されている気がしてならない。


そんな他人の色恋沙汰を騒ぎ立てて何が楽しいのか理解に苦しむ所ではある。


この作品『夜明けの街で』を読もうと思ったきっかけは著者が東野圭吾だったからだ。彼のファンである以上、「嫌いなジャンルだから読まない」という選択肢はなかった。


まぁ結果としては食わず嫌いをせずに読んでよかったな、と。
人間、経験から学ばなければ分からないことも多い。だからといって学ぶために不倫をするほど馬鹿な事はない。そういった意味ではいい勉強になったと思う。


主人公の最初の立場、考え方は世の一般的男性のそれに近しいものがあると思うので、もし自分が主人公だったら...と思わず考えてしまうかもしれない。

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【オススメ記事】






『図書館の魔女』″キリヒト″の疑問・考察【高田大介】

″言葉″のファンタジー『図書館の魔女』
今回はその主要な登場人物である″キリヒト″について思ったことを書いていく。



がっつりネタバレには触れてしまうので未読の方はコチラをどうぞ。


『図書館の魔女』感想・考察・まとめなどはコチラ
【『図書館の魔女』の記事まとめ】

″キリヒト″の謎

キリヒトの正体は2巻の後半で明らかになり、その場面では度肝を抜かれた方も多いことだろう。


キリヒトからの証言、また図書館メンバーたちの推論も2巻の後半でなされているが、まだまだ″キリヒト″の謎は明らかになっていない部分が多い。(図書館の魔女1~4巻の時点では)



″キリヒト″について

先代の″キリヒト″が今のキリヒトの先生のようだが、″キリヒト″について現時点での情報をまとめる。

キリヒトからの証言

・″キリヒト″は一子相伝で名を譲り、各代に一人
・″キリヒト″になれるものが出る家系がある
・先生は浅黒い肌、背は高くなく、痩せがた、眼は黒、白髪でだいぶ抜けている。
・先生はキリヒトの父親

マツリカの十年前の記憶での″キリヒト″

・キリヒトに似ていない
・キリヒトの父親というには、歳がいき過ぎている
・キリヒト同様、足音がしない
・黒の杖を持っていた。

ハルカゼの疑問

マツリカは先代のキリヒトを思い返して、(中略)キリヒトは先代の老齢になってからの子だというのだろうか。たとえば必要があって血を残さなければならなかったとか......
だとすればこれがキリヒトし自身の言葉とは微妙に矛盾する。キリヒトは「先生」の様子を聞かれて「十年前ともなれば様子が違っているかもしれない」などと言っていた。若年のものならともかく、ある程度の高齢にあるものならば十年で「様子が違っ」たりするものだろうか。なにか不自然だ。なにか証言の間に微妙な齟齬がある。

(引用:図書館の魔女 第2巻 P417/高田大介)

マツリカとハルカゼの会話より

・ロワンが若いときにエレニカという場所で先代の″キリヒト″と出会う
・先代″キリヒト″は海峡向こうで武術と兵法の訓練係だった。
・ロワンが先代″キリヒト″をタイキに紹介し、一ノ谷にやってきた。
・十年前まで一ノ谷にいた。

鍛冶の里の親方

「里を出るんだってな」一番鎚の大男が聞く。
「ああ。戻ってくるって言ってたけど」黒石は鎚を振り上げて構えに入った。
「キリヒトはすぐには戻ってこない。戻ってきた例はない」
親方は炉の火から目を離すことなく、黒石を窘めるように呟いた。(中略)戻ってきた例は無いって、親爺は誰のことを言ってるんだろう?

(引用:図書館の魔女 第1巻 P22/高田大介)


考察

※以下ではわかりやすくするため、主人公であるキリヒトはアカリと呼んで進める。またアカリの先生は先代と呼んで進める。

鍛冶の里の親方は「キリヒトはすぐには戻ってこない。戻ってきた例はない」と言っているが、黒石が言うようにこの″キリヒト″は誰を指すのだろうか。


このキリヒトがアカリを指していることはないだろう。もしそうなら黒石は疑問を抱くことはないはずだ。


では、このキリヒトは先代を指すのだろうか。その様に仮定すると、親方は先代であるキリヒトとアカリであるキリヒトの両方を知っていることになる。


親方はキリヒトの名を譲ることを知っていると考えるのが妥当だろう。もしかしたらもう少し細かい事情も知っているのかもしれない。


しかし親方の言うキリヒトが先代であったとしても、疑問の残る点がある。
「キリヒトはすぐには戻ってこない。戻ってきた例はない」
この表現から察するに、先代は鍛冶の里を出てしばらくしてから(何ヵ月?何年?)帰って来たということになる。


