FGかふぇ

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『図書館の魔女』の二次創作小説を書いてみた。

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─注意事項

  • 以下は、著・高田大介『図書館の魔女』の二次創作小説です。
  • 『図書館の魔女』本編を読んでから読む前提で書かれています。
  • 好き勝手に書いています。

以上、大丈夫な方はどうぞ。


─図書館の秘密を追って 〈前編〉

 季節外れの春の嵐が図書館を襲っていた。天井には止めどなく激しい雨が打ちつけているのが見え、豪風が高い塔を揺らさんばかりに吹きつける。
「マツリカ様、この嵐の中で離れに戻るのは危険ですよ。もう少し様子を見るべきです」
──そうみたいだね。ハルカゼたちが心配するだろうから帰りたいところだけど、しょうがないね。まったく……嵐がきていることが分かっていたなら起こしてくれればいいものを。
 この日アカリとマツリカは二人で図書館に詰めていた。アカリは嵐の予兆を感じ、マツリカに嵐の旨を伝えようとしたが、そのときマツリカは迷宮のような本棚の間でぐっすりと眠ってしまっていた。結局、アカリは幸せそうなマツリカの寝顔を前に声をかけることができず、二人は図書館に閉じ込められてしまったのだった。
「起こしたら起こしたで文句を仰るでしょう。それにこの嵐はすぐに去ると思うので待っていたほうが懸命です」
──何故わかるの?
「経験からですね。山の仕事は天候との戦いでもあります。常に天気の予測は欠かせませんでしたから自然と身につきました。雲の流れが速いので数刻の辛抱でしょう。」
 マツリカは書見台の上で開きっぱなしになっていた本を閉じると、スツールに座ったまま両手を組んでグッと上に伸ばして体をほぐしていた。
──それにしてもお腹が空いたね。本来ならば今頃イラムの夕食にありついている頃だというのに。
「いつまでもそんな憎まれ口をおっしゃらないでください。」
──まぁいいさ、私はいくらでもやることが残っているからね。
「私は何をしていたらよいでしょう」
──それくらい自分で考えな。


 雑務をこなし終えて手持ち無沙汰になってしまったアカリは、伽藍の螺旋階段を下り、階段の基部である石造りの壇に腰かけた。小部屋ほどの広さがある基部で、そのまま仰向けに倒れ込むと、明かり取りの柱の隙間から大粒の雨が叩きつけられているのが見えた。
 アカリは目を閉じて、高い塔に足を踏み入れてきてからの日々を思い返していた。初めて高い塔に訪れたときは緊張と不安しかなかったが、数日前にニザマでのキリヒトとしての最後の仕事を無事に終えて、再び高い塔の前に立ったときは、素馨の香りで懐かしさを感じ、帰ってきたという安堵の気持ちでいっぱいだった。自分には、やはり高い塔しかないと痛感させられた。
 そんな事を考えていると閉め切ったはずの大伽藍に素馨の爽やかで甘い香りが微かにするのにアカリは気づく。少し黴臭いような本の匂いに包まれている図書館内で、素馨の香りは夜空に光る一番星のように目立っていた。アカリは上体を起こしあたりを見回すが素馨は見当たらない。導かれるように立ち上がると香りの元を探し始めた。
 アカリは螺旋階段の側面へ回り込み身を屈めて、階段の根元の裏側を覗き込むと香りの元がそこに隠れていた。大伽藍の扉が開いたときに風と一緒に舞い込んでしまった素馨の花が隠れるように落ちている。膝を床につき階段下に手をのばし素馨を掴むと、一緒に塵とホコリのザラリとした感覚が手に残った。
 ホコリで薄黒く汚れてしまっていた素馨の花を、アカリは優しく息を吹いて綺麗にしてやる。いつまで経ってもアカリにとって素馨は特別な花だった。
 アカリが再び階段下に目を戻すと、先程触れた床の場所のホコリが取れ床が見えていたのだが、そこに何か違和感があった。
 素馨の花を床に置くと、手のひらで更に床のホコリを取る。伽藍内は暗く、階段下ともなればかなり見にくいが、床にはいくつもの細かい傷が薄っすらと走っていた。傷は階段の幅を堺にしていくつかあるようだったがすべて同一の方向についているようだ。
 なんだろう、引っ掻いたような、何かを引きずってような……。アカリはその場に座ると考えを巡らせはじめた。


 しばらくすると頭上から足音が響いてきた。どうやらマツリカが階段を下りてきたようだった。風の音に混じってコツンコツンと一定のリズムが伽藍に反響する。マツリカは座り込んだアカリを見つけると怪訝そうに目をやる。
──アカリ、雨はだいぶ弱まってきたみたいだよ。それにしてもそんなところにあぐらなんてかいて何してるの?
「マツリカ様、以前にこの階段の下に何か置いてあったりしましたか?」
──階段下に……?さぁ知らないね。何か見つけたの?
「たいした事ではないのですが……床に微かに傷がついています。なにか引っ掻いたような傷が」
 マツリカは眉をひそめると階段を降りきり、ローブを右手でさばいてアカリの隣にかがみ込んだ。そして階段下をじっと見つめる。
──私には影しか見えないよ。灯りを持ってきて。
 アカリは近くにあった卓上にあった燭台を取ってくると階段下にそっと置いてやる。
──傷か……。たしかにうっすらとついてるね。
「そうなんです。私たちから見て横方向に向かっていくつも線があるのです」
マツリカは、アカリがホコリを払った部分を撫でる。
──触っただけでは傷があるかはわからないね。それにしても妙だね。私の知る限りではここに何か置いた記憶はないし、引きずってついた傷なら相当重いものを引きずったはず。
 マツリカはそのままアカリと同じように、あぐらをかくと腕組みをしたまま右手を顎に伸ばし、親指で頤を支えて手先で口元を隠す仕草。視線は階段の根本に向けられていたが、アカリにはマツリカが床の更に奥へと目を向けているように見えた。アカリはマツリカの思考の邪魔にならないように静かに座り直すと、マツリカの視線の先に自身も目を向けた。

