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『圕の大魔術師』考察:作中に登場するヒューロン語の解読を試みる【泉光】





ビブリオファンタジーの『圕の大魔術師』。ワクワクするストーリー、そして繊細な絵、個性豊かな登場人物たち、そして何より驚いたのは、その設定の細かさ。


扉絵で紹介される民族や歴史など、ファンタジーの世界を形作るのには欠かせない要素の設定が練りに練られている。もちろんそれは言葉にも及んでおり、物語で登場する架空の言語もけっして適当に書かれているわけではない。


そこで今回は『圕の大魔術師』の世界で、多く使われている『ヒューロン語』についてできる限り解読を行った。完璧ではないのであしからず。むしろ有識者よ、助けてくれ…!


もし、完璧に読めるようになれば、隠されている伏線などにも気付けるかもしれない。


目次

1.解読方法

物語の途中、扉絵、間話に、日本語とヒューロン語が並べて書かれている箇所がある。一番最初に出てくるのは1巻P18の「ジャグラザットの冒険」。


これらのヒューロン語の形と日本語の読みに注目していきあぶり出しを行った。例えば物語に巻頭で書かれている印象的な台詞。

書を護ること
それ即ち
世界を護ることなり

1巻P73でシオがセドナの本を読んでいるときに上記の言葉とそれのヒューロン語が描かれている。






まず注目したのが、ひらがなにしたときの文字数とヒューロン語の文字数が同数だったことから、それぞれひらがなに当てはまる形があると予想した。


次に注目したのが文頭の形。「し」「そ」「せ」が同じ形であることから△に似た形が「S」と同じ働き、そして上下につく点で母音の役割を果たしていると予想できる。


……といった感じでそれぞれ当てはまるものを探していった。

※画像の青は、細かくて判別ができなかったため予想の形

2.ヒューロン語の基本形

先程の説明の通り調べていき、母音と子音の形は下記のようになると考えられる。

──母音について

母音はa.i.u.eが上、oが下に付くのが基本らしい。ただしK、R、Pはすべての母音が下につくようだ?


また同じ母音が続く場合は─で表される。先程の例を参考にみると『こと』『なわ』はoとa母音が連続しているため─で表されている。




──『ん』

『ん』はNと同じ形で表されるが、母音を付けないことで区別されている。

──数字

1〜8までの数字は以下である。


2巻の扉絵の下部分に数字らしき記載があったのでそこから推測。しかしこれだけだと数字なのか確証は得られないが、3巻P15に『受験番号54』と日本語とヒューロン語で書かれている。


この54の形が、扉絵の4番目と5番目の形と一致していたので間違いないと思われる。

0と9についてはまだわからない。
 

──その他

長音符や「ぁ」「ゃ」「っ」などの拗音、促音に関してはサンプル数が少なかったため確証はない。

載っていた巻数、ページとともに記しておく。


3.例外と不明な点

先程あげた基本形から異なる形
①「く」が「K」とは異なる。
②同じ子音が連続する場合は省略される。
③おそらく「とちゅう」と読むのだろうが、「と」「ち」が基本形と異なる。Mと似てるが、恐らく下線の凹みで区別される?「ゅ」もよくわからない。
④「の」「ん」が「N」とは異なる形。簡略化された書き方?


4.おまけ

1巻ラストにシオが読んでいた本のタイトルには日本語がついていないが、翻訳できた。おそらくだが
『砂漠の鐘の冒険(さばくのかねのぼうけん)』
だと思われる。


シオが作中に読んでいる本の内容なども、頑張れば読めるのだろうが……細かいので確証が得られない。

5.最後に

まだまだ不完全な部分が多いが、私の知恵を絞りきった。残りは有識者に託したいと思う。ご指摘等あったら遠慮なくしていただけるととても嬉しい。



【オススメ】




『白鳥とコウモリ』感想:負の連鎖は止まらない【東野圭吾】

「そんなことが起こりますか?そんな奇跡みたいなことが」
「夢だよ、俺の。刑事ってのは、辛い現実ばかりを見せられる仕事だ。たまには夢ぐらい見せてくれ」

(引用:白鳥とコウモリ P502/東野圭吾)


2021年4月に発売された東野圭吾の新作『白鳥とコウモリ』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。

目次

感想

東野圭吾の作品を読むのは久しぶりだったのだが、やはり圧倒的に読みやすい。そして面白い。今回の『白鳥とコウモリ』、単行本で500ページ越えとなかなかの文量があったが、すぐに物語の中に引き込まれあっという間に読了。


彼の作品は一気読みさせる魔力がある。『罪と罰』がテーマになっていることから明らかなように、決して、読んでいて無条件に「楽しい!!」となる話ではない。


しかし、じりじりと真相に迫る緊張感、物語がひっくり返る瞬間の驚き、そして最後をどう締めくくるのかという期待……!読み手の飽きさせない500ページだった。


最後には希望の光も覗かせたりと、個人的にはスッキリした気持ちで読み終えることができた一冊。


──すべての元凶は……

詐欺師の灰谷さえいなければ、今回の事件も30年前の事件も起きることはなかったんだろうなぁと思わずにはいられない。


灰谷の悪行のせいで白石が殺人を犯してしまい、同時期に倉木が灰谷に絡まれてしまっていたからこそ、誤認逮捕で福間が捕まり自殺。


福間の残された家族、織江と洋子は周りから非難の目で見られ、苦労の人生を送ることになり、さらには白石も復讐(というには怪しいが)で殺されてしまう…と。


まさに負の連鎖。


悪人のせいで善人の人生が狂わされていくのは、見ていてやるせない気持ちになるけど、見えないだけで大なり小なり現実世界でも同じようなことが起きてるんだよなぁ……。


──『白鳥とコウモリ』

タイトルの意味、読み始める前は「何らかの対比だろう」と思っていたけど、対比+αの意味合いがあったようだ。

「どちらも事件の真相に納得していないってことだ。《中略》加害者側と被害者側、立場上は敵同士だが、目的は同じ。ならば手を組もうと思っても不思議じゃない」
「なるほどねえ……といいつつ、やっぱり納得できないですね。《中略》光と影、昼と夜、まるで白鳥とコウモリが一緒に空を飛ぼうって話だ」

(引用:白鳥とコウモリ P391)


『被害者側』と『加害者側』という互いに相容れない関係の例えとして『白鳥とコウモリ』としている。その上で、その白鳥とコウモリがどうしたら手を取り合っていけるのか?(上の引用から取れば、どうしたら一緒に空が飛べるのか)が本書の肝……というか著者が書きたかった所なのかな、と思った。


その肝の部分が『被害者側』と『加害者側』の入れ代わり。両方の体験をしたからこそ、お互いの気持ちが分かる。だから手を取り合っていける。


けっこう無茶はあるけど、この建前が成立するのは和真と美令の人間性……ひいては二人の父親の人間性あってこそだと思う。


本書の大きな部分で「白石健介は殺されるような人ではない」、「倉木達郎は殺人を行うような人ではない」と語られるし、それが真実である。まぁ白石は過去に殺人をしている訳だが……それには訳があり真人間であることは間違いないだろう。


この二人の血を継いでいる和真と美令、根本の部分は二人とも真面目で素晴らしい人間だからこそ成り立ったのかなと思ったり思わなかったり。


印象に残ったセリフなど

「真相なんてね、そう簡単にわかるものじゃないの。わかったとしても大したものじゃない。お父さんがよくいってた。犯行動機をうまく説明できない被告人は多いって。なんとなく盗んだ、気が付いたら殺してた、自分でもよくわからない、そんなのばっかりだって。

(引用:白鳥とコウモリ P360)