では何故里をでて、しばらく戻れなかったのか?
一番妥当なのは『起こらなかった第三次同盟市戦争』の書簡を配っていたためではないだろうか。


しかしそうするとまた新たな疑問が出て来てしまう。
第1に何故、先代は鍛冶の里にいたのか。
第2にアカリはどうしたのか。


ハルカゼとマツリカの会話より先代は元々鍛冶の里にいたわけではなく、海峡向こうから約10年前に一ノ谷に来たことが伺える。一ノ谷に来た理由は当然、書簡を届けるため、それとタイキの護衛としてだろう。


そうすると第1の疑問、何故先代は鍛冶の里にいたのか?
一ノ谷から3日はかかる鍛冶の里。タイキのために一ノ谷に来た先代が、わざわざ鍛冶の里に行く理由が見当たらない。


唯一の理由があるとすればアカリの修行のためとは考えられるが、10年前ともなればアカリはまだ2~3歳くらい。


先代とアカリが同じ時期に鍛冶の里にやって来たとすると、第2の疑問、アカリはいったいどうしたのか?


書簡の配達のため、危険な海峡向こうへ一緒に渡ったとは考えにくい。しかし幼子のアカリを鍛冶の里に置いていくのも考えにくい。


堂々巡りである。
謎が謎を呼んでわけがわからなくなってくる。


キリヒトの父親にしては歳がいきすぎているというマツリカの言葉や、ハルカゼの気づいた矛盾を考えるとキリヒトはアカリと先代とは別にもう一人いた。
と考えても面白いかもしれない。


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『図書館の魔女』口のきけない魔女の物語はすべての読書家に捧げたい1冊だった【高田大介】

図書館にある書物は、すべてが互いに関連しあって一つの稠密な世界を形づくっている。〈中略〉図書館は人の知りうる世界の縮図なんだ。図書館に携わるものの驕りを込めて言わせてもらえば、図書館こそ世界なんだよ。

(引用:図書館の魔女1巻 94P/高田大介)


「いつまでもこの物語の世界に浸っていたい。読み終えてしまいたくない。」と思った作品は『図書館の魔女』が初めてだった。私の読書人生の中で一番好きな作品を少しで多くの人に知ってもらいたくてこの紹介を書いている。


文庫本では第1巻~第4巻で構成されており、合計のページは1800ページを越える長編作品だが、ページ数もさることながら内容が非常に濃密である。


今回はそんな『図書館の魔女』の魅力を重要なネタバレはなしで紹介していく。


『図書館の魔女』の感想・考察・まとめなどはコチラから
【『図書館の魔女』の記事まとめ】


目次

1.あらすじ

鍛冶の里に生まれ育った少年キリヒトは、王宮の命により、史上最古の図書館に暮らす「高い塔の魔女(ソルシエール)」マツリカに仕えることになる。古今の書物を繙き、数多の言語を操って策を巡らせるがゆえ、「魔女」と恐れられる彼女は、自分の声を持たないうら若き少女だった。超弩級異世界ファンタジー全四巻、ここに始まる!

(引用:図書館の魔女1巻 裏表紙/高田大介)



2.魅力

──剣でも魔法でもない。少女は言葉で世界を拓く。

【ボーイミーツガール】であり、【知的エンタメ】であり、【国家謀略戦争】であり、【大冒険】でもある。しかし何より『図書館の魔女』の最大の魅力は"言葉"がテーマのファンタジー作品だという点だ。


タイトルは『図書館の"魔女"』だが、魔術で物を浮かせたりだとか、大釜で怪しげな薬を作っていたりだとかそんなことはない。ファンタジーに出てくるような竜だとか、伝説の剣だとかもでてくるわけではない。


むしろファンタジーなのに非現実的要素を全否定するような場面すらある。


そんな世界観の中、図書館の魔女と呼ばれるマツリカは言葉を使って世界を拓いていく。いくつもの言語を扱い、難解な書物を繙き、言葉一つで世界を動かす。いわば”言葉の魔術師”と言えるのだが、そんなマツリカはなんとしゃべることができないのだ。このギャップに惹かれないことがあるだろうか、いやない。


手話を用いた意思伝達を主としているマツリカのもとにある日、少年・キリヒトが手話通訳として図書館に遣わされる。特別な境遇に生まれ、特別な能力をもった二人の出会いで物語は幕を開ける。


──登場人物

物語の登場人物はどのキャラクターも魅力的で個人的に好きなキャラクターばかりだ。ここでは先程も少し触れた主人公の『マツリカ』と『キリヒト』に絞って紹介する。


──図書館の魔女『マツリカ』
一ノ谷の図書館「高い塔」の主であるマツリカ。


年齢はまだ若く、物語の中でも「うら若き少女」と表現されていた。(年齢は12~14歳くらいだろうか?)
が、しかしその風貌とは裏腹に頭脳明晰で知識、観察力、推理力あらゆる能力がずば抜けている。わずかな手掛かりから真実を導きだす様は、凄腕の探偵を連想させられる。