 アカリが置いた燭台の蝋燭が芯を焼きゆらゆらと揺れる。その揺らめきがなければ時間が止まってしまったように見えただろう。二人はしばしの間も微動だにしていなかった。
 アカリは横目でマツリカの様子を伺う。以前は肩にかからない程だったマツリカの髪が、今では背中に少しかかるほどに伸びている。耳にかきあげた髪をかけていて、そこから思考に集中している横顔が見える。
 程なくしてマツリカの口の端がきりと上がる。
「何か分かったのですか」
──初めて地下水道を見つけたときの記録の事を覚えてる?
「えーと……工費の請求書のようなものでしたよね」
 マツリカからの突然の、そして予想外の質問に驚いたが、アカリは遠い記憶を探って答える。
──そう。工費の費目と額が表になって並んでいる書き付け。あとは東方の治水と土木の専門家を招聘した記録だね。
「その記録がどうかしたのですか」
──地下水道の全貌を把握したくて、他に地下水道の設計図やら全体図がないか、お前がニザマに行ってる間も暇さえあれば探していたんだ。どうして私が地下水道について調べていたかわかる?
「町に抜け出しやすくするためですか」
──……アカリ、私は真面目な話をしているんだよ。
 呆れて顔のマツリカにアカリは申し訳なさそうに首をすくめる。
──お前の頭の悪さは変わっていないようだね。ニザマに行ったくらいで考えが変わるなんて期待もしてなかったけど。
「すみません……」
──あの地下水道はね、お前が考えているよりずっと危険なんだよ。
「崩れる恐れがあるということですか」
──いや、違う。構造的な話ではない。私たちは地下水道のおかげで離れの中庭の井戸から簡単に町へ抜け出す事ができるようになったね。つまり逆もしかりなんだよ。地下水道の全貌さえ把握していれば、誰でも地下水道を使って私たちの喉元に迫れるということさ。
 アカリはここまで言われてようやくマツリカの言わんとしていることがわかった。どうして今までこんな単純な事に頭が回らなかったのだ!
「つまり敵が私の首をねらっていて、地下水道について精通していたらどうなるだろうね。なんの苦労もせずに囲いを突破して一手で王手さ。
「では、はやく対応をしなくては!」
 アカリは思わず立ち上がって答えた。しかし、それに対してマツリカは変わらず冷静だった。
──落ち着け、これは万に一つの可能性さ。逆に今、大々的に動いたらやつらにヒントを与えるだけ、それこそ危険だよ。だから私は図書館に記録がないか調べてたのさ。
「なるほど……」
──工費の請求のような些細な記録が残っていたのだから、地下水道に関するもっと詳しい記録があるはずだろう?それでね、何が見つかったと思う?
 マツリカは自信満々の表情でアカリに問いかける。
「さては、本命が見つかったのですね?」
──何も見つからなかったのさ。
「え?どういう事ですか?」
──どうもこうもない。地下水道に関する記録はほかに何もなかった。
 アカリはマツリカの考えがまったくわからなかった。言葉と態度が合っていない。何も見つからなかったのに何故こんなに自信満々なのか。マツリカはそんなアカリの思考はお見通しだった。
──何故、何も見つからなかったのに堂々としているのか?って顔をしてるね。何も残っていないって事がわかったのさ。不自然なほどにね。
 マツリカは畳み掛けるように手を振るう。
──おかしいと思わないか?工費の請求書なんて地味な物が残っているのに、肝心の地下水道の全体図や、設計図がないんだよ?明らかに作為的な力が働いていると思わない?誰かが地下水道に関する記録を廃棄、または隠蔽したと考えるのが筋ってもんじゃない?
「一体誰がそんなことをしたんですか?」
──人に聞く前に考えてからモノを言えと前から……。まぁいい。図書館の記録を扱える人間だよ?そんなの決まってるじゃないか。図書館の番人さ。
 このマツリカの答えは、アカリには信じられなかった。歴史と記録を重んじ、すべてを明らかにしようとしている図書館の番人が、真実を闇に葬るなんて真逆の行為を行っているとはとても考えられなかった。
「そんなことがあるのでしょうか?図書館の番人が記録を……?」
──時と場合によるということさ。おそらく誰にも知られてはならない秘密がそこには書いてあったのさ。
「地下水道の記録に誰にも知られてはならない秘密……?想像がつきません」
──私もその秘密が何なのかまではわからなかったんだ。この傷を見るまでは。
 マツリカは澄ました顔で口の端をきりと上げて、はねた方の眉を上げてみせる。
──この傷は階段の基部が引きずられてできた傷さ。隠れているはずだよ。図書館の地下室が。
 今日一番の衝撃がアカリを襲い、アカリはもう開いた口が塞がらなかった。
──地下水道ができたのは何百年も前だ。そんな昔に異国の職人たちを手配する手腕があって、彼らの言葉や文字に理解があって、王宮に顔がきく、そんな人物、当時の一ノ谷のどこにいるんだろうね?
 マツリカは皮肉な笑いを浮かべて、聞かずもがなのことを聞いた。
──おそらくは、王宮が図書館に治水に関する相談でもしたんだろう。それを図書館は逆に利用でもしなんじゃないかな。地下水道作りはあくまでカモフラージュ、本命は職人たちに図書館に秘密の地下室……または地下通路を作らせること。思い切ったことをする番人もいたもんだ。相当のキレ者だよ。
 マツリカは立ち上がるとローブを数回はたいて、階段の正面に回り込む。
──さぁ詳しい話はあとだ。アカリ、基部の上の書見台を床におろして。
「わかりました」
 アカリは我に帰って頷くと作業に移った。馬蹄形に並んだ書見台を降ろし終えると、正面で待つマツリカのもとへと戻る。
──これを階段の方向に押して。おもいっきりね。
「はい」
 アカリは、腰を落として両手を階段につけ、両足を踏ん張り石造りの基部を押し込んだ。グッと力を込めて押し込んでみても、基部は根が張ったようにびくともしない。さらに暫く粘ってみたが結果は変わらなかった。
「重すぎます。私一人では無理ですよ。それに本当にコレが動くのでしょうか」アカリは押すのを諦めて、階段から手を離す。
 マツリカは腕組みをして眺めていたが、きりと口の端が上がる。マツリカは今しがたアカリが押していた箇所に軽く触れる。
──よく見ていな。
 マツリカは軽く押しているだけのように見えたたのに、びくともしなかった石造りの基部が静かにスライドしていった。マツリカはすぐに手を離したが、その後も基部は意志をもったようにゆっくりと進んでいく。
「そんな……!」
──大伽藍の扉と一緒さ。図書館は資格と意志のある者に対して応えてくれる。
「今までここが開かなかったのは、ここに地下がある事を知らなかったから……。」
──英知を収める本たちが螺旋階段を登った先にあると知っていて、下を見ようとする人間なんていやしないさ。
 ゆっくりと動いていた階段は一段目と重なる位置で動きを止め、元々階段の基部があった場所にはポッカリと口を開けた地下への階段が姿を現した。
──さて、久しぶりに冒険といこうか。
 止めても無駄だなと察したアカリは、螺旋階段をかけあがり、柱の窪みから蝋燭を六本拝借してきて、階段下を照らしていた燭台を手にとった。
「四本目に火をつけた時点で引き返しましょう」
 マツリカは頷くと、二人は手を繋ぎアカリを先頭に地下への螺旋階段を一段、また一段と下っていく。
 二人に大伽藍の灯りが届かなくなるほど階段を下った頃、石造りの基部は音もなくスライドを始め、元の位置に収まってしまった。嵐がおさまり始め、静寂を取り戻しつつある大伽藍に残ったのはアカリが置いた一輪の素馨の花だけであった。




続き→行き詰まってます(10/1)

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【27作品】2019年上期に読んだ小説を5段階で評価する&ベスト3紹介【一言感想】

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今回は私が2019年上期(1〜6月)に読んだ小説27作品を5段階評価で好き勝手に感想を書いていく。


そして、後半は上期に読んだ小説の面白かった作品ベスト3をあらすじなどと共に紹介。(こちらは再読を含まない)2019年に発売した小説ではなく、あくまで私が1〜6月に読んだ小説なのでご注意を。


2018年verはコチラから

目次

──1.読んだ小説・一言感想

巨人たちの星/ジェイムズ・P・ホーガン
☆☆☆☆☆
シリーズ三作目。相変わらず裏切らない面白さ。
「今、当たり前と思っているすべては、誰かが突拍子もない夢を描いたところかららじまっている」



時間泥棒/ジェイムズ・P・ホーガン
☆☆☆☆
全169ページで短いが十ニ分に楽しめる読み心地だった。余分なものは極力削ぎ落とし、SF特有の世界観と問題解決の爽快さが印象的。



東の海神 西の滄海/小野不由美
☆☆☆☆
尚隆と六太は、500年間ずっと馬鹿みたいなやりとりを繰り返しながら国を納めていったんだろうなぁ。仲の良い兄弟みたいで羨ましい。



風の万里 黎明の空/小野不由美
☆☆☆☆☆
己の道を定める物語。ラストが最高に好き。私が好きな要素が詰め込まれてる。



図南の翼/小野不由美
☆☆☆☆
一番の衝撃は蓬山にでてきた"彼"、完全に予想外だった。短編でも"彼"の物語が読みたい。



黄昏の岸 暁の天/小野不由美
☆☆☆☆
続きを…続きを読ませてください。
『魔性の子』から読んでるファンにはたまらない。



華胥の幽夢/小野不由美
☆☆☆☆
冬栄では泰麒がひたすらに愛らしいし、乗月ではタイトルの意味に感銘をうけ、書簡では陽子と楽俊のやりとりに安心し、華胥では失道の過程にやるせなさを感じ、帰山では今後の物語の展開がさらに楽しみなる。



丕緒の鳥/小野不由美
☆☆☆☆
タイトルになっている『丕緒の鳥』の話がたまらなく好き。物語の本筋の隙間にそっと収まる短編。



マスカレード・ホテル/東野圭吾
☆☆☆☆☆
(再読)
映画に触発されて再読。



羊と鋼の森に/宮下奈都
☆☆☆☆☆
言葉って美しい。



四季 春/森博嗣
☆☆☆☆
彼女が小さい頃から相変わらずで逆に安心。



四季 夏/森博嗣
☆☆☆☆☆
『F』の舞台は整った。



四季 秋/森博嗣
☆☆☆☆☆
『F』の答えはここにも隠されている。



四季 冬/森博嗣
☆☆☆☆
四季に対するイメージが、また変わる一冊。移りゆく季節のように変わっていく四季の完結編。



幻惑の死と使徒/森博嗣
☆☆☆☆
内容もさることながら、惹かれるのは奇数章しかないトリッキーさと『奇』で統一された章題。



夏のレプリカ/森博嗣
☆☆☆
『幻想の死と使徒』と対になる物語。
最終的な犯人は、想定外。
そして、結末は悲しすぎる。



今はもうない/森博嗣
☆☆☆
最後の終わり方は好き。
だけど登場人物の一人が気持ちわるくて不快すぎた。



封印再度/森博嗣
☆☆☆
末永く爆発しろ。二人のターニングポイント。



人形式モナリザ/森博嗣
☆☆☆
登場人物に掴みどころがないて、謎が謎を呼ぶ感じ。とくに保呂草さん…!
これは最後の一行にもっていかれる。



パズル・パレス/ダン・ブラウン
☆☆☆
暗号ってロマン
…が、ダン・ブラウンにしては物足りない。



デセプション・ポイント/ダン・ブラウン
☆☆☆☆☆
大統領選挙の攻防と、NASAの衝撃の発見…。予想もできない一転二転の展開にハラハラドキドキで大満足の一冊。『ダ・ヴィンチ・コード』シリーズとは一味違う、ダン・ブラウンの新たな一面が見える作品。



黄金の王 白銀の王/沢村凜
☆☆☆☆☆
薫衣の生き様にただただ圧倒される。
強いて言うなら自分の幸せを求めてほしかった。



本日は、お日柄もよく/原田マハ
☆☆☆
「言葉は時として世の中をかえる」
言葉の魔力を感じる一冊。ストーリーに惹き込まれるのもあるが、誰もが経験し得るスピーチの極意が散りばめられて勉強になる。



