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高田大介の小説一覧とこれから刊行するであろう作品まとめ【3作品+α】

私の好きな作者、高田大介氏の2023年現在で出版されている小説と、これから出版されるであろう小説についてまとめた。現在出版されている小説についてはあらすじ、紹介、ネタバレは触れていない感想を述べている。

また『図書館の魔女』に関しては、考察・登場人物一覧など別ページで色々と書いているのでよろしければコチラからどうぞ。


目次

1.作品一覧

──①図書館の魔女

──あらすじ

鍛冶の里に生まれ育った少年キリヒトは、王宮の命により、史上最古の図書館に暮らす「高い塔の魔女(ソルシエール)」マツリカに仕えることになる。古今の書物を繙き、数多の言語を操って策を巡らせるがゆえ、「魔女」と恐れられる彼女は、自分の声を持たないうら若き少女だった。超弩級異世界ファンタジー全四巻、ここに始まる!

──剣でも魔法でもない。少女は言葉で世界を拓く
【ボーイミーツガール】であり、【知的エンタメ】であり、【国家謀略戦争】であり、【大冒険】でもある。しかし何より大きいのは、『図書館の魔女』は"言葉"がテーマのファンタジー作品だという点だ。


タイトルは『図書館の"魔女"』だが、魔術で物を浮かせたりだとか、大釜で怪しげな薬を作っていたりだとかそんなことはない。ファンタジーに出てくるような竜だとか、伝説の剣だとか魔法もでてくるわけではない。


むしろファンタジーなのに非現実的要素を全否定するような場面すらある。


そんな世界観の中、図書館の魔女・マツリカは魔法を使わずに言葉を使う。いくつもの言語を扱い、難解な書物を繙き、言葉一つで世界を動かす。それにも関わらずマツリカ本人はしゃべることができないのだ。このギャップに惹かれないことがあるだろうか、いやない。


手話を用いた意思伝達を主としているマツリカのもとにある日、少年・キリヒトが手話通訳として図書館に遣わされる。特別な境遇に生まれ、特別な能力をもった二人の出会いで物語は始まる。お互いの能力で欠点を補いながら、そして、なくてはならない存在へと変わっていく。その過程が、やりとりがたまらなく愛おしい。


文庫本では第1巻~第4巻で構成されており、合計のページは1800ページを越える長編作品だが、ページ数もさることながら内容が非常に濃密である。

──②図書館の魔女 烏の伝言

──あらすじ

道案内の剛力たちに導かれ、山の尾根を行く逃避行の果てに、目指す港町に辿り着いたニザマ高級官僚の姫君と近衛兵の一行。しかし、休息の地と頼ったそこは、陰謀渦巻き、売国奴の跋扈する裏切り者の街と化していた。姫は廓に囚われ、兵士たちの多くは命を落とす……。喝采を浴びた前作に比肩する稀なる続篇。


──暗躍する者達
シリーズ第二作目の『烏の伝言』
一ノ谷、ニザマ、アルデシュの三国円卓会議から約一年後、舞台は東大陸の一ノ谷とはうってかわって西大陸のニザマ方面へと舞台を移しての物語。


あくまでストーリーの主軸は、ニザマ高級官僚の姫君と近衛兵、そして山の案内をする剛力たち。一ノ谷、ニザマ、アルデシュの和睦会議の結果、実際に影響を受けた者の逃避行を描いた物語。ということで前作の敵国の人々が中心となっている。


三国の和睦が成立し、ニザマ帝勢力とミツクビ勢力が真っ二つになった現在ニザマ国。そしてニザマ帝により、逆賊として追われるミツクビ率いる宦官連中。


その宦官派に属する高級官僚の姫君と近衛兵は追っ手から逃れるために山を越えての逃避行を図る事となる。姫君と近衛兵が山越えをするにあたり、山中のガイドとして雇われたのが、剛力衆である。


本来の剛力としての仕事とは異なるものの、彼らも三国和睦の影響により仕事がなく、道案内という危険な依頼を引き受けることになる。


作中の重要な登場人物たちにがいる。鼠と言っても齧歯類(げっしるい)のほうではなく、港町の地下で生きる孤児の少年たちの名称。


地下でひっそりと生きる彼らの力を借りて、近衛兵と剛力たちは迫り来る追っ手から逃げ回る。


近衛兵・剛力・鼠、本来は住む世界が異なる三方の結束が深まっていく様子が今作のポイントの一つだと思う。最初は己の目的のため、利用し利用されの関係だったが、お互いの美徳に気付き感化・共闘する様は心揺さぶられるものがある。