なんでもないセリフだが、真相を知る前は、白石が弁護士として働いてきたからこそでてきた言葉だと思っていたが、実体験として自らのことも暗に言ってたのだなと分かったときの重みが…。


「人を殺しておきながら罪を逃れ、ふつうの生活を送って家庭まで築いた。そんな男の子供が生きていてもいいんだろうかって。母と父とは他人です。でもあたしの身体には殺人者の血が流れています。もしあたしが子供を産んだら、その子にも血が受け継がれます。それは許されることでしょうか?」

(引用:白鳥とコウモリ P521)


殺人者の血が受け継がれるかもしれないが、それ以上に素晴らしいものを和真と美令の子供なら受け継いでくれそうな気がする。

最後に

本書の帯には下記のようにあった。

『白夜行』『手紙』──新たなる最高傑作。東野圭吾『罪と罰』

まぁ順当に面白かったが……。最高傑作は宣伝文句感が強いなぁとは思ってしまった。物語の構成は緻密で抜け目がないが、読み手の感情に刺さる部分は弱い印象。


とはいってもそもそもガリレオに加賀恭一郎に白夜行に…と比較されるハードルが高すぎるってのもあるよね。


【オススメ】




『天冥の標X〈青葉よ、豊かなれ〉』の感想を好き勝手に語る【小川一水】


「……あんたもじゃない」
「ん?」
「とてつもなく大きな敵に立ち向かって、とてつもなくたくさんの味方と戦ってきただけだかと思ったら、あんたにも……一番大事な一人が、いたんじゃない」

(引用:天冥の標X part1 P303/小川一水)


シリーズラストとなる『天冥の標X〈青葉よ、豊かなれ〉』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。前回の感想はコチラ。

【『天冥の標Ⅸ』感想】

目次

感想

怒涛の最終巻だったぜ…。10巻だけで3冊構成、1000ページオーバーの特大ボリューム。

チカヤの過去編から始まり、コルホーネン視点で地球群と救世群侵略後の地球の様子が語られ、アカネカをはじめとする異星物とそれらの規模に圧倒され、ついにミスチフとの決着がつく…と。まさに最終巻にふさわしい圧巻の展開だった。


印象的なシーンが数多くあったし、好きなシーンも数多くできた。


──MMS人としての自覚

Part1だけでも『第1章 芽生えざる種』のチカヤたちの月面編、『第3章 昏睡の眠り』のコルホーネンの過去編…と、見所と印象的な場面が目白押しだった。


10巻にしてまさかチカヤから始まるとは思いもよらず。確かに救世群が月に追いやられた事実は告げられていたけど、ここに持ってくるとは…!月面の開拓は著者の『第六大陸』をふと思い出したね。


遠い未来でも崇められていた理由がわかる、チカヤの強さが垣間見えた話だった。


コルホーネンの過去編もそれだけで一巻使えそうなほど面白い。”孤独”が印象深い。


そんな見事満載なPart1で一番印象深かったのがカルミアンとノルルスカインの意識の変化だった。


カルミアンは人と異なる種族である、しかし人と同じ『メニー・メニー・シープ人』であることには変わりない。さらには、ノルルスカインさえも

「僕もまた、他の何者でもなくメニー・メニー・シープの住人に違いない。

(引用:天冥の標X part1 P288)


生まれた星は異なれど、今はメニー・メニー・シープがそれぞれのかけがえのない場所に変わっている。この自覚を期に、どこか取り引きめいた関係からメニー・メニー・シープもとい惑星セレスを守るための本当の協力体制に変わった両者が印象的で胸が熱くなった。


──ノルルスカインの素

今まで圧倒的な性能と存在感で全知全能めいていたノルルスカイン。先程ふれた『メニー・メニー・シープの住人』という自覚もそうだが、最終巻にしてようやくノルルスカインの素の部分と感情的な部分が見れた巻だった。


下記はイサリとノルルスカインの会話

「……あんたもじゃない」
「ん?」
「とてつもなく大きな敵に立ち向かって、とてつもなくたくさんの味方と戦ってきただけだかと思ったら、あんたにも……一番大事な一人が、いたんじゃない」
「なんの──」ことだい、と訊き返そうとしてノルルスカインは言葉を切った。
そう、だった。確かにそうなのだった。分厚い地層のように積み重なった体験の底に埋もれ、たびたび思い出しはしても、もうすっかり化石のように白く乾いた一つの名前は、しかし最初は、何よりも大切なものだったはずなのだ。
「ミスチフ……」

(引用:天冥の標X part1 P303)


被展開体といえば、アクリラが被展開体になるとはなぁ…誰も予想できないでしょ…。被展開体になってからのアクリラとノルルスカインの軽快な掛け合いが好き。とくにアクリラがノルルスカインのことを『ノル』って呼ぶ所とか最高。


また同じ被展開体としてノルルスカインがアクリラを同等に見る……信頼できる仲間のように扱ってる場面がこれまでのノルルスカインからは想像できない姿で、ミスチフ以来やっとできた本当の友達なんだなぁと思い知らされた。

「僕が何で君を選んだと思う?単に都合のいい時に都合のいい場所で死にかかったやつはいたからか?そんなわけがないだろう!君が一人じゃないからだ!三百年の歴史を持つメニー・メニー・シープ、六百年の歴史を持つ《酸素いらず》八百年の歴史を持つ《救世群》、一万年の歴史を持つ人類文明、そして原始のシアノバクテリア以来三十五億年の歴史を持つ地球生命、そういう宇宙の片隅のちっぽけなカビみたいではあるけれど、それなりに長いこと努力を積み上げてきた連中の、一番先っちょで一番みんなと仲のいいやつだと思ったから、ここへ連れてきたんだ!みんな君を信じてる。誰が一人だもんか!」

(引用:天冥の標X part3 P216)
こんな感情的なノルルスカイン今まで見たことがあっただろうか、いやない。


──オムニフロラへの対抗手段

Part2でもルッツとアッシュの死や、イサリとミヒルの決着など様々なことが描かれていたが、進化論に基づいたオムニフロラへの対抗手段が抜群に熱かった。


圧倒的な力を有するオムニフロラ、超新星爆発を持ち出してようやく対抗できる相手に他にどんな勝機が見いだせるか想像もできなかったが……。

「そうか……」カドムは大きくうなずく。「俺たち自身の、病原体との戦いの中で培われてきた力。6万年分の進化。その成果が……その遺伝子だというわけか!」

(引用:天冥の標X part2 P95)


オムニフロラはしていなかった『進化』。6千万年分の進化の歴史。こういう勝ち筋の見出し方があるのかと読んでいて最高に興奮した。引用した場所だけでなくこの付近20〜30ページのリリー、セアキ、イサリの会話は何度読んでも面白い。

──ヒトは、何処へ行けばいいのだろう?

