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【森博嗣】『Vシリーズ』10作品の一覧とあらすじ・紹介




『すべてがFになる』を始めとしたS&Mシリーズの次なる物語、森博嗣のVシリーズの作品について紹介、また読む順番のオススメをしていく。


セオリーとしては『Vシリーズ』より『S&Mシリーズ』を先に読むことをオススメする。
【S&Mシリーズの紹介・あらすじ】


目次

1.Vシリーズの作品一覧・読む順番

1.黒猫の三角〈Delta in the Darkness〉
2.人形式モナリザ〈Shape of Things Human〉
3.月は幽咽のデバイス〈The Sound Waiks When the Moon Talks〉
4.夢・出逢い・魔性〈You May Die in My Show〉
5.魔剣天翔〈Cookpit on Knife Edge〉
6.恋恋蓮歩の演習〈A Sea of Deceits〉
7.六人の超音波科学者〈Six Supersonic Scientists〉
8.捩れ屋敷の利鈍〈The Riddle in Torsional Nest〉
9.朽ちる散る落ちる〈Rod off and Drop away〉
10.赤緑黒白〈Red Green Black and White〉


以上は刊行順に並べてある。
読む順番としては、素直に1の『黒猫の三角』から読み進めていけばいいだろう。



2.Vシリーズの特徴・登場人物

シリーズ名の『V』とは、主人公のイニシャルに由来するもので、瀬在丸紅子〈セザイマルベニコ〉の『V』から取られたものである。


前作のS&Mシリーズと同じく、トリックの多くに工学などの理系分野で構成されているのが大きな特徴であるため「理系ミステリー」と称されることもしばしば。そして密室殺人をテーマにした作品が多い。


今回は4人の主要登場人物がいる。先程あげた瀬在丸紅子、あとの3人が保呂草潤平〈ホロクサジュンペイ〉、小鳥遊練無〈タカナシネリナ〉、香具山紫子〈カグヤマムラサキコ〉である。この3人はみな阿漕荘というアパートの住人である。


この4人は個性的すぎる性格をしており、彼らのウェットに富んだやりとりもこのシリーズの魅力の一つだろう。前作S&Mシリーズとの関係は……是非実際に読んでみて確かめてみてもらいたい。



3.各作品紹介

──1.黒猫の三角

──あらすじ

一年に一度決まったルールの元で起こる殺人。今年のターゲットなのか、六月六日、四十四歳になる小田原静江に脅迫めいた手紙が届いた。探偵・保呂草は依頼を受け「阿漕荘」に住む面々と桜鳴六画邸を監視するが、衆人環視の密室で静江は殺されてしまう。森博嗣の新境地を拓くVシリーズ第一作、待望の文庫化。

──衝撃のシリーズ1作目
一年に一度、ゾロ目の日付に、ゾロ目の年齢の人物が殺害される、連続殺人が起こっていた。11歳の小学生が7月7日に……22歳の大学生が7月7日に……33歳のOLが6月6日に……そして44歳の女性が……。謎の規則性によって巻き起こる殺人。犯人の目的はいったい……?!


個性的すぎる登場人物たちの人間関係と、作り込まれたトリック。そしてこのシリーズ第一作を読んだら、思わず続きのシリーズが読みたくなる魔力が詰まっている。


S&Mシリーズの衝撃が蘇る、堂々のシリーズ第一作である。


──2.人形式モナリザ

あらすじ

蓼科に建つ私設博物館「人形の館」に常設されたステージで衆人環視の中、「乙女文楽」演者が謎の死を遂げた。二年前に不可解な死に方をした悪魔崇拝者。その未亡人が語る「神の白い手」。美しい避暑地で起こった白昼夢のような事件に瀬在丸紅子と保呂草潤平ら阿漕荘の面々が対峙する。大人気Vシリーズ第2弾。


