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『六人の超音波科学者』の感想を好き勝手に語る【森博嗣】

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未来は過去を映す鏡だ。
心配する者はいつか後悔するだろう。
自分が生まれ変わるなんて信じている奴にかぎって、ちっとも死なない。

(引用:六人の超音波科学者 P27/森博嗣)

森博嗣のVシリーズ第7弾『6人の超音波科学者』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。


目次

感想

橋を落とした理由、首と手が切断してなくなっていた理由、壁に残された暗号、消えた死体、そして犯人……。色々推理しながら読み進めてはいたものの、今回も正しい答えに行き着くことはできないまま、紅子の理路整然の推理を目の当たりにして読了。紅子がキレイに推理をあかしてくれたのでスッキリとした読了感だった。


練無が事件に巻き込まれ、殺される寸前にまでなってしまったことに対して紅子が激昂した場面が印象深かった。普段はクールな印象が強いけど、叫ぶほどに怒りをあらわにする熱い一面が垣間見えた。まぁその怒った理由も単に『友達である練無が襲われたから』ではないあたりが紅子らしいとえばらしいけど。

「小鳥遊君が私の友達だから言ってるのではありません。そうではない。何の関係もない、何も知らない人の首を絞めたのですよ。モルモットでも、ネズミでもない。どうです?関係のない者を殺すことは、私は絶対に許さない」

(引用:六人の超音波科学者 P344)




──紅子と祖父江

細かい人間関係の様子が相変わらず面白い。保呂草の紅子と祖父江の対応の違いで、無響室での救出場面の扱いの差は笑ってしまった。もちろん祖父江の自業自得である。


紅子と祖父江の険悪な関係は前から描かれているが、その中でも今回は群を抜いてバッチバチ。

「ちょっと待って」七夏は紅子の前に立った。「どういうことなんですか?私にわかるように説明して下さい。瀬在丸さん、博士たちと何か取引でもなさったのですか?そんなふうに見えますよ」
「ごめんなさいね、申し訳ないですけれど、私の前から、どいていただけないかしら?」紅子は微笑んで言う。「今、お話ししますわ。ゆっくりと落ち着いていらしてね。理解するのに慎重な方にも、順を追って飲み込めるように、噛み砕いてご説明いたしますから、どうかこの場は、もうしばらく私に任せていただけないでしょうか?それとも、何かのパフォーマンスで強気に出てらっしゃるの?通路に警察の方々がいらっしゃいますよ。ご自重なさった方がよろしいんじゃなくて?」
「あの……」七夏は顔を真っ赤にして口を開きかけた。しかし、林を一瞬だけ見て、溜息をつき、黙って小さく頷きながら後ろに下がった。
「ありがとう」紅子が小首を傾げる。「感情をコントロールできる理性をお持ちだったのね。

(引用:六人の超音波科学者 P376-377)


これ言葉遣いがいいから皮肉で済んでるけど、言ってることは「今からお前みたいな馬鹿にでもわかるようにきちんと説明文するから黙って聞いてろ、身内に恥晒してるのにも気づいてないの?」って事だからなぁ……紅子容赦ない。


祖父江は争うには相手が悪すぎなんだよ……哀れだ。読者の大半は、紅子派だろうからなんとも思わないだろうが。むしろ爽快である。


P350-351で描かれる、林との電話のやりとりも面白かったので引用したかったが長いので割愛。

──表紙に隠されているもの

Vシリーズの表紙は抽象的でカラフルなのが特徴としてあげられる。なかには意図がわからないものもあるが『六人の超音波科学者』の表紙に隠されているものは、比較的わかりやすい。

中央に正三角形が二つ、上向きと下向きで重なっている。よく見かける幾何学模様だ。そう、占星術だったか、悪魔を呼ぶ魔法陣だったか……。

(引用:六人の超音波科学者 P56)


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──印象に残ったセリフ

人間というのは、多少は不便な方法であっても打つ手がある場合にはそれを使う。それが使えることで、それ以外の方法を考えられなくなってしまう

(引用:六人の超音波科学者 P395)

共感しかわかない。
改善したほうが良いことはわかっているのに、それができない。


実に、偶然と必然は、紙一重といわねばならない。
あまりにも特別な偶然があったとき、それは、必然として理由をこじつけられるか、あるいは、奇跡と呼ばれるしか、道はないのである。

(引用:六人の超音波科学者 P404)


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