──③まほり

──あらすじ

蛇の目紋に秘められた忌まわしき因習
膨大な史料から浮かび上がる恐るべき真実
大学院で社会学研究科を目指して研究を続けている大学四年生の勝山裕。卒研グループの飲み会に誘われた彼は、その際に出た都市伝説に興味をひかれる。上州の村では、二重丸が書かれた紙がいたるところに貼られているというのだ。この蛇の目紋は何を意味するのか? ちょうどその村に出身地が近かった裕は、夏休みの帰郷のついでに調査を始めた。偶然、図書館で司書のバイトをしていた昔なじみの飯山香織とともにフィールドワークを始めるが、調査の過程で出会った少年から不穏な噂を聞く。その村では少女が監禁されているというのだ……。代々伝わる、恐るべき因習とは? そして「まほり」の意味とは?
『図書館の魔女』の著者が放つ、初の長篇民俗学ミステリ!   

(引用:「まほり」 高田 大介[文芸書] - KADOKAWA)



──膨大な史料から浮かび上がる驚愕の真実
ファンタジー作品の『図書館の魔女』とは違い、現実世界を舞台にした民俗学ミステリーの『まほり』。知識量と情報量が圧倒的で、史実をベースを展開される物語はリアリティの塊である。


大衆の歴史の裏に隠れて普段は表立っては出てこない史実をベースとして物語は展開されていくわけだが、とにかく事実と虚構(フィクション)の境目がわからなくなるくらいリアル。もしかしたら物語に登場する村はどこかあるのでは…?こんな風習が残されているんじゃないか…?と思ってしまうほど。


白文がでてきたり、知識量と情報量の圧倒的物量で会話が進んで行くところがあったり、歴史について深く突っ込んだりと、要所要所は間違いなく難解である。


だがしかし、白文でいえば登場人物たちがうまい具合に解説をしてくれたりと、なるべくスムーズに読み進められるようになっているので安心してほしい。


そして、そんな膨大な史料から答えを読み解いていき、少しづつ物語の全体像が浮かび上がってくる様子が、パズルのピースを一つ一つはめていき全体像を作っていくようでたまらなく面白い。史料を読み解くにしても、机にかじりついているだけではなくフィールドワークや実体験の昔話からのアプローチを駆使しているのも物語に引き込まれる。


あとは難しい話だからこそ、登場人物たちのやりとりがまた映えるし癒やされる…。


とはいえ、なんといっても一番のポイントはタイトルの『まほり』の意味、そして表紙にも散りばめられた◎の意味。すべての答えが明かされる時に…!


(追記:2022/1/17)
『まほり』の文庫本が2022年1月21日についに発売となる。まだ読んだことがない方はこの機会に是非…!



2.番外編

──『鍵』

『図書館の魔女』の読者のあなたのための物語
ということで下記のサイトから『図書館の魔女』のショートストーリーが読める。もちろん著者が書いたストーリー。詳しい時系列はわからないが、恐らくは烏の伝言の後くらいだと思われる。


また、上記の『鍵』を含めたショートストーリー集『Story for you』が講談社より発売となった。
ファンタジー、青春、エンタメ、児童文学……など幅広いジャンルを豪華絢爛62人の著者が綴ったショートストーリー集となっている。気になる著者、好きな著者がいるなら手を出してみてはいかがだろうか。


3.これから刊行されるであろう小説

──図書館の魔女 霆ける塔

『図書館の魔女』『図書館の魔女 烏の伝言』に続くシリーズ第3段が『図書館の魔女 霆ける塔』

2019年9月の著者のブログでは、「あと少しで脱稿します」との記事があった。


──記憶の対位法(仮題)

まだ数章しか書けていないとのことでしたが、『図書館の魔女』とは違う物語、『記憶の対位法』も現実並行して進めているらしい。


以下のリンクが著者のブログで新刊の事が載っていた記事だ。
『まほり』刊行、長らくご無沙汰のお詫びかたがた | 図書館の魔女 de sortiaria bibliothecae

4.その他

単行本、文庫本という形ではないが、高田大介氏が他にも書いているものがある。


野性時代第139号で『味噌をつける』という話(私は読んだことがないので詳細はわからないが……)


また、著者は現在フランスで暮らしているのだが、そこでの生活に触れたエッセイ『異邦人の虫眼鏡 Vol.1 フランスの悪い草』が「別冊文藝春秋」11月号で掲載されている。





【関連】




【オススメ】




『かがみの孤城』の感想を好き勝手に語る。鏡の向こう少年少女の体験記【辻村深月】


2018年本屋大賞、堂々の1位に輝いた、辻村深月の『かがみの孤城』の感想を語っていく。ネタバレありなので、未読の方はご注意を。




目次

あらすじ

あなたを、助けたい。
学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた──
なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。
生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。