セアキがPart1の123ページで想いを馳せていた。ウーラもまた「自分がどこからきて、どこへいくのか」悩んでいた。


すべてが解決したあとで、どこへ帰ればいいのだろうか?私も登場人物たちと同様、気になっていた点。


それを地球に帰る…!!ええやん。『ヴァンディ』の名前を継ぐものが現れて、《救世群》とカルミアンも同じ環境で暮らしている。さらにはカン類たち、あの時の戦友も移り住んでいる。大団円とはまさにこのこと。


他に印象に残ったセリフなど

 人類を知らない、人類の知らない者たちの前で、人類に淵源を発する、しかし人類とは異なるものとなった艦隊が、動き始める。

(引用:天冥の標X part1 P81)

「君、兵士がなぜ死ねるのかわかってないな」イスハークは首を振る。【兵士が目の前の敵に全力を叩き込めるのは、自分の背後に自分より大きなものがあると分かっているからだ。守るべき家族だったり、恋人だったり、そういう人々が住んでいる国だったり、あるいはそれらをすべて包み込む大きな存在が、自分が死んだ後も続いていくと信じられるから、死んでいけるんだ。未来だよ、セアキ先生。俺たちの帰りつく場所が見えていること、これが大事なんだ」

(引用:天冥の標X part1 P121-122)


このセリフの少し後にエンルエンラにも同じような思想があることが語られているんだけど、ヒトとエンルエンラも手を取り合っていける伏線がすでにあったんだな。

「本当のことを話していこう。嘘は百万でもつくことができるけど、本当のことを言える機会は滅多にない」

(引用:天冥の標X part2 P188)

「ヒトは、なるものじゃない!そのように在るものだ!誰かから奪えるものじゃない、今この自分がそうだと認める在るもの、殺されて殺して殺さない、そういうの全部抱えて自分だとするものが、ヒトじゃないの!」

(引用:天冥の標X part2 P299)
イサリとミヒルの戦闘中の会話。

裏表紙

天冥の標Xpart3の裏表紙のあらすじがズルい。これまでのサブタイトルすべてが詰め込まれている。

メニー・メニー・シープという人類の方舟を舞台にした、《救世群》たちと、アウレーリア一統の末裔、そして機械じかけの子息たちの物語は、ここに大円団を迎える。羊と猿と百掬の銀河の彼方より伝わる因縁、人類史上最悪の宿怨を乗り越え、かろうじて新世界ハーブCより再興した地で、絶望的なジャイアント・アークの下、ヒトであるヒトとないヒトとともに私たちは願う、青葉よ、豊かなれと。天冥の標10巻・17冊、ついに完結。

(引用:天冥の標X part3 裏表紙)

最後に

あとがきで著者が行き詰まったとき、それを突破できた理由をいくつか語られていたが、そのうちの一つが「キャラクターたちの力」だと仰っていた。

カドムやアクリラやイサリがあの世界を駆け抜けられないわけがない。

(引用:天冥の標X part3 P365)


『駆け抜けられないわけがない』かぁ。ホントに魅力的な3人だったなぁ。


1巻に手を出したのは約半年前、6ヶ月でようやく読み切った、いや読み切ってしまった。いやはや、長い長い冒険だった。


【オススメ】




『ジェイムズ・P・ホーガン』の作品一覧と和訳されている作品まとめ【33作品】



SF界の巨匠『ジェイムズ・P・ホーガン』。今回は彼の作品一覧と、邦訳されている作品のあらすじをまとめた。彼の作品に興味がある方の参考になればと思う。ホーガンの作品にはじめて手を出そうと思っているならまずは『星を継ぐもの』を読もう。話はそれからだ。


目次

『ジェイムズ・P・ホーガン』について

『ジェイムズ・P・ホーガン』や『J・P・ホーガン』とよく略されているが正式な名前は、『ジェイムズ・パトリック・ホーガン(James Patrick Hogan)』。1941年にイギリスで生まれ、2010年には亡くなられてしまっている。


彼の代表作はなんといっても『星を継ぐもの』。ホーガンのデビュー作であり、一番の人気作と言っていいだろう。


彼の作風はハードSFで、日本では星雲賞に3度も受賞したほどの人気を誇る。


(※星雲賞は、前暦年に発表もしくは完結した、優秀なSF作品およびSF活動に贈られる賞。)


その受賞作は、先程述べた『星を継ぐもの』、それの続編である『内なる宇宙』、そして『創生記機械』の3つである。


作品一覧

ここではホーガンの全33作品のタイトルをシリーズごとに紹介(年は刊行年)。また英語のタイトルは邦訳されいない作品である。

──『巨人たちの星』シリーズ

1978年 星を継ぐもの
1978年 ガニメデの優しい巨人
1981年 巨人たちの星
1991年 内なる宇宙
2005年 Mission to Minerva

──『造物主』シリーズ

1983年 造物主の掟
1995年 造物主の選択

──『揺籃の星』シリーズ(未完)

1999年 揺籃の星
2003年 黎明の星

──単発長編

1978年 創世記機械
1979年 未来の二つの顔
1980年 未来からのホットライン
1982年 断絶への航海
1985年 プロテウス・オペレーション
1987年 終局のエニグマ
1989年 ミラー・メイズ
1991年 インフィニティ・リミテッド
1992年 マルチプレックス・マン
1993年 時間泥棒
1995年 仮想空間計画
1996年 量子宇宙干渉機
1997年 ミクロ・パーク
1998年 Star Child
1999年 Outward Bound
2000年 The Legend that was Earth
2001年 火星の遺跡
2007年 Echoes of an Alien Sky
2008年 Moon Flower

※Echoes of an Alien Skyは『未踏の蒼穹』として2022年に邦訳・出版された。

──その他(ノンフィクション・短編等)

1988年 Minds, Machines & Evolution
1999年 Rockets, Redheads & Revolution
2005年 Catastrophes, Chaos & Convolutions
1998年 Mind Matters
2004年 Kicking The Sacred Cow

邦訳されている作品のあらすじ・紹介

邦訳されている22作品のあらすじを紹介していく。なおシリーズ作品に関しては最初の作品のあらすじのみ載せる。


──『星を継ぐもの』

──あらすじ

月面で発見された真紅の宇宙服をまとった死体。だが綿密の調査の結果、驚くべき事実が判明する。死体はどの月面基地の所属でもないだけでなく、この世界の住人でさえなかった。彼は5万年前に死亡していたのだ!一方、木星の衛星ガニメデで、地球のものではない宇宙船の残骸が発見される。関連は?J・P・ホーガンがこの一作を持って現代ハードSFの巨星となった傑作長編!

(引用:星を継ぐもの)


物語は月面で宇宙服を身につけた死体が発見されて幕をあける。月面で死体が発見されることでも驚きなのに、調査の結果その人物は5万年前に死んでいたことが分かったのだ!!


『星を継ぐもの』の面白い点は、宇宙、そして宇宙人という壮大なテーマの物語であるにも関わらず、ストーリーは一貫して月面の死体は何者なのか?どこから来たのか?に特化している点だ。


物理学、言語学、天文学、数学、化学、地理...ありとあらゆる専門家が様々な視点から謎に迫っていくのだが、その様子がたまらなく面白い。


シリーズを通して明らかになる謎、二転三転する衝撃の事実も目が離せない。


【シリーズを通しての紹介】

──『造物主の掟』

──あらすじ

百万年の昔、故障を起こした異星の自動工場宇宙船が土星の衛星タイタンに着陸し、自動工場を建設し始めた。だが、衛星の資源を使って作った製品を母星に送り出すはずのロボットたちは、故障のため独自の進化の道をたどり始めたのだ。いまタイタンを訪れた地球人を見て、彼ら機械生物は……? ホーガンSFの真髄がここに!

