FGかふぇ

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【ネタバレあり】『魔力の胎動』の感想・解説を好き勝手に語る【東野圭吾】



不幸な偶然の重なり──そんな簡単な言葉で片付けていいものだろうか。
しかしそれ以外には考えられない。人為的なものが関わる余地などゼロだ。この世に魔力とでもいうべきものが存在しないかぎりは──。

(引用:魔力の胎動/東野圭吾)





『ラプラスの魔女』の前日譚である『魔力の胎動』の感想を語っていく。未読の方はコチラをどうぞ。
─『魔力の胎動』紹介─






以下『ラプラスの魔女・魔力の胎動』双方のネタバレありなのでご注意を。





感想・解説

『ラプラスの魔女』の時系列より完全に前の物語だと思っていたので、タケオが登場した時点で「あれ...この人は...!?」と驚いた。


時系列を整理すると
『魔力の胎動』でタケオは三章から登場する。タケオはボディーガードという名目で円華の外出にはいつも付き添っているが、二章までは円華と供に行動していない。


つまり二章と三章の間で『ラプラスの魔女』がスタートしている。


そしてタケオが円華の護衛についてから七ヶ月ほどたってから、円華は雪の日にタケオたちの元から逃亡する。


「七ヶ月」というのは『ラプラスの魔女』本編では省略されているが、その「七ヶ月」の間にあった出来事が『魔力の胎動』の三章、四章にあたる。


そして青江視点でいうと『魔力の胎動』五章の終了時点が『ラプラスの魔女』のスタートに繋がっている。


ということで完全に前の話という訳ではなく双方が交差している物語となっていて、『ラプラスの魔女』を読んだ方なら、より楽しめる作品だと思う。


というより『ラプラスの魔女』を読んだ方でないと不完全燃焼感が強いだろう。五章の終わり方なんて特に。


予想外

三章までは、普通に円華が能力で人助けしつつ気流・乱流について理解を深めていくというもの。


このあたりが『ラプラスの魔女』に繋がってるのかと軽く思っていたが四章から人助けの物語だったのが一変衝撃の連続だった。



ナユタの正体についてもビックリだったし、なにより「甘粕才生」「凍える唇」「水城義郎」のワードが立て続けに登場して「こうやって繋がるのか!やられた!!」と思わずにはいられなかった。


水城義郎は『ラプラスの魔女』では財産目当てであっさりと殺されてしまい、哀れな被害者だが『魔力の胎動』を読むと、因果応報だったんだなと思い知らされた。



最後に

『ラプラスの魔女』ありきの物語であり、欠けているところ...ではないが、歯痒いところを補った作品というのが『魔力の胎動』の印象。


一章のスキージャンプの話も、二章のナックルボールの話も東野圭吾らしい読み進めやすい理系チックな話。感動を誘ういい話だが、後半のインパクトが強すぎた。

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『魔力の胎動』は前作『ラプラスの魔女』を再読したくなる一冊だった【東野圭吾】



自然現象を見事に言い当てる、彼女の不思議な“力”はいったい何なのか――。彼女によって、悩める人たちが救われて行く……。

(引用:「魔力の胎動」 東野 圭吾[文芸書] - KADOKAWA)


2018年3月23日に発売した東野圭吾の最新作『魔力の胎動』を紹介していく。

感想はコチラ
【『魔力の胎動』感想】


目次

1.はじめに

『魔力の胎動』は2018年2月に文庫化され、5月に映画化を控えている『ラプラスの魔女』の前日譚となっている。


『ラプラスの魔女』を読んだことがない方は先にそちらを読むことを強くオススメする。


【『ラプラスの魔女』紹介】

【『ラプラスの魔女』感想】

2.あらすじ

成績不振に苦しむスポーツ選手、息子が植物状態になった水難事故から立ち直れない父親、同性愛者への偏見に悩むミュージシャン。
彼等の悩みを知る鍼灸師・工藤ナユタの前に、物理現象を予測する力を持つ不思議な娘・円華が現れる。
挫けかけた人々は彼女の力と助言によって光を取り戻せるか?円華の献身に秘められた本当の目的と、切実な祈りとは。
規格外の衝撃ミステリ『ラプラスの魔女』とつながる、あたたかな希望と共感の物語。