狼と香辛料XIX/支倉凍砂
☆☆☆☆
『Spring Log』かぁ…なるほどね。最高だな?
ロレンスとホロはもう安心して見てられる。



狼と香辛料XX/支倉凍砂
☆☆☆☆
順番に読んでる読者なら、これ以上に次の巻が読みたくなるラストはないと思う。



空色勾玉/荻原規子
☆☆☆☆
神ときくと『絶対的な超越した存在』というイメージを持ってしまうが、そんな彼らですら悩み、恨み、恋い焦がれるなんて、なんとも素敵じゃないか。


童話物語/向山 貴彦
☆☆☆☆☆
少女の成長に心惹かれるのは、同情からなんかじゃない。彼女の不器用だけど真っ直ぐな強さが羨ましいからだ。

──2.2019年上期ベスト3


3位:黄金の王 白銀の王/沢村凜

あらすじ

二人は仇同士であった。二人は義兄弟であった。そして、二人は囚われの王と統べる王であった──。翠の国は百数十年、鳳穐と旺厦という二つの氏族が覇権を争い、現在は鳳穐の頭領・穭が治めていた。ある日、穭は幽閉してきた旺厦の頭領・薫衣と対面する。生まれた時から「敵を殺したい」という欲求を植えつけられた二人の王。彼らが選んだのは最も困難な道、「共闘」だった。日本ファンタジーの最高峰作品。

(引用:黄金の王 白銀の王/沢村凜)


『黄金の王 白銀の王』のテーマは、覇権を争う二人の王の「和解」そして「共闘」


大きな目標のために敵同士だった者が手を組む。これだけ聞けば、盛り上がるよくある展開だ。本書もこの展開に違いはないが、『黄金の王 白銀の王』で語られるのは「共闘」を決め、達成を目指す果てない道のりだ


ファンタジーといば魔法がでてきたりだとか、派手なアクションをイメージする方も多いだろうが、そのような要素はなく物語は静かに淡々と進む。だがしかしその世界に惹き込まれる。


それは魅力的な二人の王が歩む軌跡を堂々と、時に残酷に、そして現実世界のように鮮明に描かれているからだろう。


2つの氏族は100年以上前から争いを続けており、それぞれの敵氏族を駆逐するよう教えられ、世の中もそれが当然の摂理であると考えていた。


しかし、2つの氏族が長年争いを続けているために国は衰退の一途をたどっていた。さらに国外から、海を渡って他の民族が侵略してくる可能性も高い。ひとつの国の中で潰し合っている場合ではなく、そのために共闘が持ち出せれたのだが……。


派手さのある作品ではない。しかし『黄金の王 白銀の王』は、私にとってじわじわと心に残り続ける作品だ。激しい熱量で燃焼するような炎ではなく、じわじわと燻り続ける、一見弱々しいが確かに暖かい、そして決して消えることない。そんな炎のような作品となった。



2位:羊と鋼の森/宮下奈都

あらすじ

高校生の時、偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来、調律に魅せられた外村は、念願の調律師として働き始める。ひたすら音と向き合い、人と向き合う外村。個性豊かな先輩たちや双子の姉妹に囲まれながら、調律の森へと深く分け入っていく─。一人の青年が成長する姿を温かく静謐な筆致で描いた感動作。

(引用:「BOOK」データベース)    

2016年に「本屋大賞」を受賞した宮下奈都のベストセラー小説『羊と鋼の森』


『羊と鋼の森』はピアノの調律師を目指す青年が職場の先輩や、お客さんとの関わりを経て成長していく過程を描いた物語である。劇的な展開や大きな事件が起こる訳ではないが、繊細な心情描写と、主人公の確かに成長の様子は、ジワジワと熱を帯びてくるような面白さがある。


それまでは、物事にあまり関心が持てていなかった主人公・外村がピアノと調律の世界に没頭する。ピアノの音と向き合って、ピアノを通してお客さんや職場の先輩と向き合って成長していく。ひた向きに調律の道を進む外村の静かな情熱が私は少し羨ましかった。


読みやすくスッキリした読了感。そして単行本で243ページと文量も多過ぎず少なすぎず、普段あまり本に触れない方も読みやすい作品だと思う。





1位:風の万里 黎明の空/小野不由美

あらすじ

天命により慶の国の、景王となった陽子は民の実情を知るために街へ出た。目前で両親を殺され芳国公主の座を奪われた祥瓊は、父国の非道を知り自らを恥じていた。蓬莱から才国に流されてきた鈴は華軒に轢き殺された友・清秀の仇討ちを誓った。それぞれの苦難を抱いて三少女はやがて運命の邂逅の時を迎える──。

(引用:風の万里 黎明の空〈上〉/小野不由美)


良い国とは?良い王がとは?
『風の万里 黎明の空』は、十二国記シリーズの第5作目の作品で、『月の影 影の海』の主人公・陽子が再び登場する。


今回の『風の万里 黎明の空』では、陽子の目指す「良い国」とはなんなのか?物語序盤に陽子が己に投げた疑問に対して、真っ向から向き合い、悩み、現実を見つめながら答えを出している。だからこそ、最後に陽子が出した答えには痺れるのだろう。


『風の万里 黎明の空』はファンタジー好きの方はもちろん、そうでない方にも是非とも読んで頂きたい一冊だが、シリーズ作品なので十二国記が気になる方はエピソード0の『魔性の子』か1作目の『月の影 影の海』から読んでみてほしい。


十二国記の紹介はコチラから



──3.最後に

この半年で一番の衝撃は『十二国記』に出会った事だろう。面白すぎて全9作品を1ヶ月たたないうちに読み切ってしまったことには、流石に自分でも驚いた。さらには2019年の10月、11月には待望の新刊が出るということで更にわくわくが止まらない。


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『図書館の魔女 合同感想本2』は原作ファン必見の愛が詰まった一冊だった。

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『図書館の魔女 合同感想本』がパワーアップして帰ってきた。


第1段に比べて寄稿者が増え、ページ数も倍増した『図書館の魔女 合同感想本2』


『図書館の魔女』の世界に魅せられた17 名によって綴られたこの感想本は、あなたをもっと『図書館の魔女』の世界の虜にさせるはずだ。


今回は
・『図書館の魔女 合同感想本2』とは何なのか?
・『感想本』の第1弾と第2弾の違い
・みなさんの作品について、私からの感想
・そして私も小説を寄稿させていただいたので、その小説のあとがきのようなもの

の4つについて触れていく。


また、感想は書いているが、みなさんの作品についてのネタバレは極力抑えているので、これからの購入を検討されている方も問題なく読める仕様になっているので安心して頂きたい。


目次

1.『図書館の魔女 合同感想本2』とは?

著者・高田大介による長編ファンタジー『図書館の魔女』及び『図書館の魔女 烏の伝言』の感想などをまとめた同人誌の第2弾である。


サークル・紫向屋のさよさんと寄稿者による『図書館の魔女』に関するイラスト・感想・考察・二次創作などが綴られている、『図書館の魔女』ファンにはたまらない一冊となっている。


2019年6月9日に東京流通センター・ノヴェルの虹橋にて出店・発売され、現在では通販で購入することができるので気になる方は下のリンクから是非。(数には限りがありますのでご注意を)

【購入はコチラから】




『図書館の魔女 合同感想本"2"』ということで第1弾ももちろん存在する。第1弾についての紹介・感想はコチラから。


2.感想本の第1弾と第2弾は何が違う?

──1番の違いはネタバレのあり・なし

感想本1と2の1番大きな違いはネタバレのありなしだろう。

感想本1は、第4巻で明らかになる犯人だけはぼかすという方針で作製されているので、一応『図書館の魔女』が未読の方も手に取る事ができるように作られていた。


そして今回の感想本2は完全にネタバレを解禁した作りになっている。そのため、ネタバレの枷から解き放たれた寄稿者たちが、感想本1では語れなかったより深い所まで図書魔女愛を語り尽くしている。

──第2弾はボリューム2倍!?

感想本1は主催のさよさん+寄稿者9名の合計10名で、合計ページは38ページだった。


そして、今回の感想本2では、主催のさよさん+寄稿者16名の合計17名で合計ページ数はなんと80ページ!!前回の2倍以上のページ数となっている。

──考察・SS・漫画・小説なんでもあり!

ページ数が増え、寄稿者が増えたことで様々な視点からの『図書館の魔女』の世界を見ることができる。


前作同様に感想・イラストもさることながら、今回の感想本2では登場人物についての考察や、寄稿者オリジナルの2次創作(SS・漫画・小説)も描かれている点が感想本1との大きな違いだろう。



3.感想

以下では、私FGが僭越ながらみなさんの作品の感想を語っていく。まだ感想本を買っていない方のために、みなさんの作品についてのネタバレは極力避けているので安心していただきたい。


──さよさん(sakko/さよ (@sayo6) | Twitter)
まず、企画・編集・販売など、また寄稿した小説の誤字・脱字のチェック、更にはアドバイスetc…。細かい所まで本当にお疲れ様でした!ありがとうございました!!すべてさよさんのおかげでございます!!


