FGかふぇ

読書やらカフェ巡りが趣味。読んだ本、行ったカフェの紹介がメインのブログです。ごゆるりとどうぞ。

十二国記『月の影 影の海』の感想を好き勝手に語る【小野不由美】


「帰ってどうする」
「それは、帰ってから考える」
「一思いに死んだ方が良くはねえかい」
「誰も惜しまない命だから、自分だけでも惜しんでることにしたんだ」

(引用:月の影 影の海〈下〉P22/小野不由美)



小野不由美のファンタジー作品、十二国記『月の影 影の海』を読んだ。  


ファンタジーは、「いかに違和感を感じない世界観が構築されているか」が個人的に作品に没頭できるかどうかの分かれ道だと思っているのだが、『月の影 影の海』は違和感を感じるすきもなく作品に没頭してしまった。


感想はネタバレありなのでご注意を。

ネタバレなしの作品紹介はコチラ
【十二国記の全作品紹介】


目次

感想

陽子の”強さ”と”成長”が印象的

陽子の持つ”強さ”にひたすら心を動かされる。


なんの変哲もない女子高生。目立たない、意志の弱い、ホント何処にでもいるよな彼女。ちょっとひどい言い方をすれば、なんの取り柄もない人物のように思える(上巻の前半を読む限り)

 陽子は故国で人の顔色を窺って生きていた。誰からも嫌われずに済むよう、誰にも気に入られるよう。人と対立することが怖かった。叱られることが恐ろしかった。いまから思えば、何をそんなに怯えていたのだろうと、そう思う。

(引用:月の影 影の海〈下〉P97/小野不由美)


故国にいたときの陽子の人間性や思考が、とても分かる。所謂、八方美人というやつなのだろうが、自分にも重なる部分が多すぎて自然と感情移入してしまう。


そんな陽子だったのに、とつぜん異世界に放り出されて、騙され、裏切られ、孤独を味わい、生と死の狭間に揺れながらも、生きる執着を止めない彼女の姿は眩しく、胸をうつ。


私に十二国記を勧めてくれた方が「大きな鼠がでてくる所までは頑張って読んで!!」って言ってたんだが、上巻を読んでるとその意味がよく分かった。それは、ひたすらに救いがない。


先程も書いたが、騙され、裏切られ、挫折して、の連続。段々と追い込まれていく彼女を見ているのが正直辛かった。
  

だからこそ下巻に入って楽俊と出会ってからがとても安心感して読める。やっと救われるのか...と。楽俊ホントすき。


上巻では、困難に立ち向かう陽子の”強さ”。懸命に生きようとする姿がとても印象的。また、下巻では生きる事とは違った陽子の強さが印象的で、前半に見せた気弱そうな人物とは思えない成長が見えた。

「だから命を惜しんで軽はずみな選択はしたくない。みんながわたしに期待しているのは分かってる。でもここでみんなの都合に負けて自分の生き方を決めたら、私はその責任を負えない。だから、ちゃんと考えたい。そう思ってる」

(引用:月の影 影の海〈下〉P213-214/小野不由美)


王という重すぎる運命に直面して、その運命を背負わされるのではなく、己の意思で背負おうとするその姿勢が心をうつし、上巻の陽子とは同じ人物とは思えない成長が勇気をくれた。


導入がスムーズ

もちろん賛否はあるだろうが、異世界に行くのがわかっているのに、なかなかそちらの世界に行かない前置きが長い物語って苦手なんだよね。


現実世界と異世界が互いに干渉があったり、今後再び現実世界に帰ってる展開があると伏線を張っておきたいというのはあると思う。ただ私は「こっちが見たいのはファンタジーらしい冒険なんじゃ!」って思っちゃうせっかち者なんだ...。


その点でいえば、『月の影 影の海』は主人公の気質や家庭の様子など最低限の事実を明らかにして、さっさと異世界にいくからテンポがいい。


ラスト

読み終わってから最初に思ったのは「ここで終わるのか!?」気持ち(もちろんいい意味で)


景麒を救って、王になって終わる。


確かに区切りとしてはこれ以上ないけど、この先陽子がどんな国を作っていくのか、どんな困難が待ち受けているのか、はたまた安全に故国に帰る方法を見つけるのか...。


このままでは終われない。先が気になりすぎる。この十二国記シリーズ、私はまだ『魔性の子』と『月の影 影の海』しか読んでない初心者なので分からないが、陽子の話の続編はあるのかな?


あるなら是非読まねば...!!