(引用:「魔力の胎動」 東野 圭吾[角川文庫] - KADOKAWA)

3.紹介

冒頭にも述べたが『ラプラスの魔女』の前日譚になっている本作『魔力の胎動』


私は『ラプラスの魔女』は好きな作品なのだが、ネットで評判を見ると否定的な意見が数多く見られる。


そのような方には『魔力の胎動』はあまりオススメできない。これを読んだからといって『ラプラスの魔女』に対する考え方が変わるかといったら、そんなことはないだろう。


逆に『ラプラスの魔女』が好きな方には是非読んでもらいたい一冊。



『ラプラスの魔女』と交差してる部分もあるので、それらの伏線も気にしながら読むと、よりいっそう楽しめるはずだ。



そして読了後は前作を読み返したくなるだろう。



主な登場人物


羽原 円華(ウハラ マドカ)
前作にも登場したラプラスの魔女

工藤 ナユタ
患者の元へ各地を飛び回る鍼灸師(シンキュウシ)
その腕をかわれトップアスリートの患者も多い。

筒井 利之(ツツイ トシユキ)
大学准教授。専門は流体工学


青江 修介(アオエ シュウスケ)
前作にも登場した大学教授。専門は地球科学


4.ストーリー

第一章:あの風に向かって翔べ
第二章:この手で魔球を
第三章:その流れの行方は
第四章:どの道で迷っていようとも
第五章:魔力の胎動


一~四章は円華がラプラスの魔女の力を使って悩める人たちを救っていく物語。


そして五章は青江が過去に出会った事件で、『ラプラスの魔女』の事件に呼ばれるきっかけとなる物語。




5.終わりに

『魔力の胎動』は前作の復讐劇とはうってかわって心温まるようなヒューマンミステリーといった印象を受けた...が、それだけで終わらないのが東野圭吾。



所々に見え隠れする前作の影に、「あれ?これって確か...」と思うところがあるはずだ。



2018月5月4日に映画が公開される『ラプラスの魔女』を控え、この作品で気持ちを昂らせておくのも一興ではないだろうか。


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『図書館の魔女』ニザマについて&ミツクビ・薬師〈パルマキー〉の疑問・考察【高田大介】


『図書館の魔女』でマツリカたちにとって宿敵であるニザマの宦官中常侍ミツクビ


今回はミツクビと薬師〈パルマキー〉の考察、またモチーフとなった存在に迫る。それに伴い、ニザマについての解説・考察が必要と判断したため、前半はニザマについて軽く説明し、後半はミツクビと薬師について考察などを述べていく。

目次

1.ニザマ

まずはニザマについて


物語の中ではカタカナ表記で「ニザマ」と書かれているが、物語序盤では漢字で「二津間」と紹介されており、「二つの岬に囲まれた入り江」の意。


さて、この「ニザマ」だが文化や言語に注目すると、モデルとしては中国の影響を大きく受けていると考えられる。


例を挙げると、宦官・避諱・漢文などである。

──宦官(かんがん)

宦官は中国の文化でもある。

東洋諸国で宮廷や貴族の後宮に仕えた、去勢された男子。中国・オスマン帝国・ムガル帝国などに多かった。王や後宮に近接しているため勢力を得やすく、政治に種々の影響を及ぼした。宦者(かんじゃ)。

(引用:宦官とは - コトバンク)


──避諱(ひき)

マツリカが見破った避諱も中国の文化

中国を中心とする漢字文化圏にかつて見られた、皇帝など目上の人物の本名(諱)を直接口にしたり、書いたりすることをタブー視する風習のこと。

(引用:「避諱(ひき)」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書)