さて、本編を描いた漫画・イラストは見ただけで「あ!あのシーンだ!!」と興奮が蘇ってきました。水槌の所とか隠れた(?)名シーンですよね。


1番ビックリしたのは『烏の伝言』の時系列をまとめた図!!『烏の伝言』って登場人物が多い上に、それぞれの登場人物が同時進行で行動していくので、「今」「誰が」「何をしているのか」が把握しにくく混乱しやすいと思うんですよ(少なくとも私は混乱しました)。


それをなんと「今」「誰が」「何をしているのか」が2ページにわたって見事にまとめられてるのが素晴らしすぎます。コレはもう『烏の伝言』を読み返すときにの必須アイテムですね。


そして「たかいとうにっし」という漫画まで!流石ボリューム満点!熱量が違いますね…!
キリヒトとマツリカ様のお忍びデートは大好きな場面だったので、あの漫画は……たまらなかったです。


みなさんの内容はもちろんのこと、表紙や奥付、細部に至るまでこだわりが感じられる素晴らしい感想本に仕上がっていました。本当にありがとうございました。



──よいこさん(よいこ (@kanmi_yoiko) | Twitter)

『食』をテーマに飾られた唯一無二の感想でした!『図書館の魔女』にでてくる食べ物ってめっちゃ美味しそうですよね…!さらには美味しそうなだけでなくて、重要な場面には『食』が絡んでいるんだなぁと、よいこさんの感想とイラストで気付かされました。そしてまた周りにいる登場人物たちが表情豊かで可愛らしい…!


『食』のシーンってこれほどに作品を支える要因だったんですね…!確かにマツリカ様とキリヒトのお忍びデートのいえば春巻ですし、三国会議から帰ってきたと実感させてくれたのはイラムの料理でしたもんね…!



私はまだまだファンタジー作品に触れて日が浅いのですが、これから読むファンタジーにはこれまで以上に『食』に注目して読んでみたいと思います。



──鴇羽さん(鴇羽@読書垢 (@10Baumocho) | Twitter)
疑問・考察がこんなに細かい所まで…!とビックリ!私にはない発想・着眼点でとっても参考になりました。


登場人物の名前についてや、現実世界の場所ならどのあたりなのか?などの考察は、まさに『図書館の魔女』のルーツをうかがえた気がします。


これだけ沢山の疑問や考察を知ってしまうと、ますます『霆ける塔』で疑問などが解消されるのか?伏線は回収されるのか?など待ちきれなくなってしまいますね。



──ともさん(とも (@tomosankamo) | Twitter)
ともさんの描いたイズミルが……めっちゃ好きです……イケメン……。(1番右がイズミルですよね…?違ってたらごめんなさい)


Twitterのほうでは「他の方と被らなそうな題材を選んだ」と仰っていていて、どんなイラストを拝見できるのかワクワクしていましたが、なるほど、確かに"彼ら"とは予想外でした!だがそれがいい!!


伝言の立役者たちですからねぇ。彼らのイラストを全然見かけたことがなかったので、今までは人物像のイメージがあまりはっきりしていなかったのですが、ともさんのイラストのおかけで彼らのイメージが固まりました。



──三船さん(三船 (@Mi_fune) | Twitter)

三船さんがあげた好きなシーン七選はどれも共感で、『図書館の魔女』は印象に残るシーンが多いと改めて思い知らされました。


そして、その選んだシーンに対する感想の奥深さが流石です。その六の「二人だけの静寂な世界を表現しているようで美しい。〈略〉」を読んで思わず読み返して確認したくなり、四巻のその部分を読み返してしまいました。確かに二人の会話だけ…!もう最高ですね…!


あとは、その三を選んだ所が三船さんらしいなと思いました。この部分は、ブログでも触れていた所でしたよね。実は『図書館の魔女』の感想をネットで調べて、他人の感想を読んたのは三船さんのブログが初めてでした。


感想はもちろんのこと、伏線やルビ、そして手紙の文法解説にいたるまで内容が濃密で衝撃を受けたのを覚えています。私と同じような人もいてようで、オフ会でも三船さんのブログは話題にあがっていましたよ!



──アヤをさん(アヤを (@AyaSu_) | Twitter)
好きです(突然の告白)。
今回の感想本とは別にTwitterでアヤをさんの『図書館の魔女』のイラストを拝見して以来ファンになりまして、今回の感想本に寄稿していると知ってめっちゃ楽しみにしていました。


どのイラストも可愛いくて好きなのですが、私はとくに1ページ目の右上のイラストが…もう…!


このシーン、私が1巻で1.2を争うくらい好きなシーンなんですよ!それをまさかアヤをさんのイラストで再現して頂けるなんて感無量でした……!ハルカゼの笑ってる所も、キリンのツンとしてる様子も、マツリカ様の不敵な表情も…もうたまらないです。



──空飛ぶネズミさん(空飛ぶネズミ (@soratobu_nezumi) | Twitter)
1ページに収めてしまうにはもったいないと思えてしまう情報量とイラスト…!!


1番に目をひかれたのは、下のイラストの右端。しっかりもう一人いる!!と見つけたときはニヤけてしまいました。やっぱり彼らは人気ですよね。


キリヒト・マツリカのイラストはみなさんある程度似ているなぁと思うのですが、衛兵たちのイラストはみなさんの中のイメージが強く出る面白い点だなぁと思いました。



──西UKOさん(UKOZ_11月30日北ティア11_H23 (@nwxp) | Twitter)
この感想は…すごいです。『図書館の魔女』は要素の多い本だと漠然と思っていましたが、「日本十進分類法」を引き合いにまとめられているのが見事の一言。改めて作者の知識量に驚愕するばかりです。



そして『図書館の魔女』の世界における「将棋」の役割。
・相手の駒を自分の駒にすることができる。
・敵陣に入る事で「成る」ことができる。


「確かに…!確かに…!!」と納得しながら読ませて頂きました。もう着眼点が素晴らしすぎます…!



──かがみさん(🍙かがみ🐙 (@mirror_u) | Twitter)
イラム愛が伝わるワンシーン…!登場シーンこそ少ないもののイラムは存在感がありますよね。ふんわりしているようで物事の本質を突いてくる様子にハッとしたのを覚えてます。


描かれているようなマシンガントークもイラムの特徴がよくあらわれているなあと思いました。


伝言では登場しませんでしたが『霆ける塔』ではまた、彼女に登場してもらいたいですね!可愛いし!



──ふじさん(ふじ (@fuji_mi23) | Twitter)
前にTwitterであげられていた指話の話の清書が見れるのかなぁと思いきや嬉しい予想外でした!!


小さいマツリカ様が!きらきらしたマツリカ様がとにかく無邪気で可愛い……!ぜったいこんな出会いがあっただろうなぁと想像が膨らんでいきます…!


「一冊の本」との出会いが彼女の世界を変えたように、マツリカとの出会いがキリヒトの世界を変えたのだな、と思うと込み上げてくるものがありました。


そういえば『図書館の魔女』って回想シーンとかってまだ全然ないですよね?短編集とかでもいいので登場人物の過去のお話とか見てみたくなりました。



──Izuさん(Izu (@velizu) | Twitter)
ページをめくった瞬間に、見開きに描かれた彼らにやられました。え、カッコいい!背景までキレイ!!しかもあの二人!!!……と興奮が抑えられなかったです。


そしてマツリカのちょっと冷たそうな表情、キリヒトの優しげな表情、それぞれ二人らしさがでていてグッときました。


本編と伝言でヴァーシャから受ける印象って確かに違いますよね。私は伝言のほうが本来のヴァーシャなのではないかと思います。本編のほうでは刺客としての立場があり素を出せていなかったけれど、離れからの旅立ち、そしてマツリカからの手紙でヴァーシャは開放されたのかな…と。



──なんてつさん(軟鉄 (@iron_soft17) | Twitter)
第1弾から変わらない…いや、むしろネタバレから解禁されて、さらにパワーアップしたヴァーシャ愛がひしひしと伝わってきました。


ヴァーシャに関するシーンや会話など細かい所にいたるまで考えが張り巡らされていて流石の一言です。


そして行動力が凄まじい…!実際にパンパイプを吹いてみたいなぁとは思っても、それを実行できる人はなかなかいないと思います。ここまできたらホント、ヴァーシャくらい技術を身に着けてほしいです…!応援してます…!



──なしきさん(なしき (@Aoi_sapphire) | Twitter)
思わずクスッとするような話や、こんなやりとり絶対ありそう…!と思える『図書館談話録』。高い塔メンバー全員がちゃんと登場している所とかこだわりを感じます。


『※図書館・書庫』
この話が絶妙にすきです。これはTwitterにもあがってましたよね!爆速でいいねを押した覚えがあります。キリヒトの察しの良さ、そしてマツリカの考え。二人の特徴をうまく表しているなぁと思いつつ、このクスッとしてしまうやりとり……いい!


あとは『※図書館・伽藍』の話もツボでした。苦労人イズミルと自由人マツリカ様。マツリカ様も「イズミルがいるならなんとかなるだろう」って信用している様子が伺えました。



──北条KOZさん(UKOZ_11月30日北ティア11_H23 (@nwxp) | Twitter)
マツリカ様はネコっぽい…!めっちゃわかります!そして可愛い…!!


2ページ目のような展開がはやく本編でもやってこないかなぁと待ち遠しいかぎりです。


キリヒトの成長ももちろん楽しみですけど、マツリカの心境の変化や、二人の再開はどんな風なのか、はたまたアキームとイラムの恋路とかetc…。


『霆ける塔』の発売が待ちきれないですね。



──端本 昴さん(端本昴 (@h_subaru) | Twitter)
キリヒトがマツリカ様を天然で困らせるってシチュエーション…すきです!!