最後に

十二国記を知ったきっかけはTwitterで、2019年に18年ぶりの新作長編がでる!!ということで、私のタイムラインが十二国記フィーバーになってたんですよね。


恥ずかしながら十二国記の存在を知らなかったのですが、これは読むっきゃないと思いまずは『魔性の子』を読み、それから今回感想を書いている『月の影 影の海』を読みました。


一言でいって純粋に面白かったです。新刊がでるまでに今発売されているのを読み切って、最新刊発売に備えたいと思います。


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【34作品】2018年下期に読んだ小説を5段階で評価する&ベスト3紹介【一言感想】

今回は私が2018年下期(7〜12月)に読んだ小説34作品を5段階評価で好き勝手に感想を書いていきます。
これから読む本はその都度追記予定。また再読の本も含んでいます。


そして、後半は下期に読んだ小説の面白かった作品ベスト3をあらすじなどと共に紹介。(こちらは再読を含まない)2018年に発売した小説ではなく、あくまで私が7〜12月に読んだ小説なのでご注意ください。

目次

1.読んだ小説・一言感想

新参者/東野 圭吾
☆☆☆☆
短編に近いが徐々に事件の真相へ...。加賀の優しさがみえる。


パラレルワールド・ラブストーリー/東野 圭吾
☆☆☆
抜群に始まりが好き。
彼女は親友の恋人。
親友の恋人の、はずだったのに──。
(再読)


麒麟の翼/東野 圭吾
☆☆☆☆
「殺人事件はガン細胞のようなもの」
人間関係が深い。


どちらかが彼女を殺した/東野圭吾
☆☆☆ 
袋とじの「推理の手引き」を読んでようやく犯人がわかった。
結局加賀がすごいんだけどね!


マスカレード・イブ/東野圭吾
☆☆☆
前作『マスカレード・ホテル』へ続くの完璧な前日譚
(再読)


マスカレード・ナイト/東野圭吾
☆☆☆☆☆
今回も最後まで誰が犯人かわからない。
山岸さん優秀すぎるんだよなあ。
(再読)


容疑者Xの献身/東野圭吾
☆☆☆☆☆
尽くす事を愛と呼ぶのなら、これ以上の愛の物語を私は知らない
(再読)


沈黙のパレード/東野圭吾
☆☆☆☆☆
帰ってきたガリレオ。安心のオモシロさ。湯川や草薙の老い(成長)を感じる。


宿命/東野圭吾
☆☆
因縁の相手、それは宿命であり必然でもあった。


ダイイング・アイ/東野圭吾
☆☆☆☆
えろい
(再読)

きまぐれロボット/星 新一
☆☆
子供と読みたい。
新鮮で奇抜な発明がいい。


タックスヘイブン/橘 玲
☆☆☆
社会の裏を垣間見た。金銭感覚が狂う。


珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を/岡崎 琢磨
☆☆☆☆
後半は圧巻。随所に散りばめられたコーヒーの蘊蓄もいい。


珈琲店タレーランの事件簿2 彼女はカフェオレの夢を見る/岡崎 琢磨
☆☆☆
いつになったら二人は付き合うのでしょう?


すべてがFになる/森博嗣
☆☆☆☆☆
彼女以上の天才を知らない。
(再読)


有限と微小のパン/森 博嗣
☆☆☆☆☆
文句なしの☆5
こんなミステリーをずっと求めてた。


黒猫の三角/森 博嗣
☆☆☆
手の上で踊らされるとはこういうことなんだろう。作者の思惑に見事にはまったと思う。


地球の長い午後/ブライアン・W・オールディス
☆☆☆
発想力の限界突破。


アンドロイドは電気羊の夢を見るか?/フィリップ・K・ディック
☆☆☆
「人間」とはなんだ?「アンドロイド」とはなんだ?AIが発達してきている今でこそ読みたい作品。


向日葵の咲かない夏/道尾秀介
☆☆☆
爽やかなタイトルから繰り出されるえげつない内容。


砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない/桜庭一樹
☆☆☆ 
ページ数が少なくあっさり読めるが、あっさりしているのはページ数だけ。
「好きって絶望だよね」


星を継ぐもの/ジェイムズ・P・ホーガン
☆☆☆☆☆
名作は色褪せない。それぞれの分野のプロフェッショナルが謎を明らかにしていく様子がたまらない。私がSFにハマったきっかけの作品。
(再読)
 

ガニメデの優しい巨人/ジェイムズ・P・ホーガン
☆☆☆☆☆
『星を継ぐもの』の続編。こちらも間違いなく名作。前作の伏線回収が見事。未知との邂逅と人類の起源にもうお腹いっぱい。


天才感染症/デイヴィッド・ウォルトン
☆☆☆☆
キノコ×ニンゲン戦争
 

インターステラー/グレッグ・キイズ
☆☆☆
重力とは絶望である。
予想外にガッチガチのハードSF。好きな人は絶対好きな作品。


ダーウィンの警告/ジェームズ・ロリンズ
☆☆☆☆
史実を含んだストーリーって惹かれる。


遥かなる円環都市/マイケル・C・グラムリー
☆☆☆
テンポがよくて読みやすい。全部が丸く収まりすぎ感はある。


木漏れ日に泳ぐ魚/恩田陸
☆☆☆☆☆
濃密すぎる一夜
真実が明かされる一夜
喜怒哀楽すべてが巡る一夜


ジェリーフィッシュは凍らない/市川憂人
☆☆☆
思わずタイトル買いした一冊。悲しい復讐者、トリックは見事の一言。


狼と羊皮紙Ⅱ/支倉凍砂
☆☆☆
猪突猛進・狼ガール


狼と羊皮紙Ⅲ/支倉凍砂
☆☆☆☆
「月を狩る熊」の話題がまた出てくるとは思わなかった。続きが気になる。


魔性の子/小野不由美
☆☆☆
ファンタジーかと思いきや、まさかのホラーテイスト。『魔性の子』だけだとしっくりこないところもあるけど、続編を読んでいくとこの物語の凄さがわかる。