しかし、そんな彼女は声を持たない。いくつもの言語を修得しているマツリカだが、口をきくことができないため手話によってコミュニケーションをとっている。


──鍛冶の里の少年『キリヒト』
マツリカの手話通訳として鍛冶の里からやってきたのがもう一人の主人公であるキリヒト。常人を上回る、察知能力と運動能力を持った少年で、歳はマツリカと同じくらいである。


読み書きはまったく出来ないが、その感覚の鋭さをかわれ、マツリカにつかえることになる。


特別な境遇に生まれ、特別な能力をもった二人。お互いの能力で欠点を補いながら、そして、なくてはならない存在へと変わっていく。その過程が、やりとりがたまらなく愛おしい。


──言葉

この物語で一番のポイントなのがやはり”言葉”についてだ。著者の高田大介氏が言語学者なこともあり、”言葉”の魔力と魅力が物語の中に如何なく詰め込まれている。


普段、誰しもが意識せずに使っている”言葉”。では、そもそも言葉とは一体何なのか…?文盲だったキリヒトにマツリカが「言葉とは何か」を説くシーンが物語に引き込まれる最初のポイントだと思う。


文字が言葉?それとも発せられるのが言葉?そんな身近な何気ない疑問から、言語についての専門的な領域まで作中では展開している。


しかし、そんな難しげで専門的な言語の知識が独り歩きするわけではなく物語の展開に関わってくるのだから面白い。まさに言語学とファンタジーが融合して新たな世界を作り出している。


物語の中で好きなシーンの一つを引用しておく。

もし話したいことがあるのなら、伝えたいことがあるのなら、きっと人はその言葉を手に入れる。語るべきことを持つことは、語る言葉を持つよりずっと初めにあって、それでいてずっと難しいことなのだ。

(引用:図書館の魔女〈3〉P45-46/高田大介)


物語の展開から目を離せないのはもちろんのこと、こんな素敵な表現も各所に散りばめられているんだからもう最高。


──二人だけに通じる言葉

先程のべたようにマツリカは話すことができないため手話を使うのだが、物語の中で”指話”という新しい手話が登場する。


マツリカにとって手話こそが意思伝達手段なのだが、どうしても表現に限界があると感じていた。そこで感覚が鋭いキリヒトにのみ伝わる“指話”という二人だけの言葉を作り出してしまう。


指話は文字どおり、指を使って話す言葉である。手を繋いだ状態で指だけを使って話せる言葉なので、はたから見るとただ手を繋いでいるだけのように見えて、実は秘密にやりとりができていたりする。


この指話の存在が物語を一気に面白くしてくれると言っても過言ではない。


二人だけの秘密の言葉という存在だけでも尊いが、その言葉が生まれる過程から活躍する様まで図書館の魔女を語るにおいて指話の存在は欠かせない。


地の分が多く、出てくる表現も難解なものが多く読み進めるのが大変だ、などの感想をよく目にするが、この指話が登場するシーンまで頑張って読んでみてもらいたい。そこからはもう止まらないはずだ。

最後に

『図書館の魔女』は現在、2部作刊行されており、今回紹介した『図書館の魔女〈1〜4完結〉』、そして続編の『図書館の魔女 烏の伝言〈上・下〉』がある。


そして3作目は発売日は未定だが(2022年現在)、タイトルだけは発表されていて『図書館の魔女 霆ける塔』である。


少しでも気になるようだったら是非とも『図書館の魔女』の世界に飛び込んでみてほしい。”言葉”がテーマなこともあり、本好きなら間違いなくハマる一冊だ。



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『ナミヤ雑貨店の奇蹟』映画と原作小説の違いをまとめる。【東野圭吾】

その手紙は時を越え
人と人とを繋ぎ
奇蹟を起こす


今回は東野圭吾の『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の映画版と原作小説の違いについてまとめた。

1.映画と原作の相違点
2.原作にはないアレンジ

以上の2点についてしぼってまとめているので参考になれば幸いだ。



※ネタバレありなので、ネタバレNGの方はこちらをどうぞ。
【小説紹介】

【映画紹介】


目次

1.映画と原作の相違点

映画でカットされた部分

まずは原作にはあるが映画ではカットされている部分についてだが大きくカットされている部分は2箇所ある。それが、第一章 『回答は牛乳箱に』第四章 『黙祷はビートルズで』だ。