感想

──まとまりがあるストーリー

全体として見るとストーリーはキレイにまとまっている。不思議な城とオオカミさまとの邂逅、個人が抱える闇、仲間との出会い、そして成長。ホント粗がなく順当に面白かった。


ミオが作った”かがみの孤城”の設定の細かさがこの作品に深みを出していると思う。

姉の好きだったドールハウス。
迎えられた7人
姉がよく読んでくれた絵本になぞらえた『七ひきの子やぎ』の鍵探し。
そして、城が閉まると言われていた三月三十日。
三十一日ではなく、三十日。
その日が姉の命日であることに、意味がないとは思えなかった。

(引用:かがみの孤城 P537)

「みんなの中で、1999年だけ、抜けてるんだ。七年ごとに呼ばれているのに、その代だけ、だれもいない。アキとオレたちの間だけ、倍の十四年、違う」
こちらを振り向かない”オオカミさま”に声をぶつけるように訴える。
「オレと姉ちゃんの歳の差は、七歳だよ」

(引用:かがみの孤城 P538)


驚きのポイントとしては、①オオカミさまの正体、②喜多嶋の正体、③そしてパラレルワールドではなく時代が異なる。という3点が大まかな所だったと思う。


私はオオカミさまの正体だけは気づかなかったけど、喜多嶋の正体と時代が異なる、の2点は予想ができた。大どんでん返し的な面白さの要素は薄いかもしれないが、先が多少読めたとしてもそれを覆す程の登場人物たちの関係や設定の細かさが『かがみの孤城』の魅力だと思う。


読み始める前は、城の冒険がメインの異世界ファンタジー的な作品のイメージだったが、実際はそれとは異なり城での冒険ではなく、城を通しての登場人物たちのやりとりがメインだったのが意外だったけどもそれはそれで良かった。


現実世界ではありえない、違う時代の同じ世代とのやり取り……。12歳が12歳に会うのと、12歳が30歳に会うのでは関係がまったく変わってしまうもんなぁ……。


あとは『オオカミと7匹の子ヤギ』の童話自体を私は知らなかったから、城の設定が明かされたときに『なるほど!!』と感動できなかったのが残念だった……。


──こどもたちを繋ぐもの

オオカミさまを含めて、城には8人の子供がいてそれぞれは最終的には仲良くなって終わるわけだが(オオカミさまは除く)、とくに2人ずつが種類の異なる形で結ばれているのが印象的だった。


ウレシノとフウカは恋愛的な繋がり
スバルとマサムネは友情的な繋がり
こころとあきは庇護的な繋がり
リオンとミオ(オオカミさま)は姉弟の繋がり


このそれぞれにドラマをもたせてるのも抜け目がない。


ウレシノ&フウカのその後については、書かれていなかったが、これから未来で、いずれ出会えうことができれば夢がある。


スバル&マサムネは、ゲームで繋がる友情があつい。

「目指すよ。今から”ゲーム作る人”。マサムネが『このゲーム作ったの、オレの友達』ってちゃんと言えるように」
口が──きけなかった。
見えない力で胸が押されたように、息まで止まりそうになる。鼻の奥がつん、となって、あわてて、熱くなった目を伏せた。

(引用:かがみの孤城 P523)

ここの場面めっちゃすき。

このあとに別れの前の自己紹介で皆のフルネームが明らかになり、スバルの名前が”長久昴”だということが初めて分かるわけだが……。

「あん?知ってんだろ?『ゲートワールド』。今超売れてるプロフェッサー・ナガヒサのゲーム。まさか知らねえの?」
「ナガヒサ……?」
スバルが怪訝そうに問い返す声に、マサムネが苛立ったように言う。
「ナガヒサ・ロクレンだよ!ゲーム会社ユニゾンの天才ディレクター」

(引用:かがみの孤城 P358)


ちゃんと繋がってくるんだよなぁ……。さすが。もしかしたら、スバルが「ゲームを作る人になる」って言ったのは、マサムネのここのセリフを覚えていたからでもあるんじゃないかな。


『昴』の意味は

二十八宿の一、昴宿(ぼうしゅく)の和名。牡牛座(おうしざ)にあるプレアデス星団で、肉眼で見えるのはふつう6個。六連星(むつらぼし)。

(引用:昴(すばる)とは? 意味や使い方 - コトバンク)

ロクレンは6連星から取っているんだろう。



こころ&アキ
アキは城でこころに救われ、こころは「こころの教室」でアキに救われる。守り守られの関係、しかも記憶がなくなっているけれどもしっかり巡りあっているっていうのがほっこりする。しかもあのアキが立派な大人になって……。


リオン&ミオ(オオカミさま)、ついつい主人公のこころに注目してしまう所だけど、この二人の真相が一番びっくりした、完全に予想外だった。いい姉弟愛…。

──印象に残ったセリフなど

「自分は、みんなと同じになれない──、いつ、どうしてそうなったかわからないけど、失敗した子みたいに思えていたから。だから、みんなが普通の子にするみたいに友達になってくれて、すごく嬉しかった」

(引用:かがみの孤城 P528)

「未来で待ってるから」
そう言うのが精いっぱいだった。晶子が目を見開く。
「2006年。アキの、14年後の未来で、私は待ってる。会いに来てね」

(引用:かがみの孤城 P532)

時をかける少女かな?