月の影 影の海/小野不由美
☆☆☆☆☆
陽子の”強さ”は生きる事、生き抜く事。
光明は遠くても、絶望などに負けない。


風の海 迷宮の岸/小野不由美
☆☆☆☆
幼くとも、背負う荷物は国の命運。
使命と葛藤が少年を変える。


2.下期のベスト3

再読を除く下期で読んだ小説で面白かったモノをランキング方式で紹介していきます。


第3位:木漏れ日に泳ぐ魚

著者:恩田陸
ジャンル:ミステリー

【あらすじ】

舞台は、アパートの一室。別々の道を歩むことが決まった男女が最後の夜を徹し語り合う。初夏の風、木々の匂い、大きな柱時計、そしてあの男の後ろ姿──共有した過去のあ風景に少しずつ違和感が混じり始める。濃密な心理戦の果て、朝の光とともに訪れる真実とは。不思議な胸騒ぎと開放感が満ちる傑作長編!

(引用:木漏れ日に泳ぐ魚 裏表紙/恩田陸)


第3位は恩田陸の『木漏れ日に泳ぐ魚』!!恩田陸の作品は初めて読んだのですが、衝撃でした。ページ数は300ページと、程々の量だったのでサクッと読もうと思ってたんですよ。


しかしこれがサクッといけない!!一つひとつの表現が、描写がキレイでついつい余韻に浸るように何度も読み直してしまいます。


もちろん内容も文句無し。
『木漏れ日に泳ぐ魚』を一言で説明すれば、男女二人が夜通し語り合う話。回想を挟みはするがそれ以上でも以下でもない。なのに、面白い。いや、シンプルだからこそ面白い。作り込まれた物語に余分な要素はいらない。



かつて愛した人は殺人犯なのか?
最後の夜に繰り広げられる心理戦
深まる疑惑、明かされる真実、濃密な心理戦
物語は予想外の結末を迎える──


『木漏れ日に泳ぐ魚』の詳細はコチラ
『木漏れ日に泳ぐ魚』あらすじ・紹介





第2位:ガニメデの優しい巨人

著者:ジェイムズ・P・ホーガン
ジャンル:SF

【あらすじ】

木星の衛星ガニメデで発見された異星の宇宙船は二千五百万年前のものと推定された。ハント、ダンチェッカーら調査隊の科学者たちは、初めて見る異星人の進歩した技術の所産に驚きを禁じ得ない。そのとき、宇宙の一角からガニメデ目指して接近する物体があった。遥か昔に飛びたったガニメアンの宇宙船が故郷に戻って来たのだ。

(引用:amazon)


異星人との邂逅、そして人類の起源に迫る壮大な物語です。『ガニメデの優しい巨人』をオススメするにあたって一つ問題があります。 


それは『ガニメデの優しい巨人』がシリーズ作品の2作目なのです。1作目の完全に続きなので、興味を持って頂いた方は1作目の『星を継ぐもの』から読んでみてもらいたい。


『星を継ぐもの』も間違いなく傑作なので、『星を継ぐもの』を読めば続編の『ガニメデの優しい巨人』がきっと読みたくなるはずです。


『星を継ぐもの』は月面の調査中に5万年前の人間の死体が発見されるところから物語が始まる。これだけでもワクワクしてしまう。『星を継ぐもの』紹介はコチラから。


『星を継ぐもの』あらすじ・紹介





第1位:有限と微小のパン

著者:森博嗣
ジャンル:ミステリー


【あらすじ】

日本最大のソフトメーカが経営するテーマパークを訪れた西之園萌絵と友人・牧野洋子、反町愛。パークでは過去に「シードラゴン事件」と呼ばれる死体消失事件があったという。萌絵たちを待ち受ける新たな事件、そして謎。核心に存在する、偉大な知性の正体は…...。
S&Mシリーズの金字塔となる傑作長編。

(引用:有限と微小のパン 裏表紙/森博嗣)



『有限と微小のパン』は森博嗣の傑作ミステリーなのだがオススメするのには一つ問題があります。それは先程紹介した『ガニメデの優しい巨人』と同じく、シリーズ作品の一部だからです。