などなど中国の文化を色濃く反映している。

2.ミツクビ

リアルな世界観にある『図書館の魔女』においてミツクビはかなり異質な存在である。


川でマツリカたちを襲撃した〈オルクス〉や人形の館での蚩尤〈シユウ〉(こいつも中国に関連があり、中国神話に登場)も異質ではあるが、珍しい種族として納得はできる。


しかし、ミツクビは人であるにも関わらず、最大の特長である三つの首。これほど特異である人は『図書館の魔女』世界では唯一と言っていいのではないだろうか。まさに魔術師。

(鬼を秒殺した彼も十分異質だが今回は置いておく)

──特長

外交万事にわたる鋭い判断力と交渉能力、時には政敵の弱みを見逃さぬ非情さ、また何十年たってもいっこうに衰えを見せぬその容貌──同盟市諸侯の中には彼を魔術師といって敬遠し、〈略〉

(引用:図書館の魔1巻 P167/高田大介)


ミツクビは何歳なのでしょう?私はニザマ帝よりも上のイメージなのですが。



さて、ミツクビの最大の特長・謎である三つの首について。

ミツクビの左の影は自分の眼窩に指を突き立てんばかりにきつく両の手をまなこに押し当て、小刻みに痙攣する首を左右に回していた。〈中略〉右に立つ影の方は反対に、顔の左右に両手をぴたりと押し当てて、すべての音を拒絶しているような仕草である。

(引用:図書館の魔女 1巻 P186-187/高田大介)

この場面を読んでいて日光東照宮の三猿(見猿・聞か猿・言わ猿)を思い浮かべたのはきっと私だけではないはず。しかし、この三猿ではなく、ミツクビの元と思われる存在が別にあった。


今まで散々ニザマと中国の関連を述べたが、ミツクビの存在も中国の伝説に由来するものだと考えられる。そのなかで興味深いものがあった。

──三首国民(サン・ショウ・クオ・ヤン)

中国の伝説と伝承に登場する怪奇な部族。人間型の体に3つの頭を持つとされる『山海経』に書かれており、中世ヨーロッパの動物寓話集と同じく、旅行者の話が大げさに伝わったものである。

(引用:世界の怪物・神獣事典 P207/キャロル・ローズ)


文字通りの三首の伝説上の生き物だ。
『図書館の魔女』におけるミツクビの描写とは若干異なるが、この存在『三首国民』がミツクビのルーツではないだろうか。


ちなみにネットでは『三首人』で調べれば出てくる。

3.薬師〈パルマキー〉

薬師〈パルマキー〉は、『図書館の魔女』の1巻でミツクビと共に登場した人物だ。

──特長

この人物については初登場時に簡単な説明がなされている。

 彼は海峡地帯東岸に人の言うメディーケー、ニザマを含む北西部島嶼部で広く知られた通り名で「薬師〈パルマキー〉」といった。海峡地域の多くで、薬を指す言葉と、毒を指す言葉が同じであったことを指摘すれば、彼の生業の一端は誰にも明らかになろうかと思う。
 また彼の通り名が、ミツクビのそれと同じく個人の名前としてはいささか不可解な特徴を持っていたことにも触れておこう。ミツクビはその名に三という数詞を含んでいることからも予想されることであるが、薬師の名前にも一人の人間を指すには不自然な部分がある──彼らの呼び名はいずれも複数形の語尾をもっている。

(引用:図書館の魔女1巻 P173-174/高田大介)


…と、薬師に関してはかなり気になる説明がなされており、今後の登場に期待される。とくに目につくのが『薬師の名前にも一人の人間を指すには不自然な部分がある──彼らの呼び名はいずれも複数形の語尾をもっている』という記述だ。つまり薬師もミツクビと同じように特殊な特徴があると考えられる。