指話を練習中でウキウキな様子が伝わってきます!そして赤面のマツリカ様がかわいすぎ…!


漫画の中での登場人物たちのいきいきした姿もさることながら、マツリカ様の台詞がいかにもマツリカ様らしい台詞回しで、とってもマッチしていました。


是非とも上下に見切れた全文をしっかり読みたい所です。でりかしー?知りません!!



──駒々真子さん(やくそくのばしょにはかわいい弟がいるの/わたしにかわいい弟ができたみたい…! (@komagomamako) | Twitter)
語彙力、そして言葉の選び方が…見事すぎます。まるで『図書館の魔女』本編を読んでいるかのよう…!物語の隙間を埋める物語、とっても惹き込まれました。


ハルカゼを中心にすえての展開は、感想本1で熱く語られていたように、ハルカゼに対して理解の深い駒々真子さんならではの物語になっているなぁと思いました。


確かにハルカゼならこんな受け答えしそう!こんな考え方なんだろうな!と納得しかないです。



4.あとがき(のようなもの)

冒頭にも書いたのですが、今回は私FGも小説で寄稿させて頂きました。小説を書くのも初めてだったのに、その作品が本に載ってしまうという……。不安半分、楽しみ半分でしたが、今自分が書ける精一杯を詰め込んだつもりです。


タイトルは「新月に願いを」
キリヒト・マツリカを中心に、4巻のラスト、ヴァーシャが旅立ってからキリヒトが旅立つまでの間のストーリーを書かせていただきました。


実は提出期限の2日前まで、新月ではなくて満月の設定だったんですよ(なのでラストも全然違っていた)。それが4巻を読み返していて気付いてしまったんです。

──ではどうしても行くのか。
「ええ、ここにはいつまでもいられない」
新月も近くなった晩に、すでに旅装を調え、懐にはハルカゼに用意してもらった手形を押し込んで、ヴァーシャールヘイは離れの中庭にあった。

(引用:図書館の魔女4 P580-581/高田大介)


新月…?え、シンゲツ…?SINGETU…?
このときは、月に対する知識が皆無だったのでGoogle先生にきいてみたのですよ。そしたら

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(参照:新月とは?月の満ち欠けと呼び名一覧、満月に至る解説も - 気になる話題・おすすめ情報館


見事に真逆!!
流石にこのままいくと時系列が合わないので軌道修正を余儀なくされましたが、結局修正後のラストのほうがまとまりがよかったので結果オーライでした。



読んで下さった方はお気づきかも知れませんが『図書館の魔女』本編との矛盾点があります。それがマツリカの手紙についてです。


本編では、マツリカがあの場で考えて書いた。という描写だったので今回書いたものとは矛盾があります。ただ私的には、うっすらとは手紙の構想は考えてあったのではないかなぁという思いからあのような展開にさせて頂きました。


5.最後に

シリーズ第三作目となる『図書館の魔女 霆ける塔』が令和元年発売との情報もあり、わくわくが止まらない昨今。私と同じように新作を心待ちにしている『図書館の魔女』ファンも多くいるだろうと思ってます。


この感想本は、そんな図書魔女ファンにぴったりの一冊に仕上がっています。一人でも多くの『図書館の魔女』ファンの元にこの感想本が届きますように。


【感想本2をお求めの方はコチラから】

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『いい本』とはなんだろうか?
有名な賞を受賞した本だろうか?それとも著名な作者の本だろうか?


私は、『いい本』とは読了後に自分の中に残るモノがある本だと思っている。それは感動や恐怖といった感情でもいいし、興味や発見といった知的欲求でもいいだろう。


何年後かにその作品をふと思い出した時にでも、その作品が自分にくれたモノを思い出せたら素敵だと思うし、その積み重ねが読書の醍醐味でもあると思う。


さて、そこで今回は私が何十年後でも忘れることができないであろう、大好きな小説11作品を紹介していく。

注意事項

  • 2019年現在の私が実際に読んだ作品、ベスト11を紹介している。(随時更新予定)
  • 紹介はランキング形式ではなく、ランダムに紹介する。
  • あらすじは、基本裏表紙のものを引用している。
  • 物語の核心に触れるネタバレはしていない。
  • 一人の作家に対して、一つの作品を採用している。

  

1.図書館の魔女/高田大介

──あらすじ

鍛冶の里に生まれ育った少年キリヒトは、王宮の命により、史上最古の図書館に暮らす「高い塔の魔女(ソルシエール)」マツリカに仕えることになる。古今の書物を繙き、数多の言語を操って策を巡らせるがゆえ、「魔女」と恐れられる彼女は、自分の声を持たないうら若き少女だった。超弩級異世界ファンタジー全四巻、ここに始まる!

──剣でも魔法でもない。少女は言葉で世界を拓く。

【ボーイミーツガール】であり、【知的エンタメ】であり、【国家謀略戦争】であり、【大冒険】でもある。しかし何より大きいのは、『図書館の魔女』は"言葉"がテーマのファンタジー作品だという点だ。


タイトルは『図書館の"魔女"』だが、魔術で物を浮かせたりだとか、大釜で怪しげな薬を作っていたりだとかそんなことはない。ファンタジーに出てくるような竜だとか、伝説の剣だとか魔法もでてくるわけではない。


むしろファンタジーなのに非現実的要素を全否定するような場面すらある。


そんな世界観の中、図書館の魔女・マツリカは魔法を使わずに言葉を使う。いくつもの言語を扱い、難解な書物を繙き、言葉一つで世界を動かす。それにも関わらずマツリカ本人はしゃべることができないのだ。このギャップに惹かれないことがあるだろうか、いやない。


手話を用いた意思伝達を主としているマツリカのもとにある日、少年・キリヒトが手話通訳として図書館に遣わされる。特別な境遇に生まれ、特別な能力をもった二人の出会いで物語は始まる。お互いの能力で欠点を補いながら、そして、なくてはならない存在へと変わっていく。その過程が、やりとりがたまらなく愛おしい。


文庫本では第1巻~第4巻で構成されており、合計のページは1800ページを越える長編作品だが、ページ数もさることながら内容が非常に濃密である。


ランキング形式で紹介していないのは、「どれも好きな作品で順番がつけられない」のが大きな理由なのだが、この『図書館の魔女』だけは例外だ。私にとっては、そう思えるほど圧倒的1位の作品。


「いつまでもこの物語の世界に浸っていたい。読み終えてしまいたくない。」と思ったこの『図書館の魔女』だけかもしれない。
すべての読書好きに届け!!


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2.獣の奏者/上橋菜穂子

──あらすじ

リョザ神王国。闘蛇村に暮らす少女エリンの幸せな日々は、闘蛇を死なせた罪に問われた母との別れを境に一転する。母の不思議な指笛によって死地を逃れ、蜂飼いのジョウンに救われて九死に一生を得たエリンは、母と同じ獣ノ医術師を目指すが──。苦難に立ち向かう少女の物語が、今ここに幕を開ける!

──少女の執念は世界を変える

『獣の奏者』は、外伝も含めると5冊からなるファンタジー作品だ。


獣の奏者〈Ⅰ 闘蛇編〉
獣の奏者〈Ⅱ 王獣編〉
この2冊で一区切りつくので、興味がある方はまずこの2冊を読んでみてはいかがだろうか。(この2冊を読んでしまったら、さらに続きが読みたくなると思うが)


『獣の奏者』は、国と国の争いの物語でもあり、政治的な駆け引きの物語でもあり、決して人に懐かない王獣と少女が心を通わせていく物語でもある。


王獣闘蛇と呼ばれる二つの特殊な生き物が登場するのだが、どちらの生き物も人間では太刀打ちできないくらい強い。


闘蛇は、なんとか人が制御できるため国を守護する兵器として使われている。対する王獣は闘蛇以上に強いが決して人に懐かない。特殊な笛の音で硬直させてからでないと近づくことさえできない。


しかし、主人公・エリンは決して人に懐かないはずの王獣と心を通わせてしまう


エリンと王獣が仲良くなればなるほど、政治的な波に飲み込まれてしまう。心を通わせたい、しかしそれは王獣を兵器として使用させられてしまう事を意味する。そのときエリンが選んだ道は……。


一気読み必死のファンタジー。自信をもってオススメできる作品だ。


3.十二国記/小野不由美

──あらすじ

「お捜し申し上げました」──
女子高生の陽子の許に、ケイキと名乗る男が現れ、跪く。そして海を潜り抜け、地図にない異界へと連れ去った。男とはぐれ一人彷徨う陽子は、出会うものに裏切られ、異形の獣には襲われる。なぜ異邦に来たのか。戦わねばならないのか。怒涛のごとく押し寄せる苦難に、故国へ帰還を誓う少女の「生」への執着が迸る。シリーズ本編となる衝撃の第一作。

──圧倒的世界観が待ち受ける大人気ファンタジー

あなたは、ファンタジーに何を求めるだろうか?応援したくなる主人公?魅力あふれる登場人物?ハラハラドキドキの冒険?スカッとするようなどんでん返し?それとも作り込まれた世界観?