(引用:https://www.amazon.co.jp/%E9%80%A0%E7%89%A9%E4%B8%BB-%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%95%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC-%E3%81%AE%E6%8E%9F-%E5%89%B5%E5%85%83SF%E6%96%87%E5%BA%AB-663-7/dp/4488663079

──『揺籃の星』

──あらすじ

地球はかつて土星の衛星であった!?土星の衛星に住むクロニア人科学者たちは、地球の科学者にとって到底受け入れがたい惑星理論を展開する。太陽系は何十億年も同じ状態を保ってきたのではない。現に今、木星から生まれた小惑星のアテナは突如彗星と化し、地球を襲おうとしているのだと。物議を醸したヴェリコフスキー理論を大胆に応用、宇宙の謎に迫るハードSF新三部作開幕。

(引用:https://www.amazon.co.jp/%E6%8F%BA%E7%B1%83%E3%81%AE%E6%98%9F-%E4%B8%8A-%E5%89%B5%E5%85%83SF%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%BBP%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%B3/dp/4488663230



──創世記機械

──あらすじ

若き天才科学者クリフォードは、統一場理論の研究を進めるうち、宇宙の無限のエネルギーを直接とり出す機械を発明した。この装置をうまく利用すれば究極兵器がつくれると判断した軍部は、ともすると反体制的なクリフォードを辞職に追いやる一方、独自の研究開発を続けたのだが……。ホーガン面目躍如の大作。

(引用:https://www.amazon.co.jp/%E5%89%B5%E4%B8%96%E8%A8%98%E6%A9%9F%E6%A2%B0-%E5%89%B5%E5%85%83SF%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%BBP%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%B3/dp/4488663044


──未来の二つの顔

──あらすじ

人工知能を研究しているダイアー博士は研究中止命令の内示を受けて愕然とする。月面の工事現場で、コンピューターが勝手に下した誤った判断のために、大事故が起きたのだ。人工知能に仕事を任せる事の是非をめぐって論議がわき起こる。そのときダイアーが提案した実験とは……。ハードSFの第一人者ホーガンの待望の巨編!

(引用:https://www.amazon.co.jp/%E6%9C%AA%E6%9D%A5%E3%81%AE%E4%BA%8C%E3%81%A4%E3%81%AE%E9%A1%94-%E5%89%B5%E5%85%83SF%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%BBP%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%B3/dp/4488663052


──未来からのホットライン

──あらすじ

アメリカ西海岸で技術コンサルタント事務所を開いているマードック・ロスは、スコットランドの古城に住む引退した物理学者の祖父に招かれ、友人のリーとともにイギリスへ向かった。祖父が政府の助けもなく、独力でタイム・マシンを完成させたというのだ。タイム・マシン・テーマにいどんだJ・P・ホーガンのお手並みやいかに。

(引用: https://www.amazon.co.jp/%E6%9C%AA%E6%9D%A5%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E3%83%9B%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3-%E5%89%B5%E5%85%83SF%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%BBP%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%B3/dp/4488663060


──断絶への航海

──あらすじ

第三次世界大戦の傷もようやく癒えた2040年、アルファ・ケンタウリから通信が届いた。大戦直前に出発した移民船〈クヮン・イン〉が植民に適した惑星を発見、豊富な資源を利用して理想郷建設に着手したというのだ。この朗報をうけ〈メイフラワー二世〉が建造され、惑星ケイロンめざして旅立った。だが彼らを待っていたのは、地球とはあまりにも異質な社会だった…現代ハードSFの旗手がはなつ壮大なスペース・ドラマ。

(引用:https://www.amazon.co.jp/%E6%96%AD%E7%B5%B6%E3%81%B8%E3%81%AE%E8%88%AA%E6%B5%B7-%E3%83%8F%E3%83%A4%E3%82%AB%E3%83%AF%E6%96%87%E5%BA%ABSF-%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%BBP-%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%B3/dp/4150115044


──プロテウス・オペレーション 

──あらすじ

1974年、世界はかつてない暗黒時代を迎えていた。第二次大戦で圧倒的勝利を収めたナチス・ドイツが、ヨーロッパのみならず、世界の大部分を支配していたのだ。そしてナチスの魔手は、ついにアメリカ合衆国へと伸びようとしていた。アメリカにとって最後の希望は「プロテウス作戦」―過去へと精鋭部隊を送りこみ、歴史の進路を変えて、ナチスを叩き潰す作戦であった!ホーガンが迫真の筆致で描く時間テーマSF超大作。

(引用:https://www.amazon.co.jp/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%86%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%9A%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3-%E3%83%8F%E3%83%A4%E3%82%AB%E3%83%AF%E6%96%87%E5%BA%ABSF-%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%BBP-%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%B3/dp/4150117659


──終局のエニグマ

──あらすじ

ソビエトが月軌道上に建設した巨大な宇宙島。ソ連政府当局は、これこそ彼らの宇宙計画の平和的目標の象徴であると主張した。しかし、合衆国国防総省の見方は違っていた。この宇宙島には強力なX線レーザーが積み込まれているに違いない。平和目的どころか、これこそ究極の攻撃兵器なのだ。この謎を解くため、二人のエージェントが送り込まれたが…。

(引用:https://www.amazon.co.jp/%E7%B5%82%E5%B1%80%E3%81%AE%E3%82%A8%E3%83%8B%E3%82%B0%E3%83%9E%E3%80%88%E4%B8%8A%E3%80%89-%E5%89%B5%E5%85%83%E6%8E%A8%E7%90%86%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%BBP-%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%B3/dp/4488663087


──ミラー・メイズ

──あらすじ

西暦2000年の合衆国。新たな千年紀を目前に控えた大統領選。既成の二大政党を押さえて闘いを制したのは、護憲党と呼ばれる、全くの新興政党だった。政府による干渉を一切やめ、真の自由を謳う新大統領。だが一方でそんな自由を嫌うものたちもいた。選挙当日に起きた物理学者の殺害事件はほんの発端であり…。起死回生を狙って反対勢力が密かに企てる世界支配計画とは。

(引用:https://www.amazon.co.jp/%E3%83%9F%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%82%BA%E3%80%88%E4%B8%8A%E3%80%89-%E5%89%B5%E5%85%83SF%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%BBP-%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%B3/dp/4488663133


──インフィニティ・リミテッド

──あらすじ

作家という肩書きの裏で、フリーの諜報活動を続けるバーナード・ファロン。今度の依頼も、当初は第三世界にありがちな小競り合いとしか彼の目には映らなかった。ズゲンダなる独裁政府と対する共和戦線から、傭兵部隊の編成と敵の動向探査という、相次ぐ依頼…そこへ旧知の人物が突如姿を現す。われわれ「インフィニティ・リミテッド」のために両者の仕事を引き受けてほしいと。

(引用:https://www.amazon.co.jp/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%8B%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%9F%E3%83%86%E3%83%83%E3%83%89%E3%80%88%E4%B8%8A%E3%80%89-%E5%89%B5%E5%85%83SF%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%BBP-%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%B3/dp/448866315X


──マルチプレックス・マン

──あらすじ

気がついた時、ジャロウは七カ月間の記憶を失っていた。知人たちのもとを訪ねるが、誰ひとり彼のことを知らない。それどころか、彼は五カ月前に死亡したのだという。では一体この自分は誰なのか。身辺に残された手がかりをたぐるうちに浮かび上がった、彼自身がキイとなる恐るべき計画とは。宇宙に人類が進出し、世界構造も再編された近未来社会に展開するハードSFサスペンス。

(引用:https://www.amazon.co.jp/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%81%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%80%88%E4%B8%8A%E3%80%89-%E5%89%B5%E5%85%83SF%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%BBP-%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%B3/dp/4488663109



──時間泥棒

──あらすじ

ある日、ニューヨーク市の時間がおかしくなりはじめた。全世界でもこの街でだけ、時計がどんどん遅れていくのだ。しかも街の場所ごとで遅れ方が違う。前代未聞の事態に著名物理学者が言うには「異次元世界のエイリアンが我々の時間を少しずつ盗んでいるのです」。議論は際限なく続くが、その間にも時間は本当になくなっていく。大騒動の顛末は。巨匠が贈る時間SFの新機軸。

(引用:https://www.amazon.co.jp/%E6%99%82%E9%96%93%E6%B3%A5%E6%A3%92-%E5%89%B5%E5%85%83SF%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%BBP-%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%B3/dp/4488663125


──仮想空間計画

──あらすじ

科学者ジョー・コリガンは見知らぬ病院で目を覚ました。彼は現実に限りなく近いヴァーチャル・リアリティの開発に従事していたが、テストとして自ら神経接合した後の記憶は失われている。開発計画は失敗し、放棄されたらしい…。だが、ある女が現れて言う。二人ともまだ、シミュレーション内に取り残されているのだ、と。あまりにリアルな仮想現実から、脱出する方法はあるのか?