そしてもう一つ中国の伝説上の生き物で面白いものがあった。ミツクビは一つの身体に三つの頭だが、三つの身体に一つの頭をもつという『三身国民(サン・シェン・クオ・ヤン)』という伝説もあるようだ。

──三身国民(サン・シェン・クオ・ヤン)

ちなみにネットでは『三身人』と調べれば出てくる。

古代中国の地理書『山海経』の海外西経によると、三身国は貫匈国の北、一臂国・奇肱国の南にあり、三身人は人間の姿をしているが1つの頭の下に体が3つあるという。

(引用:三身人 - 三身人の概要 - わかりやすく解説 Weblio辞書)



もう一つ、薬師が初登場した時に、外見の描写がされていたので引用する。

 ミツクビの後ろに立った者のうち、ひときわ目を引いたのは、いっとう小柄なもう一人の人物である。この人物はミツクビと同様、つやのある黒繻子の長衣に身を隠している。体躯は大人の男としては著しく小さく、ミツクビの半分ぐらいだろうか、キリヒトやマツリカともさしてかわらぬ背の丈。共布の大きな縁の広い帽子に目を隠しているのは、古い絵写本の魔術師の戯画さながらである。加えて首元にも黒繻子の襟巻きを幾重にも巻き、首ばかりか口元まで覆っている。

(引用:図書館の魔女 1巻P172/高田大介)


ミツクビのインパクトが大きかったため印象にあまり残っていなかったが、こう見ると薬師もたいがい特殊な人物なのが分かる。


なぜ、背が子供ほどしかないのか?
なぜ、身を衣服で完全に覆っているのか?


疑問は次々と浮かんでくるが、薬師がもし先程述べたようや『三身人』のような特殊な外見をしているために身を晒していないのだとすると……面白くはないだろうか?

4.最後に

第一作『図書館の魔女』では、無惨にも退散するしかなくなったミツクビ。


しかし第二作『図書館の魔女 烏の伝言』では、裏切り者を見つけ更に刺客を送り込むことまでしている。


状況は整ってきているということだろうか?遂に第三作『霆ける塔』ではマツリカたちとの直接対決になるのかもしれない。


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【オススメ記事】






月面版ミッション・インポッシブル『アルテミス』を紹介する【アンディ・ウィアー】


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密輸ガール・「ジャズ」が月面都市で大暴れ!?
『アルテミス』を紹介する。
感想はコチラ


あらすじ

人類の初の月面都市アルテミス───
直径500メートルのスペースに建造された5つのドームに2000人の住民が生活するこの都市で合法/非合法の品物を運ぶポーターとして暮らす女性ジャズ・バシャラは、大物実業家のトロンドから謎の仕事を受ける。それは都市の未来を左右する陰謀へと繋がっていた‥....。『火星の人』で極限状態のサバイバルを描いた作者が、舞台を月に移してハリウッド映画さながらの展開で描く第二作

(引用:アルテミス〈上〉裏表紙/アンディ・ウィアー)

月面都市『アルテミス』

表紙には月が描かれ、さらに「4つの大きな丸」と「1つの小さい丸」が線で繋がっているのがわかる。


これこそがタイトルになっている月面都市『アルテミス』を表している。


街全体は直径500メートル。大小5つの球体は″バブル″と呼ばれ、球体の半分は月面に顔を出し、もう半分は地下に埋まった構造だ。


そして表紙でいう球体を繋ぐ線の部分は、各バブルを行き来するためのトンネルとなっている。



ジャズ

ジャスミン=バシャラ、通称ジャズ。この物語の主人公で、ポーター(現代の配達人)として働いている。


何があってもへこたれない性格、どんな場面でも見せるユーモアなセンス、そして有能すぎるほどの技術と知恵と思考力。


彼女の軽快な語りで物語は進行していく。


ジャズはポーターの正式な仕事とは別に地球からの密輸品を取り扱っている。ある日、密輸相手のお得意様「トロンド」から謎の仕事を依頼されるが、成功報酬はジャズの月収のおよそ100倍


二つ返事で仕事を受けたジャズに待ち受けているのは...