さらにやっかいなのはシリーズ作品の数。


『有限と微小のパン』はS&Mシリーズと呼ばれ全10作品があり、しかも『有限と微小のパン』はシリーズの締めくくりを飾る10作目の作品なのです。


以下シリーズ10作品。
1.『すべてがFになる』 The Perfect Insider
2.『冷たい密室と博士たち』 Doctors in Isolated Room
3.『笑わない数学者』  Mathematical Goodbye
4.『詩的私的ジャック』 Jack the Poetical Private
5.『封印再度』 Who Inside
6.『幻惑の死と使途』 Illusion Acts Like Magic
7.『夏のレプリカ』 Replaceable Summer
8.『今はもうない』 Switch Back
9.『数奇にして模型』 Numerical Models
10.『有限と微小のパン』 The Perfect Outsider


流石に「シリーズすべて読んで!!」とは言えないですが、シリーズ一作目の『すべてがFになる』。これだけは『有限と微小のパン』を読む前に読んでほしいです。理由としては物語の核になる人物が『すべてがFになる』に登場するからです。


『すべてがFになる』も間違いなく傑作なのでオススメの作品。

『すべてがFになる』あらすじ・紹介


3.最後に

下期は34作品読む事ができ、冊数にすると38冊でした。上期は29作品、冊数にして46冊だったので、現時点(12/26)で63作品、冊数は84冊になりました。
(※作品数と冊数が一致していないのは、冊数では上巻、下巻などを分けてカウントしているためです。)


1年間でどれくらい本を読んだのかカウントするのは、初めてだったので自分の基準を作ることができました。


来年は、やっぱりキリよく年間100冊読めればいいですね。とはいえ冊数を追って内容を疎かにしては本末転倒なので、楽しみながら達成できればと思います。


4.他時期のまとめ

【2018年】
【29作品】2018年上期で読んだ小説を5段階で評価する&ベスト3紹介【一言感想】 - FGかふぇ
【2019年】
【20作品】2019年下期に読んだ小説を5段階で評価する&ベスト5紹介【一言感想】 - FGかふぇ
【27作品】2019年上期に読んだ小説を5段階で評価する&ベスト3紹介【一言感想】 - FGかふぇ
【2020年】
【26作品】2020年上期に読んだ小説を5段階で評価する&ベスト3紹介【一言感想】 - FGかふぇ
【17作品】2020年下期に読んだ小説を5段階で評価する&ベスト3紹介【一言感想】 - FGかふぇ

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かつて愛した人は殺人犯なのか?──『木漏れ日に泳ぐ魚』あらすじ・紹介【恩田陸】



かつて愛した人は殺人犯なのか?
最後の夜に繰り広げられる心理戦
深まる疑惑、明かされる真実、濃密な心理戦
物語は予想外の結末を迎える──


恩田陸の『木漏れ日に泳ぐ魚』が不意打ちのように心に刺さったのであらすじ・紹介をしていく。感想はコチラ。

『木漏れ日に泳ぐ魚』感想


目次

あらすじ

舞台は、アパートの一室。別々の道を歩むことが決まった男女が最後の夜を徹し語り合う。初夏の風、木々の匂い、大きな柱時計、そしてあの男の後ろ姿──共有した過去のあ風景に少しずつ違和感が混じり始める。濃密な心理戦の果て、朝の光とともに訪れる真実とは。不思議な胸騒ぎと開放感が満ちる傑作長編!

(引用:木漏れ日に泳ぐ魚 裏表紙/恩田陸)

濃密すぎる一夜

『木漏れ日に泳ぐ魚』を一言で説明すれば、男女二人が夜通し語り合う話だ。回想を挟みはするがそれ以上でも以下でもない。なのに、面白い。いや、シンプルだからこそ面白い。作り込まれた物語に余分な要素はいらないのだ。

 
別れを前に二人が語る内容は、ある男の死について。二人は深い仲でありながら、お互いがお互いの事を殺人犯だと考えている。ある男が死んだ日の記憶を巡りながら、二人の腹の探りあい──心理戦が繰り広げられる。


その一夜の出来事が300ページにギュッと詰め込まれている。まさに濃密すぎる一夜で、喜怒哀楽すべてが詰込まれた一夜だ。


物語は、そんな心理戦を繰り広げる男女二人の視点が交互に入れ替わって進行していく。お互いが、お互いをどう見ているのか、考えているのか。二人が味わっている緊張感を読者もヒシヒシと感じることができるはずだ。


人間の感情はちょっとした出来事で揺れ動くものだと思う。挨拶をもらえれば嬉しくなるし、無視されれば悲しくなる。もっと些細な事を言えば、相手の仕草や表情だけでも、無意識に感情は揺れるはずだ。


そんな人間のちょっとした仕草や、それによって揺れる感情。その表現がとても繊細に描かれていると感じた。例えば、ちょっとネタバレになってしまうのだが...