十二国記の世界にはそのすべてがつまっている。


『十二国記』の世界は古代中国がベースになっているが、まったく別の異世界。文明は現世よりだいぶ遅れており、電気などは通ってなく旅は徒歩か馬を使うのが主である。


世界は文字通り12の国でできている(世界の中心に『黄海』という島があるが、この島は12の国に含まれない特別な場所)。

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さらにこの世界とは別に十二国記には、『現世(日本)』が登場する。我々の住む現世と十二国記の世界は虚海という広大に海に隔てられている。


本来は『現世』と『十二国』とは行き来ができないのだが、蝕(しょく)と呼ばれる天災が起こると『現世』と『十二国』の世界が混じり、『現世』から『十二国』へと、また逆に『十二国』から『現世』へと人が流れ着いてしまうことがある。


上記のあらすじは『月の影 影の海』の上巻から引用したもので、現世に生きるごくごく普通の女子高生が十二国の世界に迷い込んでしまうお話だ。


『十二国記は現在短編も含めて10作品ある。以下作品一覧。


【十二国記・作品一覧】
1.『魔性の子』
2.『月の影 影の海』
3.『風の海 迷宮の岸』
4.『東の海神 西の滄海』
5.『風の万里 黎明の空』
6.『丕緒の鳥』〈短編集〉
7.『図南の翼』
8.『黄昏の岸 暁の天』
9.『華胥の幽夢』〈短編集〉
10.『白銀の墟 玄の月』

『月の影 影の海』では現世に生きていた女子高生・陽子が主人公の物語だが、タイトル事に主人公が変わる(同じ作品もあるが)ため、様々な主人公の目線・立場から異世界ファンタジーを堪能することができる。


ちなみに今年(2019年)、待望の新作の『白銀の墟 玄の月』1、2巻が10月12日(土)、3、4巻が11月9日(土)に発売されると予告されたたので今から読めばノンストップで新刊を読める絶好のタイミングだ。


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4.黄金の王 白銀の王/沢村凜

──あらすじ

二人は仇同士であった。二人は義兄弟であった。そして、二人は囚われの王と統べる王であった──。翠の国は百数十年、鳳穐と旺厦という二つの氏族が覇権を争い、現在は鳳穐の頭領・穭が治めていた。ある日、穭は幽閉してきた旺厦の頭領・薫衣と対面する。生まれた時から「敵を殺したい」という欲求を植えつけられた二人の王。彼らが選んだのは最も困難な道、「共闘」だった。日本ファンタジーの最高峰作品。

──仇敵同士の二人の王が歩む軌跡

物語のテーマは、覇権を争う二人の王の「和解」そして「共闘」。ファンタジーといば魔法がでてきたりだとか、派手なアクションをイメージする方も多いだろうが、そのような要素はなく物語は静かに淡々と進む。だが熱い。それは魅力的な二人の王が歩む軌跡を堂々と、時に残酷に、そして現実世界のように鮮明に描かれているからだろう。



大きな目標のために敵同士だった者が手を組む。これだけ聞けば、盛り上がるよくある展開だ。本書もこの展開に違いはないが、『黄金の王 白銀の王』で語られるのは「共闘」を決め、達成を目指す果てない道のりだ。


派手さのある作品ではない。しかし『黄金の王 白銀の王』は、私にとってじわじわと心に残り続ける作品だ。激しい熱量で燃焼するような炎ではなく、じわじわと燻り続ける、一見弱々しいが確かに暖かい、そして決して消えることない。そんな炎のような作品だ。



5.すべてがFになる/森博嗣

──あらすじ

孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウェディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大教授・犀川創平と学生・西之園萌絵が、この不可思議な密室殺人に挑む。ミステリィの世界を変えた記念碑的作品。

──衝撃のデビュー作!伝説の始まり

だれが犯人なのか?どんなトリックを使っているのか?これらの要素はミステリーで欠かせない要素だが『すべてがFになる』は、これらに対する解答が素晴らしいと思う。


天才工学博士・真賀田四季の部屋にあるコンピューターのカレンダーには、たった一行のメッセージが残されていた。そのメッセージが『すべてがFになる』


謎めいたタイトルに秘められた意味が分かったときの衝撃といったら他にない。印象的すぎるタイトルにして意味不明なタイトルであるが、読んでから考えるとこれ以上のタイトルはないだろうと思える。


『すべてがFになる』は主人公・犀川創平と西野園萌絵の頭文字をとって『S&Mシリーズ』と呼ばれており、10冊から構成されている。以下、シリーズ一覧だ。

【S&Mシリーズ作品一覧】
1.『すべてがFになる』 The Perfect Insider
2.『冷たい密室と博士たち』 Doctors in Isolated Room
3.『笑わない数学者』  Mathematical Goodbye
4.『詩的私的ジャック』 Jack the Poetical Private
5.『封印再度』 Who Inside
6.『幻惑の死と使途』 Illusion Acts Like Magic
7.『夏のレプリカ』 Replaceable Summer
8.『今はもうない』 Switch Back
9.『数奇にして模型』 Numerical Models
10.『有限と微小のパン』 The Perfect Outsider

個人的に大好きなのは『すべてがFになる』と『有限と微小のパン』である。是非とも制覇してみてほしい。

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6.ナミヤ雑貨店の奇蹟/東野圭吾

──あらすじ

悪事を働いた3人が逃げ込んだ古い家。そこはかつて悩み相談を請け負っていた雑貨店だった。廃業しているはずの店内に、突然シャッターの郵便口から悩み相談の手紙が落ちてきた。時空を超えて過去から投函されたのか?
3人は戸惑いながらも当時の店主・波矢雄治に代わって返事を書くが・・・。次第に明らかになる雑貨店の秘密と、ある児童養護施設との関係。悩める人々を救ってきた雑貨店は、最後に再び奇蹟を起こせるか!?

──現在と過去を繋ぐ奇蹟の手紙

『東野圭吾史上、最も泣ける作品』との触れ込みもあるが、それに恥じない感動と、心暖まるストーリーである。


『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の特徴は、ヒューマンドラマとファンタジーの性質を合わせ持っている点。ファンタジー要素というのが、青年たちが忍び込んだ廃墟に突如、30年前の過去から手紙が届くのだ


現在と未来が繋がる、また『ナミヤ雑貨店の奇蹟』のように現在と過去が繋がる。小説の設定としては、ありきたりのものだ。しかし、この物語の本質はヒューマンドラマである。過去と現在でやり取りされる手紙は、過去軸の人間の”悩み相談”を現在軸の人間が答える形式となっている。


この手紙のやり取りを通して、3人の青年は相手の事を考え、自分自身を見つめ直し成長する過程が、描かれている。


また、物語は5章構成になっていて各章ごとに新しい相談者の話になるのだが完全に独立した話という訳ではなく、端々で繋がっていることで全体像があきらかになってくる。


個人的に第二章の『夜明けにハーモニカを』の話がたまらなく好きだ。
音楽の道に進むか、家業の魚屋を継ぐか。そんな人生の二択に迫られた青年がナミヤ雑貨屋に相談の手紙を出して……。

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7.ダ・ヴィンチ・コード/ダン・ブラウン

ルーヴル美術館館長のソニエールが館内で死体となって発見された。殺害当夜、館長と会う約束をしていたハーヴァード大教授ラングドンは、フランス警察より捜査協力を求められる。ソニエールの死体は、グランド・ギャラリーでダ・ヴィンチの最も有名な素描〈ウィトルウィウス的人体図〉を模した形で横たわっており、さらに、死体の周りには、複雑怪奇なダイイングメッセージが残されていた。館長の孫娘でもあり、現場に駆けつけてきた暗号解読官ソフィーは、一目で祖父が自分だけに分かる暗号を残したことに気付く...。
〈モナ・リザ〉〈岩窟の聖母〉〈ウィトルウィウス的人体図〉──。
数々のダ・ヴィンチ絵画の謎が導く、歴史の真実とは!?

──全世界7000万部突破の衝撃作

『ダ・ヴィンチ・コード』は、ハーヴァード大学の象徴学者ロバート・ラングドンを主人公としたシリーズ作品であり『ダ・ヴィンチ・コード』はそのシリーズ第2作目の作品である。シリーズ作品の2作目ではあるが、この作品から読んでも問題ないようになっている。


とはいえ、第一作目である『天使と悪魔』も負けず劣らず面白いので、興味と時間がある方はそちらからトライしてみてもいいだろう。以下、2019年時点での『ダ・ヴィンチ・コード』シリーズ一覧

シリーズ5作品と刊行年
1.天使と悪魔〈2000年〉
2.ダ・ヴィンチ・コード〈2003年〉
3.ロスト・シンボル〈2009年〉
4.インフェルノ〈2013年〉
5.オリジン〈2017年〉


『ダ・ヴィンチ・コード』は、史実にまつわるストーリー、実在する舞台、芸術作品、名だたる偉人、宗教が登場するので、フィクションなのだがノンフィクションのようなリアルさがある。実在するものゆえに知的好奇心が刺激されてやまない。


歴史や宗教に対して予備知識があったほうが楽しみやすいし理解もしやすいだろうが、予備知識がなかったとしても十分に楽しめるはずだ(私は予備知識をもってはなかった)。逆に『ダ・ヴィンチ・コード』が新しい興味を発掘させてくらるきっかけになるかもしれない。


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8.船を編む/三浦しをん

──あらすじ

出版社の営業部員・馬締光也は、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれた。新しい辞書『大渡海』の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まる。定年間際の下手な編集者。日本語研究に人生を過ぎる老学者。辞書作りに情熱を持ち始める同僚達。そして馬締がついに出会った運命の女性。不器用な人々の想いが胸を打つ本屋大賞受賞作!