不可能と思われるミッション

トロンドから依頼されたミッションは、まさに「不可能」と言っていいほど無謀なものだった。


そのミッションにジャズは己の頭脳を最大限に活かして挑む。しかしそのミッションさえも物語の序章にすぎず......



リアル

地球の1/6の重力下にある月、その重力だと私たちの生活とはどう違うのか?また真空中ではどのような問題があるのか?


それら月ならではの事情がジャズの軽快な語り口調で述べられていて、とてもサクサクと頭に入ってくる。


そしてなにより月面都市アルテミスの設定がなによりリアル。解説を読んでいて納得した。


そもそも何故、月面に都市を建設する必要があるのか?もっともな疑問だ。


わざわざ月面都市を作ったのは何故か?そのメリットはなんなのか?


そんな裏事情も推測しながら読むとより楽しめるかもしれない。


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2018年5月4日公開『ラプラスの魔女』の映画パンフレットをGETした【東野圭吾】

凶器は知性×動機は愛×殺人を証明せよ

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【表】

『凶器は知性』ですか...心魅かれるキャッチだこと...。



先日、映画館で東野圭吾の『祈りの幕が降りる時』を観てきました。その時に2018年5月4日に映画公開される『ラプラスの魔女』のパンフレットが置いてあったので頂いてきました。


─『ラプラスの魔女』紹介─

─映画の感想─

─原作と映画の違い─


主演が発表されたときには、櫻井翔さん、広瀬すずさん、福士蒼汰さん...と豪華なメンバーだなぁと思いました。


ただ、櫻井翔演じる地球学者の青江修介はもう少し歳がいっているイメージだったので、正直違和感があるなぁと思いきや...


ありですね(決してディスってる訳ではない)



見にくいですがしっかり煙があるのも確認できます。細かいですね。原作を読んだ方は察するものがあることでしょう。





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【裏】

裏面は『ラプラスの悪魔』についてと、出演者たち!

ラプラスの悪魔

19世紀、フランスの天才数学者
ピエール=シモン・ラプラスは言った。
「ある瞬間の全物質のエネルギーを知り、計算できる知性が存在するならば、その知性には未来が全て見えているはずだ。」
─未來に起こる出来事をすべて予知できる者。
神にも等しき存在を、
のちの学者は[ラプラスの悪魔]と読んだ。

登場人物

①青江 修介/櫻井 翔
地球科学の専門家、大学教授。雪山で起きた硫化水素中毒死の事故調査を警察から依頼される。発生場所を調べ、事件性なしと判断するが......。