(引用:https://www.amazon.co.jp/%E4%BB%AE%E6%83%B3%E7%A9%BA%E9%96%93%E8%A8%88%E7%94%BB-%E5%89%B5%E5%85%83SF%E6%96%87%E5%BA%AB-J%E3%83%BBP%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%B3/dp/4488663214



──量子宇宙干渉機

──あらすじ

世界が再び全面戦争の危機に直面した21世紀、ついに量子コンピュータは完成を見た。この世界は唯一の存在ではなく、同様に無数の世界が並行してあり、それらの相互干渉によって、いかなる物事が起こるのかが決定される。国防総省の極秘プロジェクトは、その別世界に干渉することで、現実の世界危機を回避できるというが…。量子力学の“多世界解釈”に基づく多元宇宙ハードSF。

(引用:https://www.amazon.co.jp/%E9%87%8F%E5%AD%90%E5%AE%87%E5%AE%99%E5%B9%B2%E6%B8%89%E6%A9%9F-%E5%89%B5%E5%85%83SF%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%BBP-%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%B3/dp/4488663192


──ミクロ・パーク

──あらすじ

まだ十五歳のケヴィンとその友人は、父親の会社で工作用の超小型ロボットの開発現場に足を踏み入れた。サイズが違えば、物理的特性が変わる。用途が変われば、新たなビジネスの機会が生まれる。極小マシンを裏庭のミニチュア世界のなかで操り、戦闘ゲームを楽しむふたりのアイディアは、箱庭式次世代テーマパークとなりうるか?ナノテク+仮想現実技術のハードSFサスペンス。

(引用:https://www.amazon.co.jp/%E3%83%9F%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%BB%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%AF-%E5%89%B5%E5%85%83SF%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%BBP-%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%B3/dp/4488663222



──火星の遺跡

──あらすじ

火星の都市で行われた瞬間移動技術の人体実験は成功と思われたが、被験者となった科学者の身辺で奇妙な事件が多発する。一方、火星の荒野で発見された12000年前の巨石遺跡を、太陽系各地に足跡を残す古代文明の実在証拠と考える地球からの考古学遠征隊には、大きな危機が迫る。ふたつの謎を巡り、紛争調停人キーランは調査に乗り出す。『星を継ぐもの』の巨匠、円熟期の傑作!

(引用:https://www.amazon.co.jp/%E7%81%AB%E6%98%9F%E3%81%AE%E9%81%BA%E8%B7%A1-%E5%89%B5%E5%85%83SF%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%BBP%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%B3/dp/4488663273


──未踏の蒼穹

金星文明は、かつての栄華を誇りながら絶滅した文明が存在する惑星、地球〈テラ〉の探査計画に取り組んでいた。テラ文明はなぜ滅んだのか?月の遺跡で発見された、テラ人が持っていたはずのない超技術の痕跡は、何を示唆しているのか?科学探査隊の一員カイアル・リーンは、テラ文明が遺した数々の謎に挑む──。ハードSFの巨星が放つ、もうひとつの『星を継ぐもの』ついに邦訳。

(引用:未踏の蒼穹 裏表紙)


──もう一つの『星を継ぐもの』
あらすじに《もうひとつの『星を継ぐもの』》とあるように、『星を継ぐもの』に似た要素はあった。


具体的には、『星を継ぐもの』は、月で発見された人と似た生命体の起源を探る話。
対して『未踏の蒼穹』は、金星人たちが自分たちと似ている地球人について調べ、地球人並びに金星人の起源を探る話である。



最後に

『巨人たちの星』シリーズが大好きなのだが、邦訳されていない続編『Mission to Minerva』があるのを今回初めて知った……。読みたいものだが、訳されているものでも難しいものを原文のまま読める気がしないんだよなぁ……。

【オススメ】




『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』のあらすじ・紹介【東野圭吾】

東野圭吾の『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』のあらすじ・見所を重要なネタバレなしで紹介していく。


【感想はコチラ】

目次

あらすじ

謎を解くためなら、手段を選ばない。コロナの時代に、とんでもないヒーローがあらわれた!
名もなき町。ほとんどの人が訪れたこともなく、訪れようともしない町。けれど、この町は寂れてはいても観光地で、再び客を呼ぶための華々しい計画が進行中だった。多くの住民の期待を集めていた計画はしかし、世界中を襲ったコロナウイルスの蔓延により頓挫。町は望みを絶たれてしまう。そんなタイミングで殺人事件が発生。犯人はもちろん、犯行の流れも謎だらけ。当然だが、警察は、被害者遺族にも関係者にも捜査過程を教えてくれない。いったい、何が起こったのか。「俺は自分の手で、警察より先に真相を突き止めたいと思っている」──。颯爽とあらわれた〝黒い魔術師〟が人を喰ったような知恵と仕掛けを駆使して、犯人と警察に挑む!

(引用:https://www.amazon.co.jp/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%81%A8%E5%90%8D%E3%82%82%E3%81%AA%E3%81%8D%E7%94%BA%E3%81%AE%E6%AE%BA%E4%BA%BA-%E6%9D%B1%E9%87%8E-%E5%9C%AD%E5%90%BE/dp/4334913725)

紹介・見どころ

──現代とリンクした時代背景

『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』の一番の特徴はなんといっても、コロナが巻き起こっている現代を舞台にした作品であることだ。


『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』が刊行されたのが2020年の11月。本格的にコロナが蔓延し始めてから1年未満での作品刊行である。早すぎる。


コロナの時代背景をいち早く取り入れていて、今の時代のリアルさを感じる。それとともに物語の鍵に爆発的ヒットのアニメの存在があるのも昨今の世の中と似ている部分がある。もちろんタイトルや内容はまったく違うけれども、どうしても鬼○の刃を連想してしまった。


コロナ禍である今、本作を読んだとしたらより物語にリアリティを感じられるだろう。逆に「小説の中でまでコロナは勘弁」という方はオススメできない。


──今回の探偵は……!

タイトルで感づいた方もいるだろうが、今回の探偵役(主人公)は、凄腕の元・マジシャンである。東野圭吾の作品で探偵役としては初起用の職業のはずだ。


元・マジシャンの神尾武史。彼の実の兄が何者かに自宅で殺人されてしまう。真相を探るべく、事件の調査に乗り出すわけだが、この主人公がかなりの曲者なのである。


冷静沈着で、狡猾で、そして利用できるものすべてを利用する大胆さ、何よりマジシャンならではの手さばきで警察すら出し抜く様子はまさに読んでいて爽快である。


──続編もありそう?

個人的な予想だが、今後続編が出そうな雰囲気がする。というのも主人公の過去があからさまに語られていないのである。過去についてノータッチだったわけでなく、主人公が過去に触れるのを断り、そのまま本作は終わってしまった。


つまり今後、主人公の過去の出来事を絡めた続編がでるのではないか?と期待している。

【オススメ】




加賀恭一郎シリーズの作品一覧とあらすじ・紹介【東野圭吾】



数多くの作品を世に放っている東野圭吾。その中でもシリーズ作品は特に人気を博している。魅力的な主人公、巻き起こる事件、そしてシリーズを通して読むことで明らかになる新たな事実──!