 そう呟き、これもまた無意識のうちに、彼はそのマフラーを私の手の届かないところに良いと移動させた。
 私の手は、つかむつもりだったものを失い、宙を泳いだ。
 目の前で窓を閉められたような虚しさと淋しさ。
 その瞬間、私は確信したのだった。
 彼は誰かに心を奪われている。

(引用:木漏れ日に泳ぐ魚 P68/恩田陸)

誰かからもらったであろうマフラー。そのマフラーを届かないところに置かれる。そんな些細な出来事で生まれる淋しさと、悲しい確信。


そうなんだよ、何事もきっかけはこんな些細な事。そんな些細な出来事とそれで動かされる心。その表現が素晴らしいな、と思った。『木漏れ日に泳ぐ魚』ではそんな揺れる男女の想いと葛藤が描かれている。


そして、時折挟まれる、どこかノスタルジックな感情になる表現がとても印象的で心に突き刺さる。

 子供の頃は、いつもブランコに乗る順番を待っていた。けれど今はブランコのほうが誰かが来るのをずっと待っている。大人になるということは、ブランコの順番が必要でなくなるということなのだ

(引用:木漏れ日に泳ぐ魚 P27/恩田陸)

 

最後に

二人が語るのは、二人の関係と、残酷な偶然としか思えない過去と、ある男の死──。一転ニ転する物語の展開もさることながら、一つひとつの表現も楽しむことができた。


恩田陸の作品はこの『木漏れ日に泳ぐ魚』が初めて読んだ作品だったのだが、これは...癖になりそう。



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『木漏れ日に泳ぐ魚』の感想を好き勝手に語る【恩田陸】

 たぶんこれは、一枚の写真についての物語なのだろう。
 むろん、ある男の死を巡る謎についての物語でもあるし、山の話でもあるはずだ。そして、一組の男女の別離の話という側面も持っている。

(引用:木漏れ日に泳ぐ魚 P7/恩田陸)



恩田陸の作品は、今回読んだ『木漏れ日に泳ぐ魚』が初めての作品だったが、文句無しに面白かった。


感想はネタバレありなのでご注意を。未読の方はコチラからどうぞ。
『木漏れ日に泳ぐ魚』あらすじ・紹介


目次

感想

1.二人の関係

アキとヒロ、二人はどんな関係なんだろう?そんな疑問が最初に浮かぶ。そしてそれは形を変えて最後の最後まで引っ張られる。


状況から考えて普通に考えれば恋人?じゃあ何故、朝には別れてしまうのだろう?様々な疑問がよぎる中、二人の関係が少しずつ明らかになる頃には、もう物語から抜け出せなくなっていた。


恋人から兄妹、そしていとこ...。なんて残酷な偶然なんだろう。そしてなんてタイミングが悪いんだろう。本当の兄妹なら諦めもついただろうに、最後に辿り着く、いとこという真実はとんでもない絶望だ。


アキは障害のある恋だからこそ、続いていたと言っていたけれど、本当にそうだったのかな?初めは二人がそんな複雑な関係だとは知らずに仲良くなった訳だし、初めからいとこと分かっていたなら少しは結末も違ったのかな?


二人の報われなかった結果を受けると、何か変えることができなかったのかと他の答えを探してしまう。





2.『真珠のピアス』

物語にでてくる歌や小説ほど、興味をひかれるものはない。今回で言えば松任谷由実の『真珠のピアス』なわけだが、私は気になって速攻で聴いた。むしろ聴きながら読んでいた。


『真珠のピアス』の歌詞のように、アキはヒロのカバンにピアスをそっと仕込む訳だが、朝が来て、アキと別れて、いつの日かヒロがこのピアスを見つけてしまったとき、彼はこのピアスをどうするのだろう?


なんとなくだが、私はピアスを見つけた彼は、悩んだあげくにカバンの同じ場所にピアスを戻す気がする。目を背けるように、何にも気付かなかったように。


アキが指摘した通り、ヒロは自分の手は汚さずに、いつかアキと再会したときピアスについて聞かれるまで「気が付かなかった」で逃げるんじゃないかな。


最後のシーン、アキはどうしてナイフを埋めたのだろう?

 私は記念品を求めていた。彼の愛用のバッグにピアスを忍ばせてみたけれど、それは彼の元に残り、私の手元には何も残らない。そのことに勝手に不公平感を抱いていたのだ。

(引用:木漏れ日に泳ぐ魚 P172/恩田陸)
記念品、この時まだ二人は「真実」に気付いていなかった。まだ障害のある恋の最中にいた。だからこそ記念品などというものをアキは求めたのだろう。


しかし、「真実」にたどり着いていたラストでは、その記念品はもはや、なんの意味もないものだったのだろう。だから手元から離し、埋めてしまった。


自分はピアスをヒロのカバンに仕込んで、ヒロに自分を思い出すきっかけを与えておきながら、自分はそのきっかけを埋めてしまう。なんと一方的な決別だろう。


3.刺さった言葉

 私たちはカバンが好きだ。どうしてシーズン毎に、いつも似たようなものを買ってしまうのだろう。 可愛らしいポケットや、ちょっとした「機能的な」仕切りにすぐ騙されてしまう。そして、沢山ある「機能的な」はずのポケットは、日常の中でたちまちブラックホールと化すのである。
 それは、たまに思い出すようにカバンのポケットを探ってみればすぐに分かる。
 映画の半券、探していたタクシーの領収書や、取れたカーディガンのボタン、せっかく書いてもらったアドレスのメモなど、かつてはとても必要なもので、そこらじゅうを引っくり返して探したものが、波打ち際に打ち上げられた漂流物のように色褪せた状態で出てくる。そして、取り出したもののすっかり賞味期限切れで、結局またどこかどうでもいいところにしまいこまれて二度と出てこない。