──Vシリーズの本領発揮…?
ネタバレなるため詳しくはかけないが、順当に『黒猫の三角』から読み進めているなら、2作目の『人形式モナリザ』からがVシリーズの本領発揮だ!という意味がわかるだろう。


トリックに真新しさや意外性は少ない印象。悪魔崇拝や悪魔と神など、作中には終始不気味さが漂う。


主要登場人物たちの人間性や性格も少しずつ明らかになっていき物語を加速させていく。

──3.月は幽咽のデバイス

あらすじ

薔薇屋敷あるいは月夜邸と呼ばれるその屋敷には、オオカミ男が出るという奇妙な噂があった。瀬在丸紅子たちが出席したパーティの最中、衣装も引き裂かれた凄惨な死体が、オーディオ・ルームで発見された。現場は内側から施錠された密室で、床一面に血が飛散していた。紅子が看破した事件の意外な真相とは!?

──オオカミ男がでると噂の館の真実は……

オオカミ男が出ると噂の月夜邸。その一室で密室殺人が起きるが……!人間の心理を逆手に取る展開が魅力。あなたもきっと騙される。


王道のミステリーを求めている人からしたら、賛否両論は生むかもしれない作品だと思うけど、個人的にはかなりすき。

──4.夢・出逢い・魔性

あらすじ

20年前に死んだ恋人の夢に怯えていたN放送プロデューサが殺害された。犯行時刻響いた炸裂音は一つ、だが遺体には二つの弾痕。番組出演のためテレビ局にいた小鳥遊練無は、事件の核心に位置するアイドルの少女と行方不明に……。繊細な心の揺らぎと、瀬在丸紅子の論理的な推理が際立つ、Vシリーズ第4作!

──不気味さが後を引く物語

犯人視点での怪しげな雰囲気、夢の中の不可解な様子など要領を得ない不思議な様子が不気味で後をひくのが特徴的。


しかしそんな暗いイメージとは対象的に密室トリックの全容は紅子から大盤振る舞いで解説されるのでスッキリとした読後感がある。




──5.魔剣天翔

あらすじ

アクロバット飛行中の二人乗り航空機。高空に浮ぶその完全密室で起こった殺人。エンジェル・マヌーヴァと呼ばれる宝剣をめぐって、会場を訪れた保呂草と無料招待券につられた阿漕荘の面々は不可思議な事件に巻き込まれてしまう。悲劇の宝剣と最高難度の密室トリックの謎を瀬在丸紅子が鮮やかに解き明かす!

──シリーズの折り返し、空中密室殺人
飛行機の中、空中密室の殺人というインパクトあふれる作品。紅子の華麗な活躍が見られる反面、今回は主要登場人物の一人、練無にスポットが当てられている。


練無に関係の深い人物の登場により、練無の過去が垣間見えたのだが……。癖が強い阿漕荘のメンバー、その中でもとくに癖がある練無。あの明るさの裏に隠れているものは……。


──6.恋恋蓮歩の演習

あらすじ

世界一周中の豪華客船ヒミコに持ち込まれた天才画家・関根朔太の自画像を巡る陰謀。仕事のためその客船に乗り込んだ保呂草と紫子、無賃乗船した紅子と練無は、完全密室たる航海中の船内で男性客の奇妙な消失事件に遭遇する。交錯する謎、ロマンティックな罠、スリリングに深まるVシリーズ長編第6作!

──保呂草大活躍回
豪華客船を舞台に、阿漕荘のメンバーは事件に遭遇する。今回はどちらかといえば主要メンバーたちのやり取りを眺めるシリーズもの特有のまったり回。


そして前回練無にスポットが当てられたように、今回は保呂草さん大活躍回である。そしてこの男、まったくもって罪な男である。

──7.六人の超音波科学者

あらすじ

土井超音波研究所、山中深くに位置し橋によってのみ外界と接する、隔絶された場所。所内で開かれたパーティに紅子と阿漕荘の面々が出席中、死体が発見される。爆破予告を警察24時送った何者かは橋を爆破、現場は完全な陸の孤島と化す。真相研明に乗り出す紅子の怜悧か論理。美しいロジック溢れる推理長編。