最後に

著者の他作品は『冷たい校舎の時は止まる』と『スロウハイツの神様』は読んだことがある。『かがみの孤城』とそれらの作品で共通するのは、限られた空間の数人からなるグループがメインで構成されたストーリーである点。


『冷たい校舎の時は止まる』では、同級生同士が学校という空間で、『スロウハイツの神様』では、スロウハイツに集まった仲間同士で、そして『かがみの孤城』では、雪科第五中学に通えていない者同士が城で。


このようなシチュエーションの作品が著者は得意なのかな。他の作品も是非読んでみたくなった。



【オススメ】




【17作品】2020年下期に読んだ小説を5段階で評価する&ベスト3紹介【一言感想】


2020年下期(7〜12月)に読んだ小説17作品を5段階評価で好き勝手に感想を書いていく。


そして、後半は下期に読んだ小説の面白かった作品ベスト3をあらすじなどと共に紹介。2020年に発売した小説ではなく、あくまで私が7〜12月に読んだ小説なのでご注意を。

目次

1.読んだ小説・一言感想

虹を待つ彼女/逸木 裕
☆☆☆☆
タイトルと表紙がまず良き。
人工知能についての考えも面白いし、彼女の自殺の謎、ラストでは今までにない読後感を味わうことができた。


第六大陸/小川一水
☆☆☆☆☆
宇宙へ行くことのリアルさがいい。
宇宙に関する知識については言わずもがな。ひときわ印象に残っているのが宇宙へ行くこと、月に安定した拠点を作ることの難しさ、そしてそれにどれほどお金がかかるのか。


Unnamed Memory Ⅰ/古宮九時
☆☆☆
なんとなくかたいファンタジーを想像していたけど、キャラ同士の掛け合いが軽快で癖になる。Ⅰまだまだ序章って印象でこれからの展開が気になる。


キャプテンサンダーボルト/伊坂幸太郎・阿部 和重
☆☆☆☆☆
ペア、相棒そんな言葉が似合う小説だった。相葉と井ノ原の主人公コンビはもちろん、米軍兵の二人もそうだし、なにより伊坂幸太郎と阿部和重のコンビ。



彩雲国物語/雪乃紗衣
☆☆☆
芯のある真っ直ぐな少女が女性官吏を目指す中華ファンタジー。
ページ数は少ないが、内容は熱い。続きが気になる。


彩雲国物語2/雪乃紗衣
☆☆☆☆
魅力的な登場人物ばっかり。今回の巻でいえば燕青かな。


彩雲国物語3/雪乃紗衣
☆☆☆☆
どんでん返しがすごい。


三体/劉慈欣
☆☆☆☆☆
圧倒させられた。物語のスケールと、その展開に。
最近読んだものの中では一番おもしろかった。


三体2/劉慈欣
☆☆☆☆☆
期待を裏切らない第2作目。
第1段の流れをそのままにさらなる展開が最高。



彼女は一人で歩くのか?/森博嗣
☆☆☆☆
SFの森博嗣。ミステリの森博嗣よりさくさく読める。あの人の登場が予想外すぎて最高だった。



月は幽咽のデバイス/森博嗣
☆☆☆☆
意表を突かれた。王道のミステリーを求めている人からしたら、賛否両論は生むかもしれない作品だと思うけど、個人的にはすき。
「人はすべての現象に、意味を持たせたがる」


ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人/東野圭吾
☆☆☆☆
コロナの時代背景を反映させていてタイムリー。探偵役のキャラとマジシャンって設定が面白い。回収してない伏線がありそうなのでぜひ続編をだしてほしい所。


彩雲国物語4/雪乃紗衣
☆☆☆☆
さらっと重い過去語るやん…。
ターニングポイントの一冊。


彩雲国物語5/雪乃紗衣
☆☆☆☆☆
女性は強い。
その強さを支える信念が心に響く。


彩雲国物語6/雪乃紗衣
☆☆☆☆
王の孤独が胸にしみる。


魔法の色を知っているか?/森博嗣
☆☆☆☆
終わり方気になりすぎる。



かがみの孤城/辻村深月
☆☆☆☆
本屋大賞受賞作
物語全体がキレイにまとまってる。


2.2020年下期ベスト3

2020年下期に読んだなかでとくに面白かった3作品をあらすじなどとともに紹介していく。


3位:キャプテンサンダーボルト


──あらすじ

世界を救うために、二人は走る。東京大空襲の夜、東北の蔵王に墜落したB29。公開中止になった幻の映画。迫りくる冷酷非情な破壊者。すべての謎に答えが出たとき、カウントダウンがはじまった。二人でしか辿りつけなかった到達点。前代未聞の完全合作。