(引用:木漏れ日に泳ぐ魚 P40/恩田陸)

めっちゃ共感できたところ。この部分を読んで『木漏れ日に泳ぐ魚』に夢中になり始めたと言っても過言ではない。


探してるときには見つからないのに、忘れた頃に、もうどうでもいいときに出てくるんだよなぁ。

「 やっぱり、死は『生きる』ということの無数の選択肢の中の一つなんだよ。生と死が別個にあるんじゃなくて、死は生の一部分なんじゃないかな」

(引用:木漏れ日に泳ぐ魚 P268/恩田陸)

 なるほど、心中というのは、ある意味で生の成就なのだ。好きということの達成感を得るのに、互いの死くらい明確なものはない。それぞれの命を持って子孫を残すことを否定するのだから。

(引用:木漏れ日に泳ぐ魚 P269-270/恩田陸)

「死」について二箇所。

 相思相愛の障害のない恋愛感情は、まっとうに燃え尽きて終わります。けれど燃え上がることを禁止された恋愛感情は、いつまでもくすぐり続けるのです。
 たっぷりの酸素を得れば、激しく燃え上がるのに、灰に埋まり、くすぶり続ける恋愛。埋火のように、灰の中でちろちろと深く燃える恋愛は、いつまでもやっかいに長く続く。

(引用:木漏れ日に泳ぐ魚 P296/恩田陸)

鴻上尚史さんの解説部分
恋愛の熱量には限度がある。一気に燃焼してしまうか、くすぶり続けるか。妙に納得してしまった。



4.物語全体をみて

濃密すぎる一夜。
喜怒哀楽すべてが巡る一夜だった。


回想を挟むとはいえ、物語の主軸は別れを前にした男女が夜を徹して語り合うだけの単純な話だ。しかし単純だからこそ、面白い。単純だからこそ二人の心理が鮮明に見えてくる。


一転、ニ転する二人の関係と、解き明かされる男の死。設定こそ単純だが練り込まれているものは、想像以上に深い。


一枚の写真。物語に没頭しすぎて、冒頭部分を忘れかけてたけど、ラスト付近で冒頭の写真についての伏線が回収されていて、「ここに持ってくるのか!」と興奮した。

最後に

私は最近、SFの世界にがっつりハマってしまっていた。『インターステラー』『天才感染症』『ダーウィンの警告』『遥かなる円環都市』。宇宙、海底、南極、アマゾン、本を通して様々な場所を旅してきた。


予想外の展開、派手なアクション、驚異の技術、ロマン...。SFという性質ゆえに、最近の読書は次の展開、次の展開と物語の流ればかりに目を向けてしまっていた。


それだけに『木漏れ日に泳ぐ魚』では、最近味わっていなかった文章を、表現を、感情を、余すことなく堪能できたと思う。ジャンルが違うとはいえ、最近読んだ中では一番面白い作品だった。


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2分でわかる『ダイイング・アイ』のあらすじ・紹介【東野圭吾】

真夜中に起きた一つの交通事故が悲劇の連鎖を生む『ダイイング・アイ』のあらすじ・紹介をしていく。


感想はコチラ
『ダイイング・アイ』感想



目次

あらすじ

雨村慎介は何者かに襲われ、頭に重傷を負う。犯人の人形職人は、慎介が交通事故で死なせた女性の夫だった。怪我の影響で記憶を失った慎介が事故について調べ始めると、周囲の人間たちは不穏な動きを見せ始める。誰が嘘をつき、誰を陥れようとしているのか。やがて慎介の前に妖しい魅力に満ちた謎の女を現れる。女の正体は、人形職人が蘇らせた最愛の妻なのか?

(引用:ダイイング・アイ 裏表紙/東野圭吾)


すべての始まりは真夜中の交通事故

バーテンダーの主人公・雨村慎介は一年半前に交通事故を起こし、その事故で一人の女性が亡くなった。その女性の夫である岸中玲二が復讐として仕事終わりの慎介に襲いかかる。


慎介は頭に重傷を負ってしまう。なんとか一命はとりとめて意識は戻るが、慎介は岸中玲二に襲われた原因である一年半前の事故の記憶が失われてしまっていた。

主人公の前に現れる謎の女

怪我から復帰した慎介の前に瑠璃子と名乗る妖しい魅力に満ちた女が現れる。その瞳に魅せられた慎介は瑠璃子にどんどん惹かれていってしまう。


慎介は記憶喪失が原因で気付くことができなかったのか、その瑠璃子と名乗る女性は慎介が一年半前に起こした事故で死なせてしまった女性だったのだ

狂気の人形職人

慎介を襲った岸中玲二は、マネキンを作る仕事...つまり人形職人であった。失った記憶について調べていた慎介は衝撃の事実を知る。


岸中玲二は亡くなった妻そっくりのマネキンを作成していたのだ。マネキンの作成日誌の最後には、そのマネキンと会話をした記録も記されていた。そして残されたマネキンの写真は...瑠璃子そのものだった。