東野圭吾でシリーズものとえば、天才物理学者・湯川学を主人公とした『ガリレオシリーズ』や、最近では映画化もされた『マスカレードシリーズ』も人気である。

【各シリーズ紹介】


そして今回は東野圭吾もう一つの人気シリーズ『加賀恭一郎シリーズ』の紹介をしていく。


目次

『加賀恭一郎シリーズ』の特徴

主人公の加賀恭一郎は刑事である。他シリーズと比較すると設定としては一番シンプル。いや、シンプルだからこそ小細工のない面白いさも魅力の一つであるのだろう。


また映像化作品も多数あり、『麒麟の翼』、『祈りの幕が下りる時』は映画化され、『赤い指』などはドラマ化されている。


以下、刊行順のシリーズ一覧と()内は文庫本の刊行年数

1.『卒業』(1989年)
2.『眠りの森』(1992年)
3.『どちらかが彼女を殺した』(1999年)
4.『悪意』(2001年)
5.『私が彼を殺した』(2002年)
6.『嘘をもうひとつだけ』(2003年)
7.『赤い指』(2009年)
8.『新参者』(2013年)
9.『麒麟の翼』(2014年)
10.『祈りの幕が下りる時』(2016年)


読む順番としては、素直に刊行順に読めば間違いない。ただ、単体で読んでもミステリーとして十二分として面白いし、楽しめるようにできてるので、気になったタイトルから手をつけてみてもいいかもしれない。ただし個人的には刊行順に、そして『祈るの幕が下りる時』は最後に読むのをオススメする


『加賀恭一郎シリーズ』は、東野圭吾の他シリーズと違いすでに完結している。続きを待つモヤモヤが嫌な方にはオススメのシリーズである。


作品紹介

──1.『卒業』

──あらすじ

7人の大学4年生が秋を迎え、就職、恋愛に忙しい季節。 ある日、祥子が自室で死んだ。 部屋は密室、自殺か、他殺か? 心やさしき大学生名探偵・加賀恭一郎は、祥子が残した日記を手掛りに死の謎を追求する。 しかし、第2の事件はさらに異常なものだった。 茶道の作法の中に秘められた殺人ゲームの真相は!? 加賀恭一郎シリーズ

(引用:https://www.amazon.co.jp/%E5%8D%92%E6%A5%AD-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%9D%B1%E9%87%8E-%E5%9C%AD%E5%90%BE/dp/4061844407


──学生時代の加賀恭一郎
『加賀恭一郎シリーズは刑事ものである』と前述してしまったが、シリーズ1作目の『卒業』だけは例外で、加賀恭一郎が大学4年の時のストーリー。


加賀恭一郎のシリーズ1作目、そして東野圭吾の比較的初期の作品という点もあり、加賀恭一郎の、そして東野圭吾のルーツも垣間見える一冊となっている。


──2.『眠りの森』

──あらすじ

美貌のバレリーナが男を殺したのは、ほんとうに正当防衛だったのか?完璧な踊りを求めて一途にけいこに励む高柳バレエ団のプリマたち。美女たちの世界に迷い込んだ男は死体になっていた。若き敏腕刑事・加賀恭一郎は浅岡未緒に魅かれ、事件の真相に肉迫する。華やかな舞台の裏の哀しいダンサーの悲恋物語。

(引用:https://www.amazon.co.jp/%E7%9C%A0%E3%82%8A%E3%81%AE%E6%A3%AE-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%9D%B1%E9%87%8E-%E5%9C%AD%E5%90%BE/dp/4061851306


──若き日の加賀恭一郎
バレエ団という、多くの人には馴染みのない世界で描かれる物語。華やかなイメージの裏側にある過酷なプロの世界が垣間見えるのが印象的。


加賀恭一郎シリーズの中でも、恐らくもっとも感情的、情熱的な彼の姿を見る事ができる作品。冷静沈着だが、まだまだ若き刑事だったんだなと、再確認させられた。

──3.『どちらかが彼女を殺した』

──あらすじ

最愛の妹が偽装を施され殺害された。愛知県警豊橋署に勤務する兄・和泉康正は独自の“現場検証”の結果、容疑者を二人に絞り込む。一人は妹の親友。もう一人は、かつての恋人。妹の復讐に燃え真犯人に肉迫する兄、その前に立ちはだかる練馬署の加賀刑事。殺したのは男か?女か?究極の「推理」小説。

(引用:https://www.amazon.co.jp/%E3%81%A9%E3%81%A1%E3%82%89%E3%81%8B%E3%81%8C%E5%BD%BC%E5%A5%B3%E3%82%92%E6%AE%BA%E3%81%97%E3%81%9F-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%9D%B1%E9%87%8E-%E5%9C%AD%E5%90%BE/dp/4062645750

──作者からの挑戦状、あなたは解けるか…!?
タイトル通り初めから殺人事件の容疑者は二人に絞られており、ラストでも犯人は明かされず、東野圭吾から読者への挑戦状のような形式となっている変わった作品。


一度でわからなくても、2周目、3周目と読み返して是非ご自身の力で真相に答えを見つけ出してほしい。そうしたならきっと加賀恭一郎のすごさを改めて思い知らさせるはずだ。



──4.『悪意』

──あらすじ

人はなぜ人を殺すのか。
東野文学の最高峰。
人気作家が仕事場で殺された。第一発見者は、その妻と昔からの友人だった。
逮捕された犯人が決して語らない「動機」とはなんなのか。
超一級のホワイダニット。
加賀恭一郎シリーズ

(引用:https://www.amazon.co.jp/%E6%82%AA%E6%84%8F-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%9D%B1%E9%87%8E-%E5%9C%AD%E5%90%BE/dp/4062730170

──タイトルに込められた想い
早い段階で犯人は特定されてしまう。その段階から3作目『どちらかが彼女を殺した』では、”どちらが犯人なのか?”を突き詰めていった訳だが、『悪意』では犯人探しではなく、犯人の”とあること”についてスポットがあたっていく。


加賀恭一郎シリーズは、普段は隠れている人間の本性がよく見えるのも特徴の一つだと思うが、タイトル通りまさに人間が持つ『悪意』を思い知らされる一冊である。


──5.『私が彼を殺した』

──あらすじ

婚約中の男性の自宅に突然現れた一人の女性。男に裏切られたことを知った彼女は服毒自殺をはかった。男は自分との関わりを隠そうとする。醜い愛憎の果て、殺人は起こった。容疑者は3人。事件の鍵は女が残した毒入りカプセルの数とその行方。加賀刑事が探りあてた真相に、読者のあなたはどこまで迫れるか。

(引用:https://www.amazon.co.jp/%E7%A7%81%E3%81%8C%E5%BD%BC%E3%82%92%E6%AE%BA%E3%81%97%E3%81%9F-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%9D%B1%E9%87%8E-%E5%9C%AD%E5%90%BE/dp/4062733854


──作者からの挑戦状、第二弾
前々作『どちらかが彼女を殺した』に続き、最後まで犯人は明かされないスタイル。体感的には前作以上に難しい。是非チャレンジしてみてほしい。


前作と大きく異なるのは、加賀恭一郎視点ではなく、容疑者3人の視点でストーリーが進展していく点である。容疑者視点から見る加賀恭一郎も一味違って面白い。


──6.『嘘をもうひとつだけ』

──あらすじ

バレエ団の事務員が自宅マンションのバルコニーから転落、死亡した。事件は自殺で処理の方向に向かっている。だが、同じマンションに住む元プリマ・バレリーナのもとに一人の刑事がやってきた。彼女には殺人動機はなく、疑わしい点はなにもないはずだ。ところが…。人間の悲哀を描く新しい形のミステリー。

(引用:https://www.amazon.co.jp/%E5%98%98%E3%82%92%E3%82%82%E3%81%86%E3%81%B2%E3%81%A8%E3%81%A4%E3%81%A0%E3%81%91-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%9D%B1%E9%87%8E-%E5%9C%AD%E5%90%BE/dp/4062736691


──嘘は悪いこと?それとも…
加賀恭一郎シリーズ、唯一の短編集。 短編だけど、それぞれ読み応えはばっちりで、5つの事件が描かれている。一つひとつは50ページほどなので、サクサク読めるだろう。   


自衛のため、逃れるため、また大切な人を守るため……。
人はそれぞれいろんな理由で嘘をついて生きているが、この作品で描かれている嘘は……!