第一章 『回答は牛乳箱に』

原作ではナミヤ雑貨店に忍び込んだ3人に最初に届く手紙は『月のうさぎ』からの相談だが、これは丸ごとカットされている。


第四章 『黙祷はビートルズで』

第一章と同じくこの章の『ポール・レノン』からの相談も丸ごとカットされている。




原作では
第一章 『回答は牛乳箱に』
第二章 『夜明けにハーモニカを』
第三章 『シビックで朝まで』
第四章 『黙祷はビートルズで』
第五章 『空の上か祈りを』
の一~五章で構成されているが、先程説明した通り、それのうち2章分が、ほぼ丸ごと抜けている。


それにともない残りの3章分の内容も、抜けた2章との関わりがある部分がカットされ、若干内容が薄くなっている感は否めない。


詳しく挙げていく
第五章 『空の上から祈りを』 より
この章では『迷える子犬』こと武藤晴美から相談を受ける。


何故『迷える子犬』というペンネームになったのか?また彼女が立ち上げた社名が何故『リトル・ドッグ』なのか?その疑問は第四章『黙祷はビートルズで』の相談者『ポール・レノン』こと藤川博との話で解決できる。


藤川博から丸光園時代に貰った手彫りの犬をお守り代わりにずっと持っていたことが『迷える子犬 』の名前に繋がっているのだが、その辺の詳細は映画では語られていない。


また、武藤晴美がナミヤ雑貨店を知った経緯、そして信頼するにあたった理由は第一章の相談者『月のうさぎ』こと北沢静子との関わりで明らかになるのだが、北沢静子は映画では登場しないので、その辺の詳細もカットされている。

時間の流れ

原作では、ナミヤ雑貨店の店内と外とでは時間の流れが違く、店内では外と比べてとてもゆっくりと時間が流れているとあったが、映画ではこの設定は触れられていなかった。



2.原作にはないアレンジ

では逆に原作にはなかった映画版ならではのアレンジは何があったのか?

悪事を働いた三人組について

強盗をしてナミヤ雑貨店に逃げ込んだ三人組、敦也・翔太・幸平

映画版では序盤、ナミヤ雑貨店の雰囲気に違和感を覚え、店をでて商店街を走り抜けるシーンがあった。(原作では、ナミヤ雑貨店から少し出るくらいで、三人が商店街へは行かない)


そこでいくら走っても同じ場所をループしたり、バスをすり抜けたり、いつの間にかにナミヤ雑貨店の前にワープしていたりと、いかにも不思議な世界に迷い混んだしまったような演出があった。


そして商店街から寂れた様子はなく、過去に飛んでいるような印象を受けた。


また、映画では原作以上にこの三人に焦点を当てて心情や葛藤が描かれていた。
現状を変えたいと思ってはいるが、心の底ではそんなことは無理だという感情が支配してしまっている三人。


敦也と他二人の意見が対立する場面が原作にもあるが、映画では敦也が翔太を殴ってしまう場面もあった。


さらに、原作では三人がナミヤ雑貨店の店主『波矢雄治』から白紙の手紙の返事を読んで終わるのだが、映画では三人のその後も少し描かれていて、武藤晴美を助けに行くシーンと、三人が更正して働いているシーンが加わっていた。


未来からの手紙

ナミヤ雑貨店店主・波矢雄治が未来からの手紙を受けとるシーン。原作では息子の波矢貴之と内容を見る場面。映画では貴之の代わりに、過去に波矢雄治と駆け落ちをしようとしていた、丸光園の初代園長である明子が登場する。


しかしすでに亡くなっている明子、幽霊だったのか、雄治が見た幻覚だったのかは定かではない。




最後に

映画ではある時間の制約があるため、原作である小説や漫画の良さをすべて伝える事は難しい。


しかしそれを補うのが原作にはないアレンジだったり、小説や漫画には出せない音や映像による演出だ。


原作を知ってなお映画を見たいと思うのは、余程その原作が好きというのもある。しかし私がそれ以上に思うのは、小説の場合『文字を読んで自分のイメージしていた世界と実際に映像化された世界との答え合わせがしたい』という感情が大きいのだと思う。


誤解がないように言っておきたいのだが、今回映画版に対して厳しめの意見を述べてしまっているが映画が決してつまらなかった訳ではない。むしろ原作を知っていてなお、面白かったと思えるくらいだ。


抜けた2章を敦也たち三人組に焦点を当てて補ったり、他の3章の内容を際立っていたと思う。


特に『夜明けにハーモニカを』は映画のほうが好きだ。もう涙止まらなかった。


『ナミヤ雑貨店の奇蹟』は小説、映画共にそれぞれの良さがある素晴らしい作品だった。

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