鍵は事故の真実と謎の女

慎介の失われた記憶。これが『ダイイング・アイ』の一つの鍵である。事故で失われた記憶を調べようとすると、慎介の周りの人間は不穏な動きを見せはじめる。


事故に隠された真実は何なのか?そして周りの人間は何故、それを隠さなければならないのか?


もう一つの鍵は慎介の目の前に現れた謎の女。人形職人が蘇らせたとしか思えない謎の女・瑠璃子。憎いはずである慎介の目の前に現れた理由はなんなのか?そもそも彼女は何者なのか?



最後に

2019年の3月にWOWOWでドラマ化が決定している『ダイイング・アイ』。私はWOWOWには入っていないので、ドラマを見ることはないだろう。しかしこの『ダイイング・アイ』、けっこうエロい...というか過激なシーンが多い。東野圭吾作品にしては珍しいんじゃないかな?


私は通勤時間を読書にあててるのだが、この『ダイイング・アイ』見開き2ページすべてが行為のシーンだったりするから電車で読んでるときはけっこう気が気じゃなかった。


はたからみたら官能小説にしか見えないですからね。


瑠璃子をよりミステリアスに不気味な存在に見せるためには必要な要素だろうが、ドラマでそれをどこまで表現するのか少し気になるところである。



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『ダイイング・アイ』の感想を好き勝手に語る【東野圭吾】

「運命ね。君と僕とは運命の糸で結ばれているというわけだ」
「そうよ。そしてこの糸は」彼女は再び慎介の指に自分の指をからめてきた。「決してほどけたり切れたりしないの」

(引用:ダイイング・アイ P238-239/東野圭吾)


2019年の3月にWOWOWでドラマが放送されると聞き、いい機会なので再読してきた。


ネタバレありなので未読の方はコチラからどうぞ。
『ダイイング・アイ』あらすじ・紹介



目次

 

  

感想

以前に読んだのは4年くらい前だったので、かなり内容を忘れていた。正直、前に読んだときの印象はあまりいいものではなかった。


だが不思議ととらえかたが変わるようで、前回は結局、人格が乗り移る呪いのようなオチかよ!と拍子抜けした記憶しかなかったのだが、今回読み直したら普通に面白かった。

瑠璃子が雨村慎介を殺さなかった理由

「あたしを殺しなさい」瑠璃子はいった。「そうして今度こそ忘れないで。あなたがあたしを殺したということ。あなたが殺した女の顔を、女の目を」

(引用:ダイイング・アイ P402/東野圭吾)

引用部分はクライマックスのシーンで、「シリウス」のオーナー・江島が主人公の雨村慎介を殺そうとする場面に瑠璃子が居合わせ真相を知ってしまった場面。


自らを殺せと迫るかなり印象的なシーン。この瑠璃子の台詞こそが慎介を殺さなかった理由だろう。瑠璃子の目的は自らを殺させることで、相手を呪うこと(催眠にかけること)だったと思う。


そのために瑠璃子は慎介を魅力して罠にはめて監禁した。また、瑠璃子が自らの正体を慎介に明かさなかったのは、慎介が逃さないようにするためだったのかな。あるいは気づいた時の恐怖心を煽るためとか。


慎介からしてみたは、ミステリアスくらいに思ってた相手が実は交通事故で亡くなったはずの女性だったんだから、たまったもんじゃない。


瑠璃子の本性を知ったあとだと言動すべてが恐ろしい。瑠璃子の不気味さが際立つ。

「運命ね。君と僕とは運命の糸で結ばれているというわけだ」
「そうよ。そしてこの糸は」彼女は再び慎介の指に自分の指をからめてきた。「決してほどけたり切れたりしないの」

(引用:ダイイング・アイ P238-239/東野圭吾)
この言葉も甘い言葉ではなくまったく逆の意味に連想すると恐ろしくてたまらない。


あり得ないけどあり得そう

人形が人と同じように動き、話し、性行為にまで及ぶ。普通に考えればありえないことだと分かるが、人形が人となったとしか思えない見せ方はうまいなぁと思った。(夫の日記?の記述とか)


非科学的な要素もあるが、それがあり得そうと思わせる構成・発想が面白い。例えば、上原ミドリが段々と岸中美菜絵(瑠璃子)に変わっていくわけだが、普通に考えればあり得ない。


しかし、ミドリは死を直前にした美菜絵に睨まれ続け、その目を決して忘れることは出来ないだろう。夢にもでてきただろうし、良心の呵責に押しつぶされそうにもなったと思う。


そんな状況が続けば、まさに『ダイイング・アイ』というタイトル通り、美菜絵の残した視線に狂わされていってもおかしくはないと思う。私は催眠術や亡霊といったたぐいのモノを信じてはいないが、ミドリが味わったであろう極限状態を考えれば催眠術にかかったように狂っていったとしても別段不自然でなない。

最後に

私はWOWOWには入っていないので、ドラマを見ることはないだろう。しかしこの『ダイイング・アイ』、けっこうエロい...というか過激なシーンが多い。東野圭吾作品にしては珍しいんじゃないかな?