──伊坂幸太郎と阿部和重のコラボ作
『キャプテンサンダーボルト』は伊坂幸太郎と阿部和重、二人の大人気作家のコラボ作品。


『ペア・相棒』そんな言葉が似合う小説で、作家ふたりのコンビという意味もあるし、物語の中の主人公コンビも面白いし、カッコいいし印象的である。



ストーリー前半はあまり動きはないもののじわじわと広がる不穏な気配でどんな展開が待っているのか気になるし、後半はその期待を裏切らないスピード感とスリル、そして伏線回収で見事なエンタメ小説になっている。




2位:第六大陸

──あらすじ

西暦2025年。サハラ、南極、ヒマラヤ──極限環境下での建設事業で、類例のない実績を誇る御鳥羽総合建設は、新たな計画を受注した。依頼主は巨大レジャー企業会長・桃園寺閃之助、工期は10年、予算1500億そして建設地は月。機動建設部の青峰は、桃園寺の孫娘・妙を伴い、月面の中国基地へ現場調査に赴く。だが彼が目にしたのは、想像を絶する過酷な環境だった──民間企業による月面開発計画「第六大陸」全2巻着工!

(引用:第六大陸 〈1〉 小川一水)


──民間企業が月面開発に挑む

ざっくりと『第六大陸』を説明するとすれば、民間企業が月面開発計画に挑む物語だ。物語上の年は2025年なので現在から考えれば約5年後の未来を描いたストーリーとなる。人類が初めて本格的な月面開発に挑むわけだが、そこに立ち塞がる困難、その困難に立ち向かう技術者たち、宇宙のリアル、そしてロマン……見どころは多彩である。


──計画の主導者は…年端もいかない少女!?
人類初の月面基地を作る壮大な計画、なんとそれの発案者は一人の少女である。もちろんただの少女ではない、彼女は大企業の会長のお嬢様・桃園寺 妙。


恵まれた環境、優秀な頭脳、なに一つ不自由ない暮らしを手にしている幼き少女は、何故月を目指すのか?そして月に何を作ろうとしているか?


ごりっごりのハードSFにも関わらず、それを主導するのが一人の少女なんて夢がある話じゃないか。




1位:三体

──あらすじ

物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。
失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。
そこでは、人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが、極秘裏に進行していた。
数十年後。ナノテク素材の研究者・汪森(ワン・ミャオ)は、ある会議に招集され、世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。
その陰に見え隠れする学術団体“科学フロンティア”への潜入を引き受けた彼を、科学的にありえない怪現象“ゴースト・カウントダウン”が襲う。
そして汪森が入り込む、三つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?


──圧倒的スケールの傑作SF
『三体』は三部作で構成されている。


第一部:『三体』
第二部:『三体 黒暗森林』
第三部:『三体 死神永生』

現在日本では、2020年6月28日に『三体 黒暗森林』が発売され、『三体 死神永生』に関しては2020年12月現在では、まだ発売日は未定となっている。


具体的に説明すると、『三体』は3章で構成されている。


第1章 沈黙の春
第2章 三体
第3章 人類の落日

この第1章が曲者な部分で、なかなか読み進めにくい。しかし450ページほどの本書で、第1章は50ページほどしかないので、そこは安心してほしい。


『月は幽咽のデバイス』の感想を好き勝手に語る【森博嗣】

「偶然のうちの半分は、人の努力の結晶です」

(引用:月は幽咽のデバイス P59/森博嗣)


森博嗣のVシリーズ第3作目『月は幽咽のデバイス』の感想を語っていく。ネタバレありなので、未読の方はご注意を。


目次

感想

予想外すぎる結末だった。
王道のミステリーを求めている人からしたら、賛否両論は生むかもしれない作品だと思うけど、個人的にはすき。


物語の中で「人はすべての現象に、意味を持たせたがる」というニュアンスのセリフがあったけど(どこのページか忘れた)、まさにそれを逆手に取った事件の結末。予想外の方向からぶん殴られるような衝撃だった。


一冊で完結する物語でこの結末だったら、拍子抜け……というか納得いかなかったかもしれない。けれどシリーズ作品のうちの一つならば「あぁ、こういう事もあるよな」と自然に受け入れることができた。