── 7.『赤い指』

──あらすじ

少女の遺体が住宅街で発見された。捜査上に浮かんだ平凡な家族。一体どんな悪夢が彼等を狂わせたのか。「この家には、隠されている真実がある。それはこの家の中で、彼等自身の手によって明かされなければならない」。刑事・加賀恭一郎の謎めいた言葉の意味は?家族のあり方を問う直木賞受賞後第一作。

(引用:https://www.amazon.co.jp/%E8%B5%A4%E3%81%84%E6%8C%87-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%9D%B1%E9%87%8E-%E5%9C%AD%E5%90%BE/dp/406276444X


──平凡なんてないのかもしれない
名作と名高い『赤い指』
トリックや誰が犯人なのか?を追及するのではなく、ひたすらに人間関係、家族関係についてスポットをあてており、加賀恭一郎シリーズらしさが全面にでている。

 

最後にはミステリーらしく、どんでん返しのような予想外の展開もまっているのだが……。読んでいて心苦しくなること間違いなしだ。




──8.『新参者』

──あらすじ

日本橋の片隅で一人の女性が絞殺された。着任したばかりの刑事・加賀恭一郎の前に立ちはだかるのは、人情という名の謎。手掛かりをくれるのは江戸情緒残る街に暮らす普通の人びと。「事件で傷ついた人がいるなら、救い出すのも私の仕事です」。大切な人を守るために生まれた謎が、犯人へと繋がっていく。

(引用:https://www.amazon.co.jp/%E6%96%B0%E5%8F%82%E8%80%85-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%9D%B1%E9%87%8E-%E5%9C%AD%E5%90%BE/dp/4062776286

──殺人事件と人間ドラマ
東京の下町を舞台に、殺人事件の謎に迫っていくのだが、殺人事件とは別に、加賀恭一郎が下町で暮す人々の日常に溶け込んだ作品である。


殺人事件の真相に迫りながらも、町で暮す人々との人間ドラマが絶妙に読み心地がいい。


重いテーマが多いこのシリーズだが、その中でも珍しく(?)暖かい気分になれる一冊。



──9.『麒麟の翼』

──あらすじ

ここから夢に羽ばたいていく、はずだった。誰も信じなくても、自分だけは信じよう。加賀シリーズ最高傑作。
寒い夜、日本橋の欄干にもたれかかる男に声をかけた巡査が見たのは、胸に刺さったナイフだった。大都会の真ん中で発生した事件の真相に、加賀恭一郎が挑む。

(引用:https://www.amazon.co.jp/%E9%BA%92%E9%BA%9F%E3%81%AE%E7%BF%BC-%E6%9D%B1%E9%87%8E-%E5%9C%AD%E5%90%BE/dp/4062168065


──大事なのは過ちを犯した後
人は過ちを犯してしまう生き物だが、その後の身の振り方について深く考えさせられる一冊。


事件現場に残された小さな謎から、大きな人情ドラマが展開される。被害者の不可解な行動に隠されていた真実を、一つ一つ紐解いていき、事件の背景を明らかにしていく様子はまさに圧巻。


『麒麟の翼』のタイトルに込められた想いもまた胸が熱くなる。


──10.『祈りの幕が下りる時』

──あらすじ

明治座に幼馴染みの演出家を訪ねた女性が遺体で発見された。捜査を担当する松宮は近くで発見された焼死体との関連を疑い、その遺品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることに加賀恭一郎は激しく動揺する。それは孤独死した彼の母に繋がっていた。シリーズ最大の謎が決着する。吉川英治文学賞受賞作。

(引用:https://www.amazon.co.jp/%E7%A5%88%E3%82%8A%E3%81%AE%E5%B9%95%E3%81%8C%E4%B8%8B%E3%82%8A%E3%82%8B%E6%99%82-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%9D%B1%E9%87%8E-%E5%9C%AD%E5%90%BE/dp/4062934973

──圧巻の最終巻
まさに最終巻の名に恥じない名作中の名作。シリーズを通して読んできた方には、今までの伏線回収を含めたたまらない構成になっている。


個人的に、感想に「泣ける」と全面に出してオススメするのは好みではないのだが、理不尽な運命に振り回される親子の無償の愛に、泣けずにはいられなかった。


二組の親子の切ない”祈り”を描いたシリーズ集大成。



【オススメ】




『狼と香辛料』でお馴染み!支倉凍砂の小説一覧!あらすじと作品紹介



この村では、見事に実った麦穂が風に揺られることを狼が走るという。
風に揺られる様子が、麦畑の中を狼が走っているように見えるからだ。

(引用:狼と香辛料 P13/支倉凍砂)


ライトノベル作家の支倉凍砂氏のこれまでに刊行されている小説をまとめた。またシリーズごとに作品のあらすじなどを紹介をしているので参考にしていただければと思う。


※これから紹介する『狼と香辛料 Spring Log』と『狼と羊皮紙』は、『狼と香辛料』の続編にあたる。そのため、あらすじ紹介で『狼と香辛料』の若干のネタバレに触れざるを得ないので、ネタバレNGの方は、そこは飛ばして読むのをオススメする。


目次

作品紹介

──1.『狼と香辛料』

──あらすじ

行商人ロレンスは、麦の束に埋もれ馬車の荷台に眠る少女を見つける。少女は狼の耳と尻尾を有した美しい娘で、自らを豊作を司る神ホロと名乗った。
「わっちは神と呼ばれていたがよ。わっちゃあホロ以外の何者でもない」
老獪な話術を巧みに操るホロに翻弄されるロレンス。しかし彼女が本当に豊穣の狼神なのか半信半疑ながらも、ホロと旅をすることを了承した。
そんな二人旅に思いがけない儲け話が舞い込んでくる。近い将来、ある銀貨がねあがりするという噂。疑いながらもロレンスはその儲け話に乗るのだが──。
第12回電撃小説大賞〈銀賞〉受賞作!