私は通勤時間を読書にあててるのだが、この『ダイイング・アイ』見開き2ページすべてが行為のシーンだったりするから電車で読んでるときはけっこう気が気じゃなかった。


はたからみたら官能小説にしか見えないですからね。


瑠璃子をよりミステリアスに不気味な存在に見せるためには必要な要素だろうが、ドラマでそれをどこまで表現するのか少し気になるところである。




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報われることない恋のはずだったのに──『パラレルワールド・ラブストーリー』あらすじ・紹介【東野圭吾】


 


併走する二つの電車
どれだけ近づいても
双方の空間に交流はない
こちらはこちら、むこうはむこう

ある日、主人公は
″むこう″側の女性に一目惚れしたが

彼女は親友の恋人
親友の恋人の、はずだったのに──




さて、今回は2019年に映画公開が決まった『パラレルワールド・ラブストーリー』の紹介をしていく。


映画のほうはすでに予告の動画も公開せれているようだ。
映画『パラレルワールド・ラブストーリー』



感想はコチラ
『パラレルワールド・ラブストーリー』感想


※この記事は映画ではなく小説の紹介です。

目次

あらすじ

親友の恋人は、かつて自分が一目惚れした女性だった。嫉妬に苦しむ敦賀崇史。ところがある日の朝、目を覚ますと、彼女が自分の恋人として隣にいた。混乱する崇史。どちらが現実なのか?存在する二つの「世界」と、消えない二つの「記憶」。交わることのない世界の中で、恋と友情は翻弄されていく。

(引用:パラレルワールド・ラブストーリー 裏表紙/東野圭吾)



主人公の崇史の元に、中学時代からの親友・智彦から彼女ができたから紹介したいと連絡がくる。


親友の智彦は足に障害をおっていた事もあり、女性関係とは縁の遠い生活を送っていた。そんな親友にやっと訪れた幸福に崇史は純粋に嬉しさを持っていた。親友の彼女と会うまでは...。


智彦の彼女の名前は麻由子といい、なんとかつて崇史が一目惚れした女性だったのだ。


同じ会社に務めているこの三人は、嫌でも顔を合わせることになる。崇史は親友とその彼女と関わるうちに、抱いてはならない感情が芽生え始めてしまう。彼女への好意、そして親友への嫉妬だ。そんな悶々とした日々を送っていた崇史にある異変が起きる。


ある日、崇史が目を覚ますと麻由子は自分の恋人になっている上に2人は同棲しているのだった。


しかし崇史本人は、些細な違和感を抱くものの、麻由子と付き合っている現状をおかしいとは思わない。


そして物語が進んでいくと再び、智彦と麻由子が付き合っている世界へ...。まるでパラレルワールドのような話、いったい何が起きているのか...?


見所

二人の出会いは現実か幻か

最初は純粋にタイトル通りラブストーリーのように始まる。始まり方がホント好き。


時は崇史が大学院時代に遡る。崇史は週に三回、山手線を使う機会があり、その時並走する京浜東北線にいつも同じ女性が乗っていることに気付き、やがてその女性に恋心を抱くようになる。  


そして、就職してしまうために山手線を利用する最後の日に、崇史は思い切って声を掛けてみようと決心し、彼女が乗っている京浜東北線に乗り込むのだが...。


といった具合に物語は始まる。
電車の窓越しで向かい合う二人。距離で言えば1メートルもないくらいだろう。しかし並走する電車はお互い干渉がなく、こちらはこちら、あちらはあちらのパラレルワールドのよう。


最初こそ恋愛小説のように始まるが、そこは東野圭吾。物語は段々と不可思議な方向へ舵がきられていく。


 

パラレルワールド

双方の電車の交わることない空間がパラレルワールドのよう、と主人公の崇史が言うのだが、本当のパラレルワールドの世界はこれから始まるのであった。


あらすじで触れたが、物語はパラレルワールド...平行世界の如く主人公・崇史が一目惚れした女性が自身の恋人として存在している世界と、その女性が主人公の親友と恋人になっている世界と決してありえるないはずの二つの世界線の話が進んでいく。


二つの世界の物語が章ごと交互に平行世界のように同時に進行していく。不思議な読み心地を与えると共に一体何が起きているのかと、読者に謎を投げかける。どちらが本当の世界なのか?それとも両方とも幻想なのか?


いったい何故、パラレルワールドのようなことが起きているのか?これが一番の見所である。




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