──『言葉は海であり、辞書とは海を渡っていく舟 』

『船を編む』は、"辞書作り"がメインテーマの物語だ。誰もが一度はひいたことがあるであろう辞書。しかし、その辞書を『誰が』『どうやって』『何を思って』作ったか……考えたことはあるだろうか?


『船を編む』では、そんな辞書作りについて焦点をあてつつ、携わる人たちの成長や思い、そして辞書作りに人生をかける人たちの情熱がつまった作品である。


固いイメージが湧くかもしれないが、仕事や人間模様を静謐に、時にコミカルに描いているので軽快に読み進めることができるはずだ。主人公の不器用な恋愛も歯がゆさがあるが素直に応援したくなる。


学生のころは何気なく使っていた辞書だけど、多くの人の執念と情熱が詰まっていたのだな、と思い知らされた。『船を編む』を読んだら、電子辞書でなくてGoogleでもなくて、紙の辞書で言葉を調べてみたくなるだろう。きっとそこから彼らの情熱が感じられるはずだ。



9.羊と鋼の森/宮下奈都

──あらすじ

高校生の時、偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来、調律に魅せられた外村は、念願の調律師として働き始める。ひたすら音と向き合い、人と向き合う外村。個性豊かな先輩たちや双子の姉妹に囲まれながら、調律の森へと深く分け入っていく─。一人の青年が成長する姿を温かく静謐な筆致で描いた感動作。

──静かな情熱に勇気をもらえる一冊

『羊と鋼の森』は、ピアノの調律師を目指す青年が職場の先輩や、お客さんとの関わりを経て成長していく過程を描いた物語である。劇的な展開や大きな事件が起こる訳ではないが、繊細な心情描写と、主人公の確かに成長の様子は、ジワジワと熱を帯びてくるような面白さがある。


読みやすくスッキリした読了感。そして単行本で243ページと文量も多過ぎず少なすぎず、普段あまり本に触れない方も読みやすい作品だと思う。


『羊と鋼の森』は、一つひとつの表現が、心理描写が、情景が繊細だと思う。とくにピアノ…つまり"音"を表現する描写が必然的に多い。もちろん本で音を聴けるはずがないのだが…「こんな音なんだろうなぁ」と自然とピアノの音が頭に浮かぶような、そんな繊細な表現が魅力の一つだ。


ピアノの音と向き合って、ピアノを通してお客さんや職場の先輩と向き合って成長していく。ひた向きに調律の道を進む主人公の静かな情熱が私は少し羨ましかった。


10.星を継ぐもの/ジェイムズ・P・ホーガン

──あらすじ

月面で発見された真紅の宇宙服をまとった死体。だが綿密の調査の結果、驚くべき事実が判明する。死体はどの月面基地の所属でもないだけでなく、この世界の住人でさえなかった。彼は5万年前に死亡していたのだ!一方、木星の衛星ガニメデで、地球のものではない宇宙船の残骸が発見される。関連は?J・P・ホーガンがこの一作を持って現代ハードSFの巨星となった傑作長編!

──月面探査で見つかったのは5万年前の人間の死体だった!?

10作中で唯一のSFモノ。『星を継ぐもの』がきっかけでSFが好きになり色々読み漁っているが、未だにコレを超える作品には出会えていない。


名作は色褪せない。『星を継ぐもの』は1977年に発売され、2018年には驚異の100刷を達成した、数字にも裏付けられた名作である。


物語は月面で宇宙服を身につけた死体が発見されて幕をあける。月面で死体が発見されることでも驚きなのに、調査の結果その人物は5万年前に死んでいたことが分かったのだ!!


『星を継ぐもの』の面白い点は、宇宙、そして宇宙人という壮大なテーマの物語であるにも関わらず、ストーリーは一貫して月面の死体は何者なのか?どこから来たのか?に特化している点だ。


物理学、言語学、天文学、数学、化学、地理...ありとあらゆる専門家が様々な視点から謎に迫っていくのだが、その様子がたまらなく面白い。


例えるとすれば難解なパズルだろう。偽物も混じるたくさんのピースの中から専門家たちが、正しいピースを見つけ出す。そしてその正しいピースを主人公のヴィクター・ハントがあるべき所に並べ変える。


こんなにワクワクする小説は、そうないだろう。緻密な構成と宇宙の壮大なスケールが織りなす極上のハード系SF小説だ。


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11.四月になれば彼女は/川村元気

──あらすじ

4月、精神科医の藤代のもとに、初めての恋人・ハルから手紙が届いた。だか藤代は1年後に結婚を決めていた。愛しているのかわからない恋人・弥生と。失った恋に翻弄される12ヶ月がはじまる──なぜ、恋も愛も、やがては過ぎ去ってしまうのか。川村元気が挑む、恋愛なき時代における異形の恋愛小説。

──普通の恋愛小説に飽きたあなたへ

『四月になれば彼女は』は心躍る恋心から人間らしい欲望を孕んだ生々しさまで、振り幅のある表現で描かれている。あらすじでは「異形の恋愛小説」とあるがまさにその通りで、人間の真理が見えてしまうような恋愛模様に、思わず息をのむ瞬間があるはずだ。


物語は、主人公の藤代の元に届いた一通の手紙で、幕を開ける。それは大学時代の恋人であったハルからの9年越しに便りだった。手紙は、日本から見たら地球の果て、ボリビアのウユニから送られてきていた。そこには、ハルの現状と9年前に秘めた思いが綴られていた。


どうして彼女は1人で旅に出たのだろう?
どうして彼女はかつての恋人に手紙を送ったのだろう?
そして……この二人はどうして別れてしまったのだろう?

冒頭のハルからの手紙を読んでしまったら、もう物語からは抜け出せない。


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【オススメ】

泥棒と警察官 二人の恋の行方は──『ルパンの娘』のあらすじ・紹介【横関大】

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「今すぐ別れなさい」
わたしは泥棒の娘。
結婚を考えていた彼は、警察一家の長男だった。


2019年7月からドラマ化が決定した横関大の原作小説『ルパンの娘』のあらすじ・見どころを紹介していく。


500ページ弱と文量はそこそこあるが、文体は読みやすく軽快で、ストーリーや設定も面白いので、さくさくと読み進められる一冊となっている。ちょっと強引では?と思うところもあるが、それを含めてもまぁ面白い。普段読書をしない方でも読みやすいのではないだろうか。


感想はコチラ


目次

【書籍情報】

タイトル:ルパンの娘
著者:横関 大
出版社:講談社文庫
ジャンル・要素:ミステリー・恋愛
ページ数:473ページ
刊行年:2017年8月(文庫本)
映像化:2019年7月にドラマ放送(予定)
読後感:スッキリ・ハッピーエンド

あらすじ

泥棒一家の娘・三雲華は警察一家の長男・桜庭和馬と素性を隠して交際していた。ある日、華の祖父・巌が顔を潰された遺体で見つかり、華は独自に犯人を捜す。和馬は華に結婚指輪を贈るが、殺人事件を捜査する中で華が伝説のスリ師・巌の孫だと知り悩む。事件の真相と二人の恋の行方は?著者会心の長編ミステリ!

(引用:ルパンの娘 裏表紙/横関大)



見どころ

──泥棒と警察官、恋の行方は……!?

あらすじにある通り、泥棒一家の娘と警察一家の息子、二人の恋模様が大きな見どころの一つだろう。


主人公・三雲 華だけは図書館に勤めていて普通なのだが(しかしスリの腕前は一級品)、華の家族は泥棒で生計を立てている泥棒一家なのである。


父は美術品専門の泥棒、母は宝飾品専門、祖母は鍵師、祖父は伝説のスリ師、兄はハッカー。普通の生きたい!と思っている華には悩みの種にもなっている。


そんな泥棒一家・三雲家に対して華が恋してしまう桜庭和馬は、警察一家の長男。和馬は警視庁捜査一課の刑事、母は鑑識課、妹は交通課、祖母は警察犬の訓練士、そして飼っている犬まで元警察犬。


和馬との交際を悩む華だが、そんな折に祖父で伝説のスリ師・三雲巌と思われる顔の潰された他殺体が発見される。


捜査を担当することになった和馬は、捜査の過程で、華が伝説のスリ師の孫娘であること、更には華の一家の秘密に辿り着いてしまう。華と和馬の未来を阻む絶対的な壁。2人の恋の結末は……?

──巌を殺した犯人とその動機は?そして……

二人の恋の最中に起きてしまう不穏な事件。誰が、どうして巌を殺したのか?そして何故、無惨にも顔が潰されていたのか。


事件の真相に迫るなかで巌の過去や三雲家と桜庭家の間に意外な接点が浮かび上がってくる。泥棒一家と警察一家の間に隠された謎とは……?