あとは作者が森博嗣だったのも受け入れられた要因の一つかもしれない。いちファンとしてのおごりではなく、彼なら何か新しいコトを見せてくれるのではないか?という期待を見事に叶えてくれたからだ。


──プレジョン商会

「えっと、確か、アート・ギャラリィ・プレジョン商会」
「プレジョン?どんな意味かしら?」
《中略》
「いえ、英語じゃないのね」にっこりと紅子は微笑む。

(引用:月は幽咽のデバイス P60)


意味深な場面で、最初はまったくわからなかったけどコレ、『プレジョン商会』がアナグラムになっている。私は個人の方のブログでこの事実を知ったのだが、ノーヒントで気づいた人すごいな…。


プレシジョン(precision)なら『正確、精密』などの意味になるがらプレジョンなる単語はない。しかしプレジョン商会をローマ字にすることで答えが見えてくる。


「プレジョン商会=purejonshyoukai」
これを並べ替えると
「horokusajyunpei=保呂草潤平」
になる。『h』が少し無理矢理感あるけど。


だからなんだ!保呂草よ!そんなコトしてなんの意味がある!と言われればそこまでだが、この小ネタを仕込むところが面白いじゃないか。


──新しい登場人物

シリーズ3作目にして保呂草たちがすむ阿漕荘に新たな住人が引っ越してきた。


その人物『森川素直』は、「大人しく素朴な若者」「平凡」などあたりさわりのない紹介で登場。物語中でもとくに変わった様子は見せず、ザ・一般人という感じだった。


でも、何か気になる。
阿漕荘の住人って総じて一般的な名前ではない。保呂草潤平をはじめ、小鳥遊練無、香具山紫子……と個性的な名前が続く中、森川素直って……。


普通すぎて逆に浮いてる。こうなってくると、彼も今後の物語で何か鍵を握ってるのでは?と勘ぐってしまう。何にせよ今後の物語に期待。




【オススメ】





『魔法の色を知っているか?』の感想と考察を好き勝手に語る【森博嗣】


ガリレィ、ニュートン、アインシュタイン、そしてマガタなのだよ」
「ええ、よく、わかります。我々研究者ならば、彼女は宗教的な存在です」

(引用:魔法の色を知っているか? P156)

森博嗣のWシリーズ第2作『魔法の色を知っているか?』の感想を語っていく。ネタバレありなのでご注意を。シリーズ1作目の感想はコチラ。

【『彼女は一人で歩くのか?』の感想】


目次

感想

Wシリーズ2作目の『魔法の色を知っているか?』を読み終わって、ストーリーには関係ないが率直な感想は”他の森博嗣作品に比べて読みやすい”という点(S&MやVと比べて)。


これは『彼女は一人で歩くのか?』でも思ってたことだけど、2作目を読んで確信に変わった。もちろんS&MやVも好きだけど、どうしても読むのにエネルギーがいる。それはミステリかSFかの違いもあるし、ページ数の差も大きいかもしれない。


とにかく森博嗣作品なのにサクサクよめるのが個人的には新鮮である。このWシリーズ今のところすごい好きだし、今後もどんどん読んでいきたい。

──ストーリー自体の進展はあまりないが……

ラストこそ気になる展開で終わったものの、正直まだ『物語が大きく動いた!!』って感じはしなかった。ハギリを狙う具体的な相手はわからないし、明確な目的もまだ不明瞭。


しかし、前作でハギリを救った『魔法』の存在も少し明らかになってきたし、そしてなにより期待を裏切らない再びのマガタ博士との邂逅。


マガタ博士が関連する場面なんてほんの数ページなんだけど、そこのページだけものすごい密度を感じる。


先程述べたようにこのWシリーズが好きな理由はサクサク読めるのもあるけど、第一の理由はマガタ博士が出てくるからだよね。彼女の絶対的すぎる存在とミステリアス感が好きすぎる。

「今の人は知らないだろうが、かつて、世紀の天才と言われた女性がいた。その彼女が、基礎となるプログラムをかいたんだ」
「マガタ博士のことですね?」
《中略》
「あらゆる分野に入り込んでいる。そのスーパ・サーバの主幹部分も彼女のプログラムを基礎にしている。それから、ウォーカロンの頭脳を形成するイントーラにもね」

(引用:魔法の色を知っているか? P138)

基礎は変わっていない……四季は本物の天才なんだよなぁ……200年たってもトップであり続けている。四季が関係すると途端に物語が濃くなる。



マガタがなんのためにハギリやヴォッシュにアドバイスを与えているのかを考えると、物語上でも言ってる場面があったが、「人類を導いて、軌道修正させるためだろう」ってあってもう納得しかなかった。