(引用:狼と香辛料)



──狼少女の可愛さに狂え!
支倉凍砂の代表作といえば、狼少女と行商人が織り成すファンタジー『狼と香辛料』。これをなしには語れない。


物語の舞台は中世ヨーロッパを思わせる世界。リアルな世界観で魔法などの超常的現象はいっさい生じない。狼の化身”ホロ”の存在を除けば。


狼の耳と尻尾を持つ少女”ホロ”の本来の姿は、人間を一口で飲み込めるほど巨大な狼。旅の行商人クラフト・ロレンスは、商いのために訪れたパスロエ村を後にした夜、荷馬車に忍び込んでいたホロを発見する。


ホロがただの娘ではなく、狼の化身であることを知ったロレンスは、彼女を旅の供に迎えることとなる。2人は旅の途中に様々な騒動に巻き込まれながら、遥か北にたるホロの故郷を目指して旅をすることになる。


ファンタジーの作品であるが、ロレンスの行商人という職業を通じて、商人たちの駆け引きの様子がまず面白いし、経済的な内容が多いのも特徴的だ。


そしてとにかくホロが可愛い。これに尽きる。
少女の見た目なのに老獪な話し方をするギャップ。頭脳明晰で完璧なようなのにたまにみせる弱さ。ホロの可愛さを堪能したいがために全巻読み切ったまである。


全17巻(完結)



──2.『狼と香辛料 spring Log』

──あらすじ

 賢狼ホロと湯屋の主人になったロレンスの、旅の続きの物語がついに登場!
 ホロとロレンスが温泉地ニョッヒラに湯屋『狼と香辛料』を開いてから十数年。二人はスヴェルネルで開催される祭りの手伝いのため、山を降りることになる。だがロレンスにはもう一つ目的があった。それは、ニョッヒラの近くにできるという新しい温泉地の情報を得ることで──?

(引用:狼と香辛料 spring Log)


──ファン待望、二人の続編
先程紹介した『狼と香辛料』の、ホロとロレンスのその後を描いたストーリー。前作の『狼と香辛料』が好きな方には間違いなく刺さるであろう続編となっている。


ロレンスは、すでに行商人を引退し、温泉地ニョッヒラにてホロと一緒に湯屋を営んでいる。変わったのは職業だけでなく、二人の関係も前作とは微妙に変化がある。それはお互いが完全に信頼しきっている点だ。


前作では、二人のすれ違いからトラブルに発展したことが多々あったが、結婚を経て二人は良きパートナーへとかわっている。もちろん可愛らしいホロの姿を拝むことができる。更に二人の間には──!?


2021年現在、5巻まで刊行中(連載中)



──3.『狼と羊皮紙』

──あらすじ

 聖職者を志す青年コルは、恩人のロレンスが営む湯屋『狼と香辛料亭』を旅立つ。ウィンフィール王国の王子に誘われ、教会の不正を正す手伝いをするのだ。そんなコルの荷物には、狼の耳と尻尾を持つ美しい娘ミューリが潜んでおり──!?
 かつて賢狼ホロと行商人ロレンスの旅路に同行した放浪少年コルは青年となり、二人の娘ミューリと兄妹のように暮らしていた。そしてコルの旅立ちを知ったお転婆なミューリは、こっそり荷物に紛れ込んで家出を企てたのだ。
『狼と香辛料』待望の新シリーズは、ホロとロレンスの娘ミューリが主人公りいつの日にか世界を変える、『狼』と『羊
皮紙』の旅が始まる──!

(引用:新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙)


『狼と香辛料』の新シリーズとなっているこの『狼と羊皮紙』。『狼と香辛料』が、狼=ホロ、香辛料(行商人)=ロレンスを指していたのに対して今回は、狼=ミューリ、羊皮紙(聖職者)=コルを指している。


そう!!ホロとロレンスの子供であるミューリと、『狼と香辛料』でホロとロレンスの旅に登場したコル、二人の物語がこの『狼と羊皮紙』なのである。


狼少女と青年の旅という点では前作と同様たが、老獪だったホロに対してミューリは敏い部分はあるが基本お転婆で天真爛漫、行商人だったロレンスと違い、コルは正しい聖職者を目指すための旅。


性格趣向の真逆な二人が織り成す旅は前作とは一味違った面白みがある。


また、先程紹介した『狼と香辛料 spring Log』と同じ時系列で物語は進んでいるので並行して読み進めるとより楽しめるかもしれない。


2021年現在、6巻まで刊行中(連載中)



──4.『マグダラで眠れ』

──あらすじ

 人々が新たなる技術を求め、異教徒の住む地へ領土を広げそうとしている時代。錬金術師の青年クースラは、研究過程で教会に背く行動を取ったとして、昔なじみの錬金術師ウェルランドと共に、戦争の前線の町グルベッティの工房におくられることになる。
 グルベッティの町で、クースラたちは前任の錬金術師が謎の死を遂げたことを知る。そして辿り着いた工房では、フェネシスと名乗る白い修道女が二人を待ち受けていた。彼女の目的は、クースラたちの”監視”だというが──?
 眠らない錬金術師クースラと白い修道女フェネシスが紡ぐ、その「先」の世界を目指すファンタジー、開幕。

(引用:マグダラで眠れ)


──ヒロインはまたしても……!?
世界観としては『狼と香辛料』と同様に中世ヨーロッパ風、世間から忌み嫌われる錬金術師の主人公クースラと、敬虔な修道女フェネシスの交流が描かれている。


主人公クースラは錬金術師。錬金術というと、荒唐無稽な魔法のようなものを想像してしまうかもしれないが、現代でいう科学を使用している。


教会と騎士団の対立やその中での主人公のあり方、舞台設定は緻密さなどは前作に引き続き健在である。


またヒロイン、フェネシスも印象的な人物で『狼と香辛料』のホロとは違った魅力を持った人物である。そんなフェネシスには一つ、大きな秘密があって──!?

 
全8巻(連載中?)
※2016年2月10日に8巻が刊行されたが、2021年現在、9巻の情報はない。


──5.『少女は書架の海で眠る』

──あらすじ

書籍商を目指す少年フィルは、自身の所属するジーデル商会の命令で、仲間のジャドと異端審問官アブレアと共にグランドン修道院を訪れていた。修道院の書架に収められた貴重な蔵書を買い付ける。書籍商としての初仕事と新たな本との出会いに、心を躍らせるフィル。しかし、そこで彼を待っていたのは、本を憎む美しい少女クレアだった。フィルたちを修道院からかたくなに追い帰そうとするクレア。彼女が隠そうとする、ある秘密とは―。『マグダラで眠れ』と同じ世界観で描かれる、本を愛するすべての人に贈る至高のビブリオ・ファンタジー!

(引用:少女は書架の海で眠る (電撃文庫) | 支倉凍砂, 松風水蓮 |本 | 通販 | Amazon

全1巻
『マグダラで眠れ』のスピンオフ作品である。 
 

──6.『WORLD END ECONOMiCA』

──あらすじ

人類のフロンティア、月面都市を埋め尽くす摩天楼で、多くの人々が見果てぬ夢を追いかけている時代―。月生まれ、月育ちの家出少年ハルは、“前人未踏の地に立つこと”を夢見ていた。そのために必要なのは、圧倒的な資金。少年ハルが足を踏み入れたのは、人類の欲望を呑み込み、時に無慈悲に打ち砕いてきた場所「株式市場」だった。そんなハルが、月面都市の片隅にある寂れた教会で、黒尽くめの美しき天才少女ハガナと出会ったとき、運命の歯車は動き始める―。少年の見果てぬ夢を描く金融冒険青春活劇。支倉凍砂シナリオの同人ヴィジュアルノベル完全版が、電撃文庫で登場!!

(引用:https://www.amazon.co.jp/WORLD-END-ECONOMiCA-1-%E9%9B%BB%E6%92%83%E6%96%87%E5%BA%AB/dp/4048691120


全3巻

最後に

支倉凍砂氏の小説を読んだことないよ!という方はまず『狼と香辛料』をオススメする。ホロとロレンスの物語を是非堪能して頂きたい。


『少女は書架の海で眠る』と『WORLD END ECONOMiCA』に関しては、私はまだ読んでいないため、あらすじのみの紹介となっている。あしからず。


今回、記事を書くにあたってあらすじなど初めて知ったのだが、とても興味を惹かれたので近いうちに読んでみたいと思う。



【オススメ】