②羽原 円華/広瀬すず
事件の発生場所に現れて、そこで起こる自然現象を言い当てる、謎の女。甘粕謙人を探しており、青江に協力を頼むのだが......。

③甘粕 謙人/福士蒼汰
行方不明の男。一家硫化水素中毒死事件の生存者。母と妹は中毒死していたが、昏睡状態で発見される。奇跡的に回復を遂げた後、失踪。

④奥西 哲子/志田未来
青江の助手。無愛想でつっけんどんだが、陰では、お人好しで天然の青江をいつも心配している。

⑤水城 千佐都/佐藤江梨子
第一の事故で死亡した映像プロデューサー・水城義郎の妻。元銀座ホステスで、財産目当てと噂されていた。

⑥桐宮 玲/TAO
円華を追跡する女。円華の能力の秘密を知る数少ない人間のひとり。武尾の依頼主。

⑦中岡 祐二/玉木 宏
事件の担当刑事。硫化水素中毒死は事故ではなく、遺産目当ての殺人ではないかと疑っている。

⑧武尾 徹/高嶋政伸
元警察官で、いまは要人の身辺警護=ボディーガードを請け負っている。桐宮の依頼で円華を追跡している。

⑨羽原 美奈/檀 れい
円華の母。北海道で発生した巨大ハリケーンに巻き込まれ死亡。

⑩羽原 全太郎/リリー・フランキー
脳外科医。脳神経細胞再生の第一人者。昏睡状態で搬送された甘粕謙人の担当医として治療を行っていた。円華の父。

⑪甘粕 才生/豊川悦司
かつて天才と謳われた映画監督。留守中に硫化水素事故で妻と娘が死亡。そのショックから立ち直れず、表舞台から姿を消した。謙人の父。


いやはや他の出演者さんたちも豪華だこと...。



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【中身】

10の謎

1.事件現場の地質学的共通点

2.警察の捜査方針

3.甘粕家の事故の真相

4.行方不明の青年

5.追跡者の正体

6.被害者2人のつながり

7.未亡人の秘密

8.記録を消された外科手術

9.なぜ未来を予知できたのか

10.自然現象で人が殺せるか

10個も謎が提示されていたんですね...小説を読んでいるときは全然気にしていませんでした。


だいたいどこのシーンか分かります。青江と円華が寄り添ってるこのシーンは...いや、これ以上は止めておきましょう。



おわりに

映画、そして文庫本も2018年2月24日に発売され話題沸騰中の『ラプラスの魔女』


是非とも映画館に足を運んでみては?
また、この機会に小説を読んでみては?


私は5月4日に必ず行こうと思います。GWの楽しみが一つ増えました。



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『アルテミス』の感想を好き勝手に語る【アンディ・ウィアー】

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2016年に日本で映画化された『オデッセイ』(小説名は『火星の人』)は火星でのサバイバルを描いたもので、火星版DASHとも呼ばれ話題になった。



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その作者アンディ・ウィアーが放った第二作、月面都市を舞台にした『アルテミス』の感想を語っていく。

未読の方はコチラをどうぞ

感想

アメリカンジョークのきいた軽いノリに、皮肉の効いた表現が癖になる。しかし描いているものは命を懸けた「月面ミッションインポッシブル」


最初に月面都市「アルテミス」そして「アポロ11号 ビジターセンター」などの地図が載っている。


それを見るだけで、「この球体でどんなことが起きるのだろう?」と想像が掻き立てられる。


そして、いきなりジャズのスーツトラブルから始まり、一気に物語に引き込まれた。

ジャスミン=バシャラ

彼女のキャラが最高に好き。何があってもへこたれない性格、有能すぎるほどの技術と知恵と頭の回転、どんな場面でも見せるユーモアなセンス、そして普段の彼女からは想像できない涙...。


魅力的な彼女に振り回される物語が魅力的でないことがあるだろうか、いやない。


月面での派手なアクションが目をひくのはもちろんだが、それ以外の場面でも彼女の有能さが光っている。


私が印象に残ってるシーンの1つが、(上)巻のラスト~(下)巻で描かれている「ジン・チュウ」が泊まっているホテルを訪れるシーン。


泊まっているホテルを予想する思考力、部屋番号を知る技術と度胸、そしてZAFOの箱を開ける記憶力と推理力は一流の探偵を思わせた。

陰謀

まさにあらすじに恥じない陰謀への巻き込まれっぷりだった。


収穫機の破壊の時点で十分「危ない所に足を突っ込んでるなぁ」と思っていたのに、そこからは歯車が回りだしたように怒濤の展開。


「製錬所の破壊」「クロロホルムからの救助」とまさに不可能と思われるミッションの連続にワクワクが止まらない。後半はノンストップで読み進めてしまった。


親子愛

インパクトのあるミッションに隠れているが、ジャズと父・アマーの親子愛もこの作品の魅力の一つだと思う。


職人気質の父親と、父親とは正反対の性格のジャズ


ジャズが100万スラグの報酬に飛び付いたのは自分の快適な生活のためという自己中心的な事だと思っていたが(もちろんそれもあるだろうが)父親の工房のためだったとは...。