──『魔法の色を知っているか?』

タイトルの時点で分かってはいたけど、また『魔法』についてでてきた。魔法とはプログラムの一種…安全装置のようなものかもしれない、と。ここまでは前回の展開から読めていた点。


今回の展開から考えると、
①ウォーカロンに『魔法の色を知っているか?』と呼びかけるとウォーカロンに仕込まれた安全装置のようなプログラムが起動する。


②次に、呼びかけられたウォーカロンから返答があり、さらに追加の言葉(魔法)を言う機会が与えられる。


③正しい魔法を答えるとウォーカロンは停止する。何回か答えを間違えると安全装置が解除されてウォーカロンは自由になる。


またウォーカロンの個体(種類?)によって効く魔法が異なる様子。今回は紫、前回は赤。


だがしかし、ウォーカロンに「魔法の色を知っているか?」と呼びかけるだけで安全装置が起動してしまうなら、それだけで、人かウォーカロンか見分けることができるようになってしまうわけだが……。そのへんはどうなのだろうか。まだ明かされていない法則などはありそうなものだ。

──印象に残ったセリフなど

子供が生まれないかわりに、死ぬ者は限界まで少なくなっているのだ。
そして、まさにその技術に不可欠な人工細胞が、あらゆる疾患を排除したように、生殖をも排除してしまった。生殖は、人類にとって一種の疾患だったと言っても良い。
死ぬことがなければ、生まれなくても良いのか。
あるいは、生まれないから、死ねないのか。

(引用:魔法の色を知っているか? P35)


「はい、つまり、虎が猿を襲う間に、逃げられるという意味です」
「まあ、猿と人間で、どちらが虎のご馳走か、という問題もありそうですけどね」そう言って、僕は自分のジョークに軽く笑ったのだが、三人は笑わなかった。

(引用:魔法の色を知っているか? P100)

ハギリの冗談に犀川みを感じる。

この頃は、生きているのがどうも実感がないね。不思議でならない」
「不思議なのは、生きているからではないでしょうか」
「そうだ。それは、ああ、なかなか示唆に富んでいる」

(引用:魔法の色を知っているか? P134)

最後に

また今作も気になりすぎる終わり方だった。今後が楽しみ。
このあとのWシリーズのタイトルは
『風は青海を渡るのか?』
『デボラ、眠っているのか?』
と続いているわけだが……。

デボラってFにでてくる”アレ”だよな……?どう繋がってくるかわくわくする。


【オススメ】





『キャプテンサンダーボルト』の感想を好き勝手に語る【伊坂幸太郎・阿部和重】


「これは全部、ガキの頃の思い出のおかげだ。あの頃に見聞きして、味わったことのすべてが、今の俺たちを守ったんだ」

(引用:キャプテンサンダーボルト〈下〉/263)


伊坂幸太郎と阿部和重の合作『キャプテンサンダーボルト』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。



目次

感想

──全体を通しての感想

結論として全体を通して面白かった。
ストーリー前半はあまり動きはないもののじわじわと広がる不穏な気配でどんな展開が待っているのか気になるし、後半はその期待を裏切らないスピード感とスリル、そして伏線回収で見事なエンタメ小説になっていた。


伊坂幸太郎の他作品は読んだことあるが、阿部和重は読んだことなかったので、二人の特徴がどこにでているのか詳しくはわからなかったけど、伏線やスピード感など全体として伊坂色が濃い印象だった(阿部和重の作品を読んだらまた違う印象になるのかな?)。阿部和重の作品も読んでみたいなぁと思った。


強いて言うならラストがギリギリでの爆弾(ウィルス)処理というかなり王道…というかよくみる展開。でもちょっと先が読めるだけだしワクワクしながら読めた。ベタだけどそれをあまり感じさせない書き方でいい。



──史実を含めてのストーリー

個人的に好きなのが、史実を含めたストーリーと伏線。
「東京大空襲の日、3機のB29爆撃機が宮城蔵王の不忘山に墜落した」
これ自体は事実らしいがなぜ、3機のB29が蔵王に墜落したのかは未だに謎らしい。この史実を、もしかしたら……と思わせる解釈が面白い。


こういう史実が絡んたストーリーが好きな方は、ダン・ブラウンの『ダ・ヴィンチ・コード』とかオススメ。
【2022年版】『ダ・ヴィンチ・コード』シリーズ一覧!全5作品をまとめて紹介する【ダン・ブラウン】 - FGかふぇ