──紅子の推理が光る
橋を落とした理由、首と手が切断してなくなっていた理由、壁に残された暗号、消えた死体、そして犯人……。


紅子の理路整然の推理がとにかく光る作品。多くの謎が浮かび上がるが、紅子がキレイに推理をあかしてくれたのでスッキリとした読了感がある。


しかし、これまで終始冷静沈着な彼女だったがとある出来事が怒りの琴線に……。

──8.捩れ屋敷の利鈍

あらすじ

エンジェル・マヌーヴァと呼ばれる宝剣が眠る”メビウスの帯”構造の巨大なオブジェ様の捩れ屋敷。密室状態の建物内部で死体が発見され、宝剣も消えた。そして発見される第二の死体。屋敷に招待されていた保呂草潤平と西之園萌絵が、事件の真相に迫る。S&MシリーズとVシリーズがリンクする密室ミステリィ。

──S&MとVの共演
『捩れ屋敷の利鈍』の目玉はなんといっても、S&Mシリーズのキャラとの共演がついに実現していること。犀川の登場こそ少ないものの、萌絵と国枝が保呂草と初対面する。


Vシリーズなのに紅子が少ししか出てこなかったり、練無や紫子が登場しない異端な作品である。

──9.朽ちる散る落ちる

あらすじ

土井超音波研究所の地下に隠された謎の施設。絶対に出入り不可能な地下密室で奇妙な状態の死体が発見された。一方、数学者・小田原の示唆により紅子は周防教授に会う。彼は地球に帰還した有人衛星の乗組員全員が殺されていたと語った。空前の地下密室と前代未聞の宇宙密室の秘密を暴くVシリーズ第9作。


──舞台は再び超音波研究所へ
『朽ちる散る落ちる』は、まさかのVシリーズ第7作『六人の超音波科学者』のほぼほぼ続き。


有人衛星の密室殺人と地下密室の死体。トリックもそうだが、2つの関連付けられそうにもない密室事件がどう繋がっていくのか?が見所の一つ。


『六人の超音波科学者』で感じていた”違和感”もきっと解消されるだろう。


──10.赤緑黒白

あらすじ

鮮やかな赤に塗装された死体が、深夜マンションの駐車場で発見された。死んでいた男は、赤い。彼の恋人だったという女性が「犯人は誰かは、わかっている。それを証明して欲しい」と保呂草に依頼する。そして発生した第二の事件では、死者は緑色に塗られていた。シリーズ完結編にして、新たな始動を告げる傑作


──最終巻にして新たなシリーズへの橋渡し
Vシリーズラストの『赤緑黒白』。不思議なタイトルが多い森博嗣作品だが、これもそのうちの一つと言えるだろう。


また、『森博嗣作品といえば密室トリック』のようなイメージが強いし、Vシリーズを通してもそれは変わらない。しかし今回はそれに反して密室ではなく、殺害後の遺体に色が塗られるという猟奇的とも取れる連続殺人事件。


殺人事件の顛末もシリーズ最後に相応しい見ごたえのあるものだったが、登場人物たちのやりとりもそれと同じくらい惹かれるものがある。


そしてシリーズ最終巻ということは終わりでもあり、新たなシリーズの幕開けな訳でもあるので、新シリーズの伏線も密かに散りばめられている。そこにも目を向けながら読んでみてほしい。

4.四季シリーズ

Vシリーズの次に読んでほしい森博嗣作目は、四季シリーズだ。文字通り『春』『夏』『秋』『冬』の4冊から構成され、天才・真賀田四季にスポットを当てた作品たちである。


Vシリーズを読んでからのほうが、楽しめるだろが、この四季からの読んでも一応問題はない。(個人的にはVを読み切ってからがオススメだが)

【四季シリーズのあらすじ・紹介】




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