最後に

『ルパンの娘』を読んでいて頭に浮かんだ作品が、東野圭吾の『流星の絆』だった。禁じられた恋と殺人事件の組み合わせが同じってだけなんだけどね。


『ルパンの娘』は、泥棒一家の娘と警察官一家の息子の設定

『流星の絆』は、両親を殺害された娘と両親の仇の息子の設定


設定自体は異なるものの、両作品にいえるのは、恋愛要素がミステリーのスパイスに、ミステリー要素が恋愛のスパイスになっている点だ。両方の要素がうまく融合していて、二つの行方を追ううちに気づけば作品にのめり込んでいる。


『流星の絆』が恋愛:ミステリー=2:8
とするなら
『ルパンの娘』は恋愛:ミステリー=4:6
といった所だろうか。


また『流星の絆』の方が重めの作品になっているが、『ルパンの娘』は軽快で明るめの作品となっている。


また、どちらの作品も読み進めやすいはず。恋愛×ミステリーがお好きな方は是非、どちらもおすすめの作品だ。




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【2019年版】ダン・ブラウン 全作品を発売順に紹介 おすすめ・感想 【新作随時更新】


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ダン・ブラウンといえば、『ダ・ヴィンチ・コード』で一躍脚光を浴びた人気作家だ。そのシリーズ作品では第5作目になる『オリジン』が2019年に文庫版で発売されるなど、勢いは留まる所を知らない。



今回は、そんなダン・ブラウンの作品を一覧で紹介する(随時更新中)。
またダ・ヴィンチ・コードシリーズについてはコチラで詳しく紹介している。
【ダ・ヴィンチ・コードシリーズのあらすじ・紹介】


──1.パズル・パレス〈1998年〉

評価4/10

ダン・ブラウンのデビュー作。
暗号解読や秘密結社など、ダ・ヴィンチ・コードシリーズの原型が見て取れる。しかし他作品と比べると、どうしても物足りない感が否めない。ダン・ブラウンを初めて読む方には正直オススメしない。ダン・ブラウン作品を読破したい!という方は是非。




──2.天使と悪魔〈2000年〉

評価9/10
ダ・ヴィンチ・コードシリーズの第一弾
ヴァチカンをメインの舞台とした謎解きあり、アクションありの衝撃ストーリー。一時間ごとに一人が殺されていくという極限状態下でのラングドンの推理は見事の一言。


物語に登場する暗号は知識が専門的すぎて「考える」までいかず、ラングドンが解く過程をなぞるだけだったが、それでもテンポの良さと、時間制限のあるドキドキ感と、新たに触れる知識に読みごたえは抜群。




──3.デセプション・ポイント〈2001年〉

評価7/10
大統領選挙の攻防と、NASAの衝撃の発見…。予想もできない一転二転の展開にハラハラドキドキで大満足の一冊だ。『ダ・ヴィンチ・コード』シリーズとは一味違う、ダン・ブラウンの新たな一面が見える作品。


──4.ダ・ヴィンチ・コード〈2003年〉

評価10/10
史実や美術品をからめた暗号、謎解き満載のシリーズ第2作目にしてダン・ブラウンの名を世界に轟かせた出世作。44言語に翻訳され7000万部を越えた実績は伊達ではない。


内容は決して簡単ではなく、日本人からしたら解釈が追いつかない箇所もあるがそれを差し引いても面白い。映画化もされているが、内容が濃密すぎてゆえにドンドン進んでいくので映画だけでは理解しりれないのでは?と思ってしまった。是非、原作から読むことをオススメする。


──5.ロスト・シンボル〈2009年〉

評価6/10
秘密結社フリーメイソンを主題とした『ダ・ヴィンチ・コード』シリーズ第3作目。『ロスト・シンボル』で印象的だったのが作中にでてくる暗号。一つの暗号が、見る角度を、着眼点を、解釈を変えることによって何重もの答えを持っている。



──6.インフェルノ〈2013年〉

評価8/10
『ダ・ヴィンチ・コード』シリーズの第4作目。映画と原作でラストがまったく違う。映画だけ、原作だけしか知らない方は是非、両方制覇してみてはいかがだろうか。ちなみに私は原作派だ。


現代の問題である人口問題も取りあつかったラストまで目の離せない作品。


──7.オリジン〈2017年〉

評価9/10
2019年2月に文庫化されお求めやすくなった。表紙は情熱の国・スペインのサグラダ・ファミリアだ。AIの相棒・ウィンストンが大活躍する。ラングドンとAIのコンビが新鮮で二人(?)のナイスコンビネーションが読んでいて楽しい。


「我々はどこから来て、どこへ行くのか」
人類最大の謎に対してダン・ブラウンの出した結論は…?




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『幻惑の死と使徒』の感想を好き勝手に語る【森博嗣】


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記号覚え、数式を組み立てることによって、僕らは大好きだった不思議を排除する。何故だろう?

(引用:幻惑の死と使徒/森博嗣)


奇怪で奇妙で奇数な物語『幻惑の死と使徒』の感想を語っていく。ネタバレありなので未読の方はご注意を。


目次

感想

──目次からワクワクが止まらない

私が森博嗣作品で好きなのは、緻密に組み立てられたストーリーや個性的なキャラなど、あげればきりがないが、その好きな理由の一つが目を引く「章題」だ。


「章題」を意識するようになったのは、森博嗣の代表作『すべてがFになる』がきっかけ。
【『すべてがFになる』の目次】
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色で統一された章題は、見た目もさることながら、もちろん内容とリンクしていて見事としか言えない。「無色の週末」とかセンスが溢れてる。


さて、そして今回の『幻惑の死と使徒』の目次が以下である。
【『幻惑の死と使徒』の目次】
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章題が「奇」統一なのと、奇数章しかない!!インパクトはばっちりだし、発想もセンスも飛び抜けてる…。


気になる偶数章は?というと次作の『夏のレプリカ』で偶数章は構成されている。
【『夏のレプリカ』の目次】
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同じ時系列で進行している事件なのでこのような形態になっているわけだが……思い切った構成だ。『幻惑の死と使徒』の中で『夏のレプリカ』の話題に触れたり、逆もあったりと時系列をしっかり整理し直してもう一度じっくり読みたいものだ。



──トリックと真実

霊柩車のトリックは、すぐに気付いてドヤ顔で「これしかないだろ!!」って思って、事実当ってたわけだが……「これくらいは、わかって当然」くらいに萌絵や他のマジシャンに流されて喜び半分、悲しみ半分。


霊柩車の運転手が死体のフリをしているしかありえないと思ってからトリック自体は感づいたものの、何故運転手がそんなマネをしなければなかなかったのか?有里匠幻との関係は?とわからない事ばっかりだったが、犀川の考えを聞いて納得。


最初の事件が起きた時点では、有里匠幻の名前を華々しく飾るための自殺では?と思ったが死体が消えてしまう霊柩車のトリックで考え方改めさせられ、まさかこんなどんでん返しだったとは……。

──印象に残った言葉・名言

「妄想と幻想の違いは何ですか?」萌絵は突然思いついた質問をした。
〈中略〉
「同じだね」犀川は答える。「前者は現実より悪い空想、後者は良い空想に使われる場合が多い。また、妄想は他人に見せられないが、幻想はマジックみたいに他人に見せることができる。しかし、成立する条件も、結果も、特に違いはない。つまりは、同じものだね」

(引用:幻惑の死と使徒 P236/森博嗣)

「精神の復元力みたいなものじゃないかな。僕もよくわからないよ、そんなこと。専門じゃないからね。でも……、西之園君。物理の難しい法則を理解したとき、森の中を散歩したくなる。そうすると、もう、いつもの森とは違うんだよ。それが、学問の本当の目的なんだ。人間だけに、それができる。ニュートラルネットだからね」

(引用:幻惑の死と使徒 P283/森博嗣)

 誰もが、日常生活でマジックを体験し、マジックの中で生きている。いちいち「不思議だ」などと驚いている暇はない。本来、人類の特徴ともいえる、最も敏感だった感覚、不思議なことを発見し、それが不思議だと感知するセンサは、現代では無用となった。そればかりか、現代社会は、その感覚を完全に麻痺させようとしている。
 身の回りは不思議なことに満ち溢れ、それらを鵜呑みにしないかぎり生きていけない。生まれたときから、そんな環境の中にいるのである。たとえ、不思議に思ったとしても、すべての仕組みを分解するには小さすぎ、理解するには複雑すぎる。

(引用:幻惑の死と使徒 P437-438/森博嗣)

「ものには名前がある、という意味は?」
「人間のすべての思考、行動……、創造も破壊も、みんな名前によって始まる」犀川は、答える。「ヘレン・ケラーを知っているだろう?三重苦の。もの心がつく以前から盲目で耳も聞こえなかった人が、何を最初に理解したと思う?そういう人に言葉を教えるには、何が必要だろう?」
「実物に触れさせて、言葉を教えたのでしょう?」
「それ以前に、重要なことがあるんだ。それは、ものには名前がある、という概念なんだよ。すべてのものに名前がある、ということにさえ気づけば、あとは簡単なんだ。ものに名前があることを知っている、あるいは、ものに名前をつけて認識するのは、地球上では人類だけだ」

(引用:幻惑の死と使徒 P509/森博嗣)



──Vへの伏線

「なんだ、眠っていたんじゃないのかい?」犀川はトーマに言った。犬を相手に話しかけるなんて、何年ぶりのことだろう、と思った。

(引用:幻惑の死と使徒 P514-515/森博嗣)


犀川の何気ない一言だけど、これはVシリーズの伏線っぽい。こういう地味な伏線が張り巡らされているのがたまらない。


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