──謎が謎を呼ぶ展開と伏線

「伊坂幸太郎といえば見事な伏線回収!!」っていうイメージだけど、キャプテンサンダーボルトもそれを裏切らない見事な構成だった。


・戦時中のB29の不可解な墜落
・ゴシキヌマの水
・「村上病はあるけど、ない」
・テロ組織の存在
・戦時中にばらまかれた紙の数字


あげたら数え切れないけど、後半にかけて今までのさりげない描写に隠された秘密があかされていく様子がたまらない。再読してもう一度堪能したくなる。

──印象に残ったセリフなど

「俺が官僚だったら、予防接種なんてやらないぜ。副作用のことで文句を言われるくらいなら、予防接種なんて広めずに、病気に勝手に罹ってもらうほうを選ぶ。そのほうが批判はされない。やって批判されるよりは、やらないで知らんぷりだ

(引用:キャプテンサンダーボルト〈上〉P80)

やって批判されるよりは、やらないで知らんぷりだ
めっちゃわかる……出来ることならこの精神で生きていきたい。

「これは全部、ガキの頃の思い出のおかげだ。あの頃に見聞きして、味わったことのすべてが、今の俺たちを守ったんだ」

(引用:キャプテンサンダーボルト〈下〉/263)

このセリフにすべてが詰まってる気がする。



最後に

合作って今までなんとなく敬遠してたけど、なんの違和感もなく読めたなぁ。


ペア、相棒そんな言葉が似合う小説だった。相葉と井ノ原の主人公コンビはもちろん、米軍兵の二人もそうだし、なにより伊坂幸太郎と阿部和重のコンビで形になった『キャプテンサンダーボルト』。いい読書体験になった。


【オススメ】




『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』の感想を好き勝手に語る【東野圭吾】



「自分の手でって、そんなことできる?叔父さんは捜査のプロじゃないでしょ?」
「もちろんそうだが、できないときめつける理由は何もない。警察にはできないが、俺にはできるということもあるしな」

(引用:ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人 P95/東野圭吾)


東野圭吾最新作『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』の感想を語っていく。東野圭吾をひさしぶりに読んだが、安定のテンポの良さと読みやすさでサクサク読めた。


著者の筆のはやさには驚くばかりで、はやくもコロナの時代背景を反映させているこの作品は、世の中に広がる不安や不透明な将来を投影していてるとともに、タイムリーな話題のためどこか本当にあった話のようにも感じるリアルさがあった。


以下ネタバレありなので未読の方はコチラから。
【『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』あらすじ・紹介】



目次

感想

ストーリーなど

率直に感想を言って面白かったな。個人的には好きな部類。ガリレオシリーズや加賀恭一郎シリーズなど様々な作品がある東野圭吾だが、マスカレードシリーズが好きな人は今回の『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』は好きそうな印象。かくいう私はマスカレードシリーズ大好き。


探偵役の武史がひたすらにカッコいい。マジシャンらしい手先の器用さ、観察力、話術。表の顔と裏の顔のギャップがいい。そしてなにより警察を出し抜く様子が見てて楽しい。


仮にこのシリーズの続編がでるのなら彼の過去編の話(アメリカでの話)とかがきたら面白そう。というのも武史が過去を語ろうとしなかった場面があった。

さすがだね、といってみた。「さすがはサムライ──」
がんと大きな音をたて、武史がビールのジョッキを乱暴に置き、真世を睨めつけていた。
「その名を口にするな」
「どうして?」
「どうしてもだ。口が裂けてもいうな」
真世は首をすくめた。
サムライ・ゼン──この叔父がマジシャンだった頃の芸名だ。

(引用:ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人 P78)


この場面の他にも、マジシャンとしてアメリカで成功していたと推測されるのに突然帰国してバーを始めたりと本作では説明しきれていない箇所もあるので続編でこのあたりにスポットがあてられるのかな(たぶん説明されてなかったはず……見逃してたら教えていただけると助かる)。


あともう一つ、明らかになっていなさそうなのは最後の真世に送られてきているメールの件。親切心を装った真世たちの結婚を妬んだ誰かの嫌がらせだろうとの推測だが、誰の仕業なのか明確に語られてはいなかった。再読する際に注意して読んでみようと思うが、次作への伏線なのだろうか?


広がるコロナと大人気アニメ

冒頭で述べたようにコロナの時代背景をいち早く取り入れていて、今の時代のリアルさを感じる。それとともに物語の鍵に爆発的ヒットのアニメの存在があるのも昨今の世の中と似ている部分がある。


作中では幻脳ラビリンスなるアニメが大ヒットしているが、どうしても今ブームである鬼滅の刃が頭をよぎる。内容はまるっきり違うが、原作は漫画で、アニメとなって大ブームを起こすという流れは同じである。今後はこんな時事ネタ(コロナとか)を取り入れた小説も増えてくるのかな。


最後に

小説の中で、自分が読んだことある小説がでてくると嬉しくなるよね。『オデッセイ』っていう映画の話がチラッとでてきたけど、原作の『火星の人』おもしろいからオススメ。ハードSF好きな人はハマるはず。


【オススメ】