特に印象に残ってる場面

父親が自分をどれだけ愛しているか知るチャンスに恵まれる人はあまりいないと思う。でもわたしはそのチャンスに恵まれた。ふつうなら四五分で終える仕事に、父さんは三時間半かけた。父さんは、ほかのなによりもわたしのことを三三六%増しで愛しているということだ。
わかってよかった。

(引用:アルテミス〈下〉P125/アンディ・ウィアー)


「男なら背中で語れ」ではないが「職人なら仕事で語れ」といった感じ。言葉ではなく自らの積み重ねてきた仕事で娘に想いを伝える父親...カッコいい!


ジャズのユーモアも相変わらず。


おわりに

『火星の人(オデッセイ)』と同様、『アルテミス』も20世紀フォックスで映画化が決定している。


また、アルテミスを舞台にした続編の構想もあるということで今後とも月面都市『アルテミス』から目が離せない。


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『黒猫の小夜曲(セレナーデ)』の感想を好き勝手に語る【知念実希人】



【小夜曲】さよきょく:セレナーデ
・オペラ風の軽い楽曲。
・恋愛の歌曲。



知念実希人「死神」シリーズ第2段、『黒猫の小夜曲』の感想を語っていく。ネタバレは考慮していないので、未読の方はご注意を。





感想

まず表紙に目を奪われました。キレイの一言。表紙に魅かれて買ったと言っても過言ではない。そんな魅力的な表紙に負けない心暖まる作品でした。

クロ

クロはちょっとまぬけだが憎めない存在、というのが第一印象。人間とその魂への考え方は合理的で、あくまで自分の仕事が最優先。


そんな仕事優先主義の考えが、今までの『案内人』としての立場ではなく『黒猫』として人に触れることで徐々に心境・考え方が変化していく様子が印象的でした。


人間は『我が主様』の元へ運ぶ「荷物」としか認識していなかったクロが、人間との関わりを経て考えを改めていく。


人間目線でなく、死神目線だからこそ人間の愚かさや尊さ、またそもそもの、人生とは何か?人間とは何なのか?ということをクロを通して読者に気付かせ、考えさせられる。


特に印象に残っているのは

『種の進化はあくまで結果論だからね。君たち個人個人がすべきことは、与えられた時間を必死に悔いなく生きることなんだと思うよ。そして次のジェネレーションの誰かが、その想いを繋いでいってくれる。そうなれば、その人生にはきっと意味があったことになるんだろうね』

(引用:黒猫の小夜曲 P260/知念実希人)

人間は最初からなにかのために存在しているわけではない。与えられた短い一生の中で、自らの存在理由を必死に探していかなければならないのだ。

(引用:黒猫のセレナーデ P274/知念実希人)


連なる陰謀

一章ごとに「未練」を解決していくが、関係ないと思われていた一つひとつの事件が最後に繋がっていく時には、ハラハラと共にもう読む手が止まらなかった。


最初は魂(死者)と会話が出来るということで、「それでミステリーとして成立させられるのか!?」と思いながら読んでいたましたが...。


しかし、設定がよく練られている甲斐あってか、そんな心配は無用で最後まで違和感なく読むことができました。


最後まで2転3転と飽きさせない展開。
ちなみに私は最後まで犯人が誰なのか、わかりませんでした...。


最後に

第一作、レオが主人公の『優しい死神の飼い方』から読んでおけばよかったなと少し後悔しています。


もちろん『黒猫の小夜曲』からでも楽しめましたが、前作からのキャラクターが活躍している所を堪能するには、前作を知ってるのが大前提ですからね。


しかし、それを差し引いても読了後には心がじんわり暖まる満足いく作品でした。


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